108 迷宮のこと、辺境のことなど話し合いましょう。
こんばんは、こんにちは。
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※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様
『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。
隣では既にノルが取り分けてる。オニキスはそれをお利口で待ってるんだけど。面白い、ノルはやっぱりノルだね。
俺も遠慮なく取り分けて、いただきますと食べ始めた。
もぐもぐ食べながら話をする。
「それで、我が国に迷宮があったと聞きましたが」
うん、あったよ。
「いくつくらいありましたか」
二カ所だね。
「それで、教えていただく代償とは?」
ゴクンと飲み込んで話しをする。
いくつかあるよ、と話をします。
迷宮の最初の調査、そして最初に最下層まで攻略するのは俺たち。それはゆずれない。出た後は勝手にすればいい。あと、調査は依頼をしてもらう。最初に調査に入って最下層まで一気に行くけど。その時にドロップしたものの所有権は俺。そんなところかな。それを受け入れられるなら話すと告げた。
その他の条件としては、調査が終わるまでギルドには絶対に言わないこと。あそこにいえば一気に広がるから、国の利権はバラバラになっちゃう。ここの人以外は話さないこと。俺たちはどっちでもいいんだけど、意味なくなるでしょ。お金儲けもできない、設備だけは要求される。税は納めるだろうけど、全て国の所有で国の管理にした方が利益が多いってだけだよと説明した。
なるほど、と国王は微笑んでるけど、それくらいの計算、できてなかったの? ダメだね、これ。
「問題ないでしょう、陛下! それで、依頼料ですがどれくらいをお考えですか?」
そっちの希望は?
「二カ所あるということは、かなりの金額かと。白金貨二千枚と言うところでしょうか。もちろん、一カ所でございますよ」
国王も頷いてるけど、かなりの額だよね。ちょっともらいすぎかな。でも、この国はデカいし、金もあるみたいだね。
「じゃあ、その予定で。二カ所とも、かなりの大きさらしいから一概には言えない。だから全部終わって決めて。上限が白金貨二千枚ってこと。あと、ドロップ品なんかで、うちが欲しい物以外で必要なものは買い取ってもらっていいよ。それは別料金でね」
それはありがたです、と宰相はいう。国王はコクコク頷いてるだけかよ!
ここからは具体的な話をしましょうか。
「それでさ。迷宮の担当を決めて。連絡とか諸々の判断とかね。俺としては宰相希望。ブルックスはどうするの?」
「はっ、私も迷宮調査に参加したいです。迷宮という存在は知っておりますが、実際には経験がありませんので」
ふうん。でも、ついてこられるかな。
「まあ、いいけど。自分の命は自分で守るんだよ。それとうちの迷宮攻略は進む速度が速い。フラットとオニキス、ノルがいるからね。ついてこられる?」
絶対に付いてゆくというんだけど、どうやって?
テイムされた魔物で、って。無理だよ~
「何言ってんの。普通の魔物で、うちの子たちについてこられるはずないでしょ。そういうところがダメなんだよ、お前は。迷宮内で、俺のいうことは何でも聞くから連れていってくれっていわないの? ついて行きます、なんて絶対に無理だよ。いちいち駆けて行くわけじゃない。攻撃だって、地上からと空から殲滅することが多いんだからね。上から目線で見てるからだろ? 第一王子だろうけど、俺担当だろうよ。なんで、俺に頼まない? かっこつけても実力がゴミなんだから無理だよ。俺は十歳のガキだけど、お前に勝つ自信はある。わかるでしょ? だから嫌いなんだよ、王族とか貴族って」
素直になれよ! と叫んじゃったよ。
ちょっと言い過ぎたかもしれないけど、俺の本心だし仕方ないよね。命の保証はできないからね。
返事を待たずにガツガツ食べる。これ、美味いね。
そろそろテーブルの上が空になりそうだけど。
「ナギ様、料理を追加致しましょう」
おお、宰相が一声かけてくれたね。こういう気遣いができなきゃダメだろ、ブルックス!
次々並ぶ新しい料理と引き換えに、大鉢が引き上げられていく。
うん、美味そうな匂いだ~
オニキスとノルは無言のまま、新しい料理に手をつけてるよ。俺もお代わりだ!
侍従が出ていって果実水を飲んでいれば、ブルックスが土下座した。
おお?
「ナギ様。私は国王になるために育てられてきました。それが嫌で外に出たかった。でも、それに馴染んでいた自分に気づきました。言葉遣いも普段通りに戻します。友人と話すように。今、すごく安堵しています。どうかお願いします。私をナギ様の仲間として連れていってください。よろしくお願いします!」
ゴンって、床がなったよ、今。
うん、でもいい感じになったじゃん、ブルックス。
「それでいいんだよ。お前は王族ではあるけど、俺の前では関係ないこと。小さなことなんだ。お前があのバカ貴族の服やベルトを切り裂いた剣の腕には感心した。それを使えよ、ちゃんと。オニキスやノルはお前のことちゃんと見てるぞ。フラットもサンも。まあ、ソラはよくわかってないけどね赤ちゃんだし。権力は使うべき場所で使えよ。その時にはお前を表にだすからな。俺は冒険者。それはどこまで行っても変わらない。お前はギルドに登録はしなくていいけど、俺の仲間なら同じ事だ。それでいいかな、オニキス、ノル」
「ああ、それならいいだろう」
「俺もいい。但し、ナギを裏切ることだけは許さない。その時は俺がお前を消す、いいな」
はい、とノルの声にブルックスは顔を上げた。
うん、よいよい。
「じゃあ、迷宮担当は宰相、ブルックスは俺担当だけど、俺の仲間と言うことでいいか? 国にも利益になるだろ?」
「ナギ様。何から何までありがとうございます。私もこやつにいらぬ重責を負わせていたと気づきました。宰相、最優先で迷宮のことを頼む。ブルックス、今まで悪かった。第二王子にはそのようなことはせぬ故、安心するがよい。お前は我が息子である事は変わらぬのだ。なんでも相談するがよい。特にナギ様に関することは失礼のないようにな」
はっ! と返事をしただけだったよ、ブルックス。本気で仲間になりたいみたいだね。
「ナギ様。私も、迷宮担当として何でも相談いただければと思います。実際に現場へ向かわせるのは、フルレット侯爵をと考えておりますがいかがでしょうか。
おお、そのことだよ。
「とりあえず、決まりってことでいい?」
もちろんでございます。
じゃあ、フルレット侯爵を呼んで欲しい。
すぐに、と外出て誰かに指示してる。王宮内にいるんだね、フルレット。
「それでね、迷宮の場所だけど、一カ所は元ドルーシア国との境界線あたりが端っこ。本来なら、半分はあの国のものだったってことだよ。今は、全部この国のものだけどね」
そんな幸運が! と宰相は驚いている。
「それは主殿の幸運のおかげだ。その能力を持っているのだからな」
オニキスがいうけど、みんな持ってるじゃんよ!
「幸運のことはおいといていいよ。でね、辺境周辺は誰の領地かな。辺境伯は?」
聞くところによると、魔物が多いので皆行きたがらなくて、地元の男爵家が守っていたらしい。
どんな人?
実直でいい人だが、跡継ぎがいないらしい。数年前に魔物討伐にいって殺されたんだと。酷い話しだよね。
「本当に貴族どもはバカだね。特に王都の貴族は信用しない。それならさ、俺からの提案聞いてくれるかな」
当然、全員が聞く態勢ですよ。
「辺境領も含む迷宮だけど、地上の魔物も多い。だから迷宮のある場所、そして今の辺境伯領、迷宮をオープンにしたときにできる街全体を全て辺境領にする」
宿や商店を作るには危険が大きすぎるから、辺境伯中心でそこを守る。そのための騎士団、そして当然ギルドができるから討伐依頼などを積極的に出して守る。そのために高い塀も作る。辺境領は大きめがいい。後で地図を見て話すけど。
それに伴い、国境の塀を大規模なものに作り替える。とりあえず平地部分だけでいい。森を確認したけど、切り立った山々があって、塀を作ること自体難しい。ただ、境界線の把握は大事。それは協力してもいい。
辺境領はかなりの広さになると思われる。その辺境を統括するのはフルレット侯爵がいい。とても厳しい人だけど、人としては素晴らしい人物だから。
なるほど、それは良い考えですね、と宰相は頷いている。
ブルックスは驚いて、そして笑顔になった。なんでかな?
「忘れたんだけど、一つお願いがあるんだ」
なんでしょうか、と国王がこちらを見る。
この際にあの洞穴のことを話しておこうと思ったんだよ。
森の山頂付近に深い洞穴がある。そこが欲しい。かなりの大きさで、オニキスでも元の大きさのまま休むことができるくらい。地底には湖があって、プールみたいに泳ぐこともできる。人ではたどり着けない、深さがある場所。魔物を眷属として連れているけど、なかなか自由な姿で行動させてやれないし、ある意味そこも拠点になるから。隣国の魔物を討伐するにはいい場所で、この国の領内だから、隣国も文句は言えない。普段は見えないように隠すことができるから、他の魔物も入れない。
「どうかな。俺としてはぜひとも欲しい場所なんだよ。皆自由に遊べるからね」
どうしますか、と宰相が国王を見る。
「ぜひ、お使いください。ナギ様のものとして正式に取り計らいましょう。その森一帯をナギ様に進呈致します!」
にっこり笑った宰相は安堵してるね。
「ありがとう。うれしいよ。二カ所も拠点があるなら、この国はホームみたいなものだね。森全部は必要ないけど、かなり大きな森だよ、いいの?」
全く問題ございません、と宰相は大喜びだ。
「我が国の国土は広いので、森もかなりの広さがございます。正直管理し切れておりません。場所はおわかりでしょうか? おそらく人が近寄ることはないでしょうが、境界線を作った方がよいかと」
国王が国王らしいこといってるよ。できるじゃん、国王!
「それはわからぬな。地図を持って確認に行くか。どうする主殿」
「それがいいかもね。場所は迷宮寄り?」
「まあ、どちらかといえばそうであろう。それならその辺境伯候補が引き受けたならば連れて行くか」
その方がいいだろうね。
そうですね、と宰相も頷いた。
ノルかフラットに乗れるかな、といえばノルが乗せてくれるって。ブルックスはオニキスにのってね、といえば嬉しそうに頷いてた。慣れてきたのかな。
じゃあ、俺はサンとソラを鞄にいれてフラットの背中だねと笑いあう。
食事が終わった頃、フルレット侯爵がやってきた。
それからは、宰相が全てを話す。
俺たちは、ソファに座って、デザートを食べてるよ。
『あるじぃ、サンたち、きたよ~』
『来たね、じゃあ、フラットに謁見の間の前に降りてって。聞こえた? フラット』
『了解。そこに降りるよ~』
フラットたちが来るよ、といえば、ブルックスが扉を開けてお茶とお菓子をと準備してる。宰相が話してるからだろうけど、いい動きだね。
どうやら、フラットたちが降りてきたらしい。大きな扉の前にフラットの毛が見えたから。
小さめに身体を戻して中に入ってきたフラットの首元には赤い鞄がある。それを受け取ってクリーンをかけてやった。
鞄の蓋を開けてやれば、サンが飛び出してテーブルにのる。そっと顔を出したのはソラだ。
「ナ、ナギ殿。その小さい魔物は猫ですか? 妖精のケットシーに似ておりますが」
まあね。
「眷属でございますか?」
うん。
「素晴らしいです。そして、先ほど見たのですが、あの闇色の豹は?」
はーい、と手を上げるノルに吹き出しちゃったよ。
「あ、この子ね。創造神のアルムおじいちゃんが作った魔物なんだよ。闇豹だって。特殊個体でね、ダークビースト・キング、闇の獣王、悪魔の獣王だって。だから魔物の王で悪魔の王でもあるらしいよ」
そ、それは……すばらしい!
あれ? 国王が跳び上がるほど喜んでるんだけど、なぜ~?
まあ、いいや。放っておこう。
「ナギ様。宰相殿から聞きました。辺境領はかなりの大きさになるようですが、私で問題ないでしょうか。力不足だと思われるのですが」
ふふん、何言ってんの。
「力不足だと思うなら、そうじゃなくなるように頭を回転させて鍛錬すればいいよ。今までそうやって頑張ってきたんでしょ。それに、あそこは大きくなるよ。間違いない。各国から冒険者や商人が集まってくる。よい側近を見つけてね。誰か候補がいるなら鑑定するから。俺たちもフルレットが辺境伯なら遊びに来やすいしね」
もったいないお言葉でございます、と臣下の礼をとる。
「そういうのはいいよ。臣下の礼をとってもらっても、俺の臣下は眷属たち。だから国のために頑張ってほしい。俺も関わったからには、いい国になって欲しいから。できたら、辺境に教会も作って欲しいな。アルムおじいちゃんの教会は素晴らしいよ。そこにあるだけで幸運がやってくる気がする。それだけすごい神様だってこと。お願いね」
もちろんでございます、と国王も頭を下げる。大司祭と話して素晴らしい教会を作ると約束してくれた。それなら問題ない。
フルレットの午後からの予定を聞けば、何かあるのかと聞かれたから、山頂の洞穴のことを話す。それでは、すぐに参りましょうといってくれたんだけど、まだみんな焼き菓子食べてるんだよね。
じゃ、俺も食べるから、と目の前の焼き菓子を食べる。フルレットも気持ちを落ち着けるためなのか食べ始めた。
やっとおやつの時間が終わった時、フルレットが国王の前に跪く。
「国王陛下。私め、至りませぬが身命を賭して辺境領を守りましょう。どうかお任せください」
そう言ってのけたよ! かっこいいなぁ。
「うむ。ならば辺境騎士団の選定もお主に任せる故、頼むぞ」
よかった。話しは付いたみたいだね。
読んでいただきありがとうございます。
洞窟も確保できそうですね。これは将来役に立ちそうです。
もう一つの迷宮のこともあるし、それ以外にもいろいろとありそうな予感がします。
コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。
明日もどうぞよろしくお願いします。




