137 かわいい子どもたちとの顔合わせの後、夕食を作りましょう~
こんばんは、こんにちは。
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
「宰相。ナギです。孤児院のことはどうなったの? ブルックスの扱いは?」
『ナギ様。お疲れ様でございます。陛下とも相談いたしましたが、その土地はナギ様にお使いいただければと思っております。敷地は教会とは別になっておりまして、本来はもっと広いのです。それも全てナギ様の持ち物といたします。ですが、宜しいのですか、孤児院の経営は』
「それはいいよ。そう、土地は広いんだね。後は、給金のことと補助金のことだね。正直金貨三枚じゃ食べるしかできないよ。洋服なんかも必要だし。そのあたりは西にも聞いて話し合おう。で、ブルックスはどうするの?」
『ブルックス殿下ですが、王族のままでお願いしたいです。もちろん、そちらの孤児院で責任者として働いてもらって構いませんので。それに伴って、騎士を数人配置したいのです。殿下の護衛もありますが、それ以外にも男手も必要でしょう。ご自由にお使いください』
「それはありがたいけど。じゃあ、馬車は来るの? 当然、ブルックスと騎士たちの馬も来るよね。じゃあ、馬番とか庭師が必要かな」
『左様ですね。王宮から向かわせてもいいのですが、奴隷でも能力があればよいでしょう』
奴隷か。そういう制度もあるんだね。
「わかった。その辺りは検討するよ。じゃあ、建物は建て替えるから。ブルックスの部屋や騎士たちの部屋はどうすればいいかな? 今夜にでも相談できる? ブルックスとは水晶板で話をすればいいよ。忙しいだろうし」
『承知いたしました。では、何刻ころお待ちしておりましょうか』
時間はどうしようかな。
「ナギ。謁見の間なら、夕食はいつでも取れる。それなら、午後六刻くらいにするか」
そうだね、とノルの意見に従うことにした。
「宰相、それなら夕方の六刻でどうかな」
『承知いたしました。では、軽食などご用意しておきましょう。そのときにブルックス殿下の経費や給金、職員の給金などは相談ということでお願いします』
うん、俺にはいい話だね。
「わかった。じゃあ、夕方よろしくね~」
さて。
あっけにとられてた女性たちは、ノルたちの話を聞いて納得し、大喜びだったらしいよ。
「今日の食事の材料はある? 魔導具はあるのかな?」
「あの、魔導具はありません。ですから今日食べる分は今日確保するんです。今日の分はまだ何も……」
そう、それはつらいね。
子供の人数を聞いてみれば、三十人ほどらしい。それなら、何か作るかなぁ。
メニューを考えてもらうことにした。
その間に、オニキスにスラムのことを聞いてみたんだ。
どうやら、現場は確認してたらしいけど、手はつけてないらしいよ。
「じゃあ、オニキスとノルで行ってくれるかな。大人はどうでもいいけど、子どもたちを見てほしい。できれば鑑定して。いい子は引き取りたいから。それでスラムの状況を全て確認してほしい。建物や働く気があるのかどうか。子どもたちは普通に暮らしたいのか、とかね」
わかった、とノルとオニキスは出ていった。確認が必要なら宰相に聞いてもらうことにして、ノルに水晶を渡しておいたんだ。
フラットには、中を見てもらうことにした。
ベッドとかクローゼットは新しくなるからね。それ以外、本とかおもちゃとかもあるかどうか。どういう家に住みたいかとかも子どもたちに聞いてもらいましょう。
俺とサン、ソラは食堂で女性たちと話します。
主食はパン?
「パンがあれば。それ以外なら麦粥です」
寂しいね、それは。
おかずはどれくらい作るの?
「材料があるだけ、です。それ以外はできないので」
そうか、そうだよね。
聞いてみるから少し待ってもらおうかな。
「料理長は手が離せない?」
『お疲れさまです、ナギ様。少々お待ちください』
うん、待つよ~
『ナギ様。お疲れさまです。何でしょうか?』
「ごめんね、忙しいのに。余分にパンはあるかな。三十五人くらいが食べるほど。なければ買ってくるけど」
『かなりありますが、大人ですか? 一人二個くらいなら大丈夫ですよ。こちらは焼けばいいので』
「ほんと? それは嬉しいな。じゃあ、あとで取りに行きます。それと、シチューとかの材料はある? じゃがいもとかニンジン、玉ねぎとか。余分があるかな」
『ございます。すぐに補充したいですが。お使いになられますか?』
「うん、できればね。シチューなら大勢が食べてもいいでしょ。だからどうかと思って」
ご用意いたしましょうと言ってくれたので、あとで取りに行くことにしました。
これで大丈夫だね。
野菜はサラダなら俺のアイテムボックスにあるから。パンとシチュー、あとは、今日手に入れたローストビーフと明日の朝はベーコンだね。うん、そうしようかな。パンはコピーしておきましょう。
ごめんね、と話に戻ったんだけど。
サンとソラはおやつを食べてるよ。保冷バッグからミルクを出してね。テーブルの上で日常通りです。
「今夜はね、パンは俺の屋敷の料理長が出してくれるって。あと、シチューを作ろうと思ってるから、野菜ももらって来るよ。オークのシチューでいい?」
「え、あ、あの。そのような高級なものを、ですか?」
「高級じゃないよ。それは普通だからね。これからはそうなるんだ。しっかり子どもたちには食べさせたい。だから、いろいろ希望も聞くからね。肉は俺たちが狩った魔物の肉を解体してあるから、心配しないで。明日には建物を作りたいと思ってるんだけど。それまでは我慢だね」
ありがとうございます、と涙を流す三人だけど、本当なら国がすべきことなんだから。今まで苦労をかけたけど、これからは少しは楽になるよ、と伝えておいたよ。
俺も忙しいからね、できるだけ来るけど。
子どもたちの将来も考えたい。算術とか文字を教えてくれる人を探したいんだ。
それなら、女性たちが教えてくれるって。商人の娘だから、子供の頃から学んだらしい。その日常を過ごしていたから、ここの子どもたちを見た時、辛かったんだって。なんとかしなくては、と思ったって。
愛情持って育ててもらったんだろうね。
まっすぐに育ってくれた大人でよかったよ。
そこで、俺の身分を聞かれた。
俺は冒険者。
三歳の時、両親が魔物に殺された。その時から、薬草専門のHランクの冒険者として頑張った。その時、今子どもたちの話を聞いてるシルバーウルフと森で出会った。息も絶え絶えのシルバーウルフ王に託されたんだよ、息子を。それから二人で頑張った。
いろいろあって。
今は、黒鉄竜のオニキスと闇ヒョウのノルと一緒に活動してるって話したんだ。
他のひとりは? と聞かれて思い出した。ハルトのことを。
あれ? いないけど、どこに行ったのかな?
「ノル、ハルトの姿が見えないんだけど」
『ここにいるぞ。一緒に来てる。スラムの長と話せることになったんだよ、ハルトのお陰で。だから今、話してる。どうやら、ここでも国の政策の裏が明らかになりそうだぞ』
「ほんと? それ、何なのさ。とりあえず、こっちは夕食の段取りをしたら、アダムス商会に行きたいんだ。そっちも話が終わったら連絡して」
了解した、と返事をもらったよ。
あ、フラットが子どもたちを引き連れて戻ったね。
「ナギ様。おやつをいただきます」
うん、どうぞ。
「ナギ、終わったよ~」
ありがとう、フラット。
「さあさ、みんなはこっちでね。ナギ様がおやつをくれたのよ。いただきましょうか」
やったー、うれしい~と様々声が聞こえる。
「フラット、先に空間を開いて料理長に頼んでいたもの、もらってきてくれるかな。追加で、ミルクもね」
わかった~
そう言い、空間を開いて中に入ったよ。
サンもお手伝いするとついていったけど、大丈夫かな。
「じゃあ、ソラ。俺はキッチンに行くけど、鞄に入ってくれる?」
あ~い、とおやつの入った保存容器を持って立ちあがったよ。
浄化してから鞄の中に入りました。ちゃんとテーブル前に座ってるね。そこにミルクの保冷バッグを置けば、うれしそうに頭を下げたんだ。かわいいね~
それじゃあ、とテーブルの上や床を浄化して、鞄をかけ結界を張りました。
今日の盗賊のアジトからの押収品に、時間停止だけど、容量が小さいバッグがあったんだ。それを取り出して、旅のときに使ってたまな板を置いたよ。
保存容器を隣に置き、スライスしましょうか。
楽しい、久しぶりだよ料理なんて。まあ、クリエイトさんとスキルにお任せなんだけどね。
ローストビーフを取り出して、半分だけをスライスしましょう。厚みは薄く。子どもたちが食べるので柔らかい方がいいです。
(スライス)
じゃあ、半分は戻しましょうね。
他には、野菜を入れる籠を取り出します。
鍋の大きいのはあるかな?
残念だけど、それほど多いきいのはなかった。それなら、とデカい寸胴鍋を取り出します。当然、コンロの魔導具はないので、旅の最初に使ってた、二口のコンロだけのやつを出しました。
魔力を満タンに充填して、準備万端です。
水は? と出してみるけど、鑑定結果は良くないね。
どうやら一度煮沸してから使うみたい。大変だよ、これは。
それなら作るから、と少し待ってもらうことにした。
ええと。冷水機がほしい。
棚の上に置くタイプで、給水は魔導具で自動的にできる方がいい。冷たい水と常温の設定が可能な魔導具。排水は下のタンクに溜まるように。コップに直接水を入れる方法。鍋とかの小さなものなら同じように使いたい。水は飲料可能なグレードで。タンクは前世にあったガロン用のものでもいいです。清掃が簡単にできるように工夫をしてほしいです。
(クリエイト)
ブワッと光ったのはダイニングテーブルの端っこだね。
これ、人数足りるの?
足りない子は床に座ってるらしい。まあ、それもいいかもね。数日だし。
ただいま~とフラットが戻ってきたよ。サンは大きな箱一杯の野菜を掲げてるね。面白いよ、サン~
「これ、ミルクだよ。あとは野菜とパン。これでいい?」
「うん、ありがとう。サン、テーブルにおいてくれるかな、野菜たち」
は~い、と大きくなって箱ごとおいてくれました。
「じゃあ、すみませんが、ここで野菜をむいてカットしてください。シチューですので大きめでいいですよ」
はい! と包丁を取りに行ったね。それと大きな板だ。
これは浄化したほうがいいでしょう。黒くなってるし。
(浄化)
ふわりと光った板は綺麗になってますね。
驚きながら、いくつかのボウルを持ってきて皮を向き始めたね。
じゃあ、俺はキッチンに行くよ。
フラットもおやつをもらったらしく、座って食べてますね。
スライスが終わったローストビーフは保存容器に入れて、マジックバッグに入れます。当然、ミルクもささっと入れましたよ。とりあえず、三本はコピーしました。
次はオークを取り出します。
これもスキルにお願いしましょうか。あ、そうだ。クリエイト先生にお願いするなら、このままでいいよね。
ふわふわのパンは百個弱あったので、袋ごとコピーして倍にしました。明日の朝も必要だしね。
野菜が進んでいませんね。それなら、引き受けましょうか。
ちょっとまってね~と離れてもらいます。
この野菜たちの皮をむいてほしい。
(調理)
するすると皮が向けて行きますよ。本当に便利だね。
これは、と俺への視線が痛い。
「これは俺のスキルだよ料理スキルの使い方を変えてみたんだ」
なるほど、と関心してるね。
今夜作るシチューはたくさんだから、残ったら魔導具をおいておくので、朝、温めて。混ぜてないと焦げるから気をつけてね~
そう言えば、ありがたいと三人が頭を下げたよ。
「失礼します。ナギ様はおられますか?」
一番上のお姉さんか駆けていきました。
「ナギ様。りょ、領主様がおいでになっております」
ええ? フルレットが来たの?
「どうしたの、フルレット」
「ナギ様。お疲れ様でございます。こちらの土地の話ですが」
ああ、そうなの。それなら座って。
「ナギ、子どもたちと遊んできていい? サンも一緒に行きたいって。ソラは?」
うん? 中を見れば、おやつを終えたソラは両手を上げてるね。
よっこらしょ、と引き上げてやれば、ソラも一緒に遊びたいんだって。
じゃあ、行こうかと、サンが少し大きくなって手を引きますよ。
それなら結界を張るから、と外に出て、結界を張りました。うん、大丈夫だね。
塀がないから危ないよね、ここ。
読んでいただきありがとうございます。
純粋な子どもたちに癒やされるナギです。
サンもソラも一緒に遊ぶのはいい機会ですね。お互い、いい影響を受ける気がします、
コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。
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