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52 謁見? 領主様の言いなりにはなれませんよ~っだ!

こんばんは、こんにちは。

いつもありがとうございます。


今日もよろしくお願いします!


 そんな風に話しをしていれば、オーク退治にいった村が見えてきた。

 なに? この村がここにあるって事は……

 ずっと右にカニとクモを狩った岩場があるはず。

 そう思ってたら、遠くに見えてきた。遠見のおかげだけど。

 これ、夕方には戻っちゃうかもね。

 マックスさんに伝えとこう。

『マックスさん。夕方には着きそうな勢いだよ。ギルマスに連絡しておいて』

『なっ、なに? そんなことがあるはずは……いや、あるな。あの時間で昼飯だったから可能性は大きい。途中魔物でもいれば別だけど。わかった、連絡しておく』

 は~い、と通信を切った。


 岩場をみる度思うけど、カニ、もっと食べたいなぁ。

 依頼じゃなくても行きたいくらいだ。そうだ、行けばいいじゃん。行って狩ってくればいいだけだよ。それなら食べられるしね。今ならフラットも強いし、俺も氷の魔法がかなり使えるようになった。戻ったら話して見ようかな。

『ねえ、ナギ。あのカニがいた岩場だけど、何かいる気がするよ~カニかな?』

「ちょっとまって探ってみるよ」


<サーチ・サンドクラブ>


 ポポポポポポと六個の光が見える。

「いるみたいだね。タブレットの光、見える?」

『見えるよ~あれ、美味しかったけど、とって帰る? 夕方までには着くからいいでしょ?』

「うん、いいよ。俺も手伝うから」

『サンもやる~』

 じゃあ三人で狩ろう。

 グンとスピードが増した気がしますけど、フラットさん?

 もう目視できる位になってる岩山だから、すぐに着くね。

 ゆっくりと飛び始めたフラットは、上空で止まった。六頭のサンドクラブの上ですね。

 いくよ~とフラットは高度を落としてゆく。

 結界を解除して、魔法を使うことにした。


<氷のライフル弾>


 バンバンバンバン!

 おっと。三頭倒したよ。

 ブシュッと聞こえれば、サンが水の弾丸を送り出してる。残りはフラットの腕ではじかれて終わりだね。

 サーチ結果も証明してるよ。

 ささっとアイテムボックスにサンドクラブを収納したフラットは、何事もなかったかのように飛び始めた。

「すごいね、フラット。跳ね飛ばしただけで死んじゃったよ。サンも水の攻撃は強いね!」

『ありがと。また食べたい』

『サンもたべてみたいよ~』

 あはは、二人が可愛すぎるんだけど。


 

 ギルドに到着したのはそれから二十分後だった。

 裏の訓練場に降り立ったフラットは、フルフルと身体を震わせる。

 この方法、いいね。今度からは裏の馬場を空港代わりに使わせてもらおう!

「戻ったか、ナギ! フラットもお疲れさん。だが、とんでもなく早かったな!」

 そうですよね。僕もビックリです。

 空間を開けば、皆が恐る恐る出てきた。馬たちは通常運転だけど。


 俺の部屋へこい、とギルマスはすぐにでも話しを聞きたいらしい。

 でも、俺には仕事がある。

「マックスさんたちは先にどうぞ。僕は獲物を買取カウンターに出してきます。皆の分も持ってますから」

 おう、そうだよな。

 案外あっさり許してくれたな。なんか嫌な予感がするけど……


「おじさん、ただいま。無事に戻りました。みんなの獲物を預かってるので」

「おう、戻ったな。聞いてたより早いからビックリしたが、フラットが頑張ってくれたんだろう?」

 そうですよ。フラットはお風呂に入りたくて急ぎ戻りましたね。って、言えないけど。

「かなりあるか?」

 うーん、皆のはそれほどでもないかな。

 数を教えろと言うので、それぞれの数をざっくり伝える。

 もちろん、俺たちの分は入ってませんよ。

 フラットも持ってたようだったけど、他人のは数頭だけだった。

「よし! じゃあ、他人の分だけ出してくれ。それぞれの名前とな」

 はいはい。

 じゃあ、マックスさん、ピットさん、ショルダーさんはおいといて。

 『蒼い翼』の他のメンバーの分、そして今日戻ってる人たちのも出しましたよ。名前も告げて。

 どうやら、向こうに残った人たちは、ギルマスが連絡して全て買取でということらしい。それなら、と居残り組の分もだしました。

 ギブアップだと言われたので、それぞれの名前入りの明細だけもらった。あとでどうこうもめたくはないからね。

『ナギ、カニは~?』

 そうか、カニだよね。

「おじさん、お願いがあるんだけど。帰りにサンドクラブを狩ったんだ。だから食べさせたいんだけど、二頭ぐらいお願いできない? 今夜くらい美味しいものを食べさせてやりたいしね」

「あはは、お前の飯は美味いって聞いてるぞ。だが、フラットは功労者だからな。じゃあ、ギルマスと話してる間に俺が解体してやる。後で取りに来い」

 ありがと、とサンを紹介する。

 眷属になったと言えば、かわいいなと頭を撫でてくれた。

 じゃあ、とその場を離れてフラットにどうするかと聞けば、ここで休みたいという。まあ、そうだよね。

 サンは登録があるから一緒に行くからねと、強制的に連れて行った。


「ナギです!」

 入れ。

 お待たせしました~

「まあ座れ。マックスたちにいろいろ話しを聞いた。そっちのノルのことも問題ない。向こうのギルマスと話しをして、やつらは今後、うちのギルドには出入り禁止だ。それとノルはうちの冒険者として活動することになったからな」

 よかった~胸のつかえがひとつなくなった気がしたよ。

「それで、従魔登録をお願いします。この子はサン。僕の眷属だよ」

 なに? と俺を鑑定してるギルマスだが、それ以外にも驚いている。

「お前、召喚できるのか?」

「召喚? あ、うん。今いる個体限定だけど」

 魔物か?

 ドラゴンだよ。

「どれだけお前は……規格外にも程がある。ここに呼べるか?」

 たぶん、とドラゴンと念話する。

『ここに出られる? 普通の部屋なんだけど。二メートルくらいの高さは無理かな』

『うむ。少々小さいが、主が望んでおるのだろう? それならば何とかしてみよう』

 ごめんね、無理言って。

「何とかしてみるって。少し待っててね」

 おう、と半信半疑のギルマスたちだ。

 メルトとノルは問題ないけどね。

『主、参るぞ!』

「うん、お願い」

 立ち上がった俺の影からするすると何かが出てくる。そして天井ギリギリでドラゴンの姿になった。

 うおぁっ! ギルマスがソファの後ろに隠れたぞ。あははは、初めて見た。

「この子です。名前は決めてないけど、決めるものなの?」

『どちらでもよいのだ、主。名をもらえるなら受け入れる』

「そうか。じゃあ、名前つけたいけど、いいかな」

 大きく頷くドラゴンは、少し天井をこすったよ。壊れてない?

 名前だよね。ええと、ドラゴンだから大きいよね。でも真っ黒だし、ちょっと厳つい感じ。

 オニキスって魔除け石だった気がする。これがいいかもしれないね。

「じゃあ、オニキスってどうかな。魔除けの意味もある真っ黒な石なんだけど『迷いの無い信念を象徴するような強さ』っていう意味もあるんだ。お前にぴったりだろ?」

『うむ。オニキスか。気に入った。我はたった今より、主の眷属オニキスである。改めてよろしく頼むぞ、主』

「うん、こちらこそよろしくね、オニキス」

 俺の声しか聞こえてない皆はポカンと口を開いてる。

「名前決まってなかったんだけど、オニキスに決まったよ。みんな、どうぞよろしくね」

 お、おお……

 あははは、動きなよ!

 もういいの、オニキスは?

「あ、悪かった。オニキス、ナギを頼むぞ。俺たちもよろしくな」

 ぐぱっと大きな口を開けて笑うオニキスにビビってるみんなってどうよ。

『では主。我の用事は終わったのか。ならば戻るが』

「うん、ありがとうね。もっと自由にしてあげたいんだけど、考えてみるから」

 頼む、と煙のように影に消えていった。


「ほんとに。お前は人間か? いや、人間だよな。鑑定にもでてたから。お前、ステータスがすごいことになってるぞ。レベルも六歳のレベルじゃない! すぐにもAランクの手続きした方がいいか?」

 何言ってんの? そのために集まったって事?

「いや、違う。わるかった。とりあえず、サンの登録をしてくれ。あと、召喚獣としてオニキスも書き記すがいいか? まあ、ネックレスはいらんが」

 あははは、ネックレスしたドラゴンってどうよ。

「でも、サンはどうすればいいの? ネックレスつけられない」

 そうだな、と本部に聞いてみるらしい。


 ギルマスの言いたかったことは、例の魔物調査のことだった。

 当然だね。

 マックスさんというよりは、メルトから話しを聞いたが、オニキスのことは話してないらしい。

「オニキスは、あの迷宮の管理をしてたみたい。それで、西の隣国が魔法使いを使って、この国へ魔物を送り出してたのが気に入らないって。まるで迷宮が魔物製造機みたいに扱われたんだから腹も立つでしょ。他の迷宮もと考えてたらしいけど、あの迷宮核が僕のものになって終わったから、移動ができなくなったみたい。でも、このままだと時間をかければ別のところで再開する。それを阻止したいんだって」

 おっそろしい話しだな。

 うん、ギルマスのつぶやきはもっともだね。

「それで、明日。領主様に国王陛下へと連絡してもらう。そのときお前も一緒に謁見して欲しいんだが……」

「いやだよ。僕は謁見なんて行きたくない。だって、陛下はあそこに座っていろんな人から教えてもらうばかりでしょ。それじゃあ、どれくらい説明しても理解してもらえない。だからはっきりさせてから話しを聞きたいんだ。西の国ってなんていうところ?」

 それすら知らない俺だぞ。巻き込むなよ!

 西の隣国は『マントール国』というらしい。マントール? 変な名前。

 あまり大きくはないが、迷宮がいくつかあって栄えているらしい。お金もあるし騎士団もでかい、王宮魔術師団とかあって、国防については鉄壁だって。じゃあ、俺を狙ってるのもその国なの? それらしいことを聞いてみた。

「多分な。お前は素晴らしい魔法を使う。普通の魔法使いなら無理な魔術さえ簡単に使うからな。驚異なんだと思うぞ。それに、この国も欲しい。まあ、欲を前面に押し出してるってことだな」

 なにそれ、気に入らない。

「この街にいても、お前が受ける依頼もさほどない。メルトやマックスの依頼さえ数がでないんだ。だから一度、王都へ行って依頼をみてどんなものかを学んで欲しい。そのついでに謁見をだな」

「えー、でも領主様と移動すれば遅いし、騎士団の人たちは面白くないでしょ。そんな視線を感じながらって楽しくないよ。それでも行けって?」

 頼む、と両手を合わせて頭を下げるけど、納得いかない。

「これは領主様からの依頼だ。お前とフラットへのな。メルトやマックスたちには別に護衛としての依頼が出る。ショルダーとピットも護衛依頼だな」

 なんで俺だけ別なんだよ! 

 ひとりで、いや違うか。フラットとサンと俺で王都に向かえって?

「領主様って、普通冒険者とか雇うの? 騎士団がいるのにおかしいよね」

 頭をかくギルマスだけど、はっきり言って欲しいよね。

「そのとおりだ。だが、騎士団じゃあ今の魔物の数はさばけんと考えておられる。だからだ」

 それでも何人で行くの?

 『蒼い翼』は全員参加。そしてメルト、ノル、ショルダー、ピットらしい。それでも九人だよね。それに、騎士団も役に立たないとしても、いざと言うとき、肉の壁くらいにはなるよ。って、俺今すごいこと考えたぞ。ヤバイと思うんだけど。

 俺は絶対嫌だね、貴族様を命をかけて守るなんて。この前ので嫌になった。


「じゃあ、道中でいろいろ聞いてみます。三人だけだから、途中で食事も作りながらのんびり行きますよ」

 ナギ! とメルトが立ち上がる。

 失礼します、と俺を連れて外に出たメルトだけど、どうしたの?

「ナギ、戻ったら話そうと思ってたんだ。あんなことがあったばかりで悪いんだけど、それ以前から考えてた。俺とパーティ組んで欲しい。ノルも一緒にって言ってる。それに、お前だけで行かせたくない。貴族の依頼は断るから。他にも冒険者はいる。それに騎士たちは信用できない。パーティ組んで、俺たちだけ別にいけばいい。何があるかわからないんだぞ。お前は狙われてるんだから」

 改めて言われるとうれしいもんだね。

 俺がパーティー組むの? 俺と一緒に戦ってくれるの?

「僕と一緒にいると危ないよ。メルトたちまで危険になるんだ。それでもいいの?」

「当然だろ。俺はお前に惚れてる。ノルは別の意味で人として惚れてるって。尊敬してるって言ってるんだ。頼むから俺たちにも頼ってくれよ。ずっと一人で頑張ってたから気を使うんだろうけど、俺はお前の側にいることが幸せなんだ。ずっと一緒に生きていきたい。フラットやサン、ノル、そしてオニキスとな」

 ふふふ、と笑ってるつもりなんだけど涙が止まらない。 

 こんな我が儘な俺をこうやって気遣ってくれる。本当にありがたいことだよ。

「ありがとう。じゃあ、任せるね。パーティのことも依頼の事も」

 わかった、と再び中に戻った。

「ギルマス。俺とノルは今回の依頼は受けられないし、受けたくない。だってそうでしょう? 前の依頼でもミノタウロスの穴にナギを落としたのは騎士だった。信用できない、あいつらは。それに俺たちはパーティ組むから。俺とナギとノルで。俺たちパーティは断固拒否する!」

 そんな、お前……

 ギルマスも思い出したんだろう。以前のことを。あれは結局なかったことにされたよ。俺は静かに受けとめたけどね。

「そういやそうだったな。俺も忘れてた。六歳のナギをミノタウロスが二頭いる穴に突き落としたのは騎士だ。どうなったんだ、あの件は?」

 マックスさんの声に、いや、それは……と口ごもったよ。

 なあなあで終わらせてたんだろうね。ギルマスはなんだかんだ言っても領主様よりだし。

「まあ、そんなところか。ギルマス、俺たちパーティーも受けられない。いつ背中から切られるかわかったもんじゃないからな!」

 あ、マックスさんが怒った。いいのかな、こんなんで。

「俺も無理だな。ピットお前は?」

「うん、俺も無理。まだ死にたくない」

 あはは、結局全員無理なの?

「あの。僕に気を使わないでいいよ。僕は僕の考えで生きてくから。それで街から出て行けって言われるなら、家を持って出ていく。土地は誰かにあげてもいいしね」

 おいおい、冗談だろ? と俺を見るギルマスは悟ったようだ。

「本気らしいな。まあ、街を出るかどうかは後の話だが、お前らの言い分は理解した。それなら領主様に伝える。でも、陛下には報告して欲しい。その繋ぎはとるからな。じゃあ、今回の依頼料を払う」

 淡々と話してはいるけど、ギルマスは大変だろうね。俺だって本当はこの街を出たいなんて思ってない。居心地がいいからね。でも、俺がいることで街が危険に晒されるなら嫌だから。


読んでいただきありがとうございます。


ナギがパーティを組むそうですね。

やっとか、と思いましたけど。でも、これからは大変なことになりそうですよ。


コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。

明日もどうぞよろしくお願いします。

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[一言] オニキス!いいねぇ(*´ω`*) 九龍さんのネーミングセンス大好き(*^ω^*) ホントに大人は勝手だよねー。マックスとかが味方になってくれるのは嬉しいな( *´꒳`* )
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