表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/202

135 温い国の対応と孤児院、悪いやつを暴き出したりと、いろいろありすぎるでしょ!

こんばんは、こんにちは。

いつもありがとうございます。

今日もよろしくお願いします!


※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様

        『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。


 今、謁見の間には冷たい空気が吹き荒れている。

 俺が怒ってるからね。

 

 それで、どういうことかな。

 辺境を潰したいの? 誰か俺たちの代わりに、迷宮に潜って使い方を決める? 何がしたいの、西の辺境は。

 いろいろ勝手に進めるなら、俺は西から手を引く。

 フルレットは東の辺境の領主として、俺と宰相の決めたこと、自分の希望を話して着々と進めてるよ。

 俺は東の迷宮に入る前に言ったよね。やるべきことを話したはず。宰相でも、かなりのことが抜けてた。だけど、ブルックス、お前は迷宮のことにしか関わってないはず。辺境の運営は領主がやってるんだし。なんで、それくらいのことできないのかなぁ。

 それと二人の王子は? 

 最初から関わらせろって話したはずだけど。


 うっ、と唸った宰相だけど、国王が顔をあげる。

「ナギ様。申し訳ございません。王子たちは最初少し関わったのですが、どうにも理解できないようで。それで関わることを拒否しました」

 拒否した? なに、それ。

 自国の迷宮についてだよ。国王を継いだ時、どうするんだよ王太子は。もう一人には魔法騎士団にでも、とも言ったけど。

 このままじゃ、国王になにかあった時、誰が金を稼ぎ出す迷宮の面倒をみるの? 宰相だってブルックスだって、いつまでも元気じゃないよ。本当に、呆れてものが言えないよね。

 それで俺に全部頼ろうと思ってるってことか?


 その言葉に、項垂れたのは国王だ。

 項垂れても何も変わらないんだよ!

 大きくため息を付けば、ノルが背を撫でてくれる。


「ブルックス、二人の王子を呼べ。すぐにだ」

 はい、とブルックスは部屋を出ていった。

 残ったのは国王と宰相、西と東の辺境伯二人。


 オニキスはそれをじっと見ている。辺境伯の態度と国王の動きを確認するようにね。

 サンはソラの眠る乳母車の中で、まるっと無視して本を呼んでますよ。場が読めるよね、この子は。


 今のうちに、とオニキスに孤児院のことを聞くことにした。昨夜は俺が爆睡しちゃったからね。


「孤児院だが、あれは孤児院と言うのか? 建物はすぐにでも倒れそうだな。司祭とシスターは鑑定したが問題ない。だが、教会ができれば今までのようには関われぬだろう。善意で手伝いに来てくれている女性が三人いるが、みな、心から孤児のことを心配しているようだ。姉妹と従姉妹らしい。給金が貰えないので、食事は孤児たちの残り物、生活は親が残した小さな家があるので、そこでなんとかやっているらしい。時折、近所の屋敷に手伝いに行って、多少の給金をもらっていると聞いた」

 はぁ~

 情けないよね、それは。

 国は何の手も貸してないってこと?

 宰相に聞いたが、補助金は出ているはずだという。じゃあ、どうして? すぐに補助金のことを調べてくれと指示した。どうやって金が渡されるのか、誰が受け取っているのか。その辺りが知りたい。

 すぐに、と文官に指示したよ。早業だね。

 これは孤児院も大改革になりそうだね。

 じゃあ、大司祭を呼んでもらうかな。いや、知らないだろうね、補助金のこととか。


 ブルックスが皇太子と王子を連れて戻ってきた。

 あはは、きらびやかな服着て、何やってんの?

「おまたせしました、ナギ様」

 うん、ありがと。

 さて、二人を鑑定しようかな。再度鑑定だよね。


 あ、ダメだね。

 迷宮については、自分たちの代の事業じゃないと思ってるんだ。それなら、利益もいらないってことだよね。

 

「ねえ、二人とも。迷宮は親の代の事業だと思ってるんだね。それなら、そこから上がった利益もいらないってことでしょ。放棄するんだね、君たちは。それならそれでいいよ。契約にも入れてもらうよ。そうでないと、俺の作る武器とかは国王と契約するからね。代が変わったらそれでおしまいだから。忙しい所悪かったね、戻っていいから」

 

 そう言って、ノルとオニキスを見る。二人は大きく頷いてくれたよ。

 文官が戻ってきて、宰相が書類を差し出す。

 ブルックスに二人を部屋から出せと言ってるね。ここからは関わることは許さないと睨んでるよ。

 

 書類だけど。

 これ、どういうこと?

 補助金はどうなってるのかな。教会へのお金しか書かれてないんだけど。

「ねえ、これは何? 国から出てるお金って、教会に出てるだけなの?」

 ええと……あはは、文官は理解してないね。

 宰相は?

「孤児院への補助金も合算されて入金されておるはずです。孤児院へは金貨三枚だと記憶しておりますが」

 へえ、そうなの? 

 オニキス、どういうこと?

「金貨三枚? おかしいな、金貨一枚だと聞いたが」

 ええ?

 西の辺境はどうなの? 孤児院はある? 補助金は?

 王弟殿下に聞いてみた。

「孤児院はございます。教会に隣接しておりますが、補助金は金貨三枚で間違いございません。司祭が毎月責任者に渡しております。職員の給金は領から払っております。あまり高額ではありませんが、快く引き受けてくれております」

 ふうん。そういうことか。

 オニキスに司祭の鑑定結果をもう一度聞いた。

 どうやらオニキスの鑑定には出てないみたいだね。じゃあ、名前を聞いて、東の辺境教会司祭だと指定してみた。


(鑑定)

 =========

 フィールド:東の辺境にある教会の司祭 年齢三十七歳 司祭としては優秀


 金に執着している 

 孤児院の補助金からも搾取している

 金の亡者 ズルい 上辺だけ整える

 多額の借金あり 賭博好き

 =========


 ダメだよ、これ。

 宰相、司祭が金を盗んでるよ。差額の金貨二枚は司祭のポケットだね。金の亡者だと出てるし、借金があるらしいよ、賭博の。

 そう伝えた。

 ついでに、鑑定結果を念写してコピーをとり渡したよ。

 それを見て驚いたのは宰相と国王だね。

「主、申し訳なかった。負の部分を確認できていなかったのだと思う。ならば、我が其奴を確保してこよう」

 そうだね、どうしようかな。

 

 こういう時、どうなるの司祭は。

 大司祭に聞いたほうがいい? それなら呼んでほしいんだけど。

 承知しました、とすぐに呼んでくれるらしい。


 あれ? 二人のバカ王子は残っているじゃん。

「ブルックス。お前、やる気があるの? そうじゃなければ、これ以上知恵を与えることもないし、訓練もしない。それなら、三人でここから出て。ここからは金の話もあるからね、関係者だけだよ」

 そう言って手のひらで追いやった。


 オニキスには待ってもらおうかな。

 俺が行くか? フラットの空間を虚数空間使って孤児院に直接向かおうか。大司祭を連れていくなら、その方がいいかな。それとも、教会と切り離す?

 土地は誰のものだろうね。

「ねえ、宰相。フルレットの街の孤児院だけど、土地は教会と一緒なの? 別? 誰の持ち物?」

「……どうやら国の持ち物です。教会とは別ですね。どうされるのですか?」

 うーん、と腕を組んで考える。

 それなら、と俺の考えを話すことにした。


 その土地が国のものなら俺が買いたい。もしくは国に借りるか、だね。

 それで建物を壊して建てるから。

 あとの費用は全部俺が出すよ。

 本来なら、孤児院なんかはない方がいいんだからね。今いる子たち以外で受け入れてほしいなら、国からきちんと申し込んでもらう。その方がいいでしょ。個人経営の孤児院だよ、問題ある?


 さて、どういう返事がくるかな。

「あ、あの。ナギ様がご自身で孤児院を持つということですか?」

 そうだよ~管理人も職員も俺が雇う。それなら問題ないでしょ?


 なるほど、と納得してるよね。

「ですが、それは……ナギ様。国のすべきことを個人にお願いするなど、申し訳ないのですが」

 そうじゃなかったら、子どもたちはご飯も食べられないでしょうよ。

 あ、言っちゃったよ。ごめんね、国王。一瞬でへこんだよね。

「大丈夫だよ。誰か、ちゃんとした人が現れると思う。管理人としてね。その人も孤児院に関わってくれると思うんだ。それなら、今手伝ってくれてる人は、孤児院に部屋を用意する。その方が便利だし、お互い助かるでしょ」

 情けなさそうだね、国王。

 

「ナギ様。それならば、個人的な知り合いを当たってみましょう。辺境に富をと動いてくださるナギ様です。できるだけお手伝いいたしましょう」

 それはありがたいね。

 じゃあ、人探しを頼めるかな。

 俺も東の辺境に行く理由ができるしね。この国を離れても、空間を繋げられるようになったんだ。だから、今屋敷がある空間と孤児院をつなぐ。それなら移動も速いでしょ。

「そ、それは。素晴らしい魔法でございますね」

 魔法じゃなくてスキルだよ~

 なるほど! と宰相は大歓迎モードだよね。


「ナギ様! お願いがございます!」

 なにかな、ブルックス。

「西の辺境についてですが、今一度、お役目を頂きたいです。迷宮を開くまでで良いのです!」

 その後ですが、と話し始めたよ。

 ナギ様の孤児院の責任者として雇っていただきたい! 今まで、王族として温々と育ってきました。ですが、このままではナギ様担当としてあまりに情けないです。それに市井の者たちのこともきちんと知りたいです。王族を離れても良いと思っておりますが、できましたら、ナギ様のお手伝いをさせていただきたい。もちろん、私も鍛えていただきましたので、少しでも迷宮に潜り糧を得ましょう。それ以外にも、子どもたちのことなど、何でもいたします。どうか普通の人間として、生きられるようにお願いします!


 あれ? そっちに話しが向かうの?

 まあ、それはいい話だと思うけど。王族だからね、離れることは国王が許さないだろうね。本音を言えば、話もしやすいしありがたいけど。


「それはアルムおじいちゃんに聞いてみるよ。お前はどこまでも俺担当なの? 陛下はダメだっていうでしょうよ。まあ、その辺りは相談しておいて」

 嬉しそうな笑顔のブルックスを見てため息を付いた。

 

「大司祭でございます!」

 あ、来たね。

「おまたせいたしました。民の懺悔を聞いておりましたので。何がございましたか?」

 あったよ、と司祭のことを話して聞かせた。

 なんと! と驚いてるね。

「ねえ、陛下。こういうのはね、横領という罪なんだよ。横取りってこと。やっちゃいけないことだよね。それでも処罰しないの?」

「いえ。それはきちんと調べましょう。フルレット、騎士団長を向かわせよ。聞き取りをし、牢へ入れるのだ。ナギ様が行かれた時の判断に任せる。それまでは、館の牢で確保しておくのだ」

 すぐに、と水晶を手に謁見の間を出たね。


「大司祭、申し訳ないけど、東の教会には司祭がいなくなる。教会のため、民のために誰か決めないとね」

 そうでございますね、とガックリ来てるよね。

「ナギ、アルム神様に聞いてみよう。俺なら念話で話せるからな」

 ほんと? じゃあ、お願い~


 おう。そう引き受けてくれたノルは目を閉じたね。

 さて。 

 これで孤児院のことはなんとかなるかな。

 

 じゃあ、今決まっていることを宰相に話してもらおう。

 東も西も条件は同じ。

 国境門と国境は作り直す。民の住むエリアの魔物避けの壁もつくる。国が迷宮に入る者たちのために、安い宿を作る。一棟に四十四人前後入れる。ただし、月貸し。あとは、その宿の近くにコインで動くシャワーを作る。硬貨で決まった時間お湯がでる。追加もできるし、やめることもできる優れものだ。

 全て俺が作ると話したね。

 コインシャワーは俺が魔導具を作る。

 あとは、大通りの整地や強化、野営場のエリア決め。ゴミ出しのための袋、憲兵などの詳細も。

 商人たちの区画は、屋台から大きな区画までを作って、それぞれに給排水の設備をする。つなぎこむのは個人。建物は依頼がない限り建てない、土地のみの賃貸となる。迷宮の入り口には大扉ができて広場ができ、騎士の場所も作る。大通りから迷宮までは両側に店の区画を儲ける。それも、土地のみの賃貸。

 土地を借りるためには、東と西で別々に日程を決めて選別する。それは迷宮のことを布告する時に日程を発表する。領主であっても同様に賃貸になるので、貴族でも同様にその集まりに参加することになる。

 国が連絡するまでは外部に話を漏らさない。

 迷宮で使う武器など、俺の作る武器は全て国が販売する。当然、販売するものについては俺が商業ギルドで登録するので、誰も作れない。

 疑問があるなら、ちゃんと聞く。勝手な解釈で判断しても、国と俺は無視する。

 

 まあ、他にもいろいろあったけど。

 とりあえず、貴族だからとかの特別待遇はない、とハッキリ付け加えておこう。そうでないと、いろいろとたまらんよ。

 最後に確認したよ、国王と宰相に。

 国境や大門などは二か所とか長さとか指定したけど、野営場所などのその他のことは、東西同じにするなら、全て二倍になるよ。まあ、大通りとかは長さによるけどね。

 理解してる? と問えば問題ないらしい。それならいいかな。

 

読んでいただきありがとうございます。


なんだかわちゃわちゃですね、迷宮のこと。

それに孤児院のことも加わって、大変な事になってます。どうなるのかなぁ……


コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。

明日もどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ