47 迷宮内で、眷属のサンと出会いました。かわいいよ~
こんばんは、こんにちは。
いつもありがとうございます。
新キャラが登場します~
今日もよろしくお願いします!
戦って戦って……
昼食を食べて再び戦う。
今は二十三階層の休憩所。
ここまで、ボス部屋にも五回入ったけど、大したことはなかった。
この階層はどうかな。
もう少し進めばボス部屋でしょうね。今度は何が出てくるのやら。
今のところ、壁にも妙な気配はない。
音もなく魔物が現れることもないんだ。もっと深いところで何かがあるのかな。
先は長いよね、そうなると。
再び進み始めた皆は、元気でどんどん進んでゆく。
俺とフラットはやることがない程だね。
今はマップを見ているんだけど、ここから二時間くらいでボス部屋みたいだね。今日入るか明日にするかはマックスさんが決めるだろうけど、どうなるのかな。
まあ、いいか。
タブレットケースの蓋を閉めようとしたとき、小さな点が輝いた。これはなんだろうね。
タップしてみるけど、出るのは眷属。眷属?
フラットも気づいたようで、先へ進む皆から少し避けてその場所へと移動する。メルトがどうした? と付いてくる。もちろん、ノルも。
「わかんない。マップに出てるんだ、光が。それに眷属って書いてある」
眷属? 二人は訝しそうに俺を見る。
ふぁふっと小さくなったフラットは子犬の姿だ。
ふんふんと鼻を近づけて確認してるけど、何がいるんだろう。
こちらを向いたフラットの鼻先には小さな水の袋?
『ナギ、スライムだよ~かわいいね』
「スライム?」
「危険だフラット。下がれ酸を吐くぞ!」
慌てて駆け寄ろうとするメルトを腕で制した。
待って。
近寄って見てみれば、フルフル震えている。
<鑑定>
■名なし・ナギの眷属
≪ステイタス≫
スライム:希少種
年齢:生まれたばかり
レベル:1
生命力:1000
魔力:800
攻撃力:∞
防御力:1000
危険度:なし
≪スキル≫
生活魔法
全属性魔法
変化・再生
≪EXスキル≫
料理
気配察知
≪ユニークスキル≫
雷魔法(雷の狙撃)
状態異常無効
毒耐性
ポーション作成(レベル1)
万物創世(レベル1)
=========
[創造神の加護] 隠ぺい
うおっ? これ、おじいちゃんが眷属に選んでくれたんだ。
生まれたばっかりだね。じゃあ、名前を付けなきゃ。
フラットの鼻の上で震えてるスライムを抱きあげる。
そして胸に抱いた。
ピカッと光ったから眷属として契約できたんだね、多分。
「えっと僕はナギだよ。今日からよろしくね。名前つけようか?」
ぽよんぽよんと身体を動かすの、かわいい~
じゃぁ、スライムだよね。でも生まれたばかりなのにすごい子だ。名前、名前……
じゃあ、おじいちゃんの名前を一部だけもらうかな。アルムおじいちゃんだからぁ、ヨルム? いや、暗い感じは嫌だな。じゃあ明るいイメージで、ヒル? ヒカリ? 太陽?
太陽……それならサンはどうかな。全然おじいちゃんとは関係ない名前になったけど。
「君の名前はサン。明るい太陽みたいに育ってね」
キュイ~と嬉しそう。でもまだ話せないみたいだね。
「ねえ、この子も僕の眷属になりました。名前はサンだよ。どうぞよろしく!」
振り返って言えば、メルトとノルは呆れ顔だ。
「まあ、よくわからんが。サン、俺はメルト。よろしくな」
キュイ!
「かわいいですね。俺はノル。どうぞよろしく!」
キュイ!
あはは、小さな腕が生えてきて突き上げてるよ。
さて。
みんなは大分先に行っちゃったみたいだね。
「メルト、先に二人で追いかけてくれる? 面倒な事になってたら連絡して。僕は今からサンの入るバッグを作るから」
わかった、とメルトとノルは駆けていった。
じゃあ、何で作るかな。やっぱり魔物の皮がいい? その方が丈夫だね。中に毛皮でも張ろうかな。
いろいろ地面に並べて見る。
サンが嫌がる匂いだと困るからね。
あちらこちらを見てから、一巻きの革と毛皮を選んだサン。
うん、これか。丈夫そうだしいいかもね。
じゃあ、クリエイト先生にお願いするかな。
肩掛け鞄でベルトは長さ調整できるものがいい。伸縮自在にするからそれなりにバッグ部分は作りたい。簡単に開け閉めできる蓋付き。これでいいかな。
(クリエイト)
ブワッと光ったけど、十秒くらいで収まっちゃった。
鑑定で見れば、サンのバッグと書いてある。あれ? 伸縮自在が付いてるよ。あはは、すごいねクエリエイト先生は!
タブレットに重ならないように前側にかけてみる。タブレットは背中になりましたよ。まあ、見るには困らないからいいよね。
バッグをかけてサンに見せれば、するりと中に入った。少しだけ顔を出してるのが可愛いね。
大きなフラットの背に乗って駆ける。
サンのバッグは多少跳ねてるけど、逆に楽しそうに見えるね。
途中で治療している姿を発見。
「レインさん、大丈夫?」
「うん。でも少し魔力が」
「じゃあ、これ飲んで。治療は僕がするから」
お願い、とフラットがポーションを渡してくれた。
<ミドルヒール>
ホワァッと光った冒険者の傷はきれいに治療されている。
ありがとう、と護衛の人と駆けていった。
レインさんも乗ったら、と小さくなったフラット。俺の背中に乗ってもらった。しっかりつかまててねと言えば、グンと大きくなったフラットは再び走り出す。もう少しでさっきの二人を追い越すところだったよ。
追いついた場所では戦いが続いている。
ミミカさんも魔法で参加してるけど、どうやら戦況は良くないね。これまたデカいやつばかりだよ。
「ナギ、フラット! 参戦してくれ!」
メルトとマックスさんが同時に叫んだ。
りょーかい!
魔法でレインさんを下ろしてあげた。ポーションを持たせて。ミミカさんに! と叫ぶことは忘れないよ。
じゃ、やりますか。
フラットはでっかいオークたちの首を水魔法で落としてゆく。じゃあ、俺は、その後ろで一層デカい図体をさらしているオーガだね。
<氷の狙撃>
バンバンバンバン!
ブシュシュシュシューと次々オーガの眉間を捕らえてゆく。
「倒れるから離れて!」
そう叫べば、近くの冒険者たちはザザーっと駆け出す。
ドドーーーン!
すごい振動で身体がぐらつくほどだ。まあ、一気に倒したからね。
逃げようとしてるやつらを一掃するために、冒険者たちを下がらせる。皆疲労が酷いから。
誰もいないならばとフラットの蹂躙が始まる。
水の刃で切り裂いてゆくんだけど、当然、魔物たちは濡れ鼠だよ。その上切り傷だらけ。そこへ最後の魔法が放たれた。
バリバリバリー
あれ? 雷なの?
一瞬で終わった。
魔物たちは全て倒れてましたよ。すごいよね、水からの雷って。一番危険なやつじゃん。
「フラット、お疲れ。初めて見たぞ、お前の雷魔法」
メルトが嬉しそうにフラットを撫でる。
ふぁふっとフラットも嬉しそうだ。
「すごいですね。二人がいれば俺たちはいらないかも……」
とんでもない事を言い始めるノルだけど。
「僕たちは罠の解除なんかできないよ。ぶっ壊すくらいかな。だからノルも頼みます!」
あはは、ありがとうね。
ノルって本来は気の良いやつなんだと思う。でも、それが面白くないやつらがいるのは確かだね。何かありそうな予感がするんだけど。
ボス部屋に到着して、時計を見ればそろそろ六時だね。
どうするかはマックスさんの判断になる。
じゃあ、ここで寝るのなら一度戻るかという話になったみたいだね。
「僕とフラットは残るよ。戻っても同じだし。宿から入り口までを歩くのもフラットには大変。皆に気遣いしながらになるし。だから、明日の朝、転移前に連絡して欲しい。それでいい?」
でも、それじゃぁ……
あはは、やっぱりメルトは心配してるね。
「じゃあ、俺も残る。ノル、お前は戻って休め。普段テントだし。俺たちはちゃんと眠れるから問題ない」
そうだよ。ノル、疲れが取れないよ?
「いえ。俺も残りたいです。テントでもいい、みんなと一緒なら安全だし」
ん? 嫌な言い回しだね。
どうやらあの時に嫌な視線を送ってたやつらかな。宿でも何かされてたの?
「どうするかな。じゃあ、連絡があるまでは動くな。明日からは別の班が来る。約束してくれ。必ず連絡をする」
わかった、と皆は転移陣へと向かった。
俺たちは、ここじゃなくて反対側の休憩エリアへ向かおうとしたが、フラットが言う。
『ナギ。僕の空間魔法使ってみたい。アルム神様に聞いたら、爪で空間を切れば入り口ができるって。大きさは僕が考えた大きさでできるんだよ。試してみていい?』
『いいけど。出るときはどうするの?』
『なかに入ればわかるって言ってたよ~』
それもいいかもね。
フラットの話しを伝えれば、メルトはそんなこと出来るようになってたのか、と得意そうだ。でも、メルトが得意になるの、おかしいよ。
ノルは呆れている。もう何でもありでしょ、って呟いたの聞こえたよ。
シャッと空間を切り裂いた先には、真っ暗な場所がある。じゃあ、とライトを放り込んだ。
ライトの明かりで中が見えるけど、うちの家くらいの広さかな。
気にせず入って行くフラット。
それに続く俺とサン。
及び腰のメルトとノル。
あはは、おもしろ~い!
ここって、暑くも寒くもない。これなら過ごしやすいかもね。
『ねえ、フラット。ここってフラットが移動したらどうなるの?』
『消さないと付いてくるんだよ。便利でしょ。ここでなら目一杯走れるよ~』
あはは、そっちなのね。
「じゃあ、とりあえず夕食にするかな。いや、待って。管理棟の中を広くしようか。それならノルも寝られるし」
できるのか?
メルトとノルは不安そうだね。
「まあ、やってみるよ。ノルのベッド分でいいかな。ここなら外で食事しても危なくないから」
そうだね、とフラットは同意してくれた。もう、二人は放っておくしかないね、と呟いたのが聞こえた。
でも、空腹には勝てなくて。
食事の後ってことにした。
今日は人数も少ないから、テーブルを出して何が食べたいかと聞いた。メルトとノルは生姜焼きがいいらしい。フラットはいろんなものたくさん。サンは? と聞けばぴょんぴょん跳ねる。まあ、いろいろ出せばいいよね。
じゃあ、と皿を取り出してサラダを盛り付け、生姜焼きを二人前ずつ置いた。パン? と聞けばご飯がいいらしい。
じゃあ、炊飯器の出番だよ。そして味噌汁は必須でしょう。
自分で好きなだけ、と伝えてフラットのご飯だ。まあ、俺もサンも一緒だけど。
とりあえずステーキを十枚。そして生姜焼きを三人前。クリームパスタ。味噌汁だね。
次は白いご飯。
フラットは中ボウルに山盛り、俺とサンはお皿に入れた。何を食べるかわからないから。
どうぞ、と言えば、フラットはガツガツ食べる。サンはどうかな。
見ていれば、生姜焼きを短い手で摘まんで食べた。するとフルフルと身体を震わせている。大丈夫かな。
お代わりしたから大丈夫でしょ。それなら、と小さめのフォークを置いてみた。なに? 見たいな顔を見て、食べ方を見せてみたんだ。すると、どうでしょう。フォークを握って食べ始めたよ!
ステーキは切った方がいいかなと思ってたけど、フォークで突き刺してそのまま全部食べちゃった。ご飯は半分ずつくらいだね。これ、大食いが増えた?
当然足りないので他の料理も取り出す。
隣では、メルトたちがステーキをくれと訴えてるんだ。だから、皿を移動すれば、二枚ずつとった。こいつらも大食いだよね。
わいわいと食事をして、俺はごちそうさま。
他に何かいる?
そう聞けば、フラットとサンが魚のフライをお代わりするらしい。そしてご飯だね。
それはメルトに頼んだ。
じゃあ、俺は管理棟の拡張だ。
中に入って考える。隣りに増やすかな。奥だと通路が必要になる。それならメルトの隣りでしょ。
同じように低い壁を作って広げたい。ベッド一つがおける位。
<空間拡張>
ぶわりと中が光る。
一分後、空間が広がってたよ。ベッドひとつ分と壁の分。
じゃあ、次はコピーかな
<コピー>
一瞬で低い壁が出来上がる。
じゃあ、とりあえずメルトのベッドをクリーンして。
<コピー>
でん! とベッドが置かれた。うん、グシャグシャのままだけど。ちょっと整理して……
できたよ~
え? と二人が顔を上げる。
まだ食べてたの?
ドタドタとやってくる二人に中を見せれば大感激だ。
ちょうど広がった分、ベッドの足下が通路になってるよ。
「これ、これ! 俺もここで寝ていいって事ですか?」
そうだよ。
「あ、ありがとうございます。うれしいです。ほんとに、うれし。安全な、ところで、ねられ、るなんて……」
あれ? これってとんでもない話しな気がするよ。
テーブルに戻ればフラットとサンは満足したみたいだね。
デザートは? ほしい!
あは、間髪入れずのお返事だよ。
じゃあ、と焼き菓子を出してあげる。そして果実水をたくさんね。
読んでいただきありがとうございます。
昨日、新しい仲間の予感のって書いたんですが、違う仲間ができました。眷属なので、家族でしょう。
仲間が正式に仲間入りするのは少し先ですね~
コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。
明日もどうぞよろしくお願いします。




