122 この国のためだけに、ゴーレム迷宮専用武器を開発することになったよ。
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
「それではナギ様。ゴーレムの迷宮について教えていただけませんか?」
あはは、宰相が気を使ったんだね。これ以上話せば国王が凹みそうだし。
「そうだね。確かにゴーレムだけだったよ。だから普通の冒険者はあのままじゃ攻略は難しいね。そのあたりはブルックスが理解してると思うよ。ただ、あそこを公開して挑む人がいるかどうかだけど」
そう言い、どんなゴーレムか出てくるか、平らな迷宮なので、安全エリアを上手く使う必要がある。ドロップ品は鉱石が多いのと、能力増強の付与されているアイテムがそこそこある。そして、鉱石を持ち帰る事ができる魔法袋が手前の方から出始める。少し奥に行けば、容量の大きいものもあった。
でも、ゴーレム故に普通の魔物みたいに剣で切り倒すことはできない。剣のみなら、膝とか足首を攻撃して倒してから頭の文字を壊す。最初の方は土のゴーレム。あまり形のないレベルのものから、魔物の形をしたものまである。
途中からは石や岩になって、次は鉄のゴーレム。その次はミスリルゴーレムと素材は変わる。当然、形も変わるけど。
とりあえず、走る必要がある。移動距離はかなり多い、全体が平らな分は駆けて移動することになる。
ブルックスは最初からへばって使い物にならなかった。身体強化とか肉体強化なんかが使える方が楽だよね。うちの子たちは大きいから手足で頭を潰していってた。俺はブルックスのおもりをしてたから、最初は同じように剣で戦ってた。身体強化をかけずに一緒に走って倒してた。
でも、ここのいいところは、手前の浅いエリアでそこそこ稼げること。砂や土のゴーレムをやっつけて、石や岩を倒せばドロップ品も悪くはない。
その先は、ブルックスじゃ対応できなかったので専用の武器を作った。それで、投擲スキル、計測スキルなどがもらえてランクも上がった。初期型は鉄ゴーレムまでだったけどね。
その後は、もっと強力なものにグレートアップしたけど、使いこなせなかったから、トレーニング器具を作って自力で力をつけさせた。だから、今ならミスリルゴーレムくらいなら破壊することはできる。
でも、うちの場合は、眷属たちの実力がすごいし、俺が魔法を使って仕留める。ちびっこたちも魔法でやっつけるからね、ひとりで一体を相手するわけじゃないから、パーティで潜る方がいい。
ただし、現在の最下層は51エリアだけど、そこのボスはとんでもないやつだった。でも、一応殲滅したんだ。その時、浄化したら清々しい場所になった。
本当に厄介な溶岩のボスだったよ。人間じゃ対応できない。僕も魔法だけでやっつけた。全てを凍らせてね。何度も何度も凍らせて、最後に核のようなやつを魔法で殲滅浄化した。
だから51エリアのボスは変わると思う。
おそらく、冒険者パーティじゃ最奥にはいかれないと思うよ。
そう伝えた。
ふむ。宰相が腕を組んで考え込んじゃったよ。
これからどうするか、国の判断を待つしかないよね。
ソラはたらふく焼き菓子とケーキを食べたんだろう、ウトウトし始めたよ。膝に抱き上げれば、カクッと首が取れるかと思うほどに寝ちゃった。赤ちゃんを抱くのと同じように抱っこして、前を見る。すると、鞄から小さな毛布を出してくれたノルは、優しくソラにかけてくれた。
ありがと、と毛布で包み込んで抱き直したよ。なんだか懐かしく感じる。ふふふ、前世の記憶かな。
「ナギ様。最初のお話では、岩の迷宮の探索のみで他には関わらないとお聞きしておりました。ですが、迷宮に関して詳しいものがおりません。その上、ゴーレムの迷宮など、一般の冒険者では難しいかと思われます。何か策をお授けいただきたい。その上で、集客の手立てを教えていただけませんでしょうか」
は?
まあ、予想通りではあるけど、どうなんだよ。あまりに図星すぎて笑うしかない。
どうしようか、とノルを見る。
首をかしげて苦笑するんだけど。
『どう思う、協力した方がいいかな。でも、俺たちに言えることは迷宮内だけで使える黒玉とパチンコを作って指導するくらいしかないよ。あとは宿のことくらい?』
『そうだな。ゴーレムの倒し方を教えるとか、ボス部屋情報を渡すとかくらいか。あとは、迷宮内だけの黒玉はいい考えだと思う。ただ、迷宮から出たら消滅するようにできるか? そうでないと、戦争とかに利用されそうだ。俺が使っていたものでも、上空からだと王宮くらいなら殲滅できるぞ』
それなんだよ、と呟いた。
「あのね、普通の冒険者でも、ある程度はやれると思うよ。だけど、定期的に奥も討伐しないと、最悪暴走もあるかもしれない。それは誰にも分からないから、黙ってその時を迎えるか、ないと信じてそのままやるか。考え方は色々あると思う。俺はブルックスに作った黒玉を加工して、迷宮内だけで使用可能にしたいと思った。そうでないと、戦争とか利用されそうだからね。それにおそらく誰も作れないと思うんだ、黒玉を」
なるほど……と宰相は考えているみたいだね。
「攻略が難しいと判断するなら、迷宮の核をとって終焉を迎えさせるというのも手だ。頭のいい人間なら、ある程度までは進めると思う。強い魔法使いでもいればいいだろうが、普通のやつだと何もできないだろう。ナギほどの魔法使いなら、単独でも大丈夫な気はする。そのようなやつはいないだろ?」
「なるほど、そうですね。では、ナギ様の言われた黒玉というものはどのようなものですか?」
うーん、ここでは話したくないね。
なぜ? と聞かれる。
だって、俺が考えて俺が作ったもの。それは国王と宰相、王弟殿下、ブルックスのいる場所だけで話をしたい。情報もお金だよ、そう伝えた。
それでは移動いたしましょう!
あはは、宰相は決めるの早いね。
「あの、なぜでしょうか。我々貴族も聞きたいのですが」
こいつ、何か考えてるのか?
ちょっと鑑定っと。
ダメだね、これ。
野心持ってるし、欲深い。どっかの国と繋がってる? 絶対に聞かせないよ、こいつには。
「あのね、俺が作ったものだから、誰に聞かせるかは俺が決める。それに作り方は簡単じゃないし、俺と同じ力をもってないと作れない。あなたのように、野心家で欲深くて、他国と繋がってる貴族には絶対に聞かせないよ」
ハッキリ言っちゃった。
青くなってフルフル震えてるね。
「他国と繋がっておるのでしょうか、此奴は」
そうだよ~、隣の国といろいろ話してるよ~
なんとっ! あはは、国王が怒ってるね。
すぐに取り調べをと騎士団長が連れて行ったよ。いつまでもつかなぁ。まあ、頑張ってね、お貴族様~
「では、参りましょう」
宰相に言われて、ソラを抱いたまま立ち上がろうとするんだけど、難しいよ十歳には。
見かねたんだろうね、ノルがソラを抱いてくれたよ。助かるよ、ほんと。軽々抱いてるよね。それに上手だよ、抱き方が。
国王の執務室に落ち着いたのは、ノルと俺。そしてソラ。あとは、国王と王弟殿下、ブルックスと宰相だよ。
再び焼き菓子と紅茶が置かれる。
ノルを見れば、焼き菓子食えよと言ってくれたので、今のうちに食べよう。
ちょうどお腹が空いてたんだ。
パウンドケーキやドライフルーツの入ったもの、クリームを絞り出したケーキなんかを次々食べる。大きさも上品だから小さめです。だからいくつかを一気に食べたよ。紅茶も美味しいよね。
「さて。おまたせ。じゃあ、話そうかな」
そう言って説明を始めます。
実物を取り出して、手のひらの上で見せた。
これですか、と宰相と国王が不思議そうだ。
これは、魔法で作ったもの。安全のために不測の事態には対応できるようになってる。手から落ちたら大変でしょ。
ブルックスは、最初はこれを投げてた。案外上手だったのは驚いたけどね。でも、それを強力にするのはこれだよ。
そう言ってパチンコを取り出して置いた。代わりに危険だから黒玉はアイテムボックスに戻したけどね。
それはどういうものかと聞く国王に、ブルックスが説明して、実際に引いてみてるよ。手に取った国王は全く無理でした。まあ、当然だね。
でもね、この黒玉はとても危険なもの。
国を滅ぼすのなんか簡単なことだよ。弓は一点攻撃だけど、これが空から振ってきたらどうなる? 恐ろしいことになるんだ。だから、戦争に利用されないために枷をつける方がいい。
新たに試さないとだけど、ゴーレム迷宮だけで使えるものにしたいんだ。黒玉とパチンコは希望者に買ってもらう。でも、迷宮からは持ち出せない。諸滅するように設定したいと思ってる。
もし、残りがあるなら、迷宮内で冒険者同士売ればいいと思うよ。どんなに隠し持ってようと、その物自体が消滅するからね。できるだけ安価で作れたらいいよね。それなら剣が得意じゃない人でもある程度まではいける。当然、鉄のゴーレムまでの効力があるものと、ミスリルゴーレムでも大丈夫なものは値段が違うよね。パチンコは同じでいいとおもう。後は、使う人の努力だね。
魔法袋をドロップすれば、鉱石も持ち帰る事ができる。最悪、自分の背負い袋で持ち帰ってもいい。そうなれば、荷物運びの人がいてもいいと思うけどね。でも荷物運びの人は転移魔法陣のある場所からしか戻れない。そのあたりは自然に出来上がると思うよ。どこでもそうだしね。
でも、どうするか決めるのは国。
やるなら俺もその面倒な代物を開発しないとね。
もし、成功したら最初に作るそれぞれの数を提示してもらう。俺には制作依頼を出してもらうことになる。
具体的に示してみましたが、さて、どうする?
なるほど、と宰相は考えてるね。
でも、実際成功するかどうか分からないんだけどね。
「陛下、いかが致しましょう。開発をしなければ数も出ませんし、単価もわかりません。それでしたら、ゴーレム迷宮のために開発を依頼してもいいかもしれません。いかがされますか?」
「……うむ。辺境伯はどう思うのだ?」
あ、ここで王弟殿下が出てくるのね。
「私といたしましては、辺境の発展のため、ぜひ、お願いしたいと思います。そうでないと、宝の持ち腐れとなりましょう。かといって、迷宮核をとり迷宮が死するのを待つのもどうかと思われます。ぜひ、お願いしたいと思います!」
ふむ。ブルックスは? と聞いてるよ。
「私は自分で使わせて頂いて思いますが、剣の技術が高くなくても戦うことができます。土ゴーレムになれば、私の剣では太刀打ちできませんでした。ですが黒玉でしたら、時間はかかりますが、なんとか狙い打つことができました。体力はかなり必要だと思いますが、それは個人の問題です。私はナギ様にいろいろ教えていただきました。感謝しかありません」
ふうん、本心だね。大人になったじゃん、ブルックス。
「では、ナギ様。その迷宮内でしか使えない黒玉とぱちんこ、でしたか、開発をお願いしたいのですがいかがでしょうか」
ふむ。まあ、それはいいけど。
「国王よ、ナギに依頼するなら依頼料を提示せよ。そうでないと返事ができんぞ」
おおっと、ノルが言ってくれたよ、良かったぁ~
「そうでございますね、では、宰相どれくらいが適当か」
あはは、国王は聞くだけだね。自分じゃ金額を提示しないんだ。というか、わからないのかな。
「そうですね、ゴーレム迷宮の依頼料もお支払いしていませんので、それは本日いたしましょう。それで、迷宮内でのみ使える武器というのは、聞いたことがありません。それを我が国のために開発していただけるのです、白金貨一千枚でもよろしいかと思います」
はへ?
まいったなぁ。それは高すぎるだろうよ。
「なるほど、それほどの価値を見出すか。宰相、ひとつ聞きたいのだが。迷宮内のみで持ち出そうとすれば消滅する武器ではある。だが、それはこの国のためだけの開発ということか? 普通の威力高い黒玉を我らが作るのは無理なのか?」
「いえ、それは違います。迷宮で使われるものは購入したものが出るときに消滅いたしますので。ただし、同じように他国のために制作するのはお止めいただければ良いのですが」
「なるほどな。では、もっと強力なものを我らが己の討伐などに作るのは良いのだな?」
「もちろんです。ナギ様が考えて作られたものです。それを我が国のゴーレム迷宮のために、特別仕様として作っていただきたいのですから、ナギ様や眷属の皆様が、以前よりお使いのものを使われるのは何の問題もございません」
あいわかったとノルは大きく頷いたね。
そういうことなんだね。
じゃあ、俺が作ったものだから、迷宮用に特別品を開発するということか。それならいいかな。
「じゃあ、とりあえず、開発してみるよ。とりあえず、作れるかどうか先にやってみる。だから後からそれは話そう。ただ、王宮の希望は聞いたからね」
お願い致します、と宰相と国王、王弟殿下、ブルックスまで頭を下げたよ。
それほど力を入れてるってことだろうね。
「そうだ、ブルックス。屋敷で借りてた魔馬だけど、引き上げてくれるかな。オニキスは本来の召喚獣に戻ることになったし、ノルも自分が飛べるからね、屋敷ではあの子たちが十分走ることはできないと思うんだ。可愛そうだから王宮で走らせてあげて。馬車の馬は借りたままで悪いんだけど」
ナギ様はお優しいですね、とブルックスは引き受けてくれたよ。よかった、これで狭いところに置かなくても良くなるね。
読んでいただきありがとうございます。
オリジナルの武器ってすごいね。
でも、黒玉はとても危険な代物です。仕方がないでしょう。
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