163 先の討伐依頼は終わりましたが、その上に、国王に説教しちゃいました。
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
はぁ、疲れた。
みんなはどうしてるかな。
ちょうどモニターを出してるから見てみようか。
最初はオニキスのところだね。
(投影)
おっと出たね。
ええと、王都の森は通り過ぎてるね。でも、速くないかな。
あ、オニキスが冒険者の先を狩って、背中にのせて移動してる。考えたね。うん、おりこうだよ。
じゃあ、ノルの方は?
(投影)
あはは、進み方は同じだね。
ノルの背にはハルト、フラットの背に冒険者が二人乗ってるよ。
普通の人は高速で移動することはできないからね。どうやらオニキスとノルが相談したらしい。いいことだね。
このやり方なら、今日で終わりそうだけど。やっぱり速いよ、うちの子たち。
映像を見ているのはフルレットとパーミットだけど、俺の前には綺麗なケーキとつめたいミルクが置かれる。
ありがとう、と侍従長に笑顔を返します。本当に気がつくよね。うちの使用人たちと同じだ。
さて。
どうやって狩っていくか。
森の頂上から向こう側に結界を張るんだけど、その前に国境を作るかな。いや、やるなら北の森の討伐が先だろうね。
うーん、とりあえず、結界を張らないとダメだよね。
「パーミット、フルレット。領内に通達できるかな。明後日から森の魔物討伐に入るから、明日の午後から結界を張る。森全体にね。だから人は近寄らないようにって」
それは何とかするって。
かなりの人数だけど、どうしようかと話してるよね。
じゃあ、ノルとオニキスに元の姿で声を拡声してもらおうか。それとも俺がやったほうがいいかな。それとも冒険者たちを使うかな。
ギルドに依頼して、書いたものを街道に張ってもらうとか。それは無駄かな。
冒険者の募集もしないとダメだし。
うーん、どうするのがいいかな。
『ノル。今どのあたりかな』
『そろそろ岩のエリアが見えてくるだろうけど、どうした?』
『ええとね、王宮からの依頼。北の森の向こうの討伐と森の整理なんだけど。森に入るなと警告したいんだ。でも、かなり広いんだよね。どうすればいいかと思って』
『なるほどな。じゃあ、現地の冒険者はどうするんだ、雇うのか?』
『うん、引き受けてくれるならね。ひとりSSランクがいるんだ。だから聞いてみたい。それにギルマスもギルド全体もいい人たちばかりなんだよ。でも、明日の午前中だけじゃあ、警告は難しいよね』
『それでもやらないとな。声を拡声してもいいが、やはり麓のあたりを馬でかけながらでも、人に知らせた方がいい。そのうえで、探索しながら結界を張るしかないな。いつからやる?』
『告知ができ次第取り掛かりたい。ヤバそうなんだよ、森自体が』
『それなら、目視しながら街との境目に結界を張って行くほうがいい。とりあえず、麓に張ることができたら問題ないだろ?』
なるほど、麓の結界ができれば、その後上を張ればいいんだよね。
『わかった。じゃあ、オニキスはどうかな。両方とも、どれくらいで終わりそう?』
『そろそろ終わると思うぞ。オニキスに連絡して折り返す。少し待ってくれ』
お願いね~
ふう、と息を吐けば、心配そうな宰相がいる。
「どうされましたか、大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だよ。ただ、民に知らせるのがね、大変でしょ」
そうですね、と考えているね。
「それでは、私は領地に戻りギルドに依頼して民に声を届けましょう。お先に失礼したいのですが」
うん、いいよ。
明日にでもギルドに行ってみるよ。その時には連絡するね~
よろしくお願いします、とパーミットは執事を連れて出ていったよ。
さて、残りはフルレットだね。
「フルレットの方も、麓近辺の告知は頼むよ。ただ、辺境のギルマスはダメだから、どうするかな」
「それでは、騎士を走らせましょう。騎士団なら、馬に乗っていろいろな場所で声を上げるようにいたします」
うん。わかった。じゃあ、当日の麓近辺の警護も頼めるかな。
承知しました、とフルレットも腰をあげた。
じゃあね、と手を振り送り出したよ。
こういう時、なにか手立てはないのかな。
拡声するのも一つの手だけど、なにかいいアイディアがありそうな気がする。うーん、今は何も思いつかないけど……
『あるじ~、おちちゃ~』
起きたの。出てくる?
あい~と言うので鞄から出してあげたよ。
キョロキョロとテーブルの上で見回してるけど、思いだしたかな、ここは王宮だよ。
『おやち~』
おやつ食べるの? 少し待ってね。
ええと、蒸しパンでいいかな?
コクコク頷くので、保存容器ごとコピーして出しました。
うん、大量だね。
じゃあ、ミルクでしょ?
あ、侍従長が来たよ。
おやつ持ってきてくれたんだ。ありがたいね。
「お待たせしました」
そう言い、美味しそうなケーキを置いてくれました。その他には小瓶のミルクが三本ですね。
『あいあちょ~』
あはは、聞こえないけど、右腕を高々とあげたね、ソラ。
ハグハグ食べ始めましたよ、ケーキを。
ミルクの蓋を開けておけば、ごくごく飲んでケーキ。その繰り返しです。ケーキはふたつありましたので、一応、保存容器の蓋は閉めておきましょう。そうでないと、しっとり感がなくなりますから。
嬉しそうに身体を揺らしながら食べてます。本当にかわいいね。 そんな時、ノルから連絡がありました。
『ナギ。まだ王宮か?』
「うん。そうなんだ。依頼書が出来上がって来ないから」
『そうか、じゃあ、どうすればいい? 俺たちも行こうか?』
「疲れてないの? 大丈夫かな」
『問題ない。まだ依頼時間中だからな』
そうか、それなら知恵を借りたいな。
そういえば、フラットの空間に全員で向かうから、と言ってくれました。当然、宰相に知らせますよ。
それならば、とあわてて侍従長に指示してましたね。いつもより人数が多いけどね。
それから十五分くらい経った時謁見の間のテラスに大きなフラットが降り立った。
ソラがいるので外に出ることができないんだけど、バタバタしてるソラをテーブルからおろしてやりましょう。浄化してから慌てておろします。
トテトテと駆け出すソラは、窓ガラスにへばりついて、みんなに手を振ってますよ。
ノルがこちらに歩いてきます。
サンは人型をとったフラットの腕の中ですね。
オニキスも人型だし、ハルトや他の冒険者たちもゾロゾロついてきます。
窓を開けてくれたのは侍従長です。
ありがとう、とノルがソラを抱き上げました。
『おかり~、おちかれちゃ~』
「ただいま。みんな戻ったぞ」
あ~い! と腕を上げて嬉しそうだね、ソラ。
「お疲れ様。どうだった、今日の討伐は」
楽しかったです、と皆が言う。
そうなの、楽しかった?
どうぞお座りください、と侍従長が勧めてくれます。
俺とノルはソファに座りますよ。サンとソラはテーブルの上に座りました。一人掛けにはそれぞれフラットとオニキスが座りましたね。
冒険者たちには椅子が用意されていますね。
少し待ちましょうか。
「ナギ様。皆さん、討伐を終えられたのですか?」
そうみたいだよ~
「素晴らしいです。ノル殿、魔物の状態はいかがでしたでしょうか」
「……あれほどになるまで放っておくな。俺たちはいつもいるわけじゃない。民のことを慈しみ守り、感謝する。それが国の努めだと思う。それを実行して形にしろよ」
おおっと、ノル、ハッキリ言ったね。あはは、相手は一応国王だよ。
「申し訳ございません。この度、ナギ様とノルさまをはじめとする眷属の皆さんと出会えて、我が国は救われました。その上、民のこと、そして王子たちをいかに甘やかせていたか、現実を見ました。今おられる冒険者の方々よりも年齢が上の我が王子たちですが、どうすればいいのか、悩んでおります」
何いってんの、今まさら。
冒険者たちが居心地が悪そうじゃないか。
「あのね、王子たちは、どこまで行っても王族だよ。ここにいる冒険者のようにはなれない。だって、経験が違うもの。人生の経験がね。みんな家族を背負って冒険者をやってる。それ以外は、魔物や理不尽な人間に家族を殺された。その加害者が国にもいる。俺はすぐにでも消し去りたいよ」
ええ?
宰相が驚いてこちらを見る。
ちょうどいい、ここで話しちゃおうかな。
「俺さ、どこの国でも思うんだけど、魔物を狩る冒険者は命がけで当然だと思う。だけど、安い依頼料で命をかけるんだよ。それに対して国は何もしない。領主が依頼をして討伐する。まあ、当然なんだろうけど、国を魔物から守るのは冒険者だよね。それに対して国は何かしてるの?」
ええと、いえ、なにも、してはおりませんが……
そんな、当然のように言うなよ、国王。
やっぱりね、と呆れてしまうじゃないか。
ここからは俺の考えだよと話すことにした。
お金を貰って魔物討伐に行くんだからそれでいいだろ、っていう考えだろうけど。それで命を落とした時、残された人はどうしてるか知ってる? 大変な思いで生きてるんだよ。親が生き残ったならまだいい。子供だけが残される場合もある。それでも孤児院には入れてもらえない。だから、俺は孤児院を建てた。それ以外もある。お年寄りと片親、そして子供が残された場合は、誰が働くか。当然、片親でしょ。それがお母さんだともっと大変。
仲間にもいるけど、そのために俺のメンバーとして各地に行かれない。お母さんは片足を失ったおじいちゃんの世話がある。お父さんは魔物に殺された。だから、冒険者として稼がないとだめ。
でも、俺がいなくなって依頼があるのか心配してる。それくらい、綱渡りな生活なんだよ。だから俺は辺境に残る今回の討伐メンバーには別の依頼をするつもり。俺の受けてる依頼関係の警備とか他いろいろね。そうでないと、国からは何の保証もない、税は取られる、討伐依頼も出ない時がある。それじゃ食べられないでしょ? 国がそのあたりを手当しないからだよ。
食堂や衣服を買う時には税を含んだ金額を払う。魔物を討伐しても依頼料から税を引く。素材を売っても同じ。
国は民の生活全てから税を取るんだよ。それなのに、何の保証もしない。
貴族に渡す金があるなら、国民のことに使えばいいのに、と俺は思う。俺はそうやって行くつもりだよ、孤児院の使用人たちにも、工房の職人たちにも。元冒険者も数人いるから、その人たちと一緒に働いてもらおうと思ってる。
本来なら、国がやるべきことだよ、保証も警備も。でも、騎士団なんか一部の人しか使えない。偉そうに言うだけで魔物一頭倒せないよ。それなのに、休みもあって十分な給金をもらう。その上、騎士だということを振りかざし民を脅す。いても意味ないよ。俺なら、ここの騎士団は半分になるだろうね。
国は搾取するやつ、貴族は甘い汁をすい人を踏みつけるやつ、民は虐げられる者。俺の認識はそうだね。だから東の辺境は俺が決めた人員を認めないなら、俺が個人的にする。そうなると、王宮との付き合いはやめるつもり。
ハッキリと言ってやったよ。
さすがに、国王と宰相は青くなってるね。
オニキスはクツクツ笑ってる。フラットは少し驚いてたけど、大きく頷いてた。ノルはもう呆れてるね。
「ナギの言う通りだな。俺も同じ意見だ。だから依頼をさっさと終わらせて別の国に向かいたい。まあ、孤児院があるから、いつでも戻るし、工房もあるし冒険者たちもいる。すぐに戻れるからな。素晴らしいだろ、ナギの能力は」
サンとソラも立ち上がって右手を上げてくれてるんだけど、ちょっとまった!
「サン、ソラ。少し待って。ジャンプしないよ、食べかすが……」
ええ? と周りを見るちびっ子二人だけど。
あんぐり口を開けてるね。
(クリーン)
はあ、綺麗になった。
じゃあ、二人を綺麗にしてっと。
(クリーン)
うん、やっときれいになった。
あれ? 冒険者たちが固まってるけど、どうしたの?
「ナギ、様。今、話しておられるのは国王陛下と宰相殿ですか?」
そうだよ~
わわっと聞こえて、みんなが臣下の礼を取る。
「お前たち、臣下の礼を取る必要などないぞ。お前たちは自らの力で生きておるのだ。国王に食わせて貰っておるわけではない。国ができないことを代わりにやっておる。礼を言われてもいいくらいだ。だが、主殿がいたからこそ、我らはこの場におるのだ。主殿が依頼を受けねば今、この時はない。アルム神様と主の差配に感謝すればよいのだ」
ぶははは~
面白い理屈だね、オニキス。
「そういうことらしいよ、みんな。いいから椅子に座って。お茶でも飲めばいいよ。ここの侍従長のお茶は最高だからね」
は、い……あははと、戸惑いながら立ち上がってるよね。
あ、新しいお茶を持ってきてくれたね、侍従長。ほかの侍従たちはお菓子を持って来てくれました。
俺の前にはケーキですよ。
ちびっ子たちは、飽きたのか、本を出して二人で読んでますね。
本当にかわいいね~
読んでいただきありがとうございます。
ナギちゃん、怒ってましたね。
とにかく国は温いのですよ、どこでも。何をすべきか、何が必要なのかなど、理解していませんね。今の日本政府みたいです笑
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明日もどうぞよろしくお願いします。




