46 やっと迷宮に入ったよ~
こんばんは、こんにちは。
いつもありがとうございます。
今日もよろしくお願いします!
そんな風に魔物を狩りながら、そして美味しいご飯を食べながら進んだ。
ギルドを出てから八日目。
やっと隣国の門に到着する。
全員、ギルドカードを確認してもらって入国した。
次の街にギルドがあるので、そこで迷宮に入る手続きをしてもらうと聞いて、全員で進む。ここは問題なくフラットも受け入れてもらった。
ギルドでマックスさんが手続きをしている。
俺の年齢が引っかかったみたいだけど、なんかすごい封蝋がしてある手紙を渡している。
「あれ、誰からのお手紙?」
国王陛下と領主様だと聞いて、おおお~と感動した。
すぐに手のひらを返したギルドマスターは、全員分の迷宮探索許可証を発行してくれました!
なんだよ、こいつ。
とりあえず宿に移動したんだけど、俺は迷宮の情報を手に入れたくてうろうろしている。
宿の食堂で果実水を飲みながら探索者の話しをきいてるんだよね。そこでもっと細かいことが聞きたくて、探索者の側に立った。
「なんだ、どうしたお嬢ちゃん?」
「あのね、迷宮ってどんなことろなのかなぁって思ってるの。教えて?」
そうだな、ともったいぶって危険な場所だという。
浅い階層はそれほどでもないけど、五階層くらいからはいろんな魔物が出てくるらしい。殺した魔物は迷宮に吸い込まれるんだけど、ドロップ品があるからそれを確保して進むと聞いた。
ドロップ品があるの?
全てじゃないらしいんだけど、まあまあの確率で出るんだって。
中は休憩をとったりテントを張ったりできるエリアがある。それ以外にも、小部屋が使えるって聞いた。でも、小部屋には罠がある事が多いし、宝箱にも罠があるって。
すごいね~と感心した顔で探索者たちをみた。そう、尊敬の眼差しでね。
離れた場所で紅茶を飲んでるマックスさんたちは、今後の予定を話してるんだけど、こっちを見てクツクツ笑ってます。なんで笑うんだよ。
他にも十五階層くらいからは階層ごとにボスが出てくるんだって。それをやっつけたらドロップアイテムを手に入れられるって聞いた。まあ、知ってたけどね。
マップは入り口近くで売ってる物がいいとか、食べるものをちゃんと用意した方がいいとか……
「まあ、ちびちゃんには関係ないだろうけどな」
そんな風に余裕の顔で俺を見る。
うん、その気持ちわかるよ。
「ありがとう、楽しかったよ」
おう、と手を振ってくれた。
夜は俺たちの部屋に集合して明日からのことを教えてもらう。
「みんなお疲れ。明日、さっそく迷宮に潜る。それで、隊列だが、バラバラになったら大変な事になる。だから迷宮探索に優れているメルトをはじめとして、慣れてるやつを分けようと思う。皆の安全を考えて欲しい。ただ、第一班は先日からの魔物の妙な出現に対しての調査だ。調査隊はメルト、ナギとフラット、そして経験のある斥候が一人。この四人は先行する。第二班はピットとショルダーが中心になる。第三班は俺のパーティーメンバーがメインだ。
あとは迷宮経験者を半分ずつに分ける。各班に斥候は必須だ。罠が怖いからな。質問は?」
俺たちの第一班の斥候誰かと聞かれた。俺をみるマックスさんだけど、全体を鑑定しろって事だろうね。
じゃあやってみますか。
<鑑定>
みんなレベルが高いね。罠の解除だけじゃなくて、鼻のきく人がいいか。その上戦いもできるひと。
違う、違う、違う。
あの一番後に控えてる人、すごいスキル持ってるね。透視だって。レベルはまだ低いけど、ドアくらいなら透視できるかもね。
ソロ冒険者のノル。
斥候の中ではこの人が一番いい。戦うこともできる。ショートソードの腕前はなかなかですよ。
「えっとね、ノルさんがいい」
ノル?
マックスさんは、ノルを手招きする。
この人、Cランクなんだけど、なぜランクアップしないんだろうね。もう十分できると思うけど。
ありがとうございます。
嬉しそうに頭を下げる。それを苦い顔で見てる人は五人。同じギルドなのかな。
明日は午前六時に宿を出る。
当日戻れるかどうかはわからない。それなりの準備をしておくように、と言ってた。聞いたところによれば、迷宮の中で住む勢いの人もいるらしい。なんか怖いんだけど……
いつも通り、俺とフラットはベッドに転がる。
今日は人数の関係でメルトはさっきのノルと一緒の部屋で休むことになった。
フラットと自分をクリーンした後、こてんと転がったはず。はずなんだけど、寝ちゃったみたいです。
早朝目を覚まして時計を見れば午前五時十五分。宿の裏で鍛錬をしているのはメルト。フラットは駆けている。かわらないね、二人とも。
着替えをしてればフラットが戻って来た。
メルトも顔を出したので、クリーンしてから朝食へと向かった。
六時前には朝食を終えた俺たち四人は、宿の入り口で皆を待つ。
馬は宿に預けて歩いて行くのでワイワイと賑やかだ。
「自分の班を確認しろ。それぞれ揃ってるか」
はい! と準備万端だ。
じゃあ、行くぞ!
マックスさんが先頭を歩く。メルトとノルの後を付いてゆくんだけど、七歳の俺じゃ、どうしてもトテトテ歩くだけで精一杯だ。
『ナギ、乗って』
ん? フラットを見上げれば、既に椅子をつけていた。
ありがと、と椅子に座って皆と歩く。
受付を済ませていよいよ迷宮だ!
大きな扉が開いてるけど、これ石だよ?
背の高い大きな扉をくぐったフラットも余裕だ。
さて、最初の階層は新人の訓練のために解放されているらしく、まっすぐ突っ切ってノルが階段をみつけた。
階段は少し狭いので、フラットは大型犬くらいになって俺を乗せたまま降りてゆく。
ぞろぞろと続く皆もわくわくしてる。
俺もおんなじだけどね。
マップを見れば、歩いてきた道はマッピングされてるけど、迷宮に入ったら全体がマッピングできたらいいのにね。
うん?
それって可能なことなのかな。
クリエイト先生で魔法を作るか? それとも全探索やってみるか。
まあ、まずは全探索をしてみようかな。
<迷宮全探索>
少しだけ魔力が移動した感覚があったけど、これって成功したのかな。
フラットの背中でマップを確認してみる。
おお、五十階層までできてるよ。残りは途中でやればいいかな。フラットの頭の中にもこのマップは映し出されてる。必要な時に出るみたいだけど、情報は共有されてるんだ。二人だけのチートだね。
第二班、第三班はいまのところ同じ速さで来てるんだけど、これって無理がない?
俺たちが先行すれば、魔物が出ても全部片付けちゃうでしょうよ。
まあ、あまりレベルの高くない魔物たちは、スルーするからね。後は皆に任せる方がいいかな。でも、なんだかグズグズ心が煩いんだけど。
『ねえフラット。この隊列でいいと思う? この状態で魔物が出たら、俺たちが倒しちゃうから意味がないよね』
『うん、僕もそう思う。僕たちが最後尾の方がよくない? 第二班が前、第三班がその後がいいよ。第二班が戦い始めたら第三班が前に出る』
そういうことだね。
『その方がしっくりくるよね。マックスさんに話してみようかな。次の休憩所で検討する?』
そーだねー
うん、そうだよね。
メルトにマックスさんへの連絡を頼んだ。
一休みするのにはいいでしょ。だからそれまではこのままだね。
結果、俺たちの提案通りにやってみることになった。
うん、かなり皆のやる気が出てる気がするよ。
基本的に上層階はほぼスルー。
今は六階層の休憩所にいる。
お茶を飲んで一休みして再び進んだ。
メルトは打ち漏らしを狩りながら進んでますよ。俺とフラットはドロップ品を回収するのがお仕事だね、今のところ。
ここで面白いことがわかった。
フラットがドロップ品を回収した後、別のドロップ品が残ってる。他の誰も気づいてない!
これはどう行くことかな。もしかして、俺しか見えてないってこと? オマケかな。
とりあえず、回収を試みれば、シュッと入っちゃった。
アイテムボックスを確認すれば『特別ドロップ品』と書いてある。何だこれ。まあ、ありがたいけど。とりあえず、黙ってもらっておこうっと!
十階層に到達した頃からそこそこの魔物が出始めた。
夕方には皆かなり疲れていたよ。
うーんどうするかな。
この疲弊具合を引きずれば間違いなく怪我人が出る。二つの班が交代で進むから仕方がない。
「どうするか。半分を休ませるか? 一日交替ということだ。転移陣があるから、次に到達してる場所を教えれば入れ替われる。どうだ?」
ほほおーいい考えだね。
「でも僕たちは残るよ。探索は続けなきゃ意味がない。だから大丈夫だよ。ノルが疲れたら皆と一緒に帰すから」
そうだな、とメルトも賛成してくれる。
じゃあ、それでいこう。
どうやら、今日はピットさんとショルダーさんの班が戻るみたいだね。
マックスさんの話を伝えれば皆安堵した顔で微笑む。
転移陣を探そうとその場から移動した。
少し先に転移陣があるんだ。その奥には休憩エリア。
それを伝えれば、一度全員で転移陣まで移動する。経験者がいるので使い方は問題ない。
じゃあ、明後日の朝、連絡をもらうことにして、三班は転移していった。
休憩所でいつものように準備を始める。皆はテントを張っていた。管理棟を取り出せば、さっそくメルトたちが準備を始めてくれる。
明日は少し戦うことになるかなぁ。フラットも暇してるから。
今日の夕食はクリームシチューがメインだ。
人数が半減したので、そこそこ食べる量は確保できる。皆それを一番喜んでるように見える。
パンをとりだし、シチューは魔道具の上に鍋を置く。そして野菜サラダ、ミートグラタンを置いた。
シチューはこちらで注いで、サラダは強制なので既に盛り付けてある。ミートグラタンとパンは自由にとってもらうことにした。
楽ちんだねとテーブルに腰を下ろせば、メルトがシチューを準備してくれる。ミートグラタンも持ってきてくれた。フラットにはミートグラタン一皿全部だね。
楽しくのんびりと夕食を食べる。
ただ、まわりの視線が気になるけど……
「なあ、あんたら。その食事は準備してきたのか?」
そうだよ。
「少し分けてくれないか。金は払うから。なあ、頼むよ。携帯食ばかりで疲れも取れないんだ」
そうだよね。
どうする? とマックスさんに聞かれたけど、どうするかな。まあ、残っても仕方がない。この大鍋の分ならいいけど。
中を覗けば、それほど残ってないよ。あとはミートグラタンとサラダ、パンだけど。
そう言えば、それで十分だと言われて仕方なく受けることにした。金は? と聞かれてどうしようかとマックスさんを見上げれば小銀貨七枚だと言う。それ、高いでしょ?
それでもいい!
いいの? じゃあ、別にいいけど。
器を持って来てもらってつぎ分けた。そしてパンは籠ごと。ミートグラタンもサラダと一緒に盛り付けて終わりだ~
まあ、残飯もなくなったしよかったよ。
ただ。
フラットはご機嫌斜めだ。どうやらまだ食べたかったみたい。
『ごめんねフラット。他のものを出すから。何がいい?』
『いいよ。じゃあ、ステーキとおにぎりがいい。たくさん欲しい』
了解、と大皿を取り出してステーキを五枚置く。別の皿にはおにぎりだ。
「フラットは足りなかったか。わるかったな、勝手に決めて」
ふるふると首を振ってるけど、既にステーキに夢中だから問題なさそうだよ。
すげぇ、と他のパーティもうらやましそうに見てるよ。
皆起き出した時には、朝食の準備は万端だよ~
ゆっくり眠れたから元気です。
多少短いけど列ができてるね。
他の冒険者たちは、ほとんど出発してるんだけど、うちはのんびりモードです。
いつものようにガツガツ朝食を平らげた皆とフラットは、片付けを終えてテントなどをメルトのアイテムボックスに入れている。俺は紅茶を飲み干してクリーンしてから立ち上がる。
テーブルや椅子をアイテムボックスに入れて出発の列、最後尾に陣取った。
大きなフラットの背中に乗っているので、皆を見下ろしてるんだよ。フラットの隣りにはメルトがいる。でなきゃ、魔物と間違えられるからね。
歩きはじめてさっそく魔物たちのお出迎えですよ。
先に出ていった冒険者たちは戦ってないの? と思う程の数だね。
敵はオークとでっかいコボルトたち。
なんででっかくなってんの? もしかして上位種かな。
皆の戦いぶりを見ているけど、ちょっと無理があるよね。
メルトとノルは当然参戦した。
じゃあ、僕たちも行くかな。
フラットは大きなままで戦うつもりみたい。でも、取りこぼしとか無理だよね。じゃあ、魔法にすると言うので、俺もそうすることにした。
フラットは、水刃を背の高いコボルトたちに向けて放つ。
すご~い、首がころころ落ちてるよ。
じゃあ、俺は氷だね。距離があるからライフルにするかな。
<氷の狙撃弾>
バンバンバン!
ブシュッとコボルトとオークに命中した。眉間にね。これ本当に狙撃だよ!
そんな風に倒しまくって、終わった。
途中からはサクサク倒せたので案外早くおわりましたよ。
治療が必要な人たちをレインさんたち僧侶が治療している。ポーションも提供されて、ほとんど問題なく治った。
進むぞ!
マックスさんの声に全員が進み始める。
まだ出発してから三十分もかかってないのに何て数だよ!
<ドロップ品回収>
さっと一気にドロップ品をアイテムボックスに入れて、俺たちも進み始めた。
読んでいただきありがとうございます。
大人数の迷宮探索って、大変ですね。正直多すぎるって人数が。
でも、ナギがいい仕事しますね~
新しい仲間の予感のするんだけど。
コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。
明日もどうぞよろしくお願いします。




