196 屋敷のことを使用人たちに説明しましょう。
こんばんは、こんにちは。
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
フラットと皆は店を出ていった。
じゃあ、先に支払いをと言ったんだけど、一緒にしましょうかと言ってくれたので、サンのところに向かう。
冒険譚をいくつか持ってるね。俺も料理の本を見てみようかな。あまり最近は料理をすることはないけどね。
なぜかはわからないけど、日本的な料理本はかなりあるんだ。それを俺なりにアレンジすればもっと美味しくなるから。
その時、鞄がゴソゴソ動き出す。
起きたかな、ソラ。
『あるじ~、おちちゃ~』
「おはよ、起きたね。朝ご飯食べる?」
『ちゃべり~』
わかったよ、と小さなテーブルを取り出して鞄の中に置いた。そして保存容器を一つあけて置く。保冷バッグの蓋を開いてそのまま入れれば、ミルクを一本取り出して、魔法で蓋を開けたね。
うん、おっけ。
『いっちゃらちま~』
「たくさん食べてね」
『ソラ、おきたの~?』
「うん、起きたよ。今から朝ご飯だね。面白そうな冒険譚はある?」
『これとこれ、こっちも呼んだことないから~いい?』
「いいよ。しばらくは移動も多くなるし、西の辺境に行けば、いろいろ細かい事が多いからね。その間は本を呼んでてもいいから。ここはたくさんあるでしょ、本」
『うん。たくしゃんある~』
そうだ、聞いてみようか。
「会頭さん。冒険譚の新しいものはないですか?」
「ございますよ。今朝届いたものですが」
見せてください、といろいろ出してもらう。
サンは、興味深そうにピョンと飛んで移動したよ。
「そのスライムが読むのですか?」
「そうです。この子は勉強家ですから」
すばらしいですね、と会頭さんは驚いてますね。
『あるじ、たくさん、いいの~?』
「いいよ。じゃあ、これでいいかな?」
それなら本も入れてもらって支払いをします。
明細をもらって、お金を支払いました。
その後は、支払いのことを聞いてくれました。会頭さんは優しいですね。
ひと月まとめて請求書をもらえるそうだ。その後、支払いをする。でも、集金に来てもらうことにしたよ。そうでないと、少しの距離だけど、大きなお金を持って移動するのは危険だからね。それでお願いすることにした。
屋敷に戻って使用人たちにこの屋敷のことを話すことにした。
この屋敷は今活動している所からは遠く離れてる。ここは俺がまだ小さい時に買った土地だから、今回、アルムおじいちゃんの助言でここに屋敷をつくったんだ。今日もそうだけど、あちらこちらでメンバーが仕事をすることになって来たからね。
皆ここから出かけてここに戻る。そんなふうにしたいんだ。そのために、ここの小さい方の応接間と各地を繋ぐ。すぐに繋ぐのは、トランサル王国の迷宮管理事務局の所長室、オニキスの部屋だよ。専用エリアをつくったから。
オニキス、アニ、ブートは今迷宮に潜ってるけど、戻ったあとは、ここから出勤する。まだ、俺達も東の辺境へ向かうことになる。
依頼が終わり次第、俺、フラット、サン、ソラは西の辺境へ向かうことになる。ノルはあっちこっち行くことになると思うけど。西の辺境は急ぎ依頼をやってしまおうと思ってるけど、魔道具開発や細々あるから、しばらくはかかると思う。そうなっても同じ。西にもどこかと繋ぐようにするから。
この屋敷には既にやってるけど、悪人は入れない結界を張ってる。もし、入れろとか喚いたり結界を攻撃したり、なんてことがあったらすぐに連絡して。もし、危険だと思ったら、小さい方の応接室からオニキスの部屋に逃げて欲しい。西にも開いたら西に。俺がいる場所に逃げてほしい。逃げる所がなくなりそうなら、直接俺が繋ぐから。
おそらくこの街でそれはないと思うよ。
さっきの会頭さんも元冒険者。ギルドの仲間は信頼できる。でも、たとえ昔からの知り合いでも人は変わる。入れない人もいるかもしれないけど、それは結界を信じて。アルムおじいちゃんがくれた結界の能力を信じてほしい。
そう話せば、いろいろ質問された。
Q――毎日戻ってくるのか?
戻ってくる。たとえ、迷宮に入ってても戻る。美味しいご飯を食べてゆっくり眠って翌日頑張りたいから。でも、今回は別。ブートとアニのために迷宮に潜ったから。どういう場所か、一日をどうやり過ごすのかなど、勉強のために入ってるからね。
Q――仕入れは前の商会だけになるのか?
違う。アダムス商会からも仕入れるよ。
仕入れするものは、伝票に記入して渡して欲しい。それでアダムスさんに連絡する。商品は迷宮管理事務局に納品してもらって、その時は、空間を繋いである部屋か、所長室で確認して受け取ってもらいたい。こっちとあっちじゃ仕入れるものも違うだろうし。特に果物や野菜なんかはそうしてもらいたい。
Q――毎日出勤するのに弁当は必要か?
それはあったら嬉しいだろうけど、管理事務局に行く者たちは向こうの食堂に行ってもらおうと思う。でも、俺達はできれば欲しい。その時によってはお昼ご飯に戻ることもあるから、それは連絡するからね。料理長のお弁当は大好きだ。でも、忙しすぎるから、それが心配。もし、大丈夫なら、アニの補給用とか軽めのおやつくらいを持たせてやってくれたらありがたい。
俺はちびっ子がいるし、俺自身も今と同じようにあれば助かる。
Q――孤児院のことはどうするのか?
できれば、今までと同じでお願いしたい。ただ、孤児院には空間を開かないから、どうしようかと思ってる。アパートに一部屋とってもいいかと思ってるけど、毎日というわけじゃない。その時には俺が空間を開いて一緒に行くほうがいい。孤児院の個室でも院長室でもいいからそうしようと思ってる。毎日使うならともかく、そうでないなら懸念事項は少ないほうがいいから。
Q――馬番や御者は、このままずっと辺境で仕事をするのか?
違うよ。今も馬番を募集してる。
希望者がいれば、少し指導はしてもらいたいけど。馬番は馬がいると気になるだろうけど、オニキスとアニが仕事に向かう間、勤めてくれるとありがたい。いずれはあっちも誰か適当な人材を探すつもりだから。こっちも馬車があったほうがいいかも知れないし。まあ、いろんな道が見えてくると思うから頼みたい。もし、あまりに遠くの国で依頼を受けるようなら考えるけどね。おじいちゃんが言わない限り変更はないと思っててね。
なるほど、と納得してくれたみたいだね。
ここで話しておこうか。
疑問があれば、いつでも聞いてほしい。
あと、俺の依頼が全て終われば、トランサル王国の今の宰相が職を辞して仲間になる。だから、個室をひとつ、確保してほしい。
「宰相様が、ですか?」
「そうだよ。フォレアっていうんだ。どうやら宰相も国に対して呆れたみたいだよ。だから俺の依頼が終わって、依頼料の支払いが終われば一般人だよ。冒険者ほどは食べないけど、彼にはあっちこっちを頼むことになる。だからまた忙しくなると思うけど、頼みたい」
承知しました、と嬉しそうに皆が頷いてくれた。
じゃあ、とりあえずお金はあるかな?
そう問えば、書類を出してくれる。
うん、ちゃんとしてるね。
買い物は俺が払うことが多いけど、これからは前の商会は月半ばくらいまでには明細をもらうことになる。その金はその都度渡すけど、それ以外のお金が必要になると思うから、それは遠慮なく言って。あまり大金を置くのは心配だから。
そう伝えれば、いつもかなりの金を預かっているので、しばらく必要はないと言われちゃった。あはは、今の残りは白金貨二百枚近くあったよ。
これくらいならいいかな。
ただ、ここには商業ギルドもないから、不便をかけるけど、よろしくと頭を下げておいた。
じゃあ、とりあえずトランサル王国とは後で繋ぐから。
今つないでも、オニキスもいないからね。
俺はとりあえずギルドに行ってくるよ。
フラット! ギルドに行くよ~
は~い、と遠くで聞こえたけど、どこ?
「ナギ、ここに塀は作らないの?」
あ、忘れてたよ。
じゃあ、作ろうかな。
外に出てみれば、結界が光ってるよ。
うん、結界を張ってたから変なものも入ってないね。あ、井戸はどうなってるのかな?
おっと、ここにあるんだね。
屋敷の皆が出てきたので、この井戸は使って。でも、飲水は上下水を繋いであるから、そっちでね。野菜を洗ったり洗濯の予洗いとか、水をやったりとか。そんなふうに使ってほしい。
庭師がここは何か植えてもいいのかと聞くので、端とか塀の近くならいいよと伝えておきました。それなら、商会に木を注文してもいいかというので頼むことにした。もちろん、空間の中にも木があるので、新しく植えてる果物の苗も一部こっちに出したいらしい。別の空間だから問題ないと伝えれば大喜びだった。芝生を敷くと聞いてフラットが喜んだね。
獣化して駆けるのにいいと言ってるよ。
まあ、ノルもいるし、その方がいいでしょうよ。
庭もどんなふうになるのか考えて欲しいと伝えて、塀を作ります。
結界のすぐ内側に塀が欲しい。ぐるりと敷地を囲む塀。高さは四メートルくらい。結界の内側じゃないと侵入者の足場になると困るから。一時結界を解除するので、ミスリルの塀をお願いします。
ええと、ミスリルはあるのかな?
とりあえずはありそうだね。
じゃあ、結界を解除して大きめに張り直そう。ひと時だからいいだろう。
(クリエイト)
シュバババーっと光が走って一瞬で塀が出来上がったよ。
じゃあ、新しい塀のすぐ外側に悪者侵入不可の結界が欲しい。
(悪者進入不可結界)
ふんわりと光ったそこには敷地の外側から上にドーム状に大きな結界ができました。鑑定でも問題なくできてるよ。塀はこのあたりでは見ないかたちだね。これ、トランサル王国の国境と同じ形だよ。すごいね~
外側の仮結界を解除して振り返れば、使用人たちはポカンと立ってた。
クスッと笑っちゃったよ。
乳母車にまだ寝てるソラを置いてメッシュの屋根を閉める。サンは俺の鞄に入って外を見てますよ。
懐かしいね~
ノルのことどうやって話すかな、とちょっと気になってるんだけど。どうしようかな。まあ、聞かれたら、かな。
ドルーハはいるかな?
あ、いるね。ちょっと寄ってみようか。
「こんにちは~」
「いらっしゃい……あ、ナギ、か?」
「そうだよ。久しぶり。元気そうで良かった」
「おう、元気だぞ。戻ったのか?」
「ちょっと違うかな。また他国に行くけどね。さっき、マックスさんと会ったんだ。とりあえず、あの土地に小さいけど家をつくったんだよ。だから時々戻るよ」
そうか! よかった、とかなり嬉しそうなんだけど。
「さすがに大きくなったな。それでも、まあ、小さいけど。鞄から顔出してるのはサンか?」
「そう。サンだよ。すごく成長したよ、サンも」
フラットは? と聞かれて、振り返ったよ。
「ドールーハおじちゃん。フラットだよ」
は? と驚いてるんだけど。
一瞬でフラットがシルバーウルフの姿に戻ったよ。
なんだ! と驚いてるね。
「人化できるようになったんだ。だから自由自在だよ。ほんとはもっとおおきいんだけどね」
「そうか、フラットも成長したんだな。うん、うれしいよ、俺も」
あはは、ありがとう。
そうだ、お土産持ってないなぁ。
何かなかったっけ?
おっと、そうだ。これ、どうだろう。
「これね、うちの料理長がつくったんだよ、ワイバーンの燻製なんだけど。そのままでも食べられるけど、ちょっと炙ったらもっとおいしい。お酒のときにでも食べて」
「おお、悪いな。それにしてもワイバーンの燻製か。お前、料理長がいるのか?」
「うん。元、王宮の料理長だけどね。いつも美味しいもの食べさせてもらってる。フラットもサンも大好きだよ、料理長の作る料理は」
そうか、すごいな、と笑ってるね。
何か面白いものはないかな、と見てみようかな。
「短剣とか剣は持ってるのか?」
「うん、持ってるよ。今はあまり移動しない依頼だから魔法の方が多いけど、見てくれる?」
出せ、と言われていつものミドルソードと短剣を取り出した。
「この剣と短剣、まだ使ってくれてるのか?」
「うん、だってピッタリだもん。ただね、ミドルソードをそろそろ変えたほうがいいかなと思ってる。でも、他所で見せてもらうことないから。何かいいのがないかな?」
「おう? あるぞ、俺のつくった剣で良ければな」
見せて、と言えば本格的なのを出してくれた。まあ、迷宮のはあるんだけど、いつもは使わないからね。
「これ、いい感じだね。ちょっと振っていい?」
了解をもらってミスリルのミドルソードを振ってみた。本当はヒヒイロカネの方がいいんだけど、加工できないかな。
「ドールーハはヒヒイロカネは加工できるの?」
「できるが、素材がないんだよ。高くて買えんだろうよ」
なるほどね、どうするかな。
「魔力を通して使うならどっちがいい?」
当然ヒヒイロカネだと言われたよ。まあ、そうだよね。
素材があったらできる?
試しにそう聞いてみた。
「そりゃ、あれば作れるな。ちょっと時間はかかるが、作れるなら幸せだ」
「じゃあ、頼もうかな。ヒヒイロカネはあるんだ。だから、俺のサイズでミドルソード作ってもらえる?」
へ?
あはは、ドールーハが固まったよ。
「そ、それ。それは……いいのか?」
「いいよ。俺がドールーハに作ってもらいたいんだ。迷宮でミスリルも出てきたけど、使いにくいから。だから頼みたい。いい?」
「お、あ、うあ……そ、それはありがたい。だが、加工にも金がかかるんだが」
「気にしなくていいよ。俺、自分のもの、ほとんど買わないしね。フラット、サン、何か作ってもらう?」
うーん、僕は使わないよ。僕も~
まあ、二人には必要ないよね。
じゃあ、とりあえず、俺のだけ頼みたい。お願いします。
「あ、ああ。ありがたい。じゃあ、身長とか寸法取らせてくれ」
いいよ~
出来上がったら水晶で連絡をくれるらしい。
でも、遠いから時々俺の方から問い合わせをすることにしたよ。
忙しいドールーハに顔合わせとか言って、時間を取らせるのは申し訳ないからね。
読んでいただきありがとうございます。
無事出来上がったみたいですね、ナギのお城が。笑
これで使用人たちの負担も減るでしょうね。
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