51 やっぱりフラットはすごい!
こんばんは、こんにちは。
いつもありがとうございます。
今回の旅では、ナギは起こるばかりで、ちょっと前世の大人の部分が出てますね~
おっさん化してるのかな? 笑
今日もよろしくお願いします!
俺たちは部屋に戻ることにする。
ノルは先に部屋で休むと言うのでクリーンをかけた。
今、目の前にはマックスさんとメルトがいる。
サンとフラットはクリーンをかければ、ベッドに転がった。
「それでナギ。さっきフラットと話してたこと、教えてくれるか?」
「……まあ、いいけど。僕は正直言って嫌なんだ。でもフラットは優しいからね」
悪かった、と二人は頭を下げたよ。
フラットの提案、空間の中に皆を入れて俺とフラット、サンで空を戻るという事を話した。
「それ。すごいことだが、できるのか?」
「できるよ。でも、僕たちの小屋がある空間とは別だから。何もない箱の中にいられる? 窓もないし風も吹かない。ただ、息はできるから。お昼ご飯と晩ご飯くらいは提供するけど、それ以外は降りないよ。それでもいいなら、多分二日くらいじゃないかな。それでも魔物を狩りながら戻りたい人はそれでもいいよ。冒険者なら獲物もお金になるからね。ただし、アイテムボックスはないから。解体して素材を持ち帰るってことだね。僕のアイテムボックスに入っている獲物は、いつもどおりギルドに戻って処理をするよ。名前を書いてどうするか聞いてもらうから。決めるのは本人たちに決めさせてね。途中で降りてもいいし。ただし、僕たちから離れるなら、食事の面倒はみられない。それだけだよ」
なるほど、と考えているんだけど、考えるくらいなら別の方がいいかもね。
そう呟けば、そういうことじゃないんだとマックスさんは必死だ。自分としては是非頼みたい。ただ、ここからだと馬がいるし。
何言ってんの?
「馬も一緒に入ればいいじゃない。別の空間じゃなくてもいいでしょ。中で駆けるくらい広くしてもらってもいいよ」
そういうことか、と納得したようだ。
憲兵に連れて行かれたやつらの報酬だけど、依頼料と獲物の買取料があるならギルドから振り込めばいいんじゃない? といっておいた。どうするか決めるのはギルマスだろうしね。
朝食を食べるために階段を降りてゆく。
フラットとサンは部屋で食べてるよ。汚さないように言ってあるから大丈夫だと思うけど。
朝食を食べ終わる前くらいに、マックスさんが話しを始める。
皆真剣に聞いてるけど、先に戻りたいと言う人と、護衛依頼を受けて戻りたいと言う人に別れたみたいだね。当然、馬はそれぞれが世話をするんだけど。まあ、護衛依頼もいいだろうけど、気をつけなきゃね。
『蒼い翼』のメンバーは全員俺たちと戻る。そしてピットとショルダーさんも。あとは、ノルとメルト、俺、フラット、サンだね。他にも戻る人は三人。
食事が終わり次第、メルトは残る人たちの荷物を取り出すので忙しくなるだろうね。
まあ、魔法使いも僧侶も数人いるから問題ないでしょう。
何かあっても自己責任の冒険者だからとマックスさんが言いきかせてたよ。しっかり理解してるだろうけど。
俺は部屋に戻って荷物の整理をする。
今朝はきれいに食べてたね。さすがに昨日と同じじゃたまらないから。
荷物は俺の着替えくらいだからすぐに終わった。
サンは既にバッグに入って準備万端だ。フラットも待ってる間に空間を作ってくれてました。かなり広いんだけど。これほどはいらなかったよね。
馬がいるってことは、飼い葉をどうするの? あ、そうだ。メルトのアイテムボックスにあったはず。
確認しとかなきゃダメだね。
『ねえナギ。いつ飛ぶの? すっごく速くとんでいい?』
「いいよ。速いほうがいいかな。でも、結界張っていい?」
『うん。寒いから張った方がいい。風邪引くよナギが。サンも一緒に入るでしょ?』
「そうなるね。でも念話でお話しできるからね」
『うん~だから早く戻ってお風呂に入ろう? お風呂にはいりたい!』
あはは、フラットはお風呂が優先なんだね。
お待たせ、と部屋に来たメルトの隣りにはノルがいる。
「今日はお願いします、フラット」
まかせて~
名コンビだね。
俺の荷物は既にアイテムボックスにあるので、手ぶらで降りてゆく。あ、違う。ショートソードと短剣はつけてますよ。
じゃあ、と宿の外でフラットが開いた入り口に入って行く面々。先に戻る組だね。
最後にマックスさんが、気をつけて戻るようにと言ってた。
メルトとノルも中に入って手を振ってる。すると、容赦なく入り口は閉じてしまった。
忘れものはないかな。馬たちも入れたし、水くらいは出すでしょうよ。
じゃあね、と残った人たちに手を振って空に上がった。
とりあえず、門の手前では降りて、ちゃんと出国手続きはしました。
□□□□□
儂は創造神アルムじゃ。
我が孫は、中々の働きをしておる様じゃ。
ハラハラの連続で寿命が縮まりそうなのじゃがの。いや、儂には寿命はないのじゃった。
迷宮での活躍は素晴らしいものじゃった。ただ、あれほどの人数は邪魔になるだけじゃろう。その判断がつかぬ領主は少々情けないの。
ただ、フラットが素晴らしいランクアップをなし、眷属のスライムとも無事会えたのは僥倖じゃった。名はサンと申したかの。これからはナギの力になるじゃろう。忙しすぎて身体を壊しかねぬからの。予定外じゃったが、ノルという人間も手に入れおった。まあ、メルトとナギを師と仰いでおる彼奴なれば、助けになるじゃろう。
今回は、いささか過ぎた力を与えたが、あのドラゴンの望み故、仕方がなかろう。彼奴もあのままではどうにもならぬ。その悪を滅することがナギの安全に繋がるひとつの道じゃ。ならば手伝いをさせても良いじゃろ。そう判断したのじゃ。
すでに「ちーと」と呼ばれる力を持つナギじゃが、一人では何事もなせぬ。ましてや、悪から身を守りながらでは生きてゆくことはもっと難しくなるのじゃ。それ故の力である。
じゃが、彼奴の実力は十分条件を満たしておる。ただ、子供じゃというだけ。あまりに巨大な力なれば身体が持たぬ。それだけが心配じゃ。
ノルを敵視する輩もおるが、あやつらはギルマスとやらが何とかするじゃろ。厳しい処分をせねばの。
明日は、自国に戻るじゃろうが、普通通り戻るか。フラットが策を思いつくかはフラット次第じゃ。わざと知恵を与えずに見ておることにしたのじゃ。
フラットは、本来ならばもっと後で開花するはずの能力が既に備わったのじゃ。まだ気づいてはおらぬが、それでよいのじゃ。フラットもレベルはかなりのもの。自らの考えでナギを助けるようにならねばの。
サンは、そろそろ大きな躍進を遂げるじゃろう。食事を十分とらせておる故、問題ないと思うがの。それも楽しみじゃ。フラットとサンが話しておるのは微笑ましいの。二人でナギを支えてゆくと張り切っておるのじゃ。そろそろナギの周りは鉄壁となるやもしれぬ。
じゃが、まだまだ良からぬ事を考える輩はわき上がってくる。
故に、あの街に固執することはないと思うておる。ひと時離れることも良い方法じゃ。依頼だ、迷宮だと離れていてもおかしくはないからの。
その方が魔物狩りの経験も増えるしの。経験と言うものは月日が必要じゃから、日々積み重ねるしかないのじゃ。
この世界は広い。
儂が作った世界じゃが、少々懲りすぎての。思うたよりも大きくなってしもうたのじゃ。まあ、いろんな国があっても良いじゃろう。だが、人は欲を持って行動する。それゆえ、ゆがみが出てくるのじゃが、今一番バカというても良い輩は、隣国じゃ。戦争をしておった国ではなく、西側の国じゃの。
できれば、西の方にある国には向かって欲しかったのじゃが、あの国を滅することができねば面倒じゃ。既にフラットのことも調べておるし、メルトのことも知っておるのじゃ。情報を集めるのは得意と見えるが、儂はあれくらいの小国、どうでもいいと思うておる。この世界の信仰は儂じゃ。アルム神を崇め、日々を過ごしておるのじゃが、罰当たりよのう。
そのうち明らかになるじゃろうが、心配はしておらんのじゃ。
ナギの家族ならば大丈夫じゃ。必ず守ってくれると信じておる。それを楽しみに待つとしようかの。
儂は神であるが故に、本当に望むもの、必要なものがようわからん。
今回の様にナギから聞いてくれれば良いのじゃが、あの子は堪えることも知っておる。この世界の両親が殺された時にも、泣かなんだ。
涙を流すと言うことは、人にとって大切なのじゃが。それに気づいておらぬのじゃ。
ナギのためにもそういう時があればよいがの。
さて、そろそろ儂も己の仕事をするかの。
儂も忙しいのじゃぞ、本当は。
世界の事を見ておるのじゃ。手出しはできぬがの。それを解決するためには力を貸すのじゃが、人には干渉できぬのじゃ。ナギだけじゃの、いろいろ手を出すのは。まあ、儂が孫と認めた子じゃ。その才はあるのじゃ。
そろそろ西の隣国をみてみようかの。
できれば知恵を貸してやりたいからの。またおじいちゃん、とメールをもらいたいのじゃ。
儂も財産ができたのじゃ。ナギとその家族じゃ。フラットもサンも可愛いからの。
ナギの家族のために時間を使うのは楽しいぞ。
さて、また頑張ってみるかの。
ナギ、頑張るのじゃぞ!
□□□□□
国を出て空に上がったフラットは、水を得た魚のようだ。
ビュンビュン飛んでるんだけど、これ時速何キロくらいかな。
すぐにみたことのある景色が見える。
フラットを中に入れてくれなかった街だ。
ここまで何キロくらいあったのかな。それを二時間くらいで飛んだの?
当然街はスルーしたよ。高い所で飛んでるから誰も気づいてないしね。
時速百キロ以上出てるよね、多分。いや、それ以上かも。
フラットは、身体もそれだけ強いって事だよね。じゃなきゃ、バラバラになってるよ。結界張っててよかった~
気にせず飛んでるって思うと、ちょっと怖い気がするね。
これだけ速く飛べるようになったなんて、すごいね、フラット。
『ナギ、速いでしょ? すごい~?』
『うん、すごいね。感心してたんだ。頼りになるよ、フラット』
『うれしいな~頼りになるって言ってくれた~』
『フラットおにいちゃん、すごいねぇ。ぼくにはむりだけど、そんけーする!』
『そうか、ありがと。サンは寝てていいよ。ナギも眠かったら寝てね。道は覚えてるから大丈夫。街道じゃなくてまっすぐ通り抜けるから速いと思うよ~』
ああ、そういうことか!
街道は曲がりくねってるけど、フラットなら真っ直ぐ飛べる。それなら距離が短縮できるって事だ。
『フラット、それはすごいよ。気づかなかった。真っ直ぐ飛べばかなり速いものね。頭いいよ、フラットは。思いついたことがあったら、いつでも話してね』
う~ん!
可愛い返事が聞こえて嬉しくなった。
ビュンビュン飛んだフラットが、お腹すいたと降りたのは、かなり広い草原だ。
皆を空間から出した後、離れて言った。うん、トイレだね。
「ここ、どこだ?」
マックスさんは既視感のない場所をみて驚いてるよ。
「フラットが街道伝いじゃなくて真っ直ぐ飛んでるから。僕にも場所はわからないけど、あの大きな街はとっくに過ぎたよ。今からお昼ご飯にしよう」
ありがたい、と出てきた皆もキョロキョロしている。
テーブルを取り出して準備を始める。
コンロの魔道具を出して大きな鍋を置く。寸胴鍋です。
小さく火をつけたところに、ミミカさんとレインさんが手伝いに来てくれた。
メルトとノルも来たので、浄化してから手伝いを命じた。
マックスさんたちは、馬を少し走らせてる。ずっと閉じ込めてるからかわいそうだしね。水も用意してるから大丈夫でしょ。
昼のメニューはビーフシチュー、じゃなくてワイバーンのデミソース仕立てシチューだよ。
あとはパンと野菜サラダ。そして魚のマリネを出してみた。
長い台の上に置けば、嬉しそうに集まってくるんだけど、その場で立ち食いだね。人数が半分になったからできることでしょう。
今回は人数が多すぎたよ。あれほどは必要なかったよね。
ドラゴンに言わせれば、俺たちだけでもよかったって。
ドラゴンって、名前はあるのかな。
家に戻ったら外に出してあげよう。そして名前を聞いてみたいんだ。ドラゴンって呼ぶのもなんだか味気ないしね。
一時間と少し、食事をとった。
フラットとサンも大満足だったみたいだね。初だしだったから、大喜びだった。最終的にはお代わりでもうひとつ鍋をだしたけど、空っぽになったね。まあ、残飯がないのはいいことだ。
夜は何にしようかな。
今の間にトイレを済ませろと叫ぶマックスさん。それを聞いて、フラットに一緒に行って欲しいと頼んでいる女性たち。その方がいいよね、絶対。
マックスさんは当然の様に少し離れてついて行ったよ。もう慣れたんでしょうね。
できるならば、ここで魔物とは遭遇したくない。戻るのが遅くなるから。
フラットがお風呂に入りたいと言うから、少しでも早く入らせてやりたい。
無事に飛び立ったフラットは、さっきまでと同じようにビュンビュン飛ぶ。
結界の中にいる俺はサンと一緒にタブレットでマップを見ているんだけど、かなりの速さで移動中ですね。
これ、魔物にでもぶつかったらフラットはケガしちゃわないかな。
『だいじょうぶだよ、あるじぃ。さっきも、おにいちゃん、ワイバーンをかってアイテムボックスに入れてたもん』
え? そうなの?
そうだよ~
うわっ、こわっ。でもすごっ!
読んでいただきありがとうございます。
やっぱりフラットはすごいですね~
でも、魔物としては大人だけど、ナギの四歳年下。信じられません!
それに、癒やしのお返事もフラットとサンはナギをねぎらってるよね、無自覚だけど。かわいい奴らです。
コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。
明日もどうぞよろしくお願いします。




