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43 食の戦い、開始です!

こんばんは、こんにちは。

いつもありがとうございます。


今日もよろしくお願いします!


「なあ、俺はフラットみたいなのは無理だけど、荷物だけでも入れられるやつは作れないか?」

 おお? それは思いつかなかったね。

「それなら空間を拡張できるよ。あの小屋みたいに。やってみる?」

 やってくれと言うので、何を媒体にするか考える。

「小さな袋とかでもいいのか?」

 別に問題ないけど、どこに入れるの?

「金を入れる革袋くらいならどうだ?」

 んー、ちょっと無理かもね。

「空間を広げるなら、僕たちみたいに入り口の大きさが関係ない訳じゃないんだよ。入り口が入らないものができちゃうと困るよね」

 そういうことか、と項垂れる。

「じゃあ、生き物は入らないし時間も止まらないけど、イベントリ(倉庫)作ってみようか? できるかどうかわからないけどね。基本的にはさっき話したものと同じ。でも、中を確認できるリストが見られる。あと、すぐに出し入れできるかな。まあ、引き出して押し込むって感覚だけど。袋になるとどうかな。鞄とかなら大丈夫かもね。でも戦う時邪魔でしょ」

 そうだな、と考えはじめたメルト。

 剣は基本的に大剣だ。それと長剣も使う。短剣はそれほど使わないよね。じゃあ前につける? 薄い皮のバッグなら付くよね。

 メルトに立ってもらってイメージする。

 前掛けみたいな形だけど、長さは二十センチくらいかな。

 外れにくくて便利な留め金でサイドで止めるかな。ベルトは長さ調整付き。幅は……四十センチくらい? これでどれくらい大きくなるんだろうね。空間の広さは三十メートルの立方体くらいあればいいか。

 ワイバーンの革を取り出して鉄の欠片を置く。

 何が始まるのかと興味心身のメルトだ。フラットはお構いなしでふわふわの上に転がってるけど。


(クリエイト)


 ピカッと光ったのは二分くらい。

 すぐに収まった光から出てきたのは薄いワイバーンのバッグだ。

「これ、なんだ? ワイバーンの革だろ?」

 まあ、待ってって。

 鑑定してみよう。

 =======

[ワイバーンのイベントリ] 容量:三十メートル立方体 時間停止なし

 =======


 やった、成功したね。

 顔を突っ込んでみれば、真っ暗でした。

 ライトを灯して中を見れば、おお~と声がでちゃったよ。

「覗いてみて」

 首を捻るメルトはそこに頭を突っ込んだ。そして叫ぶ。

「これ、空間拡張してあるのか!」

 ふふふ、やっと理解したか。

 どうやってつけるのかと煩いので付け方を教えた。

 右横に留め金がくるようにしなきゃ、長剣が使えなくなるよ、と念を押す。

 取り付けてみて、何かを入れようと考えたんだろうね、ダイニングの椅子を持ち上げて触れればずるりと入ったよ。

 リストを確認すれば、椅子一脚とあったので成功しましたよ。

 入り口は折り返して留め金をつけたので、邪魔にならないと思う。

 椅子を引き出して元に戻して振り向いたメルトの顔はにやけてる。

「みんなのテントや寝袋なんかは俺が入れるからな。入るかな」

 入るでしょ。

 容量の説明はしたので大丈夫でしょうね。生き物は入らないし時間も止まらないから、と念押しした。


 じゃ、明日から頼むな、とフラットに声をかけ俺にも言った。

 こいうところの気遣いがリーダー向きだよね。




 早朝起き出した俺たちは、いつも通りの行動で動き始める。

 メルトとフラットは裏庭で訓練と遊び。

 俺は朝食作り。

 なにも変わらない朝だ。


 朝食を満足いくまで食べた後、出発の最終準備だ。

 フラットのアイテムボックスに食堂のお弁当を全て移動した。これなら俺が動けないときでも、とりあえずご飯が食べられる。

 そしてフラットのおやつは大きなバスケットを作ったのでその中にたくさん入っているよ。焼き菓子やケーキ、飴など盛りだくさん。そして果実水も水も入れてあるので大丈夫でしょう。もちろん、フラットのアイテムボックスに入れたよ。

 俺はメモを見ながら確認している。

 結局一升炊きの炊飯器は現在六台ある。五合炊きは三台。そうじゃなきゃ、いざと言うとき間に合わない。そして魔道具コンロひと口用。食器なども山盛りありますね。

 木の台などはフラットに頼んであるので問題ない。テーブルと椅子もコピーしてそれぞれに入れた。

 そして古い魔道具、製薬器は修理した。いや、修理しようとクリエイト先生に任せたら、最新型になってたよ。薬も飲み薬、貼り薬はもちろんだけど、ポーションも作れるんだ。これは俺たちだけしか知らない。他の人たちには内緒だ。 

 既にいろいろ作って保管してある。救急箱を作ったよ、クリエイト先生がね。作った薬はその中に入って入るので、緊急の時には使えます。


 

「じゃあ、行くか」

 うん、とフラットに乗った俺は結界を張るために待っているんだ。塀の鍵をしめたメルトが騎乗したあと、魔力を込めて結界を張った。


 ギルドに到着すれば、大混雑だ。

 普通に依頼に出る人もいるからね。

 俺たちは、外で並んでるんだけど、ギルマスと領主様の挨拶が長い。

 連絡は緊急連絡カードを持った人間がになう。基本的にマックスさんだけどね。

 俺の分はメルトに渡した。ギルマスの了解もとっから心配ない。

 

 やっと終わったよ、挨拶が。

「出発!」

 マックスさんのかけ声で隊列は動き出す。

 俺とフラットは最後尾ですよ。前ならずーっと前じゃなきゃ誰も見えないからね。フラットは、今回の旅、最後のお弁当を受け取っていれてあるのでウキウキだね。


 メルトは少し前にいる。

 皆の荷物を受け取って、驚かれてた。ちょっと自慢げだったね。

『ナギ、となりの国は遠いの?』

『そうらしいよ。何日かかかると思うんだ』

『ふうん。でも、街を出たら早く駆けるんでしょ?』

『今よりは早いと思う。全員馬だからね。でもフラットには遅いかな』

『うん、おそいよ~。でも、街の中よりも気持ちいいから大丈夫~』

『そうなの。遅いけど頼むね。途中で空に上がるかもだよ。偵察にね』

『うん、空がいいね~』

 そうだね、と二人で笑う。

 いったことのないエリアに入ったら、時々空からの偵察を頼まれている。それはフラットにしかできないから。

 空は寒いかな。とりあえずコートは着てるけど、寒かったらワイバーンのコートを重ね着しよう。


 街を出ても、まだまだ近いからかなぁ、魔物も出ずに順調過ぎるくらい順調だね。

 馬を休ませるために午前中一回、午後一回の休憩を挟む事になってる。長い旅だからそうじゃなきゃ持たないよね。野営前に回復をかけてやろうと決めたよ、勝手にね。


 夕方まで大きなトラブルもなく進んで、野営になった。

 メルトの周りはテントを受け取る冒険者たちが群がっている。俺は気にせず食事の準備を始めた。

 フラットはあたりを偵察するために空を飛んでくれてるんだ。小屋を取り出した俺は、中のキッチンで準備してるよ。手伝いを申し出てくれたんだけど、狭いからと断った。だって寝室をうろうろされるようなものでしょ。

 

 午後七時くらいから夕食だと伝えているので、そろそろ皆が大きな皿を持って並びはじめてる。

 でもダメだよ~ 

 レードルで量を決めてるから皆同じなんだよね~

 既に用意してもらってる横長い台に鍋や皿を乗せて行く。ご飯は炊飯器ごと出して、パンは並べてるからとりやすいよ。


「お願いしま~す」

 最初に並んだのはマックスさん。

 パンとご飯はどっちがいいですか?

 俺はご飯だな、と言うので大盛り? と聞けば当然だって。

 持って来てたボウルにご飯を山盛りついだ。おお~と嬉しそうに笑ってる。

 おかずは、でっかい皿を突き出したんだけど、定量だよと言えば項垂れる。あからさまだね~

 今日は豚の生姜焼きにしましたよ。

 野菜サラダを盛り付けて、きゅーりとトマトを置いて生姜焼きを盛り付ける。普通の店なら原価割れだよ。

 これ、なんだ?

 生姜焼きだよ。味噌汁を置きながらそう言えば、後をむいたマックスさんは、叫ぶ。

「今日の飯はショーガヤキだぞ!」

 うおぉーーーーー 

 なんか雄叫びが聞こえるんだけど。

 次々とやってくる冒険者に、メルトがご飯をついで行く。全員大盛りだけど。

 俺は、サラダと生姜焼きを盛って渡す。

 この繰り返しだけど。

 総勢二十人の盛り付けを終えたときには、かなり疲れていた。

 

 でも、美味い美味いの声を聞いていたから頑張れたけど。

 メルトもずっと手伝ってくれたし、フラットはちゃんと並べと睨みをきかせてくれた。

 メルトの分を盛り付ける。多少多めにしたよ。フラットのご飯は規格外だから誰も文句はいわないよ~

 俺も一応盛り付けて、長い台を椅子にして座った。

「やっと座れた~」

 そう言えば、残りがないかなと覗くやつらがいる。

 そんなやつは無視してガツガツ食べる。

 もう冷めちゃったけど美味い。俺たちの分は出さない方がいいかな。生姜焼きも半分ずつ出したんだよ、冷めるから。

 明日からはそうしよう。

 

 疲れ切った俺たちは、紅茶を飲んでいた。フラットのは蜂蜜を入れて甘くしてね。

「ねえ、ナギ。今日見てて思ったんだけど、先に皿を集めてサラダを盛る? それとも一人分ずつ分けて準備する? 一人分になってるなら手伝えるよ」

 それもそうだね。優しいよ、ミミカさんとレインさん。

「ありがと。そうしようかな。明日はお芋のサラダだからつぎ分けるのは定量で大丈夫だけど、手伝ってもらえると嬉しい。外で決まった容器にいれて皿に出せるように器具を作ったから。

 そうなの? と驚いてるよ。

 日本でアイスクリームをすくってレバーを握ればコロンと落ちるあれ。名前は知らないんだ。それの大きいバージョンを作ったら、かなり使えるんだ。明日のおかずはトンカツだから問題ない。一人二枚だけど。もう切ってあるし。汁物は大きめのレードルに一杯ずつだから問題ないしね。

 明日の朝食は? と聞かれたのでビュッフェのことを話した。

 最初に来た人がたくさんとったら後がないから、一人分ずつ分けてるんだよ、あの竹の皮の船で。ギルドの食堂に相談すれば、かなり安く手に入った。最初の百枚セットを買って、後はコピーしたから節約もできてるしね。

 メニューは? と聞かれて、ミニステーキとマカロニサラダ、魚のフライと野菜炒めだと言えばすごいね、と驚いてる。でも、自分でとってくれるだけでも助かるでしょ。ご飯とパンは食べ放題にした。パンは商会で買ったやつだけど。

 すごいすごいと二人は感心しきりだ。

 じゃあ、並べるだけでも手伝う。余分にとらないようにチェックもするね、と笑っていってくれた。正直助かるよ。朝、マックスさんたちとメルトたちAランク以上は行程の打ち合わせをする。朝食をとりながらね。

 フラットは俺の側で食事をとることになってるんだ。

 朝、何時頃に来ればいいかと聞かれたので、八時前にと頼んだ。

 

 お休み、と皆と別れて小屋に入る。

 この小屋は、冒険者たちからは『影の管理棟』と呼ばれているらしい。

 なぜ? 

 メルトの話しに寄れば、七歳の俺が皆の命運を決めるからだって。どういうこと?

 聞いて見れば簡単なこと。俺に嫌われたら食事ができない。その上、戦う時も助けてもらえないから、この旅の影の管理者は俺なんだって。

 かなり失礼だと思うんだけど。

 ははは、と笑うメルトはその通りだからな、と思い切り失礼だね。

 とりあえずゆっくり休めと言われて、クリーンをかけてベッドに転がった。

 



 気がつけば朝だ。

 あっという間に起きる時間になっちゃったよ。もう少し早い夕食にした方がいいかもね。

 うーっと背伸びして着替えをはじめる。

 メルトとフラットはいつもと変わらす、訓練と遊びにでているみたいだね。

 

 ゴロゴロした後、帯剣して外に出れば、既に行列ができてるよ。

「ナギ、そろそろ始めなきゃ列が伸びすぎるぞ」

 あははは、そうみたいだね。

「ナギ! 悪いけど、そろそろ頼めるか!」

 あはは、マックスさんだよ。まだ七時前だよ、皆。

 右手を挙げて答えれば、メルトが前に看板を置く。


 注意事項

 ・ちゃんと並ぶ

 ・各料理一人一船

 ・嫌いなものはとらなくていい

 ・大好きなものでも一船

 ・スープは最後にとる

 ・お代わりしたいときは、全部食べ終わってから再び並ぶ

 ・ルールを守らない人は朝食抜き!

 ※これだけ書いて守らない人は明日から朝食は各自で用意してください。


 うん、これでよいよい。

 じゃあ、料理を出そう。

 次々出して行くが、まだだとフラットが列の先頭に陣取る。

 その間にメルトが打ち合わせメンバーの料理を確保した。

 いってらっしゃい、とメルトを送り出して戦いが始まる。

 遅れてごめん! とミミカさんたちが手伝いにきてくれた。よかったぁ~


「じゃあ今からビュッフェオープンします! 前にルールを書いてるからちゃんと読んでルールを守ってね。残すのはダメだよ。僕が一所懸命作ったんだからね!」

 おぉぉぉーーーー!

 あはは、わかってるのかな。


 ちゃんとルールを守って朝食をとる冒険者って面白いね。

 味噌汁とごはんはミミカさんとレインさんに任せた。

 そろそろ追加かな。

 アイテムボックスから後のテーブルにトレイを取り出してなくなりそうな料理を追加して行くんだけど、なくなる速さがヤバいよ。最後のワンセットはおいとかないと。コピーできなくなるから。

「ナギ! ミソスープがなくなりそう。それとご飯とパンも!」

 おお、女性二人組から呼び出しだよ。

 アイテムボックスから炊飯器を取り出して、蓋を開けてみせる。そしてパンもでっかい紙袋ごと置いた。当然の様に魔道具の上に置いた味噌汁も鍋ごと出しましたよ。


読んでいただきありがとうございます。


ナギはとっても大変ですね。

大人の冒険者の方がガキっぽいwww

戦いのほうが楽だと思えるかもしれませんね。


コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。

明日もどうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ちょっと思ったのですが、ギルドカードにキャッシュカード的な役割を、ナギ君は提案しないかしら? 幾らインベントリが有っても、幾つもお金が入った皮袋を持っているのも、と思ったので。 [一…
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