191 やらかしたよ、ブルックスが。
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
じゃあ、行ってきますと空間を出て、しっかりと閉めました。
アニに連絡をして、仕事が終わり次第、ブートと来た時の空間を通って戻るように伝えます。四人のBチームはその前に外に出して戻ってもらうように頼みました。
どうするのかと聞くので、西でトラブル発生だからと伝えます。
じゃあ、しっかり仕事をして戻りますと言ってくれた。
戻ったあとは空間は閉めますねというので屋敷の中で閉めてもらうことにしたよ。
Bチームは水晶を持っているので事務局の入口で連絡をするように。
時間より少し早めに戻るようにと伝えておきました。詳しいことはアニに聞くように伝えたよ。真っ暗になる前に戻るようにと言い聞かせておきましょう。食事もしないとだしね。
じゃあ、と一階の店をロックして、魔法で開かないようにしておきます。魔力は全て充填してあるので問題ないでしょう。
アダムさんたちは店主と一緒に上に上がったので、俺たちも三階に上がります。そこで空間をつなごうと思ってます。
「ノル。今から空間を繋ぐよ。そっちも中に入っていいから」
『わかった。じゃあ、入ってから出入りできない結界を張っておく』
お願いね、と念話を終えました。
フラットは獣化して背中にはサンがいます。
さて、やりましょうか。
ここから西のゴーレム迷宮の入口入ってすぐの場所に空間をつなぎたい。
<虚数空間>
ふわりと光った先に見えたのは岩だね。
「来たか」
「うん、お待たせ~」
そう言い、出ていきます。フラットもゆっくり出ました。
<魔法解除>
おっと、きっちり普通の岩に戻ったよ。やっぱりすごいよね~
で、どうなったのかな?
「まだ戻ってない。でも、そろそろ戻るはずだ。迷宮に入ってるのは五人だな。五人が戻り次第、少し奥に普通の結界を張る。岩にも結界を回しておくほうがいいだろう」
そうだね。
じゃあ、奥に結界を張ってくれたら、手前の結界を解除するから。
頼むな、と聞いて待ちましょう。
はぁ、面倒だね。
宰相には連絡してないんだけど、どうするかな。
そうだ、おじいちゃんにメールを打とうかな。
+++++++
アルムおじいちゃんへ
ナギです。
いろいろと助けてもらってありがとう。すごく嬉しいし感謝してます。司祭様もいい人だったよ。同時に料理人まで来たけどね。でも、おかげさまで局の職員たちも楽に仕事ができそうです。
あと、もう知ってると思うけど、今、西の迷宮にいます。
ブルックスが冒険者たちと迷宮の壁を壊して中に入ってた。信じられないよ。あれほどダメだと言っておいたのに。まだ死人は出てないみたいだけど、もう嫌になりそうだよ。
このまま依頼を受けたくない。
だって、どれだけ頑張っても王弟殿下は王族。ブルックスも王族だもの。俺たちの気持ちややり方なんかは理解しないと思う。今回のことも大罪だと思うけど、おそらく何の咎めもないだろうと思う。それじゃ意味がないでしょ。
やっぱり人は変わる。
少しは人を信じられるかと思ってたけど、無理みたいだ。
東で関わる人たちは互いに利益もあるし、いい人たちだと思う。でも東にいる貴族は領主くらい。さすがに王族はいないからね。
わがままでやりたい放題の王族とは縁は持ちたくない。
そのまま話してみようと思うんだ。
おじいちゃんの気持ちに添えないかもしれないけど、ごめんなさい。
西の辺境は孤児院もちゃんと教会が経営してるらしいから、必要ないし。でも貴族のチェックもしないよ。王族だって知らない。もういいよ。ただ、民が傷つくのは見たくない。その話だけして手を引くよ。
ごめんね、愚痴ばかりで。
また時間があればお返事ください。
じゃあ、そろそろバカが戻ってくると思うから、対応するよ。
ナギ
+++++++
オッケ、送信っと。
戻ったみたいだぞ、とノルの声を聞いて振り返る。
「な、なぎ、さま……」
「こんにちは。元気そうで何よりだよ。それで、誰なの、その人たちは」
「え、ええと。その、こいつら、は、地元の、ぼうけん、しゃたちで……」
ゴン! といきなりノルがブルックスを殴った。
殴っちゃったんだよ、王子を。やるねぇ、ノル~
「な、何やってるんだ、ブルックス様は王子だぞ。それをいきなり殴るなんて。お前たちは、誰なんだ!」
はぁ、それも理解できてないんだね。
「何も知らぬのか。我が主は国王より依頼を受けてこの辺境を素晴らしいものに作るはずだった。だが、その契約の中にはいくつか禁止事項がある。この迷宮はブルックス、お前も主に鍛えてもらったであろう? それなのに、裏切りか!」
めずらしくオニキスが怒ってるね。まあ、気持ちはわかるけど。
「そ、それは。それで、誰がそのナギなんだよっ!」
はぁ、とノルとオニキス、フラットが大きくため息を吐く。情けなさそうな顔でサンが俺を見上げてるね。
あはは、ごめんね、サン。
ピコン! と聞こえて俺を見たのは眷属たちだけだね。
+++++++
ナギ殿
此度はややこしいことになったの。
マンションのことはお前の考え通りでよかろう。なかなか建設的な考えである。
そして今直面している問題であるが、仕方あるまい。これ以上甘やかせるとお前に無理がかかる。その場で国王と通信をつなげよ。そして眼の前で判断をさせるのだ。その後は、王弟のことを問いただすがよいの。当然、処分は国王である。間違えぬようにな。
それでも話が進まぬなら、儂が信託を下そう。
その時は、ブルックスと王弟を伴い、王宮に向かうのだ。そうじゃの、そのまま向かっても良いか。その方が早いやもしれぬ。宰相もおるゆえ、それでよかろう。冒険者たちは別の階層に放り込めばよい。それはノルとオニキスに任せよ。良いな、フラットの持つ罪人の空間にとらえて向かうのだ。冒険者たちは迷宮内で戦えば良い。生き残るかどうかは、本人次第である。
ゴーレムが出現する場所に冒険者たちを連れて行き、通れぬ結界を張ればよい。先にお前はその場を出ればよいのじゃ。魔法で王弟を捉えて、ブルックスと共につれて参り現状を見せるがよい。
気持ちは辛かろうが、けじめをつけよ。
先のことは宰相と国王との相談である。東の迷宮は素晴らしい街になる。問題は西であるな。
そのあたりも相談するがよかろう。
では、王宮で話をしようではないか。その時に良い話が聞ければよいがの。
ナギ、悪は正すのじゃ。それでよい。それがお前の使命である。我の助けになるのじゃ。我を助けてくれぬか、頼むの。
アルム爺
+++++++
あはは、おじいちゃんに気を使わせちゃったな。俺の心を心配してくれる。本当にありがたいよ。
でも、大丈夫だよ。
俺は裏切り者は許さないから。許せないよ、絶対に。ノルは姿を変えてまで俺を助けてくれる。オニキスだって、叱られたらちゃんと反省して努力した。フラットは生まれたときからの弟。サンも弟だよ。ソラは神に頼まれたし、もう俺の弟、というか息子の感覚。冒険者たちはいつか巣立っていくと思うけど、使用人たちは俺に尽くしてくれる。忠誠を誓ってくれてるから、心配はしてないよ。だから、ユリアロウズ国の屋敷も任せようと思ってるんだ。
だから、今回はきっちり始末をつけるよ。
舐められたままじゃいられないからね。
じゃあ、今から行動するよ、おじいちゃん、ありがとう。
タブレットから顔を上げると、どうした? とノルが聞いてくれる。
だから、タブレットを肩からおろして眷属たちに見せたよ。眷属たちなら見えるからね。
「理解した。アルム神様の指示通りにしよう。オニキス、行くぞ。ナギはその間、王宮に連絡してくれ。そうだ、まずはブルックスの確保だな」
そういったあと、ブルックスはノルの魔法で拘束された。
ノルとオニキスは冒険者たちを拘束して、獣化したあと結界に放り込み、そのまま飛び立った。
「あ、あの。ナギ様。申し訳ございません! 甘えておりました。冒険者たちにせがまれて、ついつい。本当に申し訳ございませんでした!」
ふん、まあ、こんなものだよね。
「フラット、悪いけど、悪者入れる空間作ってくれるかな。二人だけでいいから」
わかった~とシャッと空間を開いてくれたよ。
そして、ブルックスのシャツを掴んで思い切り放り込んだ。ゴンって音がしたけど?
「宰相、今いい?」
『ナギ様。お疲れ様でございます。いかがされましたか?』
「国王はいるの?」
『はい。おります。すぐに代わりましょう』
『ナギ様、お世話になります。それで……』
「今から行くよ。その前に王弟殿下を連れにいくから。今ね、迷宮の中なんだ。ブルックスは拘束した。だからそのまま待っててよ。恥をかきたくなかったら、宰相以外は置かない方がいい。アルムおじいちゃんがそっちで会おうって。だから待ってなよ」
『は? 迷宮ですか? アルム神様が……ええとどういう……』
何か話してたけど、すぐに切っちゃったよ。
本当に苛つく。
ナギ、と呼ばれて振り返れば、ノルとオニキスだった。
終わった? と問えば、問題なく泥のゴーレムの階層におろして安全エリア前に結界を張ったって。あの辺りなら死なないだろうと笑ってるよ、オニキスが。
まあ、どっちでもいいけどね。
じゃあ、行くかな。
冒険者用の空間に全員で入って魔法を使う。
王弟殿下は執務室にいるらしい。
じゃあ、そこにつなごうかな。
(虚数空間)
パッと開いた空間の向こうでは、王弟殿下と代官が話しをしてたね。
「今から王宮へ向かう。共にいくのだ」
あはは、オニキスが怒りの表情だね。
「え、と。あの、王宮、ですか?」
「そうだ。代官は残れ。領内の仕事が多々あろう。いいな、参るぞ」
そう言い、王弟殿下は引きずられる。
領主様! と聞こえたので顔を出してみたよ。
「俺が連れて行くって言ってるんだ。それでも異を唱えるのか!」
おっと、素が出ちゃったよ。
「な、ナギ様! いえ、とんでもございません。理解いたしました」
今から王宮の謁見の間に空間を開く。
(虚数空間)
開いた先には宰相と国王が頭を下げて立っている。
まるっと無視した俺は皆と外に出た。
(虚数空間解除)
音もなく閉まった空間です。
すると、フラットが空間を開いてブルックスと王弟殿下を放り出す。
ぐうっと唸ったけど、別にいいかな。
「あ、あの。何がありましたか。ブルックスが何かやらかしたのでしょうが」
そのとおりだ、とノルが最初から説明を始めた。
その間、俺達はソファに座って出してもらったケーキとミルクを楽しんでます。フラットもサンも美味しそうに食べてるよ。オニキスも同じだったのは笑えた。
「そ、そのようなことを。申し訳ございません! とんでもないことをしてしまいました。このようなこと、あってはならぬこと。どのような処罰も受け入れますので」
受け入れる? ということは俺に処分をしろってことか。ズルいよな、国王。我が息子のケツも拭けないのか?
「宰相、大司祭を呼べ。すぐにだ。アルム神様がこの場に来られるゆえ、依代になるようにと仰せだ。早くしろ!」
はいっ! と宰相が駆け出した。
「あの、父上! 私が、私が冒険者たちに籠絡されて……」
「うるさい! お前は黙っておれ。発言はナギ様の許可がなければ許さぬ!」
わ、かりました……
あはは、ブルックス、親にも見放されかねないね。
はぁ、もう少し食べたいよね、お菓子。今度はパンケーキとか出てこないかな。
はぁ、とため息を付いた時、眼の前にふわふわのパンケーキが置かれる。え? と見上げればにっこり笑ってくれたよ、侍従長は。
ありがたいよね、この気遣いは。料理長にも感謝ですよ。
「ありがとう。ちょうど食べたいと思ってたんだ」
そうですか、と優しい笑顔に癒やされますね。
息を切らして飛び込んできた大司祭だけど、俺の前に跪いて深く頭を下げる。
「すみません、お忙しいところ。おじいちゃんがそう言うので」
「いえ。とんでもございません、私のようなものをお使いくださるのはありがたいことです。それで、どうすればよいのでしょうか」
そう聞かれてノルを見る。
「大司祭、そのままそこで祈るのだ。アルム神様を思い祈ればよい」
はい、と俺の方を向いたまま、大司祭は手を会わせて祈り始めた。
読んでいただきありがとうございます。
うーん、なんとも言えないブルックスです。
あれほどナギが鍛えてくれたのに。全て無駄になっちゃうんでしょうか。
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