49 ドラゴンに会って僕の召喚獣になって。そして迷宮を攻略したよ。
こんばんは、こんにちは。
いつもありがとうございます。
ちょっと動きがあります~
今日もよろしくお願いします!
次々と階層を踏破し、ボスを倒して進む。
迷宮に入ってからどれくらいたっただろうか。まだ二週間くらいかな。
未だに魔物がどこかから他国へ向かっている気配はない。どういうこと?
今日最後に到達したのは、三十九階層のボス部屋前。そこの安全エリアから空間に入った。
食事を終えて、どうなってるのかと話しをする。
今日、最後にもう一度マップを更新してみた。だが、どうやら最下層は五十層らしい。その間に何も調査に値する事がなければどうなる? 俺たちは、ただ迷宮を攻略しただけになっちゃうよ。
今、メルトがマックスさんと話してるけど、そろそろ通信が難しくなっているみたいだね。まあ、こっちは地下だし。
『まだわからないか。もしかしたら見当違いだったということもあり得るな。それとも迷宮を攻略すれば止まるか? 最下層に何か秘密があるのか? まあいろいろ考えは巡るが、もう、そこまでは俺たちも潜れない。丸投げになってしまうが、頼む』
「了解です。今のところ、ケガもないですし大丈夫です。ナギとフラットがいてくれますし。また明日、連絡しますので」
頼む、と通信は切れた。
「明日からも結局は繰り返しだ。だが、高位の魔物と相対する機会ができて良かったよ。普通なら遭遇することもないかもしれないからな」
そんなものなの?
確かにいろんなボスがいた。
それも、デカいやつばかり。
ポイズントード、ロックトータス、ブラックウルフ、ロックゴーレム、サイクロプス……
あとは忘れたけど。
そこかしこでお目にかかる魔物ではないということは理解したけど。
問題はここから先だよね。
ボス部屋前の安全エリアに出た俺たちは、いつものようにデカい扉を開く。
ここはなんだろう……
何あいつ?
クマ? いや、顔はフクロウだけど、これすっごくでっかいよ!?
オウルベアだ、と聞こえる。
かなり凶暴だと聞いた。見れば、奥からはオウルベアの子分みたいなやつが出てきてるよ!
それでも大きなクマだし。
メルトとノルが子分たちをやってくれると言う。じゃあ、必然的に俺たちボスでしょうよ。
クマって毛が硬いのが多いけど、これはどうなんだろうね。
いっちょやってみるかな。
<火球>
ボン! と飛び出した火の塊はオウルベアの胸に命中した。したんだけどね、手で払われてしまったよ。
じゃあ、氷かな。
フラットの水刃が飛んでいくけれど、それも同じ運命。なんか無効化されてるみたいに消えるんだけど。
ちょっと見てみるかな。
<鑑定>
うお、出たぞ。
オウルベア レベル200
初級魔法無効化 狂気 力技 特殊個体 ボス……
やっぱりね。
初級魔法は通らないってことだ。
じゃあ、これはどうだろう。
<氷の斬撃>
バシュッと飛んでいった斬撃は、オウルベアの、右肩を切り裂いた。イケる!
ぐがぁぁぁぁーーー
あ、怒ったね、これは。
じゃあ、次だ。
<魔力増量氷の斬撃大>
ブシュシュシュッと飛んでいった斬撃は、オウルベアの腹を横になぎ払った。
ぐぅぅぅぅぅぅっ!
うん、効いてるね。
『フラット、どうしようか。このままやっちゃうかな』
『うん、その方がいいよ~僕の炎を使うと、メルトとノルが大変だし』
そうだ、ここは逃げたり隠れたりするところがない。結界を張るしかないんだよね。
それに普通のオウルベアは順調に倒されてるんだ。
じゃあ、氷の斬撃再びだ。
<魔力増量氷の斬撃大>
ブシュシュシュッっと飛んでいった斬撃を避けようとしたのか、後ろ向きで逃げるそぶりをした。
あ、それ失策だよ。
ドドドシュッっと氷の斬撃がオウルベアの背に食い込んでゆく。そして通り抜けたとき、ズルリと上下に身体がずれた。
やー! 見たくないよ~
ドドン! と滑り落ちた上半身は脚の後へと転がった。
下に降りたフラットは、加勢する気満々だ。
両腕でクマをなぎ倒す。
メルトとノルは、戦いながら横目で見て苦笑した。
叫び声も上げる暇がなかったのか、全て無言のまま壁に打ちつけられていった。壁、血だらけだよね。
全て倒して血だらけの二人とフラットがこちらに歩いてくる。嬉しそうなんだけど、そのまま寄らないでよ!
クリーンしてから声をかける。
「お疲れ。すごい数だったね。あ、ドロッ品が出たよ」
どれどれと全員で確認する。
もちろん、非公式のドロップ品はこっそり回収しました。
「これ、毛皮と肉だな。肉はかなりあるぞ。美味いのかこの肉は」
メルトの疑問に答えられる者は誰もいない。そうだよね、ここで初めて会ったんだから。
とりあえず肉も毛皮も回収して、開いた扉をくぐった。
やっと四十層だね。
それからの俺たちは、協力して、その時点で最良の方法で魔物たちを倒してゆく。そしてドロップ品を回収し、ボスを討伐した。
さすが最下層に近いだけ合って、ボスも強いやつらばかりだった。
毒を持ったポイズンキマイラ、ジャイアントオーガ、三つ目サイクロプス、ケルベロス、ケンタウロス、ヒュドラなどなど。かなり強力なボスが出てきた。中には異種格闘技戦みたいに、いろんな魔物が集まってたこともあった。
それでもなんとかここまで来た。
立っているのは五十階層のボス部屋の前。
でも、既に時間も遅く、疲れ切ってる。だから今夜は休むことにした。
フラットの空間は最高ですよ。
どういう理屈か、空調も整ってるし酸素がなくなるわけじゃない。
いつものように夕食を楽しんでデザートを食べ、眠った。
メルトが連絡を取ろうとしてるけど、どうやら繋がらないみたい。仕方がないよね、かなり深いし。
ここから出れば、再び戦いだ。
最後のボス部屋はどうだろう。どんなボスがいるんだろう。少しだけ不安がよぎる。
でも嬉しいこともあった。
サンが大きくなった。それにつれて、変化が上手になった。食事の時は、テーブルの上でお手伝いしてくれる。腕を出して、サラダを置いてくれたり肉を盛ってくれたり。
これはかなり楽になりそうだよ。さすが、料理スキルを持ってるだけあるよね。
まだ、それほど大きくはないけど、二回りは大きくなった。どれくらいの大きさかと言えば、メルトの両手をくっつけたくらいの大きさ。バッグは伸縮自在なので問題なく使えてるけど。
このままだと、迷宮を攻略しなくちゃ戻れない。
ボスを倒したら、その後はどうなるんだろう。核を手に入れればこの迷宮は死ぬって聞いた。それじゃぁ、街が廃れてしまうよね。
「何を気にしてる?」
少し不安だと、迷宮の核のことを話した。
「それは問題ないと思いますよ。ここ以外にも迷宮が国内にありますから。確かあと二カ所です」
そうなの?
あ~あ、気にして損した気分。
まだどちらも比較的若い迷宮らしいけど、片方は二十八層、もう片方は十六層までは確認されているらしい。新しい階層を見つけるのも、探索者にとっては得になるんだって聞いて、じゃあ大丈夫だね、といっちゃった。
あははは、と笑うメルトは俺の頭をポンポンたたく。
「本当にお前は。規格外だと思ってはいるが、最後のボスを倒すことじゃなくて、迷宮の行く末を心配するって。そんなやつはいないぞ」
ケタケタ笑うメルトとノル。
そういうものなんだ、と呟いた。
じゃあ、行くか!
ボス部屋の前に出た俺たちは、ゆっくりと扉を開く。
灯りは付いてないけど、グルルルルルルゥーーーーとうなり声が聞こえてくる。これはかなりの強敵な気がするね。
バタン! と扉が閉まれば一気に明るくなった。
そこには大きなドラゴンがいる。
他には何もいない。
それほど強いって事だよね。
普通に戦っても勝てる気がしないよ。
『人の子よ。我の話を聞くが良い。今、この国の迷宮は、さる国に干渉されておる。魔物を隣国へと送り出しておるのだ。我が魔物迷宮でそのようなことは許されることではない。本来ならば、汝たちを討ち滅ぼすことこそ、我の勤め。だが、汝らの戦いを見ておった。おそらく我すら滅する力があろうが、それでは何も解決せぬ。だが、我はここから出ることはかなわぬのだ』
やっぱりそうなんだね。
「じゃあ、どうすればいい? 魔物が溢れてるって調査に来たんだけど、迷宮内には痕跡がなかったんだ。だから困ってる。ねえ、教えて。どうすればいいのか」
うむ、と考えてるよ、ドラゴンが。
『汝、創造神様の加護持ちか。ならば可能やもしれぬな。だが、余りにも幼い。汝の身体に負担がかかろうが、どうするか』
じゃあ、聞いてみるよと言えば頼むと頭を下げた。
++++++++
アルムおじいちゃんへ。
お久しぶりです。
僕はなんとかやってますよ。
今、迷宮の最下層にいるんだけど、ボスのドラゴンが言うに、国に干渉されて、魔物がどこかに送られてるって。解決したいらしいんだけど、どうすればいい?
ドラゴンの写真を送ります。お返事ください。
ナギ
++++++++
すぐに返事が来た。
おじいちゃんが直接話しをするらしい。
後の事は、もう一度連絡するって書いてあるよ。
そう伝えれば、わかったとドラゴンは少し上を向いて眼を閉じた。
結果、ドラゴンが身体の大きさを変えてくれた。
なんでだろうと思っていれば、フラットから話しが来た。
『ナギ。僕と一緒に念話でアルム神様と話すよ。いい?』
そんなことができるの?
『ナギ。いつもみておるぞ。これは最終手段じゃから普段は使えぬ。よく聞くのじゃ。ドラゴンの言うことは事実。既にほかの迷宮にも手を伸ばし始めておるのじゃ。かなりの数の魔法使いを用意して命をかけて魔法を行使しておるの。そうしてでもお前の住む国を欲しがっておるのじゃ。彼の国は栄えておる故、どこから狙われてもおかしくないのじゃ。故に未だ開花しておらぬ魔法を授けようと思うのじゃ。対象はこのドラゴンのみとなるの。本来ならもう少しレベルが上がってからなのじゃが。それなりに身体も出来上がれば使えるが、此度は特別じゃ、忘れぬようにの』
わかったよ。
その魔法は召喚魔法らしい。
このドラゴンをいつでも召喚できる魔法だって。本来は精霊や聖獣を召喚する為なんだけど、今回は特別。俺の影にドラゴンの居場所を用意してくれるって。食事もとらなくていいらしいから、必要な時に呼び出せばいい。事が終わった後は、山に戻ると言えば返せばいいと言われた。選択肢があるなら大丈夫だよね。
『人の子よ。此度の差配、感謝致す。この迷宮は我が離れる故、守る者がおらぬ。故に核も回収し、汝が保管してくれればありがたい。それでこの場からの魔物の流出は止まる。他にも手を出しておるが、そうなる前にその国を滅するつもりである。手を貸してくれぬか』
うん、いいよ!
俺とドラゴンの会話を聞いていたメルトとノルは、あんぐり口をひらいたまま動かない。まあ、そうなるよね。
さて、どうすればいいんだろう。
『創造神様がね、召喚魔法を発動しろって。今回だけは手を貸してくれるらしいよ。だから発動すれば、ナギの影に入るんだって』
なるほどね。
<召喚魔法>
ぶわ~っとわき上がるドラゴンは光に包まれて見えなくなった。そして俺の影に向かって一直線に突っ込んでいった。
ん? これで終わりなの?
これって、闇属性になるのかな。まあ、別にいいけど。
話しってできるんだろうか。
『ドラゴン、聞こえる?』
『うむ。聞こえるぞ、主』
『僕って主なの?』
『そうである。我が主となったのだ。必要な時は呼べば良い。巨大になることもできる故、心配せずともよい』
そうなんだね、と微笑んだ。
なんだ? と聞かれたので、ドラゴンとの会話を聞かせれば、メルトが頭を抱える。
「俺、とんでもないやつに惚れたんだな。でも、たとえお前が化け物でも離れることはできない。なあ、ナギ。ずっと側にいていいか?」
「うーん、惚れたとかはまだわかんない。でも、側にいてくれると嬉しいかな。メルトもノルも仲間だしね」
そうだな、と嬉しそうなメルト。それをみて、微笑むノルがいる。
じゃあ、これからどうなるの?
みていればドロップアイテムが出た。
とんでもなくたくさんのアイテムだね。
ドラゴンの皮、肉、逆鱗というウロコ、牙などなど。
他にお金がたくさん入った宝箱。そしてポーションなどがたくさん箱に入ってた。
「ひと財産だな」
そうですね、と二人は喜んでるよ。
戻ったら、皆と一緒に行った階層までのドロップ品は渡すけど、それ以外は俺たちで分けよう。そう決めた瞬間だった。
開いた扉に、ドラゴンに促されて、全員で中に入った。そこには、きれいな水晶? の台の上に乗せられた大きな核だと思われる球がある。
「これが核?」
『そうだ。これをとればこの迷宮は徐々に終わりに向かうのだ。良からぬ輩も出たほど、人とはおろか。故にこのような結果になるのだ』
なるほど、と感心してまったよ。
核をアイテムボックスへ入れたあと、少し離れた場所に魔方陣が展開した。
ここに乗ればいいと教えてもらって、皆で魔方陣に入れば、一瞬で外に出た。それも入り口近くの一段高い場所に。
「ナギ! よく無事で戻った!」
マックスさんの声だ。
ただいま~と駆けてゆく。トテトテトテトテ……
ぎゅっと抱きしめられて、頭をガシガシ撫でられた。
髪の毛が……
「メルト、ノル。ご苦労だった。フラットも大活躍だっただろうな」
ふぁふっと答えてるフラットは嬉しそうだ。
じゃあ、とりあえず、ギルドに戻るかと言われてフラットに乗る。
ゆっくり歩いてギルドに向かったよ。
他のメンバーたちも出迎えてくれた。全員での大行進だ!
ノルはメルトの側を離れない。その方がいいと話したからだ。そんなノルを射貫くようにみる視線がいくつかある。これ、なんか起こりそうだね。そうならないようにしなくちゃ。
ギルドに戻ってマックスさんが話しをしてる。
「ねえ、メルト。サンの登録したいけど、ここでもできるよね」
「できるぞ。だが、戻ってからの方がいいかもしれん。ここはいろいろありすぎだ。サンに皆の前では出ないように言ってくれ」
そうする、とサンに念話すれば理解してくれた。
読んでいただきありがとうございます。
やっぱり、迷宮の主はドラゴンでした。
ドラゴンと話せるなんて、羨ましい~~~
大好きですよ、ドラゴン。でも、我儘なイメージもあるんだけど……
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