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58 僕は国のお世話はできませんが、ほしいんでしょ、国王?

こんばんは、こんにちは。

いつもありがとうございます。


棚からぼたもち~

今日もよろしくお願いします!


「サン、お茶にする?」

『おちゃ、のみた~い。あるじぃ~、おかしはぁ?』

「お菓子? あるよ。メルト、ひと休みしようか」

 そうだな、とメルトとノルが腰を下ろした。

「ナ、ナギ様! お茶とお菓子はすぐにご用意致しますので、お待ちください!」

 宰相が慌ててるよ。

「あるからいいよ、別に」

「いえ。我が国のお茶は美味しゅうございます。焼き菓子も料理人渾身の作。どうそ味わっていただきたい」

 まあ、そういうならいいけど。

 すぐにお茶が置かれる。

 お高そうなカップだね。

 続いておかれた焼き菓子だけど、これ美味しいのかな。

 鑑定してみても毒は入ってないから大丈夫だね。

『食べていい?』

 いいよ、と僕もフォークを手にした。

 うん、美味いね。見かけによらないい味でしょう、これ。

 紅茶もおいしい。

 おいしいね、と声をかけたときには、サンの前には何もなかった。

 ササッと用意されたお代わりに再び挑戦してるよ。

 何度かお代わりしてるけど、今は、カットする前の焼き菓子が置かれました。あははは……


「それで、誰に統治させるんだ、あの国。国民はどうする?」

 そうだよね。

「まあ、統治は後で考えるとして。国民の暮らしはどうなんだろうね。国自体は貧乏なのかな」

 その情報はこちらに、と宰相が差し出したのは、マントール国の詳細だ。物価や産業など、かなり細かく調べてある。それほど欲しいのかな。


 メルトとノルも別の書類を見ている。冒険者の逗留数や、年間の魔物討伐数、素材の売り上げなどなど。

 どうやら迷宮とか鉱石とか、たくさんはないようだけど、それなりに潤ってるみたいだね。国民の数が何より多い。それで商会や屋台も多い。

 人が多いと遊興施設も多い。娼館とかかな。商人ギルドもかなり潤ってるね。その税収はかなりのものだろう。何より、スラム街がない。これは素晴らしいと思う。これだけの国力があるのに、なぜこの国が欲しいのかな。

 あれ? 収入は多いけど、支出も多い。これってどうなの?

 

 なるほど、そういうことか。

 隣国の王族はバカが多いらしい。王妃や側室は贅沢三昧。公爵まで贅沢してるんだね。他の貴族は大変だろう。国としては先がないか。だからこの国がほしかったって事だね。

 この国は潤ってるし、国民も楽しく生きている。王族はさほど金遣いも荒くない。どちらかといえば質素だね。おそらくだけど、国は金を持ってるんだろう。それを見越して喧嘩を売ったってこと。

 そんなときに俺の噂を聞いたらしい。

 大型の眷属を従え、七歳にして高ランク冒険者である俺は、国にとっては宝物でしょうね。だから手に入れたかったの? そのために、魔法使いをたくさん雇い入れてでも俺を拉致したい。国は魔物に襲わせれば、簡単に落とせると思ったんだぁ。バカだね、こいつら。やっぱりそんな王族だから、こんな計画しか思いつかないんだよね。


 ため息とともに書類をテーブルに投げた。

「なにか気になることがありましたか?」

 宰相はよく観察してるよね。

「いろいろあるよ。でも、呆れるほどバカだよね」

 そ、そうですか。

 あれ、宰相が固まっちゃった。陛下は不安そうだね。

「そんなに酷いのか?」

「うーん、酷いっていうか呆れた」

 そういうことか、とにこにこ笑っている。どうしたの? メルト。

『主。先ほど、森の探索が終わった。迷宮だが、現在確認され公開されている場所が二カ所ある。だが、それ以外にも様々あるのだ。すぐにでも魔物が溢れそうな迷宮は三カ所。まだ大丈夫なのは二カ所だ』

 たくさんあるね。

 タブレットにメモしてるんだけど、皆が不思議そうにみてる。でも無視だね、どうせ見えないんだし。

『ナギ、鉱石もいろいろあるよ。ミスリルは一番高い山のてっぺんに鉱脈があるんだ。でも、おもしろいんだよ。かなりの大きさでてっぺんを横に鉱脈が走ってる。数キロ下にも同じように横に鉱脈があったよ。他の鉱脈もあるけど、全部鉄だね。金銀銅は少ししかないんだ。ミスリルがあったらお金たくさんになる? 美味しいものがたくさん食べられる?』

 あはは、そうだね。

 それ以外には良いものはないらしいので、戻ってくるように伝えた。


 

 戻って来たフラットとオニキスは、テーブルの上にある焼き菓子をみて絶叫した。だが、宰相は昨日からのオニキスをみて学習したらしい。山盛りのカットしてない焼き菓子が置かれた。もちろん紅茶も……


 ご機嫌な二人をみながら腕を組んで考える。

 大したものだね、マントール国は。

 ただ、気づいてないということは調査もしてないってこと。これは王族の怠慢だよ。

 それならミスリルはゲットしたい。それと迷宮はいらないけど、最初に入りたいよね。発見者としての特権だと思うよ。

「それで、いかがでしたか。あちらには何がありましょうか」

「うん、いろいろね。まあ、誰も知らないことだから、今のままだと一円にもならない。それをこれから考えようかと思ってる」

 何があったのかと聞くのだが、今の段階では話せることはない。話す気もないけど、一応聞いておくかな。

「ねえ、陛下。マントール国は必要?」

「もちろんでございます。あれほど多くの国民、そして産業など、かなりの税収となりましょう」

 ふうん、やっぱりそっちだよね。

 でも、最低限今と同じレベルをキープしなければならない。そうでなければ国民は黙っていないだろうね。それは理解してる?

 当然でございます、と宰相は大きく頷く。まあ、この宰相なら大丈夫かな。鑑定でも面白いことになってるし。


<鑑定>

 シールド・アル・フォランドール:ユリアロウズ国宰相 優秀 国王より数段優秀 計算が速い 判断力MAX 統率スキルMAX 対人スキルMAX 優しい……


 国王より優秀な宰相って。

 まあ、そんなもんだろう。国王は神輿。担ぎ上げるものが優秀ならそれでいいから。

 ていうか、この国ってユリアロウズ国って言う名前だったんだね。初めて知ったよ。あはは……

 俺もかなりアホだということがわかったね。


「ナギ様。隣国については詳しくお話をさせていただきたいかと思いますがいかがでしょうか」

 おほ? 宰相が口火を切ったね。

 そうだねぇ、どうしようかな。

 メルトたちはどうするかな。

「メルト、どうする? 宰相が話したいって言ってるけど。僕としては、一度みんなと話してからの方がいいかなと思うんだけど。でも、オニキスはすぐにでも攻め込みたいんでしょ?」

『そうだな。我は役目があるのだ。彼の国を滅ぼすという役目がな。罰を与えねばならぬのだ』

 ふん、じゃあ早いほうがいいかな?

「ここで話せばよくないか? ノルはどう思う?」

 そうですね、と腕を組んで考えている。

「オニキスとフラットの持ち帰った情報を精査してからの方がいいかと思う。そうすれば方向が見えるし」

 さすが、ノル。静かだけど、宰相タイプだね。

「わかった。じゃあ、一度戻るかな。陛下、宰相。ユリアロウズ国はマントール国を手に入れる為にできることを決めてね。騎士団が突入しても無理だから。それと、国民は残すから。王族と王宮くらいかな、なくなるのは。オニキスの怒り次第になるけど、ユリアロウズ国ができるだけのことをするというなら、内容を書面にしてください。明日には、彼の国を手に入れた場合の利益、不利益を話しましょう」



 真っ直ぐ宿に戻って、俺たちの部屋に集合している。

 ベッドを寄せてテーブルと椅子をとりだし落ち着いた所です。

『あるじぃ~おなかすいたぁ』

 お? そういえば、菓子しか食べてないね。

「じゃあ、ここに出すから食べながら話そう」

 作り置きの料理を山ほど出してやると、嬉しそうにピョンピョン跳ねるサンはとてもかわいい。

 フラットは普通の狼くらいになってるし、オニキスはメルトと同じ身長くらいになってるから、皆普通に食べてます。

「それで、マントール国には何があった?」

「ふん、えっとね……ミスリル鉱石が森のてっぺんあたりにある。それも、横にずーっとあるらしいよ。その数キロ下にも同じようにあるみたい。後はほとんどが鉄だって。迷宮は今公開されてるのが二カ所だけ。他に魔物が溢れそうになってるのが三カ所。そうでもないのが二カ所らしいよ。どっちも捨てがたいでしょ?」

「すごいですね。ひと財産でしょう。でも、マントール国は気づいてない?」

 そうなんだよ、と肩をすくめてみせる。

 じゃあ、それらは没収しますか? 

 んん? ノル、前向きだね。

「ミスリル鉱石は欲しいよね。全部堀り出そうかと思ってる。できるかどうかはやってみないとわからないけど。迷宮は一番最初に入りたくない?」

 入りたい! メルトは肉を右手に持って左手を高く上げた。おもしろいけど、戦う方が得意な人だね、やっぱり。

「それともオニキスが管理する?」

『うむ。それはどうであろう。我は主と共に戦いたい。旅に出るならば、共に行きたいのだ』

 あはは、ありがたいこと言ってくれるよ。

「ありがとうね。僕も一緒に旅したいよ、このメンバーで。そのためにもお金は必要でしょ。マントール国の財は没収するとして、王族とその遠戚のものたちに罰を与えればいい? 国民は残してやれる?」

『うむ。罰は王族が受ければよい。そして魔法使いであろう。それ以外は関係ない。国自体は王族を処刑すればなくなる。それで十分だ』

 やっぱり、オニキスはしっかり役目を果たすつもりだね。それなら王族やその遠戚の者たちについてはオニキスに任せようかな。

「じゃあ、明日のユリアロウズ国の返答によって、オニキスの出陣を決めよう。王族とその遠戚たちの処分は、迷宮管理者のオニキスに任せるよ。それが終わればマントール国はなくなる」

 そう、国は事実上なくなる。

 でも、その前に。

 明日のユリアロウズ国の出方によって、先にミスリル鉱石を掘り尽くすかもしれない。そして迷宮は一番乗りになる。最悪、その後でオニキスの出陣になる。

 そう伝えれば、オニキスは大きく頷いた。

「でも、ナギさんが納得するような話しになりますかね。国王陛下はよくわからないみたいでした」

 うん、ノルはいいところをみてるよ。

「その通りだね。でも宰相がいる。彼はかなりのやり手だよ。鑑定で国王陛下より優秀だって出てたし」

 うそぉー! 

 メルト、リアクションがおかしいよ。

「ミスリルはかなりの交渉材料になるでしょうね。でも、元々ないと思ってたなら、ナギさんが手に入れても問題ない。迷宮も同じことです」

 そうなんだよ。

 でも、ずっと国と関わりたくはない。だからミスリルは全部魔法で掘り出す。そしてインゴットにする。

 迷宮は一番乗りして楽しみたいし、ドロップ品も手に入れたい。あとはどうにでもすればいいでしょ。金のなる木なんだから。

 全員が同意してくれた。

 多分、マントール国を買うというだろうね。

 いくらになるかわからないけど、それはオマケだ。

「オニキス、王族たちと魔法使いがいるから、皆で手伝おうか? 魔法使いもかなりいるんでしょ。フラットと僕、サンがいれば少しは力になれる。メルトとノルは、魔法使いをやっつけた後、ユリアロウズ国の騎士たちと乗り込んで。そこでオニキスが王族たちを処罰する。それなら辻褄が合う気がするけど」

『そうだな。ユリアロウズ国からの国を買う資金はもらっておけばいい。魔法使いについては手伝ってもらおうか。もちろん、王城ではメルトとノルにも正面切って我と共に切り込んでもらう。まあ、我が道を開くがな。主が言うように、騎士団長らをぞろぞろ連れて参ろうか。移動に時間がかかるのが面倒だがな』

 あ、そういうことか。うーん、それなら後から追っかけてもらう?

 そうなるだろう、とオニキスは情けなさそうな顔をした。

 戦争ってそういうものなんだね。つまらないよ、本当に。


 とりあえず、明日のユリアロウズ国の出方を見て決めよう。国を買うのっていくら位するのかしらないけどね。白金貨が一千万円くらいだから、数百億円とか数千億円とかになったら訳がわからんよ。

 まあ、捕らぬタヌキの皮算用になっても困るから、とりあえず相手の出方を待つとしよう。


 それからは、夕食の宴が続いた。

 寝る前にはオニキスは俺の影に入り、それぞれ部屋に戻って休むことにした。


 


 朝の目覚めは心地よい。

 サンを抱いて眠っていたらしく、隣のベッドではフラットが大きめの狼姿で横たわっている。もちろん起きてるよ。

 そろそろ置きようかな、とゆっくり起き上がってベッドの側に立つ。そしてクリーンだね。


 着替えをして防具を着けて靴を履く。そして帯剣したあと食堂におりようとドアを開けた。サンは既にバッグに入ってますよ。

 打ち合わせしたわけでもないのに、メルトもノルもテーブルに座っていた。



 お腹いっぱい朝食を食べて、食後の紅茶を飲んでいるとき、王宮から騎士がやってきた。

「ナギ様。王宮へお越し下さい。馬車を用意致しておりますので」

 あはは、馬車?

「馬車は結構です。その代わりと言ってはなんですが、馬で向かいますので、少し馬の面倒をお願いします。しばらく駆けてないので」

 承知しました、と騎士は戻っていった。


 それからすぐに出発して、王宮では丁寧に馬たちを受け取ってくれた。当然、俺たちは王族専用の応接室に通されたんだけど、昨日と違う焼き菓子にサンとフラットが大騒ぎだ。オニキスも出してくれと訴える始末。遠慮がないよ、うちの子たちは。


読んでいただきありがとうございます。


サンのお菓子消費量が増えてるんですが。笑

いろいろと隣国の付加価値が出てきましたね。さて、どうなるんでしょうか。


コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。

明日もどうぞよろしくお願いします。

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