45 愛するフラットと一緒にまどろんで、僕は料理研究家になるでしょう。
こんばんは、こんにちは。
いつもありがとうございます。
今日もよろしくお願いします!
再び出発してから一時間ほど先で次の街の門が見えてくる。通り過ぎるだけになる街だけど、そこで昼食をとりたいと言う人が多かったので、そうすることにした。
でも、俺は空を移動して街の向こうに出ることになる。眷属としては理解できるけど、ここは大型魔物は入れないと聞いたからね。
じゃあ、ここで空を通って街をスルーするからと門の兵に許可をもらってフラットに乗った。
メルトもと言ってくれたけど、街で違うものも食べてみたらいいよ、と二人で空に上がった。
『ごめんね、フラット。嫌な話しを聞かせて』
『大丈夫だよ~僕はナギと一緒にいられるから外の方がいい』
可愛いこと言ってくれるね。
『ありがとうね。じゃあ、お昼はごちそう食べようか。何がいい? 薬草採取の時を思い出して、スープ作ったりお茶を入れたりして食べようか』
『うん、それがいいよ~』
街を通り越して門の近くにある広場に降りる。門からは見えない場所だ。人が驚くからね。
久しぶりに釜を作って網を置く。そして鍋で湯を沸かす。干し肉を入れて出汁をとるけど、野菜は必須だね。白菜みたいな野菜をカットして放り込んだ。
お肉はどうやって食べる?
ステーキと返ってきたので、フラット用の肉を取り出した。
熱した網に乗せれば、ジューッといい音がする。
クリエイト先生に作ってもらったトングを取り出して、肉をひっくり返しながら焼いて皿に置く。おいた側からなくなるんだけどね。ご飯とパンは? と聞けば両方と言うので、ご飯はおにぎりを並べて、隣りにパンの籠を置いた。
テーブルの上に置いてちょうどいい高さなので、ステーキを置く度になくなっていくんだ。いつまで焼けばいいんだろうね。
スープもいい味が出てる。
中くらいのボウルに入れて冷ましておくんだ。猫舌だし。フラットはすぐに飲んでたけど。
ステーキを十五枚焼いて、おにぎりは二十個、パンは十五個食べたとき、フラットがお菓子が食べたいと言った。
やっと自分のが焼ける。
ベイクドチーズケーキをワンホール取り出しておいた。そしてミルクだね。大きなボウルいっぱいのミルクはゴクゴクと音を立ててフラットの喉に消えて行く。
俺も食事のお供にミルクを入れてパンを咥えた。
ステーキはいい具合に焼けたから、ナイフでカットしてから皿に出す。フォークでぶすっと刺して食べながら思い出した。ポテトサラダが残ってたことを。
取り出せば、フラットはもういらないって。
なんかフラれたような気がする。でも美味しいからいい。
おやつを食べたフラットは森に入っていった。
用を足しにいったんだろうね。このあたりも行儀がいい。戻ったら念のためにクリーンはしますよ。
時計を見てみれば、そろそろ一時間過ぎた。皆が来るかもね、と網やテーブルを片付けた。
土魔法で火の始末をして、横たわるフラットの腹にもたれる。
気持ちいい、フラットのお腹は。
魔物は出ないし、キラキラと日差しは優しい。これから寒くなるって聞いたけど、雪はあまり降らないらしい。
温かさに思わず眼を閉じてしまった。
「ナギ、起きて。悪かった、待たせて」
ん? メルト?
『みんな来たよ~』
フラットが教えてくれる。
ありがとね、と身体を起こした。
「ねちゃってた。フラットのお腹は気持ちいいから」
寝不足だよな、と気遣ってくれる。
『ナギ、寝てもいいよ。僕の背中なら大丈夫。空は結界張ってね』
そういう手があるね。
「ありがとね、フラット。寝ちゃったらごめん。でも空に上がってくれてもいいからね。結界張るから気にしないで」
わかった~と尻尾を振る。
続々と門から出てくる皆を確認して、フラットと一緒に起き上がった。
「今日は早めに野営場所を決めるらしいから、少しは休めるか?」
そうかもね、多分、でしょうけど。
変わらない隊列で出発した。
フラットと俺は最後尾でのんびりしたものだ。このあたりはまだ問題ないんだよね。
そんな風に駆けて、何も起こらないまま野営することになった。
夕食は六時からだと告げて、管理棟を取り出した。あ、管理棟って自分で言ってるよね。
中で作ってみたいものができたからね。挑戦してみようと思ってるんだ。
それはうどんです。
うどんを作って切る前に寝かせるんだけど、それはアイテムボックスにお願いする。
次に、ご飯の量を見れば足りないよね、これは。
米を洗って炊飯器にセットする。
その間に作ってもらった台の上に炊飯器を三個置いて発動した。
あとは、ないものをコピーして行くんだけど、並べたトレイごとコピーだ。どんどんコピーして、サラダとかパンはかなり多めに保存しておく。大量になくなって行くので、ステーキとかトンカツとか生姜焼きなど、肉系は肉を取り出してクリエイト先生のお世話になってます。隣でコピーしてるけど。
あはは、これはどういうことなのよ!
他に思いつく料理があったら作ってみようと思ってる。
だからそれをやろうとうどんに挑戦することにした。
そして最後にクリエイト先生にお好み焼き豚玉をお願いする。鉄板で焼けば楽しいんだけど、ここではそんなこと言ってられない。今夜の夕食で試食してもらおうと思ってるんだよね。小さく切って提供する。
キャベツとオークをとりだし、卵、小麦粉、塩、ソースなども置いた。
(クリエイト)
一瞬光ってすぐに落ち着いた後には、ほかほかのお好み焼きがある。続いて何枚か作ってもらった。出来上がる度にカットして、トレイ一杯になったらそれをコピーして、出来上がる側からアイテムボックスに入れた。
あ、船に入れるの忘れたよ。
後でいいかな。食べる人もいるけど食べない人もいるでしょ。だからその場で聞いて船に取り分けよう。
でも、一つ困ったことがある。
外に出しておけば冷めちゃうんですよ。コンビニでレジ横にあるやつ。唐揚げとかを入れてる保温容器があった方がいいでしょうよ。それも今使ってるトレイが入るやつ。木のトレイだけど、熱じゃなくて暖かい状態を保てるかな。もしダメならトレイをステンレスみたいな金属で作り直すしかない。だからとりあえずは熱風ですね。扉は下に開く半分折れ。そこからトレイを出し入れする。外からも見えるように作りたいけど、そういう素材はないよね。鉄はあるけど、魔力で補填してくれた方がいいかも。当然魔道具にしてください、クリエイト先生。具体的じゃないけどできるだろうか。
(クリエイト)
ぶわ~っと光って、俺の中から魔力が引き出される。おお、かなり無理してくれてるんだろうね、クリエイト先生は。
数分で落ち着いた光のあとには、まさしく保温容器がある。発動させれば風も吹いていないのに、熱もないのに熱いくらいだ。当然、水晶に魔力を貯めるようになっているので、さっそく魔力を充填した。そしてそれをコピーする。
全部で五台作ってみましたよ。サラダ類は入れなくても大丈夫ですから。
「ナギ、そろそろご飯が炊き上がるぞ。準備始めるか?」
うん、と外に出た。
ミミカさんとレインさんも来てくれてたんだね。
じゃあ、と炊飯器を一台は後ろ側のテーブルに移動してもらう。そこに保温容器を取り出した。
「これ、なんなの?」
「保温容器だよ。初めて使うからどうかな。熱いものはここに入れとけば乾くことなく温かいんだ。魔道具だから便利でしょ」
こんなの見たことないよ、というので作ったんだと言えば当然固まった。
そこにトレイを入れて行く。
次々取り出されるトレイを保温容器に入れて安心した。
そしていつものようにスープの鍋を魔道具の上に置き、小さく熱を加えておいた。
ポテトサラダを取り分ける道具を取り出して、ミミカさんとレインさんに試してもらう。これも作ったのかと聞かれて、無言のまま頷いておいた。
トンカツは保温容器に入れたので、サラダは別に盛り付ける準備をしておく。盛り付け見本を作れば、二人が請け負ってくれた。そう、船に盛り付けてポテトサラダを一回分置く。これでもかなりの量だよね。
三十分後にはかなりの量のサラダが出来上がった。
うしろにはゴミを入れる樽もセット済みだ。
スープとご飯の所には、メルトがいてくれる。パンはフラットの前にあるよ。
さて、そろそろご飯だね。
「じゃあ、夕食を始めま~す!」
叫んでみたけど、既に並んでますよね。
大皿を受け取ってサラダを船のまま置いてトンカツを取り出しておいて行く。各二枚あるから、かなりの量だよね。
そして移動した人はスープをもらってご飯とパンはそれぞれに任せた。主食だけは食べ放題って事。だって人手が足りないものね。
ミミカさんたち二人は、延々とサラダを盛り付けてるんだけど、大変だよね。すみません!
スムーズに夕食が配られて行く。あと数人で終わりそうだ。かなりの時間かかるけど、今日は一時間かかかってない! 慣れてきたかな。
終わったら俺たちも食べよう。
それから十五分後、やっと終わった。
魔道具の発動を止めて、皆で後のテーブルに座った。
フラットの分は、全て別に置いてある。
トンカツは大皿に山盛り、サラダは大きなボウルに山盛り、ご飯はおにぎりを山盛り、そしてスープも大きなボウルに一杯だよ。当然パンはフラット専用の籠に山盛りです。
様々話しをしながら食事をする。
とんでもない子だね、とミミカさんとレインさんは呆れてる。内緒が多いから仕方がないけど。
明日のメニューを聞かれたので、朝食はハンバーグとスクランブルエッグ、ベーコンとサラダ、そしてスープだ。夕食は? と聞かれたので、ステーキが各三枚、野菜サラダ、マカロニサラダ、そしてフライドポテトですよ。高カロリーばかりですね。
なんのステーキ? と聞かれてディグビッグとオークですけど? またまた驚いてる。これ何回みたかな。
今夜のデザートは紅茶とベイクドチーズケーキです。
フラットはワンホールと焼き菓子だね。
あたたかい紅茶にほっとしながら時計をみれば、そろそろ八時だね。
「今日は少し早かったね。これくらいなら明日の朝が楽だけど」
そうよねぇ、と女性陣は賛成だ。
じゃあ、と全員にクリーンをかけてそれぞれが寝床に向かった。
管理棟のドアを閉めた途端、俺は寝床に転がる。フラットがとなりにそっと横たわった。
「疲れただろ。本当に負担をかけて悪い。俺が手伝えることは限られてるけど、何でも言ってくれ」
ありがと、と笑顔を返したところで記憶が消えた。
昨日より早く起きることができた。
メルトとフラットは外だね。じゃあ、その間にうどんを切ってみるかな。
アイテムボックスから取り出して、生地をのばす。
降り立たんで風の刃で細くカットした。
それを茹でるんだけど、鍋を沸かすのは面倒だし、出汁を取るのも大変だ。
じゃあ、とうどんを置いて、ボウルを置く。
(クリエイト)
ピカッと光った後、そこにはうどんがある。
箸はないからフォークを取り出して食べてみた。
うん、おいしい。鰹だしの冷凍麺セットを作ったときの味だ。俺が作った時の知識が役に立ってるのかな。
これなら牛丼といっしょにうどんも食べてもらえる。
それなら、コピーだよ。
どんどんコピーして船に防水を施して、そこに取り分けてみた。あれ? それならこれをコピーすれば良かったんじゃないかな。あはは、順番間違えたね。
とりあえずできてる分だけ取り分ける。それをコピーしまくりだ~
夕べのお好み焼きは好評だったよ。これなら朝食にも使えると思ったくらいだね。
今日も試食だよ。
また意見を聞きたいから。
いつもどおり朝食の行列ができた。
最後に試食をして感想が聞きたいって言えば、全員が受け取ってくれた。
美味しいと聞こえて嬉しくなる。
「ナギ、これはなんだ?」
「うどんっていうんだよ。小麦粉で作るんだ。美味しいでしょ?」
美味い、のひと言で完食したのはメルトだ。
『ナギ、もうない? うどん、ないの?』
『一人前ならあるけど食べる?』
うん~と尻尾ぶんぶん前回だ。
取り出してから、見られないようにコピーした。そしてアイテムボックスに入れる。
フラットに置いてやればフガフガと食べてるよ。
鼻は汁だらけだ。
「ほんとこれ美味しいね。あっさりしてるから、肉にも合うかも。スープ代わりにも使えるね」
おお、女性たちに好評なのは嬉しいね。
読んでいただきありがとうございます。
すでに料理研究家でしょう。と言ってもクリエイトさんにたくさんおまかせして、アイディアも型にしてもらってるのでなんとも。でも、前世の食事なども織り交ぜてるので、研究家と言ってもいいですよね。
コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。
明日もどうぞよろしくお願いします。




