109 新しい辺境伯が決まって洞窟の拠点も確保できたよ。
こんばんは、こんにちは。
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
じゃあ、行きますか。
「ナギ。フラットにつけてる椅子だけど、もう一つできないか? オニキスについて飛ぶならあった方がいい」
それもそうだな。
「主どの。我には使えぬか?」
「いや、大丈夫だと思うよ。ただ、つける位置がもっと上になるかもね。首と腕で支える感じかな。翼まで届けばいいんだけどね。伸縮自在だからできるかもね」
フラットの椅子を取り出して、それを二つコピーする。
一つはノルに渡して、もう一つを加工することにした。
この鞍をオニキスのサイズでも使えるようにしたい。一番大きなサイズでも小さなサイズでも使いたい。使える材料はアイテムボックスから使ってください。お願いします、クリエイト先生!
(クリエイト)
ぶわっと光った光は十秒ほどで収まったんだけど。
見てみれば、小さいサイズだけど後ろのベルトは長いね。腹周りに合うようにしてくれたんだね。
鑑定してみれば、ドラゴン用騎乗椅子ベルトだって。
伸縮自在も付いてるし大丈夫だね。
じゃあ、と外に出てみる。
フラットの椅子に乗るのは俺と、赤いバッグのちびっ子たち。
そしてノルに乗ったのはフルレット。
そして、三メートルくらいのドラゴンサイズの背に乗る予定なのはブルックス。
テラスからその姿のまま地上に降りれば、椅子をつけた姿のオニキスは一気に元のサイズまで大きくなった。でもちゃんと椅子も付いてるし、ベルトも順応してるよ。
「どう、きつくない?」
『全く問題ない。動きを邪魔せず心地よい。乗るのだ、ブルックス』
はい、と頭を下げたオニキスの首をかけ上がったブルックスは椅子に座ってベルトを締めた。
そうか、今はドラゴン姿で声をだしてるから、皆驚いてるんだね。
「ナギ様。あれは魔法ですか?」
「うーん、ちょっと違うけど、そんな感じの能力だね」
なるほど、と宰相は腕を組んで考え始めた。
じゃあ、いってきます~
皆に手を振って空に上がった俺たちだけど、ノルに乗ったフルレットは慣れるまで少々時間がかかったみたいだね。
結界を張ってもらってるから、地図を確認しながら前を見てる。
どうやらそろそろ到着するみたいだね。オニキスによれば、あと数キロ上らしい。
突然、こちらにむいて叫び始めるブルックスに驚いた。
『主。どうやらエストラトスという場所らしい。皆、エストラトスの森と呼んでいるらしい。地層が素晴らしい森らしいが、ここで叫んでも主には通じぬと、なぜ理解せぬのか……』
はは、オニキスが呆れてるよ。まあ、気持ちはわかる。
境界線を確認したいらしいが、新しくひくらしいので好きなところを選んでくれといってる、らしい。
じゃあ、どうするかな。
『ねえ、オニキス。ここって谷になってる場所がある? 飛べるかな』
『うむ。サイズを少し落とせば問題ないであろうが、少々切るか』
そうしてくれればありがたい、と大型三人組が近寄った。その場で停止することができるから便利なんだよ~
『えっとね、ここに川があるね。その隣は? うん、少し広がってるけど、川の近くは欲しいかな。こっち側は、川からどれくらい平らなのかな?』
三メートルほど。じゃあ、そのあたりで切ってもらおう。
シュバッ! と三人が風の刃を繰り出して、バタバタと木が倒れてゆく。フルレットは理解不能だね。オニキスとフラットで木を回収した。次は、とフラットの背に上で先を見る。川沿いで問題ない。
シュバババッ! とずっと上までいっちゃったよ、風刃。
三人が木を回収してくれれば、かなり見通しが良くなった。
そこから先は、切り立った岩山だね。じゃあ、下に行くかな。
さっきの場所まで戻って、今度は下の方へと切り裂いてゆく。うん、いい感じだ。
このあたりで山ひとつ終わりだね、と谷までを刈った。反対側へと移動するのに、フルレットは半分ポンコツだ。
どうやらオニキスがゴアァァ! と小さく咆えたら気がついたみたい。
次は、と口を大きく開けていってみれば、コクコク頷いて先へ指さす。
次の谷には小川がある。近くを切ってもらえば同じような感じになった。
『ねえ、オニキス。あの岩っていうか崖はどこまで続いてるの?』
『うむ。その先まであるな。ならば崖の端までとするか?』
その上はどうなってるんだろう、とフラットに上にあがってもらった。ちょうど、俺たちが欲しい洞穴の入り口が中央に来るみたいだね。それならいいかな。
再び降りて、オニキスにお願いした。
オニキスを先頭に、大型三人組は上から下へと風刃で木を切ってゆく。小川からは五メートル以上離れちゃったけど、いいかな。
最後に、一番下の部分を切って回収。それでおしまいだね。
とりあえず、降りてもらって結界を解除して、話しておく。
「フルレット、この木を切った部分があるでしょ、そこから内側が欲しい。木の幹から川までどれくらい?」
川の外側からの長さを測りたいな、とイメージした。
<計測>
三メートル三十三センチ一ミリ
おお、すごいよ。
「えっとね、川の外側から三メートルのところが境界線。上は崖の端ね。反対側を測ろう」
移動して計測する。
<計測>
五メートル四十二センチ
便利だよ、これ~
「こっちは小川の外側から五メートル三十センチね。五メートルでもいいけど、上は崖の端っこだよ。でないと、崖が数センチとか数十センチとか余ることになるから大変だよ~」
了解しました! と敬礼する。
下の方は切ってあるから適当にね。
境界線を作る時、一緒に来て欲しいという。そうだね、どうするのかな。とりあえず、オッケーしておいた。木で柵を作る時いてほしいというんだけど、ちょっとまった~と叫んでしまった。
「木材じゃ腐るでしょ。もう作ってもいいなら今、作るけど。ミスリルがあるから、それでいいかな?」
「ミスリルですか。それはナギ様の持っている素材なのでは?」
そうだけど、たくさんあるからいいよ~
「それではお願いできますか?」
いいよ、自分の持ち物だしね。
アイテムボックスからミスリルの一メートルキューブを二個取り出す。
小川の外端から右方向へ五メートル三十センチの所に柵を作りたい。頂上は崖の端。対魔物対策が欲しい。深く埋め込んで高さは五メートルでお願いします。
(クリエイト)
ブワァァァァーーーーっと光が小川に沿ってわき上がる。
じゃあ、反対側もね。
ミスリル素材を取り出して、川の外端から左方向へ三メートルの所に柵を、頂上は崖の端。対魔物対策がほしい。深く埋め込んで高さは五メートルで。
(クリエイト)
再び光が川に沿ってわき上がる。とてもきれいだね。そうだ、写真を撮ろう。
タブレットでわき上がる光を撮った。何枚も撮ったあと移動する。
「ナギ様! 素晴らしいものが出来上がりました!」
大騒ぎだね、フルレット。
おお、かなり太い杭が打たれてるよ。これ、足りなかったんじゃないかな。見てみれば、ミスリルの塊は、薄ら残っていた。
写真を撮って保存する。これ、なんとか焼き付けよう、絶対に。再び戻ったら、出来上がってましたよ、ちゃんと。さっきよりはたくさん残ってるね、ミスリル。
じゃあ、残りで下も柵を作ってもらおう。
木をカットした端にとお願いする。残りのミスリルで足りなければ、アイテムボックスから持っていってください!
(クリエイト)
ぶわっと湧き上がった光は、わりとすぐに終わった。百メートルくらいあると思うんだけど、終わっちゃったね。
角から写真を撮っておきました。
じゃあ、戻るかな。
全体が見える場所で停まってもらう。山頂まで見えるように写真を撮った。右から左から中央から。そして上からね。
『皆、もどるよ~』
『了解!』
オニキスを先頭に、フラットとノルが続いた。
ぐんぐん飛びながら周りを見れば、どうやら辺境領に含まれそうな気がするんだけど。まあ、線引きしてからだね。
王宮のテラスに舞い降りた俺たちは、それぞれが椅子をアイテムボックスに入れて窓から入った。
その後のフルレットの報告が面白すぎたんだよ。
興奮冷めやらぬ彼は、場所のことを話さず柵の話しばかり。呆れてものが言えないよ。
「うるさいよ、フルレット。地図は?」
は、はい!
取り出された地図には、エストラトスの森が少し大きめに線引きされている。
「エストラトスの森でしたか。それならば、辺境領は……」
宰相が考えているんだけど、なんだろう。
現在の辺境領はここです、と線を指さす。そして新しい部分はこちらからここまで。
うん、奪い取った場所だね。そして辺境領はここか。
「これ、街はできないよ。もう少しこのあたりは広くならないの?」
次の領地は、伯爵家の持ち物らしいけど、ここを含めればちょうどいいんだけどね。
「ねえ、フルレットの領地はどのあたり?」
王都を出てすぐの場所らしい。
えーっと。いい考えがあるんだけど、どうかな。
フルレットの領地と伯爵の領地の広さは?
同じくらいですね、と宰相がいう。あ、でも。領主が徴収する税のことがあるよね。
そう呟けば、宰相がこちらを見た。
「ごめん、簡単に考えちゃったんだ。二人の領地を入れ替えられないかとね。でも民は移動できないでしょ。希望者は移動してもいいけど、王都に近い方が便利だしね。ダメだね、これ」
いえ、少々お待ちください、と宰相が文官に指示した。
なんだろうね、と出されたお茶を飲む。バタバタしたから疲れたね。そんなことは関係ないとばかりに、眷属一行は焼き菓子に夢中だ。
それならその間に……
「羊皮紙を下さい」
呟けば、別の文官が出してくれた。
それにタブレットの写真をレイアウトしてプリントしたい。足りなければ次の紙へとイメージする。
(クリエイト)
ふわりと光った紙には、ぼんやりと何かが浮かび上がってきた。
お、成功みたいだ。
すぐに収まった光の先には、さっき撮った写真がプリントされてたよ~
すごい、クリエイト先生!
「ナギ様。それはなんですか?」
あ、ブルックス、いたんだね。森ではひと言もしゃべらなかったのに。
「これはね、エストラトスの森に作った柵だよ。実物を写し取れるものがあるんだ。それを焼き付けたの」
国王に、と渡せばじっと見て大感激だ。
ミスリルですか、と驚いてるんだけど?
お支払いをというけど、ここはいいよと答える。だって、自分の土地に関することだからね。
ありがたい、と大喜びの国王だ。
魔物対策もしてあるから大丈夫だと伝えれば、跳び上がって驚いちゃったよ。
「あの、ナギ様。お伺いしたいことがあるのですが」
なに、国王自ら? ま、いいけどね。
「このミスリルの柵でございますが、国境の境界には使えませんか? もちろん材料は用意致しますし、作っていただけるならば依頼料もお支払い致しますので」
うーん、できなくはないと思うけど。
「でも、ミスリルがかなり必要になるよ。このミスリルは一メートルの立方体でね、全部で四個と少し使ったんだけど。それを国境にとなると、元ドルーシア国側だけでもかなり必要になる。その上、山頂は大変だしね。全てを囲うのは諦めた方がいい。鉄でもできるけど、錆びちゃうからね。ミスリルはどれくらい集められるの? 鉄との合金にすればどうかな」
なるほど、と嬉しそうだけど。
依頼料はとんでもない金額になるよ。いいの?
「ナギ様。よろしいでしょうか」
「いいよ。どうだった?」
どうやら問題ないらしい。領主が徴収する税は同じだった。それってフルレットはかなりやすくしてたって事?
「伯爵には既に話しをしました。もちろん例のことは話しておりません」
うん、答えは?
「ぜひ、そうしてもらいたい」だったらしい。
あはは、現金なやつだね。
「フルレットはどう? それなら街を作っても民は多く住めると思うよ。森の管理は必要だけど」
「森の管理は今と同じですので、問題ありませんが。民がどういうか。もちろん、残りたい者は残ってもいいと思います。辺境はおそらく商人と宿が中心の街になるでしょう。冒険者の街といってもいいほどに。現在の民は一時減るかもしれませんが、別の民が増えると思いますので、私は問題ありません。ただ、陛下からのお達しだと布令を出していただければありがたいです」
ふむ。考えたね。国王の命令だから仕方がない、ということか。それはいいんじゃないのかな。
「じゃあ、そうすればいいよ。それなら、俺の森も辺境領にいれてくれないかな。半分くらいは引っかかってるけど」
承知しました、と宰相が赤い線を引いてゆく。
地図の上ではかなり広いぞ、辺境領。
今の領主の舘は小さすぎるらしいから、新しく石の屋敷を国が作ってくれるらしい。魔物対策でもあるしね。それなら領主の舘の場所を決めて全体が把握できるかを見た方がいいよ。
そうアドバイスしておいた。
「先ほど、陛下がお話ししたことですが、長さを測りましょう。地図で計算できるはずですが、実際は多少の違いが出ると思います。計算もいたしますが、実測は必要だと思います。それで、必要なミスリルの量をおおよそ用意するようになるかと」
うーん、そこだけじゃないんだよね、迷宮は。
「ちょっと待って。他にもう一カ所あるんだよ迷宮。まあ、予想じゃ、フルレットの辺境ほど稼げるかどうかはわからないけど。そうだ、先にもう一カ所の調査に入る?」
それがいい、とオニキスはいう。
その間に計測や領地の入れ替えの布令を出して、移動する民は計画を立てればいいとノルはいった。
フラットは、うん、寝てるよね。背中にサンとソラを乗っけて寝てますよ。まあ、子供だから仕方がない。
「じゃあ、明日からもう一カ所の迷宮に入るよ。そっちの担当は誰になる?」
そうですね、と宰相は考えてなかったみたいですよ。アホか!
ヒューレット伯爵は? と聞けば、王宮で宰相の補佐をしてるみたい。宰相が迷宮担当になるから必要だと言われた。
それならどうするの?
うんうん唸ってるけど……そうだ!
「じゃあ、最終的にはあっちの辺境伯が管理するんでしょ。それまでの迷宮担当実働部隊は、ブルックスがやればいい。どうせ一緒に潜るんだから」
おお、それがいい! 宰相は大喜びだ。
で、あっちの辺境伯は誰?
あはは、王弟殿下でしたか。まあ、それなら大丈夫でしょうよ。
読んでいただきありがとうございます。
いろいろと決まりましたが、迷宮探索は当然として。この先もいろいろありそうな予感がします。
ブルックスは頑張れるのでしょうか。少々不安が残るところですね~
コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。
明日もどうぞよろしくお願いします。




