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185/202

185 ハルトは離脱しましたが、面接ではたくさんの人が集まってくれました。

こんばんは、こんにちは。

いつもありがとうございます。

今日もよろしくお願いします!


※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様

        『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。


 執事がやってくるよ、無言で。

「何人くらいお越しでしょうか」

「オニキス以外のメンバーと、あと十人くらいだと思うんだけど。お茶でしょ?」

「はい。お菓子はいかが致しましょうか」

「そうだね、焼き菓子とかクッキーとかあるかな。それでいいよ」

 承知しました、と下がっていったので、準備してくれるでしょう。

「アニは? 休んだのかな。まだなら、ケーキもらったらいいよ」

「大丈夫です。お茶の時間に頂きましたので。おやつももらいましたから」

 なるほどね、さすがだね、屋敷の使用人たちは有能だよ。


 どこか領主の持ってる土地が近くにあればいいんだけどね、と話していたら、皆が戻ってきたよ。

 お疲れ~と皆を迎えます。

 警備隊は食卓に座って~

 はい、と嬉しそうに座ったよね。

 俺の隣にはノル。俺の隣に座るサンの隣にはフラットが座ったよ。ソラは俺の膝の上だしね。

 

 ただひとり、近くに立ってるのはハルト。

 無言のまま立ってるけどさ。なんで何も言わないの?


「ハルト、ナギに言うことがあるだろうよ」

「……あの。連絡もせずにすみません。俺、娼館にいました。惚れた女ができたんです。一緒になりたいと思ってます。ごめんなさい!」

 ふうん、そうなんだね。


「別にいいけどね、ハルトが誰と結婚しても。それでもさ、姿が見えないとみんな心配するでしょ。大人だよ、ハルトは。最初の話を信じてたのにね。まあ、いいよ、出ていくならアイテムボックスと水晶をおいていって。あと、今日までの給金を払うから。元気で頑張ってね」

 ノルにいくら渡そうかと念話で問うてみる。

 前に渡してからは、それほどの仕事はしてないだろうと言うんだけど、金貨二十枚くらいでどう? と問えば多すぎるという。せめて金貨十枚だろうと聞いた。でも、結婚するならお祝いもね、と二十枚にすると伝えた。


 アニを呼んで、この中から十枚ずつ、別々の革袋に入れてほしい、と分けてもらうことにした。すぐに、と食堂から出たけど、おそらく小さい方の応接室に行ったんだろうね。


「あのね、ハルト。その女の人のことだけど、どういう人?」

 そう聞いて、俺はハルトを鑑定する。

 エアリアルという女らしいね。

 で、エアリアルってまともな人かな?

 はぁ、ダメじゃんよ。金づるの一人だよね、ハルトは。でも、調べてくれとも言われてないから放っておこう。うちの子たちは素直に聞いてくれると思ってたけど、ちょっと悲しいよ。


 アニが戻って来た時、アイテムボックスと水晶がテーブルに置かれた。

 荷物は? と問えば、リュックを指すので納得したよ。アイテムボックスの中を確認しようとしたら、いろいろあるんだけど。

 これ、とノルに見せたら、呆れてた。

 剣とか短剣、洋服とか靴なども入ってたよ。

 こんなもの返してもらってもね、と言えば、全部を取り出したノルは、お古はいらないぞ、とリュックに入れたよ。


 ハルトもいつからこうなっちゃったんだろうね。以前は素直でいいやつだった。なんで? 

 鑑定には出てなかった。

 ということは、やっぱり今回の出会いだね。のめり込んじゃったんだね。

 とりあえず、ノルに鑑定結果を見せてみようか。


 ハルトの鑑定結果を印刷したい。


 スルリと一枚の紙が出てきた。

 ノルに、渡せば理解したんだろうね、ハルトの鑑定結果だと書いてあるから。

 それをみて、驚いたのはノル。


『内緒にするのか? これだけは話してやれよ。それを信じるかどうかはハルト次第だから』

 そうかなとノルに任せることにした。


 アニは二つの革袋をおいてくれた。そして残りだとちゃんと返してくれたよ。


「ハルト。お前に餞別として教えてやる。ナギがみたお前の鑑定結果だ。普通なら見せずに放り出すところだが、最初からお前はよくやってくれた。ずっとそのままだったら良かったのにな。憲兵団の団長になる予定だったが、仕方がない。これ、後で確認しろ」

 すみません、と受け取ったよ。


「ハルト、ちゃんと冒険者したほうがいいよ。人は変わるし、簡単に人を騙す。それは忘れないでね。この前の給金からそれほどたってないけど、これは給金だよ。そして、これはお祝い。結婚するんでしょ。だからね、ハルトにあげるんだよ、女にじゃない。それは忘れないでね。じゃあ、元気で」


 そう言って手を上げた。

 

 サンがふるふると身体を揺らす。ソラは、驚いて俺を見た。

『あるじ、いいの? ハルト、騙されてるよ』

『いいのぉ~、はるちょ~』

『仕方ないんだよ。ハルトが女の人がいいんだって。だからね』

 ふうん、バカだね~と言ってるよ、サンは。


「お世話になりました。裏切るような事になりましたが、俺のナギ様への忠誠は代わりません。人が足りないときにでも、依頼してください。みなさん、お元気で」

 

 みんな、辛そうだね。

 おそらく、理解してないのはハルトだけだろう。


 フラットが立ち上がり、入口へと歩きだす。荷物を持ったハルトはその後をついていった。



 はぁ~とため息が出る。

 どうしようもないよ、本人が決めたことだから。



 じゃあ、気分を変えて、管理事務局の話をしようか。

 アニが作ってくれた募集の広告を取り出して、変更箇所を伝える。当然、アニはその場で訂正したよ。

 それをどう仕上げるか、なんだけど。クリエイト先生にお願いできないかと思って挑戦してみることにした。


 迷宮管理事務局の職員募集の張り紙を作りたい。

 内容はこの紙に書いてあるとおり。それ以外に必要な項目があれば付け加えてください。


(クリエイト)


 ふわりと光った羊皮紙は、すぐに収まったよ?

 確認しようとアニといっしょに見てみれば、概ね、同じ内容だった。それに張り紙には、あのゴミ袋にあった『NAGI・CREATION』が入ってる。透かしみたいに見えるんだけど? そうか、これで事務局が発行したものだと証明するんだね。でも、迷宮管理事務局の文字の下には、ちゃんと『NAGI・CREATION』のマークみたいな文字がありました。詳しくは話せないよね、恥ずかしいから。


 じゃあ、これでいいかと聞かれて、概ねいいでしょと答える。ただ、給金を決めないと。

 それからは、ブーゲリアや王都ギルドのギルマス、宰相、フルレット、屋敷の使用人たちにも聞き取りをしました。孤児院は特殊な人ばかりだから。工房はひと月いくらということにしてます。そのうち、作ってもらった物を買い取る方法にしてもいいと思ってるけど。でも、嫌がるんだよね、親方や棟梁が。俺が望むものを形にしたいんだって。そういうことか、と納得するしかなかった。


 やっぱりユリアロウズ国のブーゲリアからの返事が一番金額がよかった。

 この迷宮は国が立ち上げるものだし、家賃収入や買い取り利益などは経費を引いて国に渡す事になってる。それについての税はフルレットと宰相の相談になると思うよ。だって、フルレットが迷宮経営にかかわらないなら、そうなるよね。

 あと、眷属たちの給料と突発的に動いたものは、依頼になるらしい。だから他の職員とは給金が違う。当然、ブートとアニもそうなる。警備隊は国からの給金が出るんだけど、危険手当も必要になるからね。

 あとは、管理事務局内で仕事をする人、それ以外の職員もいるから、かなりの人数になる。それは、国から出るそうなので安心だ。

 国経営の安宿やコインシャワーは、国の管理にしてもらう。当然、家賃の集金や掃除なども同じこと。少しでも、うちのアパートに住む元スラムの人たちには、自分の仕事をしてもらいたいからね。


 あと、国全体がゴミ袋を使わない限り、焼却場は使わせない。居住区でもアパートでも、ゴミ袋で出した時は処理するけどね。ただ、燃えないゴミもでる。鉄のものなどは別に粗大ゴミとして受け入れる。燃えないから。当然、多少の金はもらうけど。無断で放置したり捨てた人は、警備隊の憲兵が捕縛する。それくらいしないと、迷宮の街は汚れてしまうから。

 掃除の人、ごみ収集の人、焼却場の人、公衆浴場の人などは、給金のベースは同じ。だって、同じ国に雇われるんだもの。

 

 給金は、ブーゲリアに聞いた金額より低めだけど、王宮の文官まではいかないくらいに設定した。それだけの仕事はするからさ。

 フォランドール領の迷宮探索者協会よりも、少しだけ高額だと思うんだ。


 翌日からは、アニとブートが警備隊(Bチーム)といっしょに募集の紙を各掲示エリアに貼りに行ってくれた。それ以外は、貼らせてくれるという商店の店頭にもお願いしたり、居住エリアの家にポスティングもしてもらった。


 その間の俺は、サンとソラ、フラットと一緒に迷宮管理事務局の看板を大きく掲げて、一階には探索者協会の小さなプレートをかけた。

 そして、世界ギルドから派遣された人と話して、無事に辺境ギルドのギルマスは交代した。副ギルマスも降格して、ギルマスと同行した人になったよ。

 その告知に掲示板を使わせてくれと言うので当然了解しました。

 その後は、探索者協会本部から連絡があり、最低限の様式を守って貰えれば問題ないと言われた。協会費は、ブーゲリアのいるフォランドール領と同じで、探索者からではなく、国から徴収してもらうことにした。東の辺境では、冒険者も探索者も迷宮に入るには、事務局へ申し出て、詳細を記載して許可証と交換することにした。

 主に、悪いことをした時の対策だよね。


 

 その後、迷宮を一般に開放する日を決めて、ノルたちは迷宮に入ることになった。その間は、BチームとAチームで街を巡回することにした。

 俺は、アニとブートと一緒に、職員希望者の鑑定と面接だ。

 

 思ったより希望者が多くて驚いた。

 けれど、アニの鑑定の段階でダメな人は四割近くいた。

 残りの人達からの話を聞いて驚いた。アルムおじいちゃんから聞いたように、元商店の人たちがかなりいたから。


 ゴミ回収や焼却場、公衆浴場の職員も希望者が多くて驚いた。公衆浴場では女性を多く雇おうと思ってるんだ。だって、日常のことでしょ。オープン前の準備とか途中の掃除とか。掃除スキルを持つ人が多かったので思いつきました。とても助かるよね。

 もちろん、男性も屈強な人がいるよ。

 冒険者が入浴することが多いだろうから、表にでるのは男性にします。元冒険者で、腕に自身のあるアパートの住人が責任者になったので安心です。

 当然、ごみ焼却場も責任者もアパートの住人です。荷運びをしていたでっかい人が責任者です。

 それ以外にも、各施設のメンテナンスは配管をしてた二人にお願いしました。上下水のこともあるし、温泉の配管や排水のフィルターのこともあるから専門職にお願いしたよ。

 

 驚いたことに、元侍従という人が面接に来た。

 貴族の屋敷で侍従をしてたらしいけど、貴族には雇われたくないと言う。おそらく何かあったんだろうね。鑑定でもAランクの侍従でしたので、所長室、補佐室の掃除や客人のおもてなしなどを頼むことにしたよ。だって、協会の人とかも来るから。給湯室を見て大感激してましたけど。

 

 一階の職員は、選べるほどの人が面接に来ました。ですが、女性はあまり雇えませんでした。結婚相手を探しに来てる人が多かったから。それに、能力的にも問題があります。冒険者ギルドで務まらなかったくらいだから無理でしょ。

 ただ、総合案内だけは優秀な人が来ました。

 落ち着いた女性で、二十五歳です。もと、王宮の文官だったそうですが、いじめが酷くて辞めたらしい。それは鑑定でも出てました。有能な人を排除しようとしたらしいけど、俺はありがたかったよ。

 総合案内の小さなテーブルエリアを作って、プレートを掲げたよ。『総合案内』と書いてあります。そして、登録や確認などの窓口には番号をつけてあるので、それを案内してもらいます。たくさん勉強する必要がありますが、喜んで引き受けてくれました。

 副所長がアニだと言えば、安堵してましたよ、女性がいたって。

 顔がいいだけの女性は使い物にならないからね。

 アニも嬉しそうでした。

 かなり頭が良さそうなので、将来はアニの代わりにとも考えてますが、鑑定ができないそうでちょっと残念です。


 買い取りエリアには優秀な鑑定魔法の使い手が入りました。四十歳過ぎの男性ですが、元冒険者らしく、攻撃魔法も使えます。いざというときには助かるよね。

 俺と面接したとき、思わず立ち上がって下がってしまいましたね。そして平伏したんだけど。どうやらアルム神様の使徒だと出たみたいだね。あはは、内緒でね、と伝えておいたよ。


 そして、素材買い取り所に、元大きな商会の会計職員が来たことです。隣街で以前の伯爵に嫌われてクビになったらしい。しっかり管理しすぎて敵視されたんだよ。でも、ここではしっかりお願いします、と頼んでおきました。


読んでいただきありがとうございます。


ハルトは人が良すぎるんでしょうね。

いつか、戻って来るのでしょうか……


コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。

明日もどうぞよろしくお願いします。

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