127 準備を終えて別の辺境迷宮調査に行ったら、高ランク冒険者が一緒に行きたいって? 無理でしょ!
こんばんは、こんにちは。
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
どういうことだと聞かれたので、国に戻った時、あのままになってる土地に石で家を建てようと思ってる。外観は小さめでね。この屋敷は建物だけでも無理だから、最低の大きさで内部を拡張する。そうすれば、中は広めに取れるでしょ。でっかいテラスとかいらないしね。庭で遊べばいいし。厩舎もある、井戸もあるからね。水と排水は繋げばいいからさ。ただし、塀はミスリルで作ろうと思ってる。
それなら、お向かいが商会だし、あそこなら会頭さんが担当してくれると思うんだ。そうなれば、俺たちが陛下やギルドに呼ばれても大丈夫だし。使用人たちは火事なんか起こさないからね。
そう言えば、苦笑したのはノルだよ。
あの辺境伯は許せない。
現状を調べて見て、判断するよ。それに街の魔物の様子も見たいから。
それがいいな、とノルも賛成してくれた。
ノルの姿は変わったけど、ノルはノル。俺にとっては変わらないから。これからもよろしくね。
そう伝えれば、任せろと言ってくれた。本当にありがたいね。
使用人たちにしばらく外に出られないかもしれないから、必要なものは用意する。調べてほしいと伝えておいたよ。食材や日用品などは、今の屋敷から空間に持っていけばいい。トッドにも、同じように伝えたよ。魔導具から水も出るし問題ないからね。
あとは、飼葉とか敷き藁なども多めに買うから。
馬のことは俺の国に戻っても大丈夫だからね、と伝えておきました。
日付が代わり。
今日は、買い物三昧だよ。
商業ギルドに向かって、メモを見ながら買いものです。野菜は大量に欲しいって。ただ、屋敷の畑の苗とか野菜たちは空間の中に移動するらしい。その手伝いはフラットとオニキスだね。
俺とノル、サン、ソラは買い物です。
当然、乳母車も買いますよ。底に敷くクッションは良いものを決めました。そして毛布とかケットとか。あとはおやつを入れる籠をいくつも買いました。これは王宮とかで必要になるからね。
本はたくさんあったので買いません。別の街で買おうということになりました。
肉はたくさんあるので、販売するのは通常料理に使わないものだけ。それはギルドで売ることにしたよ。あとは、ポーション作成に使わない素材は売りましょう。皮もかなりあるから必要ないよね。でも、半分くらいは街に持って帰るかな。
そんなふうに準備をしましたよ、いろいろと。
三日目は、ノルも一緒に魔物狩りに行きましたね。
俺は休むように言われちゃった。サンとソラも一緒に残ってくれたので、すごく助かったけど。
それから二日後、やっとフルレットの辺境へと向かうことになったんだ。一日遅れた原因は、もらった領地というか、拠点の周辺の魔物が多すぎたから。外から入ってくるのはあまりない。ミスリルの魔物よけ柵があるからね。ということは、柵を作る前から住んでいたということ。全く気にしてなかったけど、知らないということは、おっそろしいよね。喜んだのはトッドだけだったよ。
フルレットの辺境までは、それなりの距離があるんだけど。
俺たちは空を進むので、全く問題ないよ。
冒険者ギルドで素材を半分だけ売り、馬場から空に上がります。
ノルの椅子に乗ってるのは俺。サンとソラはフラットが首に下げる鞄の中でゴロゴロしてますよ。オニキスは影の中だね。ブルックスも行きたいと言ったんだけど、ゴーレム迷宮のことがいろいろあるので行かれない。それは仕方ないよね。
普通に馬車で移動すれば五日ほどかかるらしいんだけど、俺たちは夕方にはフルレットと会ってたよ。
「ナギ様! お忙しいところをありがとうございます。やっと迷宮が開きます。明日から入られますか?」
「うん。そうするかな。フラットとノルはずっと飛んでくれたからね、今夜はゆっくり休んでもらうよ」
では宿をと言ってくれたんだけど、フラットの空間の中に屋敷があって、使用人たちも一緒に来てるから大丈夫と返事をすれば、首をかしげてる。
それなら見てもらえばいいかな、とフラットに空間を開いてもらった。
中に入ったフルレットは、ポカンとしたまま立ち尽くしてる。
「あ、あの。ここは空間ですか?」
「そうだよ。フラットの能力なんだ。そこに、住んでた屋敷を複写して置いたんだよ。使用人たちも一緒に旅をしてくれるっていうからね。感謝しかないよ」
素晴らしい、と満面の笑みだね。
「おかえりなさいませ」
あ、執事が迎えに来てくれたよ。俺たち、空間の入り口で喋ってたから。
「フルレット様。お茶でもいかがですか?」
ありがたい、と一緒にあるき出したよね。
俺たちはフラットとノルを浄化して屋敷に入ります。ついでにフルレットも浄化しておいたよ。
しっかり閉じられた空間を見て、連絡はどうすればいいのかと聞かれたので、水晶がつながるからと話しておきました。
玄関からトテトテかけるソラとぴょんぴょん飛ぶサンが食堂にいきました。
かわいいよね~
侍従に抱き上げてもらった二人は子供用の椅子にちょこんと座って、蒸しパンを食べてます。飲み物はミルクだよね。定番です。
どうやら既に領主の館の建設は始まっているらしい。
冒険者たちは、森の魔物討伐を頑張ってくれてるんだって。隣国からもたくさん集まってるって。いいのかな? 隣国にも魔物はいるでしょうよ。まあ、こちらとしては大助かりだけど。
ノルとフラットも蒸しパンがお気に入りになったみたいだよ。これは俺が伝授したからね、絶対に旨いはず。
フルレットは、明日何時ころから入られますか、と聞くんだけどどうして?
どうやら、高ランク冒険者が数人同行させてほしいって。
それは無理でしょうよ。
未開のダンジョンのこと理解してないよね。
最初にどれくらいの魔物がいるか、わかってないんだ。そこに飛び込むんだからね。もしかしたら、スタンピード状態かもしれない。だから、最初に入り口を開いたら、魔物がどれほどいても入るしかない。その上で、入ってから内側から開かないように結界を張る。出られなくなるんだよ、それでも大丈夫?
へ? とフルレットは固まってるよね。
「ということは……その様な場所にナギ様たちは突入されるということですか?」
そうだよ、その通り。
「それは……」
あはは、怖くなったのかな。
ブルックスの最初の姿を話してあげた。冒険者の方がブルックスよりは強いだろうけど、十人いてもダメだと思う。もし、一階層にいなかったら、その下は地獄だよね。そんな場所で何階層まであるかどうか分からない中、食事も干し肉程度だろうし、安心して寝ることもできない。転移陣がある場所じゃないと戻れない。
それで、普通の人間が生きてると思う?
俺は無理だと思うよ。
俺たちは、凍結の魔法を使って、入り口近くは全て凍らせる。そこから先は、地上から空から魔物を狩る。
凍結したり切り裂いたり、弾丸魔法で撃ち抜いたりね。おそらくだけど、集団で襲ってくるから全て狩りながら進むんだ。
だから俺たちも知らない人間を守りながらは無理。自分の身は自分で守る。それが冒険者だと思ってるからね。ずっと一緒にやってきたギルドの仲間とかなら手助けはするけど。
僕以外は全て眷属だから特殊能力を持ってる。俺も魔法は際限なく使えると思う。だから俺たちと同じ速さで進むことは無理だよ。
それほど力のある冒険者なら、俺たちが最下層まで行った後、迷宮を開く前にもう一度魔物の数とか種類を確認するために潜ればいいよ。辺境から依頼してね。
なるほど、とフルレットは腕を組み考えてるね。
よかったよ、その話を今聞けて。
ここで話さなかったら明日の朝には高ランク冒険者が揃いそうだったね。俺たちが進んだ後、勝手に入るならそれはいいけど、後でみんなと相談しよう。
嫌だからね、開くまでに何人もの冒険者が死んだ迷宮だなんて言われるのは。
食事の準備ができたときいて、フルレットは戻っていった。ノルが送り出してくれたよ。
食事前に風呂に入りたかったけど、仕方がない。
早めに食べてお風呂に入ろう。そしてゆっくり眠ろう。
朝はフラットが起こしてくれたよ。
サンも同時に目を覚ましたから、浄化して俺は着替えをしましょう。ソラは眠ったままだけど、赤ちゃんだから仕方がないね。とりあえず、食堂では乳母車に寝かせておこう。
階段を降りれば、ノルが待ってた。
「おはようナギ。体調は?」
「おはよう。大丈夫だよ、昨日はノルとフラットが飛んでくれたから」
そうか、とソラを受け取ってくれる。
乳母車を取り出せば、毛布を一枚敷いて、そっと寝かせてくれた。
サンは既に準備万端だ。フラットも人型で椅子に座ってるよ。
「いただきます」
皆が復唱してからガツガツと食事が始まる。
ソラは全く起きそうにないんだけど。起きたら何か食べさせるかな。そうだ、絵本も入れておくかな。あとは保冷バッグと菓子パンか。
「ナギ様。これはソラ様の朝食でございます。料理長が弁当に仕立てました。こちらはデザートでございます」
うわぁ、ありがとう。
「料理長、ありがとうね。助かるよ!」
満面の笑みで小さく頭を下げてくれる。
おやつの時間には戻られますか? と執事が聞くので、一応戻るつもり。だけど、進み具合によっては時間はズレるかもしれないと伝えておいたよ。
でも、嬉しいな。
今日は何を食べさせようかと考えなくてもいい。
迷宮を進むこと、ドロップ品を回収することを考えて進めばいい。そしてみんなのフォローだね。
自然と口角が上がる。
アルムおじいちゃんは言ってた。
身体の具合が悪くなったら、屋敷で休めばいいんだと。そう言ってもらって、すごく気が楽になった。
だから、この迷宮でも何かを学びたいと思ってる。ランクの検証も必要だよね。やっと調査ができる気がするよ。そのために入るんだもの。
探索もまだしてないから、何階層まであるのかも分からない。中に入ってから探索しようと思ってる。それならハッキリわかるからね。
朝食を終えて、俺はソファでデザート中。
今朝はフルーツだけにしました。
朝、オニキスも出てくれたので、となりでフルーツを食べてます。
執事には水晶板をあずけているので、王宮からの連絡も屋敷にしてもらってますから、安心して迷宮に専念できそうだよ。
さて。
そろそろ行きますかね。
みんな準備万端です。
俺も体験して、ノーライフキングの杖を背中に貼り付けて空間から出ます。
入り口では使用人たちが全員で見送ってくれます。
「お気をつけて」と送り出してくれました。
フラットはしっかりと空間を閉めて、獣化しました。ノルも既に獣化してます。ノルの背に椅子をつけて座る俺は、バックの中にサンとソラを連れてます。フラットは人化したオニキスは、そこそこ重さがあるので、一人だけですね。
その場で飛び立ち、先行するフラットとオニキスにまかせて、ノルと俺は後をついていきます。
少し高さがありますが、フォランドール領ほど高い場所ではありません。一度平地に降り立ちます。
フルレットの姿が見えたからです。
たくさんの人がいますけど何だろうね。
ゆっくりと降りてゆくフラットとノルです。
「ナギ様! おはようございます。今から向かわれますか?」
「おはよう。今から行こうかと思ってるけど。ここにいると、入り口を開けた時、瓦礫が落ちてくるよ? 危険だから下がってもらえる?」
わかりました、とフルレットが皆に下がれと伝えているが、こいつらは何?
「あのっ! 私たちは迷宮のために来た高ランク冒険者です。今日、あなたが迷宮に入ると聞きました。辺境伯からいろいろと聞いていますが、それでも私達は共に入らせていただきたい。お願いできませんか!」
あははは、何言ってんだろうね。何もわかってないくせに。
「オニキス。とりあえず、探索して。場所が決まったら教えてほしい。変化していいよ。俺が言うまで破壊しないでね」
承知、と人型のまま空にうかんだオニキスは、ドン! という音と共にドラゴンの姿になった。
当然、皆、驚いて動けなくなってるよ。だって、いきなり普通サイズのオニキスを見たら無理でしょ。
「あのね、あなた達は高ランク冒険者なんでしょう。でも、俺は一応人間だけど、他の眷属たちはそれぞれが見たことのないほどの高ランク眷属たちだよ。ノル、フラット、普通の姿を見せてあげて」
わかった~
了解、と二人は一瞬でシルバーウルフと闇ヒョウの姿になった。もちろん、サンとソラは鞄の中だよ~
ひょこんと顔を出したのはサン。
『あるじ~、大きくなっていいの~?』
うん、いいよ。外に出て大きくなる?
わ~い!
ヒュンと飛び出したサンは、ぬぬぬぬ~とでっかくなったよ。あれ、前より大きいよね、サン。
でっかいままでフラットの背に乗ったけど、いいのかな?
「こんな感じだよ。あのスライムは希少種でね、全属性魔法を使う。弾丸のように氷でも飛ばす。それで魔物の眉間を撃ち抜くんだ。もうひとり、赤ちゃんの別の子もいるけど、まだ寝てるからね。その子でさえ、光の魔法で魔物を倒すし汚い奴らは浄化する。その上で、俺は全ての魔法を使い、ショートソードで魔物を倒すし、空も飛ぶよ。さて、俺たちと同じレベルがいるのかな? 新しく開く入り口までどうやって行くの? 迷宮を開いたら中から強力な結界を張る。あなた達がたどり着いた時には俺たちはその場にいないでしょうね。一度に百頭の魔物を凍らせるなら仲間に入れてあげるけど?」
ううう、と冒険者たちは青ざめて後ろに下がったね。
バカじゃないの、ほんと。
読んでいただきありがとうございます。
やっとフルレット領の迷宮ですね。でも、へんちくりんな奴らがいますよ。まあ、実力はあるんだろうけど、現実を知らなすぎるね。二番手で我慢してもらいましょう。
コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。
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