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これをハーレムとは認めねぇ!  作者: 未練マシマシ
一章・さぁ、ハーレムを作ろう
6/14

第五夜 止められて、連れられて、巻き込まれた

困った事になった。


村に入ろうと近寄ったのは良いが数人の男が竹槍のような物を持って村の方からやってきたのだ。

男達は穂先を俺達の方へ向けて強い口調で何かを言っている。

多分、止まれとか動くなとかだろうか。

攻撃されて黒い刃の化物になる訳にはいかないので止まったが…どうするべきか。


全員が俺よりも遥かに強そうな屈強な男達。

服は俺を拷問した男と比べて貧相だが、肉体は負けず劣らずだ。

槍が易々と俺に突き刺さる光景を幻視してしまう。

そしてその後に起こる蹂躙も。


あれが俺のハーレム候補に成ってしまうのは避けたいからな。


一応、日本語で敵意は無くベラを助けて欲しいとは伝えた。

案の定、言葉が伝わった様子は無いが気絶しているベラに気付いたのだろう。

一人が村の方へ走って行った。

受け入れてくれよ、本当に…


残りの男達は俺達に近寄らずに警戒しているのか険しい目付きで怪しい動きを見逃さないと言わんばかりに睨んでくる。

こちらは全裸だから武器なんて持っていないと分かると思うんだが…魔法がある世界だからな。

不用意に近付きたくないのだろう。

場違いだと分かっているが野郎に裸をじろじろと見られるのも不快というか…恐ろしいな。

あっちからは少しもそんな雰囲気は感じない事が唯一の救いだな。


そんな気不味い空気のなか、村の方から二人の男女がやって来た。

一人は見覚えがあり、村へ呼び出しに行った男だった。

荷物が増えているようだが…もしかして服か?


もう一人は女性で服が男よりも色鮮やかで帽子と首飾りをしていた。

村長か何かだろうか。


女性は男達を従えて俺に近付いてくる。

男達は一定の距離を空けて穂先を向けたまま、俺達をぐるりと囲んだ。

女性は柔和な表情と優しげな口調で話しかけて俺の背後へ回っていく。

俺が動こうものなら周りの男に串刺しにされそうなのでじっと待つ。


首輪と半透明の鎖に気付かれた時は騒ついたが、女性が何かを言うと収まった。

空気が更に悪化したのは肌で感じたが…


一言、二言女性が言葉をこぼしているのを聞きながら待っていると男の一人が槍を他の者に渡して近寄ってくる。

どうやら女性が呼んだようで俺からベラを離すと布に包んで運んでいく。

俺にも布を被せられた。

女性が俺へ話しかけながら村の方を指差すと男を引き連れて村へ移動していく。

どうやら村に迎えてくれるようだ。


…惚れたかな?


どうやら俺は女性に好かれたようだな。

異世界でようやく俺を愛してくれる女性に会えるとは…嬉しさで泣きそうだ。

と言うか泣いた。

俺は泣きながら女性達について行った。

俺はこの人に一生を捧げて愛そう。

ハーレムはもういいや。

邪神、ありがとう!


女性に抱き着こうとしたら男から腹に重い一発をもらった。

なんでだ!?

空気が更に重くなった。


男に背負われてもベラは起きなかった。

目覚めない原因は栄養失調か脱水症状か。

もしかしたら他に原因があるかもしれない。

ぐったりと力無く垂れる手足からは俺を殺そうとしたなんて信じられない。

布に包まれたせいで余計に…担がれた死体のように見える。

助かる…よな?

手遅れじゃ…ないよな?


村の周りには木材で造られた高い柵で囲まれていた。

こんなのマンガぐらいでしか見た事がないぞ。

獣対策にしては柵の高さがとても高いと思う。

だって村の家よりも高いし、分厚くて頑丈そうだ。


小人以外にも何か居るのだろう。

それも人よりも大きく恐ろしいモノが…

俺、本当に生きていけるかな!?


村に入ると俺やベラに視線が集まっているのを感じる。

人影は見当たらないが家に身を隠してこちらを見ているのだろう。

警戒心が強過ぎじゃないか!?

俺は人畜無害の…裸の男は警戒に値するわ。

しかも言葉が通じない。

近付くには勇気がいるな。

あの女性は良く笑顔で話しかけられたな!?

好き!

愛して!


村のなかで一際高い建物に連れて来られた。

柵と同じか少し高いぐらいだから相当だ。

やはりあの女性は村長か何かだろうか?


俺は個室に待機する様に言われた…多分。

槍は建物の外に置いてかれたが屈強な男に挟まれて椅子に腰掛けている。

圧が…重い…


ベラだけが別の部屋に連れて行かれた。

半透明の鎖がどんどん伸びていく。

そして、上へ傾き始めた。

ベラは上へ連れて行かれているらしい。

…不味い。

離れ過ぎると巻き込みが始まってしまう。


「すま…」


「〜〜〜」


どうやら会話は駄目なようだ。

せめて半透明な鎖を指差してみるが無視された。

いや、半透明の鎖を不気味そうに見上げていた。

そうだよな、何が起こるか不安になるよな俺もそうだよ!?

このままじゃ巻き込みが起こ!?


「あ゛あ゛!?」


体がガクンと引っ張られて激痛が左手に走った。

俺の体がどんどん浮き上がっていく。

両脇に座っていた男も驚いて浮き上がっていく俺を見上げているだけだった。


俺は天井を破り上の階の床を破り他にも色々と破って…ベラの寝かされたベッドまで飛んで行った。

俺は巻き込みの激痛で何も話せなくなっていたが周りはとても騒がしかった。

俺からベラを離すなと説明出来ていればこの痛みは生じなかっただろう。


あぁ本当に、口で説明できないのが本当に忌々しい!

言語の壁は本当に厄介だな!?

【???】

あらぁ…驚きました。


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