005話「魔王姫と幼馴染」
奈々を連れた夢希達は、アマテラスに帰還した。
所長「お帰りなさいませ夢希様。それで、あちらの世界でのご活躍は?」
夢希「えぇ。クズ家族とイジメグループとその共犯者達の復讐は完了したわ。まだまだ絶滅には至らないけどね。それと、前に言ってた奈々ちゃんを保護したわ」
マリーナ「そうですか。では打ち合わせ通りに準備してきます」
そう言って侍女のマリーナは退出した。
奈々は突然変わった風景をキョロキョロ見回した。
奈々「ど、どこなのここ⁉」
夢希「ここは零帝国。このクズな転生先に築き上げた要塞楽園の国…」
奈々「要塞楽園の国?」
奈々は次の言葉を発する前に看守が声を上げた。
看守「王女。帰還早々に申し訳ありませんが、例の実験処刑の準備が完了しました」
夢希「そう。すぐに行くわ。ヒナタとリンは今回の作戦のレポートを書いて後程提出して」
ヒナタ・リン「「かしこまりました」」
夢希「所長達は時空転送マシンのメンテナンスをお願い」
所長「お任せあれ…」
夢希「それじゃ行こうか奈々ちゃん…。この世界のクズ達の末路を…」
夢希は奈々を連れて、とある部屋に入った。
看守1「姫様!お待ちしてました」
夢希「モンスターと囚人達の様子は?」
看守2「全て良好です。モンスターはともかく、囚人達は相変わらず『自分達を出せ!』と騒いでいます」
夢希「だったらこう言い返しなさい。『余裕をかますのも今の内』って」
窓を覗くと、ドームのような室内に大きな森があった。
夢希「処刑所と罠やモンスターの状態は?」
看守3「全て可動可能です」
夢希「魂の監獄の設置は?」
看守2「全て設置しています」
夢希「良し!囚人達が入った檻をフィールドのど真ん中にセッティング!」
看守1「了解!」
看守の1人がスイッチを入れた。
奈々「●●●ちゃん、囚人って何なの?一体何する気なの?」
奈々が動揺する中、看守達は不思議そうに彼女を見た。
看守1「失礼ですが、その女は?」
夢希「随分前に言った奈々ちゃんよ。手荒なマネはしないように」
看守達「「はっ!」」
夢希「これから、クズな連中の虐殺ショーが行われるわ」
奈々「ぎゃ、虐殺⁉」
モニターが映り、そこには檻に閉じ込められているボロボロの囚人服を着た高校生位の少女達が500人位収監されていた。
夢希はマイクの前に立ち、コンコンと数回指で叩いた後、口を近づけた。
夢希「さて、捕まる前に私欲な生活していた頭の中がお花畑な王族様達?無抵抗な一般人やモンスター達を痛めつける勝ち組人生は楽しかったかしら?そろそろ自分達に因果応報的な報復される頃じゃない?(…って前世のWEBの復讐物の小説の主人公の受け売りのセリフだけど)」
すると、モニター越しで、囚人達が、「ふざけないで!」やら「すぐに解放しろ!」やら怒鳴っている。
夢希「そんなに騒がなくても解放してあげるわ。今から行われるゲームをクリアすればね?」
別のモニターにはドームの中とは思えないほどの広い森や高原に草原、湖が広がっていた。
夢希「お前達に2度目の人生を与える希望を与えよう。5分後に全ての檻のカギが開く。明日の朝までに致死率が高い罠やモンスターから逃れ切れば、好きな所へ逃がしてあげる。逃げ切れなければ死。簡単なゲームでしょ?その場に留まっても良いけど、ただ死を待つだけよ?」
各地のモニターにパッと見ただけでは分からないほどの超小型のドローンカメラで映し出されており、怯える者、苛立ちをしている者、自分の力に過信しているのか、余裕になっている者がいた。
奈々「●●●ちゃん…まさか、あの人達を殺す気じゃ…?」
夢希「殺す?私達は一切手出しはせずに見てるだけよ。私達はね?」
それを聞いた奈々はホッとした。奈々は昔から優しくてお人好しな性格である。
夢希(連中はともかく、来たばかりとは言え、奈々ちゃんのあの様子から、罠とモンスターの事は本気にしていないはず…)
静かに笑みを浮かべながら夢希はモニターの方を向いた。
夢希「さてそろそろね?さぁクズな王族達!2度目の人生を掴むために逃げ延びるがいい!!」
全ての檻が開き、囚人達は次々と走り出した。
夢希(さて、どこまで行くか、お手並み拝見)
草原エリアで逃げている第257の国「パワード・ルスッマ」の王族達は、魔力を使って(この世界における)常人の100倍の腕力を持っており、世界で1番力持ちだが、裏の顔は力が全くない汚れた血や劣等種達を次々と腕や脚に顔を握りつぶし、その彼女達を精神的に奴隷として支配していた。
王女の「ドーワパ・パワード」は、逃げ延びたらすぐに夢希の顔を握りつぶし、国中に晒しだそうと思っていた。
夢希(ドーワパ達は草原エリアの「ライム地点」に向かっている…。その余裕と底無しの力…、いつまで続くかしら?)
すると、ドーワパ達は突然立ち止まった。
視線の先には様々な色をした巨大なスライム達だった。
スライム…。RPGのゲームではおなじみのモンスターで、多くは序盤の序盤でほぼ必ず戦うことになる弱小のモンスターのイメージだが…。
ドーワパ「こんなのが致死率が高いモンスターだって!?こんな弱小なモンスターを出してくるなんて、舐められたもんだね!」
大きく殴りつけたが、腕がスライムの中にすっぽり入り、抜けなくなった。
ドーワパ「何だコイツっ!弱小のクセに!」
いくら引っ張っても抜けない。それどころか、どんどんスライムの中に吸い込まれていく。
ドーワパ「なっ!」
体全てがスライムの中に吸い込まれた。
すると、ドーワパが苦しみ出した。
着ているボロボロの囚人水着が溶けだしていく。
それだけではなく、体中の皮膚が溶けだしていく。
家臣「ドーワパ様!」
いくら暴れても外に逃げるとこも出来ず、ドーワパは骨も残らずに溶けていった。
それを見た家臣達は悲鳴を上げながら逃げ出すが、次々とスライムに飲み込まれていく。
夢希「あっはっはっはっはっはーーーー♪何が『常人の100倍の力を持っている』だっ!最弱のスライムすら負けるなんて、『常人の100倍弱い』の間違いじゃないの?」
パワード・ルスッマの末路をモニター越しで大笑いする夢希。
奈々「話が違うじゃない●●●ちゃん!手は出さずに殺さないって!」
夢希「勘違いしないでよ奈々ちゃん。私は『自分達は一切手を出さない』って言ったのよ。それに最初に『致死性の高い罠やモンスター』って言ったわ。アイツらはそれに引っかかっただけ」
全員スライムの餌食になったあとは、次のモニターが映し出された。
夢希「今度は密林のエリアか…。お。連中はモンスターから逃げているみたいね。…けど、そのまま行くと…」
逃げる王族達が沼にはまった。
抜け出そうとしているがどんどん体が沈んでいく。
女性1「い、いやっ!沈んでいく!」
女性2「助けて!死にたくっ!」
頭でも沈んでいき、やがて、最後の呼吸である泡がポコポコと上がってきた。
夢希「底なし沼。1度はまったら最期、死ぬまで出ることができない。アンタ達に殺された娘達と同じように永遠に沼の底に沈んでいくんだね!」
次に移されたのは森のエリア。
別の王族達が多くの木々を避けつつ駆けて行ってる。
王族達は突然急停止した。
目の前に巨大な大蛇の群れが現れたからだ。
女性3「ひっ!」
大蛇達が大きな口を開けて、1人ずつ丸呑みしていく。
彼女達は抵抗も空しく少しずつ体が吞み込まれていく。
夢希「自分達が飼っているモンスターの生き餌として罪も無い娘を食い殺させた罪は重いわ♥」
そして、1組、また1組と罠やモンスターの餌食になり、気づけば生き残っている者は1人もいない。
夢希「あら?朝になるどころか、1時間も持たなかったじゃない…。まぁ、自分達が超強いと傲慢して体と心の鍛錬を劣ったのが敗因でしょうけど…」
踵を返し、奈々の元へ歩み寄った。
奈々「どうして…どうしてなの…?どういう事情かは分からないけど…あの人達だって生きてたのよ…殺す必要は…」
夢希「あるのよ。罪を償えとか何とも言うけど、結局はクズを生かす言い訳にすぎないじゃない。表向きは改心した面をしたと思うけど、内心は反省してないのよ。人の心なんて、結局誰もわからないのよ」
奈々「でも…でも…」
夢希「悪いけど奈々ちゃん。続きは後にしてくれる?これから奈々ちゃんを皆に紹介しないといけないから…」
10分後
城のテラスに奈々を連れて、城の外にいる娘のフローラを含めた住人達が大勢集まっていた。
夢希は、マイクを持って住人達に伝えた。
夢希「良く集まった島のみんな!ここに私の為に伴侶になる者を紹介する!」
奈々を前に出した。
夢希「彼女は古き友であり、伴侶でもある『奈々』である!彼女の名と我が愛と誇りをかけて、この国の永久なる平穏を約束する!」
住民達が大きな観戦を上げて、大いに喜びあった。
奈々は震えていた。
この状況でもあるが、何よりも気になったのは…。
奈々(私が…●●●ちゃんの…伴侶…?)
30分後
夢希は奈々を自室のベッドで押し倒していた。
奈々「●●●ちゃん…さっきの…本気なの…⁉」
夢希「奈々ちゃんを伴侶にするって?勿論本気だよ。私達、親友…いや、それ以上だよね?」
奈々「わ、私は…!」
夢希「その前に…これを…」
取り出したのは、前世の世界でも使った姿を変える薬が入った注射器だった。
それを奈々の首筋に打ちこんだ。
奈々「っ…!」
奈々の体と顔と髪の色が変わり…変化が終わると、夢希は鏡を取り、奈々に見せつけた。
奈々「う、ウソ…これが私…?」
顔や体は以前よりも美しくなり、髪の色はオレンジ色になっていた。
夢希「昔からオレンジ色が好きだったね…奈々ちゃんは…」
奈々「…戻して…元に戻して!」
夢希「戻して?こんなに可愛く美しく変わったのに戻して?心の底では自分の姿がコンプレックスだった事を前に言ってたのに…忘れちゃったの?」
夢希は奈々の着ている服の胸元を破き、ブラが露わになった。
夢希「やる前に、少し話をしようか…」
奈々「は、話って?」
夢希「勿論前世の世界の事よ…。あの世界は犯罪者や加害者を味方にし、全て被害者を悪者扱いにして、法律という後ろ盾を使って本当の悪党を加担している…。日本という国は特に少年法を利用して悪党は犯罪を繰り返している。日本は…いや、前世は『犯罪者教育の世界』に変わり果てたのよ…だからね…。そして自殺して来た今世の世界は、男も生理もムダ毛も無い楽園と思っていたけど、この世界も私を否定した。だからね、私は軍隊を作って前世の世界と今世世界のクズを絶滅する為に戦争をしようと考えてるの。名をつけるとしたら…」
夢希は、悪魔のような笑みをした。
夢希「第3次世界大戦 終焉」
奈々「せ、戦争って…本当にそんな事を考えてるの⁉」
夢希「狂ってるって?狂ってるのは、私を否定した、クズ達なんだよ!…だから私が…それを…教えてあげる」
奈々「いや…イヤーーーーーーーーーーーーーー!!!」
夢希は掛布団1枚のみになりぐったりした奈々をベッドに寝かせて、汗と疲労を洗い流す為にシャワーを浴びていた。
奈々と自分の子であるタマゴを産み、部下に預けた後入浴室に入り蛇口を回した。
夢希(……そう言えば例の物はやっと貯まってきたわね…。そろそろ彼女と久しぶりにビジネスの話をするか…)
1時間程前
夢希の演説を遠くの森から見ている者がいた。
???「随分ご活躍ですね…。まさか前世とやらの世界から人を連れてくるとは…。良い土産話とは別に会いに行くのが楽しみですね…魔王姫…」