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162/202

162 なんとか一つの領地は救われそうです。

こんばんは、こんにちは。

いつもありがとうございます。

今日もよろしくお願いします!


※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様

        『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。


 はぁ、つまらないよ~

「ナギ様。今の間にお願いを聞いていただけませんか?」

 なに~?

「うちの館の使用人たちを鑑定していただきたいのです。どうにも信頼できずに困っております」 

 ふうん、そうなんだね。

「いいよ。もっと早く頼まれるかと思ってた。早くしたほうがいい気がするけどね」

 それでは、お願いいたします。依頼料はどれくらいで、と聞かれて考えておくと伝えたんだ。まあ、一所懸命なフルレットだから別にいいけどね。これはとりあえず内緒にしておこうっと。


 どこにいるのかな、パーミットは。遅すぎるでしょうよ。

 ええと……

 あ、ぐるっと回って来るんだね。それにしても遅いだろうよ、こいつ。あれ、すぐに出発してなかったのか。どうしてかな。うーん、なにかあった? おおっと、さっき出てきた貴族とつながりがあるの? これはどういうことなんだろう。

 ということは、こっちの元辺境伯とパーミット、で中心にいるのが貴族だよね。ええと、こいつは。

 子爵のドロンだね。

 どこの領なんだろうね。

 うーん……

 辺境の隣なの? ああ、それで元辺境伯はそこに住んでるのか。なるほどね、面白いよ、こいつらの集まりは。一気に潰したほうがいいかな。


 それから一時間ほどたって、やっと来たよ、バカタレが。

 その間に、国王と宰相に俺に見えたことを話して、ついでにドロンにも招集がかかった。転移で来い、と国王が怒ってたよ。どうなりますかね。


 ちょうどいい時間が空いたので、ゴミ袋を確認してもらったよ。

 テラスで火をつけてみれば、一瞬で燃え上がり、消えた。燃えカスもないんだ。

「素晴らしいですね、ナギ様。これならば、焼却場に放り込んでも、袋がすぐになくなるのでゴミの燃焼ロスもないですよね」

「そうだね。普通に麻袋とかで焼こうと思ったら結構たいへんだけどね。これなら大丈夫だと思うよ。その方法は教えるけど」

 よろしくお願いします、と頭を下げたよ。

 おおよその金額も伝えて、最低注文数も話した。これ以下だと思い切り単価が上がるんだといえば、すぐに使ってしまうでしょう、と嬉しそうだ。


 はぁ、とため息をつけば侍従長が料理長からだとアイテムボックスを渡してくれる。うれしい、と大喜びしちゃった。当然、代わりのアイムボックスを渡しておいた。

 その後、ケーキと紅茶が置かれる。隣にはミルクだね。

 あはは、両方出してくれた。気を使ってくれたんだろうね。侍従長、ありがとう。

 

 にっこり笑ってケーキを食べましょう。

 ソラは眠ってるので、俺はひとり食べてます。う~ん、幸せ~

 そんな幸せに浸っていると、どうやらバカどもが来たみたいだね。さて、どんな反応をするか、見ものです。


「陛下。大変お待たせいたしました。出掛けに民が参りまして相談に乗っておりました」

 ふふん、ウソばっかりだね。

「うむ。それで、解決したのか?」

「はい。問題ございません。既に騎士団を派遣いたしました」

 

 すごいウソばっかりだよ。

 ぷふっと吹き出しちゃった。あはは、ごめん、宰相。

 いえ、と微笑みと視線で答えてくれますよ。

「な、なんだ。お前は平民ではないか。なぜ、そこで座っておるのだ、不敬であるぞ!」

 あははは~と、我慢できずに笑っちゃったよ。

「なんでここでケーキ食ってるのかって思ってるでしょ。出してもらえたから食ってるよ。おいしいよ、料理長のお菓子は」

 なんだ、ほんとに。こいつは、どうして……とブツクサ言ってるよ。


 こいつ、俺のこと覚えてないんだな。

 ドロンとは以前、ここで会ったよ。高位の貴族を処分した時にね。それを忘れてるんだろうね、呑気でいいよ。


「御使様に対して、あまりに不敬であるぞ、ドロン子爵! 汝らの所業、全てお見通しである!」

 なんで今言うかな、国王よぉ。

「陛下、言うのが速いよ。面白い寸劇が見られるところだったのに」

 失礼いたしました、と頭を下げる国王を見て、どうやら思い出したようだね。

「ドロン子爵だっけ? なんで呼ばれたかわかってる? パーミットは後で話すけど」

「……み、御使様、お久しぶりでございます。大変申し訳ございませんでした。勘違いをしておりました」 

 勘違いねぇ。

「まあいいよ。それでなぜ呼ばれたかわかってる?」


 いえ、とドロン子爵はバックレたいんだろうね。冷や汗かいてるよ。

「ねえ、どうするのかな。俺としてはここで始末をつけたいんだけど。とりあえず、森のことを聞いてから決める」

 そうですね、と宰相は大きく頷いている。

「パーミット男爵。森の討伐のことですが、あれほどになるまで放っておいたのは何故です? 依頼料を出さないそうですね」

 い、いえ、そんなことは……

 さて、言い訳が始まるでしょうね。


 依頼をしても誰も受けないんだって。あそこの冒険者たちは動かないんだと主張してますよ。


 そりゃ受けないよ、命がけの討伐だもの。かなり安いからね。溝掃除でもしてたほうがいいくらいだね、依頼料は。

 なんだか、ツラツラとウソを並べてるけど、ドロンは何してるのかな。

 あはは、知らぬ顔だね。

 でも、お前も同罪だよ。

 

 あとは前辺境伯か。

 それなら呼ぶかな。

「宰相、前辺境伯も呼び出して。それで悪がそろうから」

 すぐに、と水晶板を取り出して全辺境伯を呼び出してるね。おっと、ここからは国王が話すか。


 うん、転移ででもすぐに来い! って怒ってるよ。

 馬車で来てたら間に合わないしね。

「パーミット男爵、もういいよ。本当に嘘つきだね。ここに来る前に民が来たって? それも大ウソ。ドロン子爵と水晶で話してた。なんで呼ばれたのか、どう対処するかを話してたんでしょ」

 それは無駄だよ。

 あっちの森でスタンピードが起こればパーミット領は終わる。辺境は俺たちが狩ってもいいと思ってる。依頼の続きだから。でも、パーミット領から辺境の森を越えて魔物が一頭でも入ってきたら、俺は許さない。今日も命がけで眷属たち、冒険者たちが討伐してくれてるんだ。

 王宮側の森から南の森までは俺が依頼を受けてるから狩ってる。でも、そちら側は知らない。

 もし、危害を加えるなら、俺が許さないよ。そうなれば、遠慮なく移動してきた魔物を追い返す。あとは自由にすればいいよ。辺境部分には結界を張るから安全だ。

 どうするか決めて。ドロン子爵と悪巧みしてるのは知ってる。前辺境伯も仲間だよね。それと、辺境ギルドのギルマス。他にもいろいろと飼ってるみたいだけど、皆同罪だから。


 そこまで話して嫌になった。

 面倒だから。

 最終的には国王が決めること。ただ、それだけならパーミットは何も感じないし、何もリスクを背負わない。そんなのは許せないよね。これは人災だよ。パーミットの起こした災害だ。だから話しによっては潰す。

 ドロン、パーミット、全辺境伯。この三人はいる必要はないと思うから。


 タラタラと汗を流しながら、ドロンにすがろうとしてるけど、ドロンは無視してるね。なんでこんな奴にくっついてるんだろう、意味がわからない。

 そういうことか。

 お金だね。でも、パーミットはバカだよ。

 半分以上ドロンに持っていかれてるのに、知らないんだね。

 もとより、民を捉えて他国に奴隷として売る。その行為自体、信じられない。許せないよ。


 どうやらパーミットは諦め始めてるね。

 いざという時、ドロンが助けてくれないと、やっと理解したかな。

「あ、あの。御使い様。少しお話よろしいでしょうか」

 うん、いいよ。何かな?

 すっと立ち上がり、フルレットの隣に膝をついたよ。


「あの。どうやら私は勘違いしていたようです。ドロン子爵の話しを真に受けて、人をさらい奴隷化して他国に売るという企みに参加してしまいました。ですが、そのかわりに我が領内のことを優先して力を貸していただけると言う事でした。ですが、実際には、口を出されるばかりで、実際に何かをしていただいたことはありません。多少の金を貰ったくらいです。先程、やっと気づきました。本当に情けない、何とか領内を潤したいと安易に話しに乗ってしまった。これは民を苦境に陥れる結果となるでしょう。この命で償うしかございません」

 

 ふうん、理解したのかな。

 ちょっと鑑定っと。

 ほほう、事実だね、この話し。本当に凹んでるよ、このおじさん。


「それで、御使い様にお縋りいたしたく思います。我が命と引き換えに、民のために魔物の始末をお願いできないでしょうか。陛下、何卒、お聞き届けを!」

 

 ふむ、それならいいでしょうよ。

 こいつは心を入れ替えて領主としてやれるんだろうか。

 

 鑑定……うん、大丈夫そうだね。

 民は何も知らないし、なんとか暮らしてる。それなら、スタンピードなんか起こせないでしょ。


「陛下、どうするの? パーミットは本気みたいだよ。さっき鑑定した。領主としても、頑張れそうだけど。命を持ってとか言ってるけど、悪いのはドロンと前辺境伯。前辺境伯のことは俺も理解した。辺境ギルドのギルマスをみてはっきりわかった。まあ、パーミットを領主として残すかどうかは任せるけど、魔物はどうするの? それと、ドロンは?」

「あの、ナギ様。パーミットは再度領主として役目を与えても良いのでしょうか?」


 なんで宰相が聞くの。それは国王の役目だよ。国王、いい加減真剣に国を動かしてよ。そうでないと、宰相がいないとこの国は回らなくなる。それなら宰相の国でしょ。違う?


「……ナギ様。誠に申し訳ございません。私が甘えておりました。それ故、ドロンや先日処分された貴族たちのような奴らがはびこるのでしょう。これからは、心をいれかえ、宰相に教えを請いながら頑張っていきたいと思います。何とかお助けくださいませ!」

 あはは、宰相に教えを請うのかよ。 

 まあ、そんな話しすら出なかったんだから、ちょっとは考えたのかな。


「まあ、まだまだ甘いけど、とりあえず己の考えを口にしたのは評価するよ。それなら、ドロンを捕縛して。前辺境伯はどうしてるんだろうね。逃げる用意をしてるんじゃないかな」


 ちょっと探索してみようか。

 ええっと。

 あ、やっぱりね。どうやら国王の剣幕にビビって逃げる準備をしてるよ。どうしようかな。そのまま拘束できるかな。

 遠隔で拘束できるスキルが欲しい。


(クリエイト)


 うん、オッケ。できたよ。

 光らなかったね、まあいいか。

 じゃあ、やってみようか。


(遠隔拘束)


 おっと成功したと思うけど。


 モニターをだして、ここに置くかな。


(投影)


 ブウンって映し出された映像だけど、ちゃんと拘束されてるね。

 じゃあ、連れに行こうか。

「騎士団長、いる?」

 はっ! と入って来たよ。

「一緒に来てくれるかな。悪人連れにいくから」

 承知しました、というのでとりあえず俺と騎士団長の周りに結界を張ります。壁の側でつなぎましょうかね。


 前辺境伯邸とここをつなぎたい。


<虚数空間魔法>


 ブワッと開いた先には、全辺境伯と思われるおっさんが転がってるよ。ギャーギャーうるさいんだけど。

 猿ぐつわ!

 あ、なんか挟まったね。

 

 こいつ連れて帰るから~

 承知しました、と騎士団長はおっさんを肩に担いだね。

 あはは、すごい、かっこいいね~、騎士団長!


 そして謁見の間に戻りました。

 はい、虚数空間魔法を解除しましたよ。

 結界を解除して転がします。


「あ、あの。ナギ様。先程はなにを?」

「全辺境伯の家とここを繋いだんだ。直結してみました」

 すばらしい、です……

 

 宰相? あ、固まってる。国王もパーミットもね。


「とりあえず、このおっさんとドロンは投獄して屋敷の書類とか調べたらいいよ。証言するよね、パーミット」

 もちろんでございます、と頭を下げたよ。


「ナギ様。また能力がましておられますね」

 フルレットが変なことを言うんだけど、笑っておきました。


 じゃあ、ここからはパーミット領と辺境の森の話しだよ。

「どれくらいの魔物がおるでしょうか」

「うーん、これはやってみないとわからないよ。それと足場が悪いんだよ、あちら側は。その分は冒険者たちにも依頼料が上がる。今だって、結界の中で討伐するから、普通の依頼料の倍くらい出してるよ。だって、魔物の中に放り込むようなものだからね。まあ、うちは眷属もいるから随分安全だけど」

 

 そうですね、と国王も頷いてる。

「では、こちらも最初の見立てより魔物の数、樹木の数が多いようですから上乗せとなります。ですから、今回はどちらも倍の数を想定しておきましょう。魔物は五千から六千頭、樹木は二十万本として依頼料は基準価格が倍の白金貨二十万枚でお願いしたいのですが、いかがでしょうか」

 

 おお、国王が宰相に相談せずに話したよ。

 そうだね、それなら引き受けてもいい。多分多少は上乗せになると思うけど。あと、南の森の山頂を過ぎたあたりはどうなってるの?


「それはですね……」

 おお、国王、やる気になったね。


 どうやら南は山頂が国境になるらしい。北の方が領地は広いんだって。それで、海までなんだね、領地が。

 その通りです、と嬉しそうに言ったよ。

 それなら、俺の領地の後ろ側は国境だったんだね。それなら納得だよ。じゃあ、国境で仕切ればいいんだね。


 そのとおりです、と頭を下げる。

 宰相に視線で確認すれば、頷いてくれたので大丈夫でしょう。


 では、と依頼の契約書類を作るらしい。

 

 じゃあ、俺はフルレットとパーミットと話しをしましょうか。

 そう言い、思い出す。

「パーミットは領主でいいの? パーミット領のままで行くのかな?」

「はい。今のパーミットは本気だと伺いました。今はそれを信じるしかないでしょう。この後、もし、悪に染まるようなことがあれば、お知らせいたします。ナギ様の判断で処罰いたしましょう」

 ええ? そこまでやらせるの、俺に。

「もちろん、鑑定依頼をいたしますので、できればお願いしたいのです」

 まあ、仕方ないよね、俺が鑑定したんだし。

「わかった。じゃあ、早めにね」

 承知しました、と国王が頭を下げた。


読んでいただきありがとうございます。


今回は一つの領が救われました。パーミットは良い領主になりそうな気がします。


コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。

明日もどうぞよろしくお願いします。

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[気になる点] こんにちわ~ 今回は、ちょいちょいと『前辺境』の『前』が『全』になっちゃってましたよ〜?
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