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115 一所懸命なフラットが人型になれたよ!

こんばんは、こんにちは。

いつもありがとうございます。

今日もよろしくお願いします!


※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様

        『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。


 取り残された三人は、はっと気づいて顔を上げる。

 ノルが立ち上がり、唐揚げを持って来る。それを手伝うのはオニキス。

 フラットは、水の入った入れ物を冷蔵庫からクビにかけて持って来る。そう、お手伝いのためにナギがクビに通せる紐をつけてくれていたのだ。

 それをもち、テーブルに置く。

 フラットは、人型が取りたいと心から思った。そしてその夜、アルム神にお願いするのだ。


 それぞれ、食事を始める。

 フラットの器にはノルが盛ってくれた。サラダは、デザートを食べ終えたブルックスが持って来てくれた。そして、味噌汁と白米も持って来てくれたんだ。

 それぞれに皿を配ったブルックスは、先に休ませてもらうと告げて、出してもらったベッドに向かった。


 □□□


 そんのことは知ろうともしない俺は、風呂に湯を足し身体を沈める。

 サンとソラはバシャバシャと泳いでいる。

 それをみながら、微笑んでいるんだ。とっても幸せを感じる。

 でも、俺が皆のことを考えているのは間違いなんだろうか。身体は大きいけど、みんな俺の子供だと思ってるから手を出し過ぎるんだろうか。

 皆はそうじゃないの? 俺の考えは間違ってる?

 他人なんかどうでもいい。眷属たちと仲間のためなら時間も使うし努力もする。それはひとりよがりなのかな。アルムおじいちゃん、やり方間違えてるのかな。皆の成長を邪魔してるのかな。


 涙が出そうになる。 

 そうやって、人間には裏切られた。

 メルト、ショルダーさん、ピット、そしてマリーとラン。

 メルトは俺の事が好きだって言ってたくらいだった。ショルダーさんは小さいときから優しかったし、フラットにもいつも声をかけてくれた。ピット、マリー、ランはよく知らないけど、それでも楽しく話したよ。

 だけど、最悪の形で裏切られた。

 人の気持ちは変わるんだと思ってた。でも、他の人たちと接するうちに、裏切らない人もいると感じたこともある。

 だけど、何があっても眷属だけは裏切らないと思ってた。裏切った訳じゃないけど、他の人と同じように俺の事を利用した。それほどの事じゃないんだろうけど、俺が皆を思う程、俺の事は考えてないってことでしょ? 

 これ、ずっと我慢するの? それとも母親になった気持ちで受け入れるべき? どうすればいいの、アルムおじいちゃん!


『あるじぃ、だいじょぶ?』

『あるじぃ~、なちそう、なの?』

「ううん、大丈夫だよ。ごめんね心配かけて。でも、間違ってるのかな、僕の考えは。どうしていいかわからないんだよ。だからちょっと考えてた。さあ、洗おうか」

 う~ん、と風呂から上がって、石けんを泡立てた。



 風呂から上がり、ちびっ子二人をベッドに寝かせた後、キッチンに向かう。

 あれ? ちゃんと片付いてるよ?

 片付けてくれたのかな。

「ありがとうね、片付けてくれたんだ。じゃあ、デザート出すから」

 そう言い、無言でケーキを取り出す。既にカットしてるショートケーキなので大皿で置いて、取り皿を置く。フラットには大きなボウルだ。

 その後、紅茶を入れて、果実水をテーブルにならべる。そしてケーキの隣りにはシフォンケーキを人数分。丸っとホールで置いておく。


「飲み物、足りないなら、キッチンの冷蔵庫にあるからね。じゃあ、お休み」

 ナギ! とノルの声が聞こえたけど、そのまま寝室に向かった。

 そして、既に寝ているサンとソラを抱いて目を閉じた。



 ++++++


『ナギ、久しぶりじゃの』


 あれ、アルムおじいちゃん?


『そうじゃ。ここは我の世界。お前は寝室でぐっすり眠っておるぞ。今日はいろいろあったの』


 うん。僕、やりかた間違えてる? うちの子たちのこと、もっと自由にさせた方がいいのかな。それとも、僕はいらない?


『何をいうておる。あやつらはお前の眷属ぞ。それを解除するということは互いに死を選ぶということなのじゃ。しかし、儂は感心しておるぞ、ナギ。いつも皆のことを考え、行動しておる。飯も腹一杯くわせ、菓子も与えて、風呂、家なども造っておるのだ。その上、役目を果たす為に、嫌なやつらとも折衝し金も稼ぐ。それは、己のため、眷属のためじゃの。それがなんで間違いなのじゃ? 儂は素晴らしい孫を持って幸せじゃぞ。先ほど、フラットから祈りが届いたのじゃ。人型を取らせてほしいと。実力は足りないかもしれないが、ナギの手伝いをしたいそうじゃ。もう数年先かと思うておったが、彼奴も成長したの。そろそろ良いかと思う。故に人型をとれる変化を与えようと思っておるのじゃ。故に、どんどんこき使うがよい。普通に話せるようになるじゃろ。お前の常識を教えればよい。前世で学んだ人間関係や、話し、経験などを見せてやればよい。お前から学ぶのじゃからの。なんの心配もいらぬぞ。じゃが、お前はまだ十歳。くれぐれも気をつけるのじゃ。戦いはいつも目の前なのじゃ。よいな、ナギ。明るく前を見ればよいのじゃ。楽しんでの』


 ……ありがとう、おじいちゃん。じゃあ、今まで通りでいいのかな。それなら何とか頑張れそう。フラットが人型になるの? 直接話しができるんだね。嬉しいよ、生まれた時から見てきた。だからうれしい。いろいろ手伝ってもらう。ノルにもオニキスにもね。ちびっ子たちは心の支えだから、楽しんで面倒をみるよ。いつもありがとうね、おじいちゃん。泣き言ばかりでごめんなさい。

 明日から気持ちを変えて頑張ってみる!


『うむ。それがよいの。儂も楽しみにしておるぞ。そろそろ眠りの中に戻るがよい。じゃあの。おやすみ』


 うん、お休み、おじいちゃん……


 +++++++


『あるじぃ、おはよう。あさだよ~』

『あるじぃ、あなかしゅっちゃ~』

 え? もう朝なの?

 

 時計をみれば朝の七時だよ。

 ごめん、すぐに準備するね、と慌てて二人をクリーンし、自分もクリーンした。着替えをして帯剣し、ノーライフキングの杖とローブは手に持ってキッチンに向かう。

 あ、と風呂場からタオルの入った籠を取り出した。

 

 とりあえず、皆が起きてくる前に、と洗濯物のタオルを専用のロープにかける。全員の分をかければ、そこそこ力が必要なんだ。

 それをまとめてクリーンですよ~

 そのまま干しておくけどね。


 さて。

 今朝はパンかな。

 作り置きのスクランブルエッグとベーコン、サラダだね。

「二人は何食べる? 今朝はパンだよ。あと卵とベーコン、サラダでいい?」

 う~ん、とサンの小さな右手とソラの右手が挙がった。

 じゃあ、先に食べる? と深皿にサラダとスクランブルエッグ、マカロニサラダ、厚切りベーコンをならべた。

 そしてパンは大きな籠に山盛りだよ。

 

 いただきます、とたべ始めた二人だけど、今朝は温いミルクにしてみようかな。

 少しだけミルクパンに入れて温める。すぐにできるけどね。

 それをカップとボウルに半分入れて、冷えたミルクを注いだ。

 どうぞ、と蜂蜜を入れてあげれば大喜びだね。


「おはようございます」とやってきたのはブルックス。

「おはよう」とバツが悪そうに席に着いたのはノルとオニキス。そしてパタパタと駆けて来たのは人型になったフラット?

「ねえ、主。昨夜ね、アルム神様にお願いしたんだ。そしたらね、朝起きたら少し光って人型になったの。でも、服がないんだけど、裸じゃダメだよね」

「そう、良かったね。すごいね、毎日フラットが頑張ってるから、ご褒美じゃないかな」

「そうだと思う。だからね今日から僕、お家のことお手伝いするの。何でも言ってね」

 ふふふ、ありがとう、といい、ノルとオニキスに洋服の事をお願いした。


 すると二人はいろいろ話してくれてるみたいだね。

 いつも気になってたんだよね、獣化したときは裸だし、人に戻れば服を着てるんだ。よくわからないよね。

 

 じゃあ、とそれぞれの深皿に盛り付けていけば、ブルックスがそれをおいてくれる。そしてパンの籠も大きいのが二つ。置かれた。

 ブルックスの大皿も当然あるよ。

 飲み物は温かい紅茶ですね、大人は。

『あるじぃ~、みるく、ちょーだい!』

 はいはい、と二人にミルクを入れてやる。蜂蜜を溶かしておいたのでうれしそうだ。半分に冷たいミルクを入れましたよ。

 それなら、とパンを食べ始めたんだ。かわいいね。


 戻ってきたフラットはちゃんと洋服を着ている。なんで? と聞きたいけど、いいかな。

「どうぞ、食べてね」

 フラットはフォークを手にサンをみてるね。うん、そうだよ、正解だ。

「主、服はね、普通のじゃないの。自分で幻影でつくるんだって。それなら獣化しても破けないんだよ」

「そうなんだね。知らなかったよ。よかったね教えてもらって。人型になるときは絶対に忘れたらダメだよ、女性もいるんだからね」

 わかった! とガツガツ食べ始めた。じゃあ、俺も食いましょうか。


 普通のジャムを挟んだ食パンを取りだし、ぱくつく。温かい番茶オレを啜りながら、黙々と食べた。

「ナギ、昨日はごめん。俺たち話し合ったんだ。できるだけナギの手伝いをする。知らない事も多いけど、いろいろ教えて欲しい」

「主。我も同じ気持ちである。本当に済まぬ。これからは心を入れ替える故、よろしく頼みたい」

「ありがとうね、二人とも。そしてフラットもね。僕も我が儘だったと思う。でも、辛かった。自分が間違えたのかと思ってたんだ。でも、そうじゃないっておじいちゃんが言ってくれたんだよ。だから、僕は自分のやれることを頑張る。家のことは特にね。皆には見えない所もしっかり見てもらって知ってほしいんだ。だからよろしくね」

 おう、と二人と握手した。フラットは俺よりでっかいのに、抱きしめてくれた。




 全員でフィールドに出て、今日も今日とてゴーレム退治。

 だが、このあたりからは、ブルックスの仕事はない。つまり、太刀打ちできない相手が出て来た。

 さて、どうするかな。

 安全地帯で、話し合ってるんだけど、その時ノルが言ってくれた。

「ナギ。ブルックスだけど、俺が使ってたパチンコがあっただろ? あれ、どうだ? 大型にはデカい玉が必要になるけど、額を狙うとか、膝を攻撃する、腕の関節を狙うなら一番効果的だと思う。扱いは学習しないとだけど、こいつなら大丈夫じゃないか?」

 そうか、パチンコがあるよね。

「うん、いいかもしれない。というか、それしか対応できないと思う。ちょっとやってみるかな。ブルックス、ボール投げとかやったことある?」

「ええと、石を投げて遊んだことはあります。子供の頃は怒られましたけど」

 ふうん、じゃあ何とかなるかな。でも、危険なんだよね、扱いが。その辺りはどうするかな。


「じゃあ、俺はサンとソラと一緒に手前に残っていいかな。この辺りを殲滅してくれたら、少しブルックスにやらせてみるよ。落ち着きがないし、すぐに図に乗るんだけど、やってみないとダメでしょ。それでいい?」

「うむ。では、我らが殲滅していこう。それでよいな、ノル、フラット」

「おっけ。ブルックス、頑張れよ。お前でも太刀打ちできるかもしれない。但し、真剣にやらないとお前自身が死ぬ。それは理解しろ。使ってた俺がいうんだから間違いない」

「……そうですか。わかりました、真剣にやらせてもらいます。そうなれば、少しは戦い方が増えますから」

「そうだよ~、頑張ってね。僕も今日からもっと頑張るんだ。だから一緒に頑張ろう!」

「はい! 頑張ります!」

 あはは、フラットはかわいいね。一所懸命だよ、何事にも。うれしいね~


 では、行くぞ!

 オニキスの声に、大型三人組はフィールドに出て行った。

 デカい亜種のドラゴンゴーレムらしいけど、オニキスは一緒にするなという相手。面白そうにガンガン行ってるよ。

 ノルは尻尾を避けながら、後ろから敵の背中にかけ上がり、クビの太い血管だと思われる部分を狙って爪を立ててるね。それをみたフラットも同じ用にやってる。瞬間、学習したか。すごいな。



「じゃあ、ブルックス。お前でも倒せる可能性がある攻撃方法を教える。以前、ノルが人の時、お前なんか比べものにならないくらい強かった。でも、ゴーレムには剣じゃ無理。それに、相手がデカいから普通の人は無理だった。だから俺は考えた。ノルがデカいゴーレムを倒せるようにってね」

 そう言い、クリエイトすることにした。

 

 以前ノルに作った黒い玉、投擲用の爆裂弾がほしい。今回は、敵に対してだけ爆裂するオプションがほしい。そうでないと足下に落としたりしそうだから。ブルックスが使うのに無理のない仕様にしてください。ただ攻撃力は同じがいいです。ソラもサンもいるので、誤爆はないようにお願いします。専用の袋があるとありがたいです。


(クリエイト)


 ふわっとひかった俺の手の上には、袋に入った何かがある。


 鑑定して見れば、ブルック用の爆裂弾だった。

 まあ、あいつはポロリと足下に落とす可能性があるからね。その辺りは考えてくれているんだろうと思う。感謝だよ、本当に。でも、脅しておこうかな。


読んでいただきありがとうございます。


眷属ズは凹んでましたね。

でも、フラットはとってもかわいい。一所懸命でアルムおじいちゃんに縋ってるのは健気です。

大好きなナギを守り助けるために必死ですよ~


コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。

明日もどうぞよろしくお願いします。

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