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101 大口真神の子、ソラが眷属になったよ。

こんばんは、こんにちは。

いつもありがとうございます。

今日もよろしくお願いします!


※魔物参考資料 『魔物図鑑』 作者:龍崎 明様

        『ファンタジー初心者用語解説』作者:滝川 海老郎様 他を参考にさせていただいております。ありがとうございます。


 さて。

 フラットとオニキスを追っかけるように、サンと一緒に根っこの処理をする。

 その途中で、根っこの中にできてた穴を見つけた。そこには何かが眠っている。

 ん? と見てみれば、グレーの子猫? 赤ちゃん猫かな。親はどこかと探索するけどいないみたいだね。

 これはどういうことなんだろうね。猫だよね、間違いなく。

 鑑定してみようと思って見てみると、意外なことがわかった。

 どうやら幻獣らしい。お母さんは何故か異世界から日本にこぼれ落ちてしまった妖精種のケットシーみたいだね。だけど、どうしてここにいるのかな。


 わかったよ。

 それって辛いね。

 お母さんは日本で邪神に見つけられて、憑依されてたらしい。それを、日本の大口真神という狼の神様が上神に言われて助けに行った。当然、邪神などは相手にならない神である大口真神だから、邪神だけを倒そうと思っていたが、ケットシーのお母さんは、邪神に身体を乗っ取られそうになっていて。それを内部から死滅させるために、ケットシーお母さんと交わった。

 それで邪神は、その力に負けて消滅してしまったって。

 ケットシーは感謝して大口真神に礼を言ったらしいけど、しばらく様子を見るからとお社に連れていったらしい。大口真神っていうのは狼の神様で、人や動物を助ける神様らしい。

 ケットシーのお母さんは、一度元気になったけど、なぜだか身ごもっていた。妖精種だからそんなことはないはず。でも、大口真神と交わったことで身ごもった。神も驚いていたが、気がついたときから数ヶ月で産み月を迎えてしまった。

 痛みに耐えるお母さんケットシーは、基本的に子供を身ごもること、生むことができない。でも、身ごもった。これは神として申し訳ないと謝罪した。だが、お母さんはこの子を助けてほしいと。こちらの世界では人型を取る猫など受け入れられない。だから自分が生まれた世界に連れて行ってほしい。そう懇願した。

 当然、大口真神は引き受けた。親子共々連れて戻ると約束した。

 だが、それからすぐに、ケットシーの大きなお腹からふわりと浮き上がったのがこの子だったらしい。同時にお母さんケットシーは消えてしまった。

 それを見た大口真神は、赤子を調べた。

 妖精ではなく、幻獣としてこの世に生まれていた。

 神は、母親との約束を果たすために、こちらの神に話をした。それならば、と俺がいるからってアルムおじいちゃんが頼まれたようだ。

 これって、かなり辛いよね、すごく悲しいよ。


 ピコン! と聞こえてタブレットを見る。

 アルムお爺ちゃんからのメールだ。


 +++++


 ナギよ。

 忙しそうじゃの。

 この度の幻獣じゃが、あまりに不憫じゃ。大口真神はケットシーを助けようとしたのじゃが、邪神のやつ、許せぬことじゃ。

 じゃがの、その子は大口真神とケットシーの子。邪神の痕跡は全て消滅しておる。故に心配ない。

 猫の姿じゃが、二足歩行をする。それはケットシーと同じじゃ。それでも妖精として生まれることはできなんだ。大口真神の力が大きいのじゃ。なれど、人を助け悪いものを滅する。ある意味魔除けのような部分もある。氷や冷気を操る能力もあるのじゃ。大口真神とは真っ白い狼姿の神じゃ。

 ケットシーは人の言葉も話す、剣も使い、いろいろな表情も見せる。もちろん普通の猫の姿にもなるのじゃ。実際の実力はもう少し成長せねばはっきりはせんのじゃ。所謂、新種じゃの。妖精ならいざしらず、幻獣となると登録は必要である。

 大口真神の願いじゃ、ナギ、その子を眷属として育ててやっては貰えぬか。登録さえすれば二足歩行できるのじゃ。獣人と理解するものもいるじゃろう。それはそれで良いではないか。ただし、フラットやオニキスが入国できぬ国は、同様に入ること叶わぬ。お前なれば、そのような心の狭い国など相手にせぬであろう。

 空は飛ばぬが、それもわからぬ。大口真神の力との融合を見なければの。じゃが言葉が話せるのは大きい。あの、エルフのギルドマスターに相談するもよいじゃろ。エルフならば理解できるやもしれぬ故な。


 申し訳ないが、大口真神は既に日本に戻ったのじゃ。

 そこでお前が見つけるように手配をして、あちらに戻った。あやつも神ゆえ留守ができぬのじゃ。申し訳ないと頭を下げておった。その代わりというては何じゃが、加護を与えるそうじゃ。何か用がある時は儂に連絡すれば良い。さすれば、あちらの神に話もできる。

 わるいの、ナギ。

 じゃが、大口真神が望んだのじゃ。我が子を託した。頼む、儂もお前が適任じゃと思う。魔法も使うやもしれぬ、爪で戦うやもしれぬ。ならば、お前が育てるのが最適じゃ。

 

 時間が取れたなら連絡がほしい。

 頼むぞ、ナギ。



  アルム爺


 +++++


 そういうことか。

 アルムお爺ちゃんの頼みなら断れないし、この子を放っておけないよ。邪神め、どこかで合うことがあれば、絶対に許さない!

『あるじぃ~、このあかちゃん、ねこっていうの?』

「そうだね、ケットシーっていう妖精がお母さんみたいだよ。お父さんは大口真神っていう日本の狼の神様なんだ。とっても色々あってね、お母さんは死んじゃったんだって。この子は幻獣なんだけど、俺のいた世界にはケットシーはいないんだ。だから、大口真神がこっちにって、神様に言ってこの世界に連れてきたんだって。アルムお爺ちゃんが俺に育ててくれって」

 ふうん、とサンは興味津々だね。

 詳しいことはみんながいるところで話すよ、と言えば受け入れてくれた。


 サンが鞄から毛布を出してくれたので、それに包んで鞄に入れたよ。ほんのり灯りをともして。


 その後も、鞄に結界を張って、俺の身体にくっつけてから作業を進めた。


 おやつはなしで、少し早めに戻ろうとオニキスが言ったので、俺とサンは、根っこを掘り出しアイテムボックスに収納し、地ならしをする。 

 それを繰り返して、そろそろ終わろうと連絡が来たので、鞄の結界を解除し、眠っている子を確認して、サンが中に入ってくれた。

 再び結界を張り、身体にくっつけて飛翔で空に上った。

 戻ってきたフラットの背中に乗って、屋敷を目指した。


 屋敷に戻り、美味しいおやつをいただきました。

 ホッとするんだ、料理長のつくったものは。

 今日はブルックスもいないし、使用人たちには知っててもらうべきだから丁度いい。


「ねえ、話があるんだけど」

 何? とオニキスとフラットがこちらを見る。

 いつもの鞄から毛布に包んだ塊をそっと出した。

『ナギ、これ、赤ちゃんなの?』

『ケットシーであるか? いや、幻獣であるなら違うな。どういうことだ?』


 うん、話すよ。

 それから俺は鑑定でわかったこと、アルムお爺ちゃんからのメールで知ったことなどを話した。俺は託されたんだとも告げた。

「それで、どうするのだ主」

「僕はこの子を受け入れる。あまりに悲しすぎるよ。それにお母さんの思いもわかるんだ。自分の身体は消えちゃったけど、妖精種だから仕方がない。でも、それを大口真神に託した。それで俺は選ばれたんだと思う。この子に選んで貰ったんだよ」

『さんは、さんせいだよ~このこをおせわしないとね』

『僕もいいと思う。僕のことも受け入れてくれたナギだから、きっとこの子もいい子に育つよ。それに狼の神様に頼まれたんだ、僕は大賛成!』

「ふむ。我も良いと思う。このままでは、此奴の命はないであろう。我も主に拾ってもらった身。此奴と変わらぬ。ノルもおそらく問題ないであろう。優しいやつだからな、ノルは」

「ありがとう、みんな。すごく嬉しい。仲間に受け入れてもらえてホッとした。ダメだって言われたら、俺がこの子を連れて出ていこうと思ってたんだ」

『あはは、何いってんの、ナギ。絶対にそんなことないよ。だって、僕らはナギの眷属だからね』


 ありがとう、と頭を下げた。そして涙を流しながら笑顔を返した。


 その後はケットシーのことをオニキスが講義してくれる。

 二足歩行する猫だと。人の言葉を話し、素早く動き人間すら揺動するほどの動きをする。そして普通の猫の姿にもなれる。見た目は獣人によく似ているが、それほど大きくはない。

 でも、この子は大口真神を父に持つ子。

 それ以外にもいろいろと能力があるかもしれないって。

 氷を使う神だから、ナギ同様に凍結魔法を使うかもしれないって。実際に話したことはないけど、大口真神という神は、獣や人を助ける神だと聞いた。だから、いい子に育つだろうって。


 そうだ、未知数なんだよね、この子は。

 そう考えると楽しみだ。

 

『じゃあ、なまえは~どんななまえにするの?』

 おっと、サンがいいことを言ってくれたね。

 幻獣として生まれたこの子には性別がないみたい。鑑定でも出てなかったから。そうだな、名前はどうしようか。

 とってもきれいなグレーだから、グレーって名前でもいいかな。グレーの猫。グレーのキャット。うーん、思いつかない。

 色っていうのも安直だよね。


 あ、そうだ。

 サンは太陽だよね。だからソラはどうだろう。クラウドもいいかもって思ったけど、雲というより曇り空のイメージが強い気がするから。

 太陽とかいい天気とかっていうイメージのサン。それを広く受け止める空がある。だからソラ。

 うん、いいかも。

「ねえ、ソラってどうかな。俺の国でソラっていうのは太陽が浮かぶ空全体をいうんだ。スケールが大きすぎるけど、サンがいるから思いついた。身体の色だとグレーっていうのもいいかと思ったんだけど。でも、俺はソラがいいと思うんだ」

『サンはすき~、ソラにあるんだよね、サンは』

 そうだよ、ソラに太陽はあるんだ。

『僕もいいと思う。僕の名前はフラットだから全てを公平に見られるようにって意味でしょ。だから、広いお空には太陽のサンがいるんだ。すごくいいと思う。みんな意味をちゃんと考えてくれてるし』

 あはは、褒められたのかな。

『うむ。良い名である。我も黒鉄竜ゆえ、ブラックとされても仕方がなかったが、オニキスと言うなをもらった。心に落ち着きを与え、意志の強さをもたらすという意味の石の名。ありがたいと思う』


 じゃあ、ソラでいいかな。

 いいよ~

 よかった、眷属全員の賛成をもらえたよ。ノルが戻ったら意味と一緒に伝えないとね。

 

 おやつを終えて、フラットとオニキスは木材を取り出して隣りに積み上げる作業をするらしい。かなりの量あるから崩れたら大変だし。サンは庭師のいう場所に根っこを取り出したよ。でっかいから動かすだけでも大変だしね。当然、俺の分も預けました。


 その間に俺はソラの身体から毛布をはいで確認ですよ。その前に浄化だね。

 ずっと寝てるけど、大丈夫なのかな。

 とりあえず、毛布とソラを浄化してからくるみ直してソファに寝かせた。さて、この後はアルムお爺ちゃんにメールだね。



 ++++++++

 

 アルムおじいちゃん

 

 ナギだよ。

 みんなに話したら、気持ちよく受け入れてくれた。ノルは依頼に出てるけど、間違いなく喜んでくれると思うんだ。

 あれからずっと寝てるんだけど、大丈夫なのかな。

 名前も決めたよ。ソラっていうんだ。お空のソラだよ。いい名前だってみんないってくれたんだ。

 それでね、あの子は生まれたばかりでしょ? 何を食べるの? まだミルクなのかな。起きたら何か食べさせてあげたいから。離乳食みたいなのでいいかな。とりあえず作ってみるよ。幻獣だから排泄はないって書いてあったし、性別もなかった。

 あまりに赤ちゃんだから気になってる。フラットは連れて戻った日から普通に食べてたけど、どうなんだろう。教えてください。あ、食べさせていいんだよね?


 もう、僕の眷属になってるみたいだからステータスを見ようかと思うんだけど、出てこないんだ。どういうこと?

 別に見られなくてもいいんだけど、成長の確認のためだからね。

 あと、大口真神に伝えて欲しい。

 僕は子供だけど、たくさん優しい眷属がいるし、優しいメンバーもいるから大事に育てますって。

 いつか機会があればあってみたいな、大口真神には。ソラのお父さんだもんね。

 とりあえず、食事のことだけ教えて。フラットは生まれてすぐに立って歩いてたから。目も見えてたし。

 ソラはずっと寝てるから何もわからないんだ。

 教えてください。お願いします。


   ナギ


 ++++++++


 これで大丈夫かな。

 美味しく食べて大きくなって欲しいからね。旅に出れば俺が作ることになるから、しっかり把握しておかないと。

 

 ソラを抱っこして、料理長に話をしてみた。

「なるほど。新しい眷属ですか。生まれてすぐのようですね。それでは、果物でも絞ってみますか。潰したものもあればいいですね。ミルクだけなら哺乳瓶も必要になります。それは目を覚ましてからにしましょう」

 お願いします、とありがたい言葉に感謝した。


 外をみればトッドが駆けてきたので、素材を受け取る。

 そうだ、冷蔵庫が必要だね。じゃあ、調理場にあるでっかいのをコピーするかな。

 肉は調理場に持って言ってくれるらしい。ちょうど、解体が終わったタイミングだって。よかったね。


 

 その後、ソラは目を覚ましてリビングテーブルの上で立ってます。二本の脚で。あはは、すごいね、これは。

 料理長の作ってくれた果物のジュースを飲み、潰したものも食べて、おかわりと皿を押し出すほどだ。思わず笑っちゃった。その後も、ミルクに浸した食パンの中身だけを一枚分食べきって、盛大なゲップをし、俺に抱っこをせがんだんだ。

 可愛すぎるよ、ソラ。


 夜には大きなたらいを作って沐浴させたよ。そのつもりだったんだけど。サンとフラットと一緒にお風呂に入るって。

 仕方なくお風呂に連れて入ったら、大喜び。

 僕は盛大に疲れたけど。


読んでいただきありがとうございます。


ソラも難儀な仔です。

なんとか元気に育ってもらいたいと思っています。


コメント・評価をいただけると、九龍はとっても頑張れます。

明日もどうぞよろしくお願いします。

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