202 トランサル王国の依頼は全て終わったんだけど。俺はなにかに囚われたんだと思う。
こんばんは、こんにちは。
いつもありがとうございます。
今回は少々長めです。というのも、この回で別の展開に入ります。
新章として始めるか、別の話として始めるかと悩み中です。
今までとは違うナギの人生が始まると思います。しばらくお待ちいただけると幸いです。
今日もよろしくお願いします!
※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
そんな風に毎日忙しく過ごして、予定より早く迷宮を開くことができました。
まあ、その間に、店の建設が間に合わない商会や豪商に頼まれて、いくつも建物を造りましたけどね。
どうやらアダムスさんの仕業だったみたいだ。
迷宮前の通路に簡単な箱物を造ったのが間違いだったね。トイレ付の小さな買い取り所なので気軽に造ったんだけど、この世界では気軽ではなかったみたい。
現代のコンテナハウスのように石で造っちゃいました。あはは、それが間違いの元。
続々と迷宮オープン前に依頼が来て、もう引き受けるしかなかったんだよ。ただし、お値段はそれなりしたよ。正直言って高いと思うけど、それで、出鼻をくじかれるより良かったみたいだね。
あとは、食べ物の屋台がたくさん出てくれたのは幸いだったよ。
日常の食事でも、少し足りない時には利用できそうなものをアダムさんに話した途端、いろいろできたからね。おにぎりとスープの店もできたんだ。当然、スープの容器やおにぎりの容器は自然に返ったり燃やせる素材にしました。紙コップとか紙のボックスですね。
これも販売することになったので、いろんなサイズをつくった。日本のノリ弁みたいなのが入るようなボックスやパンとおかずが入る容器とかね。
当然、販売は俺のところでするんですが、どうするかと言うことになって。結局、卸をすることにしました。商業ギルドは抜きでね。だって、この世界の糊で作れる代物じゃないし、形も無理でしょ。紙コップは特に大量に売れました。紅茶などの飲み物を販売できるから。立ち話しながら紅茶が飲める。商店では、紙コップで客にお茶を出す。
そんな風に生活様式が代わったよね。
馬場の入口、食堂にくっつけて在庫を置くようにしてます。そこはカウンターが開くようになってて、そこで売ってる。そう、まるでキッチンカーの容器屋さんバージョンだね。移動はしないけど。
かなりの数が出るんだよ。
一個の単価は小さいけど、販売ロットが全て百個単位だから、そこそこお金になります。それに、開店は週に三日だけなので、大変です。そろそろ予約制になりそうな予感。これはすごいことだよね。
フラットがサンと一緒に引き受けてくれるので助かってるんだ。でも、ここの職員も募集中。
ごみ焼却場と公衆浴場は問題ない職員が集まりったよ。それに、ごみ焼却場は最初に火付けは魔力を使うけど、スキル程度で大丈夫。それもボタンで発火できるように改良してもらったんだ。それ以外は熱で発火装置に動力をためていく使用にした。これは公衆浴場も同じで、お湯を一定の温度に保つための調整がされるんだよ。お風呂自体はスーパー銭湯みたいに、いろんなお風呂があったり、でっかい湯船があったり。それを見たアルムおじいちゃんがちょこっといじってくれたんだ。
当然家族風呂含めて同じ仕様になった。その上、フィルターは交換式にしたので造ったよ。あと、掃除だけど、湯船の掃除だけでもたくさん必要でしょ。男湯と女湯があるから。それも、ボタンでクリーンできるようにしてくれたんだ。人集めが大変だったからね。
そうそう、入浴チケットだけど、バラ売りと十枚綴りで販売してます。これはどこでも購入できますよ、俺関係なら。
例えば、事務局の賃貸ブース、馬場の食堂内、容器販売店、孤児院の前に作った洗濯屋などですね。
そう、洗濯屋も個人で受付を始めたよ。当然、ポイントカードを作ってるんだ。いろいろと魔道具も作って便利になったからできたことだけどね。
当然、職員や使用人たちは給料天引きもできるんだよ。
国のものだけど、国管轄じゃなくなった。
何故かと言うと、建設費用がかなりかかったんだ。これは鑑定魔法使いが鑑定しても同じだったので、国がギブアップしたよ。だから、俺の個人所有だね。ゴミ処理場と公衆浴場は俺の持ち物ということ。
依頼料を払えないと言ったんだ、国王が。まあ、迷宮ほどの利益は求めてないけどね、俺は。でも、国は大変だろうね。
だから、一応、東の辺境の依頼が終わった時、精算してもらうことにした。そうでないと取りっぱぐれそうだから。
前金でもらってたものもあったけど、オニキスが言ってた以上にかかりました。
でも、フォレアに言わせると、国家予算の一年分くらいは考えていたらしいので問題ないそうだ。まあ、怖気づいたんだろうけど、すぐに取り戻せると思うけどね。眼の前のことだけを気にしてちゃ、国なんか動かせないよ。
この国に来てから、俺はあの山頂の領地にいけてない。一度軽く見に行っただけで、のんびりしたことがないんだ。あそこも楽しめそうなんだけど。まあ、行きたければ空間を繋げばいいだけなんだけど、昼間の時間がとれない。
でも、なんとか依頼を片付けて行くんだ、絶対に!
そんな風に迷宮を開いてから二週間後、俺とフラット、サン、ソラは西の辺境に向かいました。
午前中はノルが東を見回って、午後からは来てくれます。当然、西への直結空間もつなぎましたよ。屋敷からでも、東の迷宮管理事務局からでも移動できます。
西の辺境には、小さな建物を建てました。
移動用ですね。迷宮の側に、以前王弟がログハウスを建てた場所の後ろです。面倒なのでくっつけちゃった。国の許可は取ってるから問題ない。何かあったときのために、そのまま使って欲しいと言ってたね。うん、気持ちはわかるけど。よほどのことがない限り、来ないよ~
まずは、入国門を作り直して、国境を作ったよ。やっとオニキスの結界を解除できたんだ。あとは、他の領地や他国との境も造りました。
西の辺境は、管理事務局を領主の館で引き受けてくれるので、建物だけ隣に建てました。
内容はほぼ同じです。書類とかも有料で渡しますので心配ないでしょう。
そして局長は領主、その従兄弟である剣士が所長です。西に関しては、賃貸物件も造らないし、ゴミ処理場も作る予定はないよ、今のところ。どうやら民を雇って仕事を提供するらしい。まあ、それがいいでしょうね。
当然、街道とは違う大通りも作ったし、迷宮の門、広場、騎士たちの休憩所などは作った。あと、大通りから迷宮への道も作ったんだ。とうぜん、商会やその他の区分けはしたけどね。
あとは、国営の安宿もコインシャワーと同じように作った。個数も同じだね。
あとは、今、パチンコの使い方をギルドで訓練してるらしいので、とりあえず、迷宮の扉を入った場所に黒玉の販売所を作りますよ。当然、自動販売機だから、魔道具ですけど。
それと、そのための職員の部屋や騎士たちの休憩所なども造るんだ。
まあ、黒玉は最終日だね。
野営場や区画割りなど、全て東と同じにします。当然、上下水とかも同じですね。
あと、掲示板作成が追加されましたので、数か所作りますよ。
居住区の魔物よけ壁は、行った日に造った。そうでないと、民が安心できないからね。
迷宮周りの魔物よけは造ってくれと聞いたので、早々に造っちゃった。だって、面倒でしょ。忘れそうだし。
毎日屋敷に戻って、美味しい食事を食べゆっくり眠ります。だから健康で頑張れるよ。
ただ、西の辺境には数人貴族がいるんだ。ま、全く無視だけど。
冒険者ギルドのギルマスはいい人だね。でも、冒険者があまりいないんだって。魔物がいないからでしょうけど。
それなら、管理事務局とギルドを同じ場所にすればいいのに。登録はギルドで請け負ってもらっていいと思うよ。
別に俺が使ってるログハウスも小さいけど、事務所には使えるでしょ。周りに訓練場とかを造ってもいいけど、それも面倒だね。そのあたりは領主と相談したらいいよ。手慣れてるだろうしね、買い取りとかさ。鉱石なんかを販売するルートもあるらしいので、そう言っておきました。
いろいろと作りながら三週間後、迷宮を開く日にちを世界に告知したよ。
ゴーレム迷宮で、ランクはAにしました。
一週間後に迷宮が開きます。
既に、冒険者や探索者たちが大勢集まって、野営場はいっぱいだね。国営の集合住宅も満室らしい。それと、元々あった宿なんかも、連日大盛りあがりらしい。まあ、それはいいことだよ。
今までは商人くらいしか泊まらなかったけど、今はいろいろ入り乱れてるらしいね。
その当たりはあまりかかわらないようにしてるんだ。そうでないと、面倒なことになるからね。
その間、俺は黒玉の自動販売機を造ったんだよ、二台。もちろん、裏側から補充できるものです。そしてそのエリアは壁を作って不法侵入はできないようにした。そうでないと、面倒なことになる。
あと、黒玉もいろんな種類を造ったよ。パチンコは冒険者ギルドで販売することになったので、そっちに卸します、国が。
黒玉も国が買い入れるので、それだけは俺が実際に来て作るか、アイテムボックスに入れてもらって、ノルにでも迷宮の入口で取り出してもらうか、ですね。在庫は休憩所の裏に置くようにしてます。黒玉が消滅しなかったので。
おそらく、そうなると思いますけど。
最初だからと、かなりの数を国か注文したので、既に造って在庫の棚にサイズ別に置いてあります。騎士さんに取ってもらうようにお願いしてあるので大丈夫でしょう。
そんな感じで一週間後に無事迷宮が開かれました。
ここはあまり気軽に行って欲しくないんだよね、本当は。だって、中層からは大変だから。
それよりも、利口なのは探索者たちでした。
浅い階層で土系のゴーレムに対してパチンコを使いレベルを上げる。そして次に行くんだよ。きちんと考えてるよね。
魔法使いや剣士などがいるパーティは、そこそこイケてるみたいだし。思ったよりいい感じだね。
そろそろ戻ろうかと思っている時、国からの追加依頼があった。
そう、要領はあまり大きくなくてもいいんだが、段階別に魔法袋を作ってほしいらしい。ドロップする数は限られてるからね。
大量に造って単価を下げて欲しいそうだ。
まあ、いいけどね。
実際にドロップした大きさで作りましたよ、四種類。
それを数量指定でコピーするから早い早い。
それぞれ、二万個ずつの注文だったので、一日で終わらせました。それは明細を書いて自動販売機に組み込みました。そう、もう一台作ってほしいといわれたので、仕方なく造り壁も造り直したんだ。当然、別見積もりでね。あれほど聞いたのに、最初から言えよ!
まあ、それで一応俺の依頼は終わったよ。
だから今から王宮に向かいますよ。
そう、支払いとフォレアの引取だね。
「ナギ様! この度は大変お世話になりました。やっと終わりましたが、どちらもかなりの売上があります。国先導でお知恵を頂いたので、なんとか利益がでそうです」
あ、そうなの? それはよかったね。
そう話す俺とノルの間でソラはお菓子をもらってます。クッキーだね。そのあとは、ケーキが置かれてるんだけど、クッキーを食べてからですよ。それなら、と一所懸命食べてるから笑っちゃった。
フラットとサンは、今日は容器屋さんの営業日ですから。
今は予約注文制なので、小口も販売しています。なので、週三日という予定だから、かなり厳しいんだよね。
でも、今は見習い販売員が入ってくれました。元、商会で努めていたお母さんです。まだ、子供が小さいので、子連れで仕事に来てくれてます。とてもいい人ですね。子供も一緒に学びながら来てくれてます。将来はこういう商品を販売する小さな店をやりたいという希望があるので、しばらくお願いしようと思ってます。
お兄ちゃんもいます。一応、冒険者として頑張ってますが、まだランクが低いので仕事がない日もあるんだ。その時は手伝いに来てくれるんだよ。そんな時には、フラットが剣の訓練をしてあげてるみたいだね。馬場の一部に結界を張って頑張ってるみたい。それもいいと思うんだ。時々は大型の狼の姿で相手をしてくれるフラットには感謝だよ。
でも、お兄ちゃんは才能があるんだと思う。根性もあるみたい。
登録した時には既にEランクだったし。
頑張ってほしいな、こういう子には。
最後の仕事だと、フォレアから明細が提示されました。
それを確認するのは俺とノルだね。
『あるじ~、しょら、ちぇーち~』
あれ? もう食べたの?
あはは、空っぽだよ。
じゃあ、と端っこに移動したソラの前には美味しそうなケーキが並んでます。当然、侍従が相手してくれてるね。
ええと、これ、これ、これ……
うん、概ね合ってるよ。
でも、肝心なことが抜けてる。
「フォレア、ミスリルはどうなってるの?」
「あ! 忘れてました。すみません。使用量はわかりますか?」
ええとね、と一メートルのキューブで数字を提示しました。
青くなったよね、フォレア。
「ええと、陛下。これは全く足りません。世界中から集めたのですが、このままでは無理ですね。とりあえず、見ていただけますか? 不足分は金銭でということになりますがいいでしょうか」
「うむ。それは大変だ。ならば実際に見ていただき、足りぬ分は現金ということでよろしいでしょうか、ナギ様」
「うーん、それもどうかと思うけど、ないなら仕方がないよね。じゃあ、ノル。悪いけど、フォレアと一緒に行って、ミスリルをアイテムボックスに入れてくれる? 純ミスリルだけで話してるし、俺もそれを使ってるから。それはアイテムボックスに入れたら出るからね。混ざりものがあるものはいらない」
わかった、とフォレアと一緒に出て言ったよ、ノルは。
一応、純ミスリルだけを集めたと国王は力説するけど、見ただけじゃわからないからね。
そう言えば、なるほど、と頭を抱えたよ。
最終的に確認したら、四分の一は純ミスリルじゃなかったよ。その上、不足もあるからね、とんでもない金額になりました。
依頼完了分とミスリルの不足分で、出てきましたね、ドラゴン金貨。
なんと、ドラゴン金貨六枚と白金貨九百八十二枚金貨九十八枚でした。
もう、どうすりゃいいのさ、これ。
受け取りにサインして、お金はノルにアイテムボックスに入れてもらいました。だって、俺にばかり金が集まるから嫌になってきたんだよね。
クスクスと笑いながらノルは回収してくれましたよ。
ちょっとだけホッとしたのは内緒だけどね。
ソラは、寝ちゃいそうなのでもう失礼することにしました。
フォレアは、明日ゆっくりと迎えにくることにしました。だって、国からの支払いもあるからね。綺麗さっぱり縁を切りたいらしいから。
ノルが獣化して、椅子をつけました。
そこに乗ったのはソラだよ。
嬉しそうに一人で乗ってるんだ。その後ろに座った俺。ソラは椅子ごと結界で包みました。当然、俺も別に結界を張ったよ。
じゃあね、と手を振って空に上がります。
ゆっくりとノルは飛んでくれてますね。空間を繋いでも良かったんだけど、ソラが椅子に乗るというので希望を聞いてくれたノルです。
それなら、とりあえず、東の辺境へ向かうことにしました。それなら皆と一緒に屋敷に戻れるからね。
のんびり戻っていたからか、睡魔に襲われてるんだよ、俺。
すごく眠いんだけど、なんでかな。
まあ、寝ちゃっても結界張ってあるから大丈夫だろうけどね。
おっと、後ろに倒れそうになったよ、危ない危ない。
そんなだからか、何やら黒いものが広がっているのに全く気付けなかった。
さすがに気づいた時には俺だけが黒い煙に閉じ込められる所だった。
「ノル! なんか、黒いものに捕まった。転移させられるかもしれない! ソラをお願い。街をお願いね。なんとか戻る。また連絡するよ! 街を、皆をおねが……」
「ナギ!!」
そうノルの声が聞こえたけど、俺の意識は沈んでいった。
読んでいただきありがとうございます。
ナギはなにかに囚われてしまいました。
この先は、違う展開になりますが、しばらくお時間をいただきたいです。
再開する時には、X、活動報告などでお知らせします。
途中で、全く別のお話をちょこっと入れるかもしれません。
わがままをいいますが、お待ちくださいませ。
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