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33 ギルマスと二人で街に帰るのかなぁ。

こんばんは、こんにちは。

いつもありがとうございます。


今日もよろしくお願いします!


「ナギ! 気がついたか?」

「うん、ありがと、マックスさん。さっきの魔道具は?」

 ここにある、と聞こえて、テーブルを見れば置いてあった。 

 起こして欲しいと言えば、背中をゆっくりと起こしてくれる。

「ナギ、大丈夫か。何があった?」

 あはは、ギルマスが焦ってるよ。

「すみません。ちょっとまって」

 マックスさんの隣りに座って、フラットにもたれかかる。犯人たちを見た時、これはヤバいなと感じる。それなら止血だけでもしようか。


<ヒール>


 ほわりと光った犯人たちを見て、ギルマスが振り返る。

「えへへ、とりあえず止血だけした。それ以外は知らないよ」

 問題ない、と何か飲むかと聞かれて、冷たいもの飲みたいと言えば、王都のギルマスが頼んでくれた。

「お前がナギか。何があったか話せるか?」

「はい。前の屋台で肉を買ってて。フラットが先に気づいて僕も気づきました。裏で皆が戦ってるって。それで移動することにしたんですけど、僕は小さいから身体強化を掛けなきゃ早く移動できない。それでフラットが先に行ってくれたんです」

 その後の事を説明した。

「あの腕、お前が切り落とした? 魔法使いをやったのもお前なのか?」

 はい、と頷いた。

 運ばれてきた果実水と焼き菓子に嬉しくなる。

 その時、でっかい二人組が縛られた男たちを部屋に放り込んだ。そして、ギルドの仲間たちはその場に残る。


「ナギ、大丈夫なの?」

 ミミカさん、優しいね。

「大丈夫。もう大丈夫だよ」

 魔道具をいじっていた王都ギルドのギルマスは、ビリビリと飛び交う光を見て驚いている。

「多分、それ雷です。水晶か魔石がないですか?」

 うん? と底を見たらありましたよ、やっぱり。

 これとても危険だ。

 でも、これだけのものだから、誰が作ったかは解りそうだけど。

「とにかくだ、こいつらの正体だけど、鑑定使えるやつは?」

 ギルマスが手を上げて、俺にもあげろという。

 仕方ない、と手を上げた。

 じゃあ、鑑定して欲しいと依頼された。王都ギルドの冒険者じゃないらしい。


 じゃあ、鑑定だね。

 こいつら、全部別のギルドの冒険者崩れだ。いろんなギルドを追い出されたやつらだけど、雇い主は? ん? 人身売買組織か? いや、その上がいる。えっと貴族だね。ホートランドっていう男爵だ。

 ギルマスがメモしたのはあいつらの正体だけ。

 お前は? と聞かれたので詳細を書く。

 人身売買組織が雇い主。でもその組織の上はホートランド男爵。

 そう書いて紙を差し出せば、王都ギルドマスターはかなり驚いている。

「ここまで解るのか。ナギは王都に来たのは初めてか?」

 コクコク。もちろんですよ~

「この男爵の名前を聞いたことはある?」

 フルフル。全く知りませ~ん。

 そうか、と大きくため息をついた。


 後で話そうと言われて、ギルマスも納得した。

 マックスさんは怒りに震えていたけど、俺が手を置けば落ち着いたみたいだ。

「悪かったな。とりあえず、すぐには宿に戻れないけどいいか?」

 ええと……

『ナギ、お肉が来るよ!』

「ああ。そうか。あの、肉の業者さんが宿に来るって聞きましたが」

 わかった、と水晶を取り出して宰相殿に連絡している。

 アイテムボックスに入れての配達だからギルドに行くように伝えてくれるらしい。じゃあ、二階の部屋へと言ってくれたので問題ないでしょう。

「とりあえずだが、今回の異常を発見対応してくれてありがとう。詳細は領主様から聞いたし、ギルドカードで確認できた。それでだ。世界ギルド連合も同意したが、ナギのランクアップは成人後の冒険者と同様に受け入れると決まった。そしてマックス。お前はSランクに昇格だ。今回の討伐、そして依頼で十分との判断だ。次にピットとショルダーもランクアップだ。ふたりともAランクだな。今回昇格にならなかったやつらはもう少しと言うところだ。頑張ればランクアップは近いぞ。頑張ってくれ」

 はい! と全員嬉しそうだ。

「そしてナギ。お前は今回はBランクにランクアップする。だが、あと少しでAランクだな。ランクが上がる度に面倒も増えると考えてくれ。それを考えれば、マックスは大変だな」

 あははと苦笑するマックスさんだけど、何が面倒なのか聞いてみよう。


 獲物の解体ができてると聞いたので、少し休んでから取りに行けと言われる。

 すると、肉の業者が来たらしい。

 ドアが開いて中に入ってきたのは、肉屋さんらしく太った男性だ。

「こちらでよろしかったでしょうか?」

 はい。

「王宮より、最高級の牛肉一頭分をお持ちするように注文をいただきました。アイテムボックスはお持ちですか?」

 頷けば、次々と肉をテーブルに置いてくれる。油紙みたいな肉の塊が積み重なっているので、とりあえず魔法で収納した。それでも次々と置かれる。一つの塊が十キロくらいかな。

 これ、いくつあるの? それぞれの部位がかかれているので、フラットはゴクリと喉を鳴らした。

 あははは、皆の視線が痛いんだけど。

 次々と続く作業だけど、ギルマスが皆に言う。

「お前たち。ランクアップしたやつはカードを作ってもらって宿に戻れ。後は自由行動だ。マックス、お前は残ってくれ。こいつらはどうするんだ? 騎士に引き渡すか?」

「いや、少し待ってくれ。よかったら人手を貸して欲しい。ピットとショルダーは残って欲しい」

「そういうことだから、頼むな。じゃあ手続きしてこい。ピットとショルダーも行ってきていいぞ」

 はい、と皆が出ていった。

『ねえ、ナギ。まだかかるの?』

『もう少し待ってね。お肉屋さんが終わるまで』

 わかったぁ~とご機嫌斜めだ。

 

 それから五分くらい出し続けたお肉屋さんは、疲れ切って戻って行った。俺は淡々と収納して終わりだ。

『終わった? お肉食べていい?』

 あ、覚えてたんだ。

「あのすみません。さっき買ったステーキを食べたいってフラットが言うんですが、いいですか?」

 いいぞ、とフラットを撫でる王都ギルマスは動物好きらしい。

「許可が出たから食べていいよ」

 そう言いながら竹の船を取り出せば、テーブルに置いたそれを器用にひと口で食べてしまう。

 美味しいともぐもぐゴックンと終わった。

 もっと、というのでもう一つ竹の船を取り出す。

 当然の様にすぐに終わる。

 結局、五個船を取り出して、間食した。

 口元をクリーンしてやれば、ソファの後ろに寝そべったんだけど、王都ギルドのギルマスは無言で固まっている。

「ナギ。お前大変だな。食うものだけでもかなりの金がかかるだろうな」

 そうですね、と笑って誤魔化すしかない。

「まあ、狩った獲物で肉は大丈夫だろ。それにナギは料理もするからな。俺たちよりよっぼど美味い物食ってると思うぞ」

 ほんとか、と呆れている。

 じゃあ、ナギとマックスのランクアップだな、と紙を出して何かを書き始めた。事務方を呼んでギルドカードを預ければ受け取って出て行った。

 ナギ、素材をとってくるか?

 でもギルドカードが、と口にした。

 そうだな、後にしよう。マックスさんはがっくりと項垂れた。

 

 宰相殿に連絡をとる王都ギルマスは難しい顔をして話しをしている。転がっている男たちは青白い顔で辛そうだけど、大丈夫かな。

 それなら騎士団長に犯人たちを頼むからと言っているみたい。まあ、王都の騎士団なら問題ないかなぁ。

 とりあえず、さっきの話しを調書として清書したものを確認して欲しいと言われて、俺とマックスさんは確認した。そしてギルマスも同じだ。

 ほぼ間違いなく書かれてるといえば、サインをくれと言う。これを正式な事件の全容として報告するらしい。そして鑑定結果に関しても、ギルマスの証言、俺の証言としてサインした。


 これで帰れる? とギルマスに聞けば、とりあえず戻っていいらしい。

 ギルドカードが出来上がってきた。

 ピットさんとショルダーさんは騎士団に引き渡すまで見張りを頼まれた。もし、馬車できてなければ一緒に行って欲しいと言われて苦笑しながら受け入れてたよ。

 すみません、と言えば被害者だから気にするなといわれた。気をつけてと言って、僕たちは下におりた。


 新しいギルドカードを受け取って、隣の建物へと移動する。

 そこでフラットに椅子をつけてもらった。

「大変だったみたいですが、大丈夫ですか?」

 お兄さんが気遣ってくれる。大丈夫ですと答えて明細を見た。

 そして金貨三枚と銀貨三枚を受け取る。これほど? と聞けば、ワイバーンの肉と皮がないから安いと言われて驚いた。都会は物価がかなり違うみたいだね。


 

 宿に向かってゆっくり歩く三人だけど、ギルマスとマックスさんは警戒を怠らない。一番警戒してるのはフラットだけどね。

 

 とりあえず、無事に宿に到着した。

 食堂に心配そうな皆がいて、無事に戻ったと喜んでくれる。

 でも、部屋で休ませるから、と俺は強引に連れて行かれそうだ。フラットはご飯を食べてから来るようにいえば、何を食べるか解らないからどうするかと皆が考えている。

 メニューを読み上げて、鳴いた回数で注文することにしたようだ。僕には、ランチプレートを持って来てくれるらしいので、少し休むことにした。ミミカさんに革袋をお願いして階段を上がった。


 

 マジやばかったぜ。

 まさか、この世界にスタンガンがあるとは。といっても、雷魔法を小型の魔道具に詰め込んだって所だろうけど、電流が流れるっていう発想はなかったかもしれない。それ以外で考えられることは、俺以外にも記憶を持った転生者か転移者がいるってことくらいかな。

 ふん、どちらの可能性もあるけど、今は考えるのを止めよう。




 気がついたのは夕食時だ。

 珍しくフラットがご飯と言わない。気を使ってくれてるんだろうね。本当にかわいいやつだよ、こいつは。

 くぅん。

 起こしちゃったかな。

「ごめん、寝てたね。お腹すいたでしょ? ご飯食べに行く?」

 心配そうに見るんだけど、僕も腹が減ったんだよ。

 ゆっくり起き上がってみたけど、違和感はない。

 うん、大丈夫みたいだね。

 普通に子供だったら? 身体強化を掛けていなかったら? そう思うとぞっとする。


「ナギ、もう大丈夫か?」

「うん、心配掛けてごめん。大丈夫みたい」

 よかった、と皆が息を吐く。

 いつもの場所に座ってメニューを見ながら注文の嵐だ。

 フラットはここのクリームパスタもお気に入りになったようで、一度に三人前頼んでるよ。

 ギルマスたちはお酒を飲んでるんだけど、いつから飲んでんの。

 僕もクリームパスタとグラタンを注文する。チーズだらけだよ。王都のチーズはかなり美味しい。戻ってからもいろいろ作ってみようかな。

 それはそうと、明日、皆は戻るんだよね。依頼になるのかな。


「ギルマス、明日は戻る?」

「ああ、戻るぞ。依頼じゃないから俺たちだけだ。それでいいか? なにか依頼を受けてもいいが」

 ふうん、どうするかな。

「俺たちは依頼を受けて戻りたいと思ってるんだ。依頼があれば、だけど」

 『草原の風』も『蒼い翼』に同行したいと言ってる。まあ、単独で戻るのは無理だよね。

 ショルダーさんは? と聞けば、こっちに知り合いがいるから数日過ごしたいと言われてるらしい。で、一緒にと誘われてるのがピットさん。ふうん、あとはギルマス? 

「俺は一人でも戻る。ギルドの仕事も溜まってるからな」

 なるほど……

「ナギはどうする?」

 うーん、僕も正直戻りたい。

「僕も戻りたい。でも、ギルマスは馬だよね」

 そうだぞ、とゴクゴク飲んでるよ。

 馬がいなきゃねぇ。

「じゃ、俺と二人で戻るか?」

 それは危険だ! うん? 何の話し?


「なあ、あんたら。これから北の街に戻るのか?」

「あん? お前誰だ」

 一気に機嫌が悪くなったギルマスだけど、なんなのさ。

「あ、悪い。俺はメルトだ。Sランク冒険者だな」

 ふうん、Sランクなんだ。それにしてもデッカいよね。

 思わずじーっと見てしまった。

「なに? そのちっこい娘に見られてるんだけど、俺に惚れたか?」 

 はぁ? 

 同時に皆が爆笑する。

「な、なんだよ。そんなにおかしい事言ったか?」

「あははは、言った言った。まあ、仕方ないけどな」

「なんだよ、理由を話せ」

「お前、メルトだったか。そいつはナギ。ちっこいのは間違いない、六歳だしな」

 ろ、六歳?!

「ああ。三歳から冒険者してるすごいやつだ。それにこいつは男だぞ」

 はぁ~~~~~~?

 そんなに驚かなくてもいいじゃんよ。

「ほんとか?」

 コクリと頷いて返事を返す。

 失礼しま~す、とタイミング良くウエイトレスさんがフラットと俺のクリームパスタを持って来てくれた。あはは、空気読んでくれた?

「まあ、女でも男でも問題ない。で、ナギのランクは?」

 Bランク!

 そんな、全員で言わなくてもいいじゃんよ!

「Bだと? すごいな。いくら俺がガキの頃から強かったつっても、それはなかった。気を悪くしたなら謝る、すまんナギ!」

 おほほ? 大きな身体を二つに折りたたむように頭下げたよ。

 くわぁん! とフラットがなく。どうしたの? と聞けば、許してやれば、と聞こえた。

「ふ~ん。別に怒ってるわけじゃないよ。ここにいる全員、何日も気づいてなかったし。まあ、三歳の僕だとわからなくて当然だったと思うけど」

 あははは、と苦笑するしかないよ。

 そんな大人たちを無視してパスタに突入する。

「まあ、俺は男でも女でも惚れたやつならどっちでもいい。ただ、さすがに六歳に惚れたことはなかったぞ」

 何言ってんだよ、とマックスさんやショルダーさんが怒り出す。

 あーうるさい!

「ご飯は静かに食べたいんだけど……」

 そう呟けば一瞬で静かになった。関係ない人たちまでね。



読んでいただきありがとうございます。


ナギは子供だから、大変なこともあるようです。

まあ、そうでしょうね。肉体強化かけても、腕や足の長さも違うし。流石にフラットがいるので、正面切って喧嘩を仕掛けるのはあまりいないと思いたい!


コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。

明日もどうぞよろしくお願いします。

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