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004話「共犯者と魔王姫を想う幼なじみ」

修正部分が無いので内容はR-18版とは変わっていませんので予めご了承ください

次の日


夢希が焼き払った町だった土地に警察の捜査が行っていた。


どこもかしこも家は燃え尽きており、生存者は全くいなかった。


志穂「まるで戦争のあとみたいわね…」


そう呟きながら見渡す志穂。


住宅街が火の海になった通報が消防に届き、消火活動をするも一向に炎は消えなかった。日が出る頃に突然消えるようになるまでは。


警察は火の不始末でこんなになってしまうハズはなく、多くの死体には火の手が回る前に首を斬られたような跡がある事を知り、放火殺人として捜査を開始した。


犯人は何で殆どの被害者(ガイシャ)を大量に殺して放火等をしたのだろうか。怨恨にしては多すぎるし、無差別にしては酷いすぎる。


色々気になる事が山のようにあるのだが、1番気になるのは、火事の中心部と思われる場所にあった3人の死体は、3人とも女性だった事を。


死体に関してはおかしな事は無いが、問題は()()()()()


この家の一家は、夫婦と娘2人が住んでいたが、その長女が学生時代からの極悪な性格の大犯罪者で、数日前に罪から逃れる為にビルの屋上から飛び降り自殺をした。…しかし、志穂にとって、資料には不審な部分が多くあったのだが…今はそれは重要ではない。


その長女が死んでから今は3人が住んでいるのだが、その3人と思われる死体の性別が、全員()()だったこと。


連絡の取れない母親と次女の可能性があるが、3人目の死体は何なのか?


死体は持ち帰って調べている最中だが、女性である事は、間違いない。…が、それは誰なのかは身元不明である。


長女はもう死んでいる筈なのにこの女性は何者なのか。そして父親はどこへ行ったのか?


そして、その死体のそばにあったこのカード。




『自分達を全知全能の神と思い込み、人種差別を繰り返すクズな人類へ

一昨日の小悪党共に続いて私を産み出し、こんな風にしたクズな家族を3人とも抹殺した。連中は妹ばかり可愛がり、私を奴隷同然の扱いをしてきた。私の夢を握りつぶし、予め敷かれた線路を無理やり通させ、自分達は贅沢ばかりしてきた。その上、自分達が起こした犯罪を私に押し付け、暴力を振るう人間の皮を被った外道達。私を人間らしく扱っていれば、私を産まなければ、こんな苦しい死に方はしなかった。今度は私を虐めたクズ共を逆襲(おしおき)をし、私を産んだ事、そして自分達が生まれた事を後悔させてから殺した。次は私を虐めた連中を逆襲(おしおき)をし、私を()()()()()()()()娘を迎える事にした。お前達の()()()が裏切られる気持ちを味わうがいい

第10001の国 (ゼロ)帝国の王女 緑奈夢希(みどりなゆき)より』


緑奈夢希…。まさか昨日の殺人事件の犯人がこんな事件を起こしたのか?


名前はマスコミには伝わってるが、このような文章が書かれたカードを置いていった事は言ってない。


同一人物による連続殺人の可能性が高い。


昨日の『まずは私を生み出した連中達』…。もしかして…。


…だが、さっき思った通り、とっくに亡くなっており、焼却されたと聞く。


志穂は近くにいた部下に近づいた。


志穂「ねぇ。ここって確か、数日前に自殺したあの被疑者の住んでいた所よね」


刑事「●★▲■■▼●(そうでしたっけ)?■■■★▼▼●(あの女も酷い奴)▼▼▼★●▲★(でしたね)●▲▼▼■★(悪い事なら)■■★●★▼▲(何でもする)■▲■■▼★●▼★(極悪非道の女)▼▼●●■●(でしたからね)


すると、携帯が鳴り、電話に出た。


この辺りに住んでいた一家の解剖の報告だ。


死因は焼死だが、不可解なことがあるらしい。


3人共骨は女性であるが、その内の1人は()()D()N()A()()()()と鑑定結果が出た。


志穂(どういう事?女性の遺体から男のDNAが出るなんて…。けど、こんな状況でふざけて言っていると思えないし、かと言って最新技術が間違うハズは無いけど…)


志穂はある考えに達した。…けど現実的には有り得ず、もうこの世にはいないハズだ。志穂はそのありえない考えをハズレてほしいと思いながら鑑識に連絡した。


志穂「私だけど。ちょっと調べてほしい事があるけど…。昨日と今日見つけたカードと数日前に死亡したある被疑者の指紋の照合を…」












同日の夜


とある住宅街の家の部屋


とある大学生が電気も付けずにベッドで掛け布団にくるまって泣き崩れていた。


愛咲奈々(あいさきなな)』は幼稚園からの幼なじみで親友の死に悲しんでいた。


親友は、幼い頃から虐められ、虐待され、中傷され、罵倒され、覚えのない犯罪の濡れ衣をされ、挙句に数日前に飛び降り自殺をしてしまった。


奈々は幼馴染である親友を庇い続け、心の支えになっていたのだが、その親友が数日前に飛び降り自殺してしまった。


家族は即日に葬式せずに火葬し、同級生や会社等の関係者達は一切気にせずに…いや、何も無かったのように普段通りの生活をし、彼女がまるでこの世にいなかったような態度をとっている。


唯一奈々だけが昨日1人寂しく泣きながら彼女が眠る無縁仏が集まる墓で墓参りに訪れ、彼女が好きだった百合の花を供えた。


それでも奈々の気持ちが落ち着くはずもなく、1日中自分の部屋の布団にこもり、泣き崩れていた。


親友が死んでから優しかった奈々の両親は変わってしまい、「あんなクズな犯罪者の事は忘れて大学に行け」って毎日のように怒鳴っていき、彼女の名を出す度に殴ってきて、身体的にも精神的にもボロボロになってきた。


今日も両親は1時間事に何度も扉を叩いて出てくるように怒鳴ってくる。


奈々は無視をし、親友の事を思い続けていた。


親友は幼い頃に、「ななちゃんのことはわたしがまもる!たとえしんじゃってもうまれかわってかならずあいにいくから!」っと子供ながらの約束もしていた。…けど、その親友はもういない。死んでしまったら、もう何も出来やしない…。奈々はそう思っている。


時計の針が夜の10時になろうとした時に部屋の外から人の気配がする。


また両親が自分を部屋から出そうとしている。


奈々は掛け布団をおおい被りながら大声で叫んだ。


奈々「何度言えば分かるの!私はもう誰にも会いたくない!友達もみんな●●●ちゃんを邪険にするし、世間は一方的に犯罪者扱いするし、挙句に私まで当たろうとする!私達が一体何したって言うの!もう顔も見たくない!アンタ達何か●●●ちゃんの代わりに死ねば良かったのよ!!」


言い終わった後に奈々はゼーゼーと呼吸が荒れていた。


人の気配が部屋の扉の前に止まると、「ばぁん!」と扉が吹き飛んだ。


それに驚いた奈々は部屋の外を見た。


そこに居たのは、両親…では無く、10代後半位の少女が立っていた。


何故かその少女は、明るい茶髪のツインテールで、看守のような帽子を被っており、服装は緑色のビキニ水着だった。


???「お前が愛咲奈々だな?」


奈々「そ、そうだけど…貴女は?」


???「私の名は『ヒナタ・プリズン』第10001の国 (ゼロ)帝国の看守だ」


奈々「零帝国?聞いたことない国だけど…。それより人の家に勝手に入ってきて何してるの!?家宅侵入罪よ!」


ヒナタ「安心しろ。私はお前の味方だ。ある方の(めい)により、お前を…いや、貴女様を迎えに来た」


奈々「私を?」


ヒナタ「貴女様の心の本音、あの方なら叶えられる。着いてきてください」


言われた通りについて行き、リビングに行くと、奈々は青ざめた。


リビング中血だらけになっており、父親…だった物は、原型がとどまってない肉の塊になっており、母親は、身体中バラバラになっておりそこら中に散らばっていた。


奈々「何…これ…?」


ヒナタ「貴女様を生み出したクズ達だ。貴女様は知らなかったと思うが、このクズ達は表向きは自然保護の為のボランティア募金をしていたが、その本性である裏の顔は、その集めた金を全額着服し、私服を肥やしていたのだ。こんなエセな連中は貴女様の願い通りに処刑したぞ」


奈々「そんな…ウソ…」


奈々はこの光景が信じられなかった。自分は悪い夢でも見ているのか。1時間前まで自分を罵倒してきた両親が、こんな最期を遂げるなんて…。


奈々「…これ…貴女が…?」


ヒナタ「『私が殺した』と?こんな傲慢な連中は死んで当然だ。貴女様もそう望んだハズでは?」


奈々「あれは…」


ヒナタ「まぁいい。この未練もない(豚小屋)を始末した後に貴女様を()()()()()()()()がある」
























20分後 とある古倉庫


ヒナタに連れられた奈々は、驚きの光景を見た。


そこに居たのは、ヒナタと同じ格好をした少女達と(背格好や顔は変わっているが)かつての小中学時代の(元)同級生達と担任の先生達だ。


男1「()●★▼▲■▲★(愛咲なのか)?」


女1「何で愛咲さんがここに?貴女まで連れてこられたの?」


同級生達は全員ロープでぐるぐる巻きになって座らせていた。


()()()()()()()って?


奈々「これって…」


ヒナタ「我が主、『緑奈夢希』様が生前、つまり()()()()()()()で愚弄された連中だ。この連中には逆襲(おしおき)…つまり死罪をここで行う」


奈々「死罪って…」


奈々の言葉を同級生達は遮ってきた。


男2「●▲▲■●★(緑奈夢希って)■■▼●▲■(殺人鬼何て)●●▲■★■(知らねーよ)!▲▲★▼●■(顔すらも見た事)…」


看守1「口答えするなっと何故学習しない!」


看守の1人が同級生達を殴りつけた。


ヒナタ「相変わらずだな?『リン』。そのすぐに殴りつけるクセを直せって夢希様に言われなかったのか?」


リン「この連中が口答えするからだ。特に男の声がな。生理的にもう聞きたくもない(こえ)だ」


ヒナタ「それは同感する。夢希様が来るまで殺すなって命令がなければこんな連中はすぐに殺すのに」


男1「()●■▲▼▼(殺すって)…」


その時に、新たな人影が現れ、看守達は膝まづいた。


その人影は、看守達と同じ緑ビキニの水着で、スタイルが良く、緑髪と紫のメッシュの膝まで長いサイドテール髪の少女だった。


奈々は、どこか懐かしいような雰囲気を感じた。そう、遠い昔感じたような…。


男2「■■▲★▼●(お前が俺達を)▼▼★■●(拉致した女か)!▼▼★■▲●■(この人殺しがっ)!」


夢希「人殺しか…。否定はしないけど、そんなセリフ、ブーメランだけどね」


女2「何訳分からないことを言ってるの!?私達を解放しなさい!」


リン「黙れと言ってるのが分からないのか?!」


再び殴りつける看守のリン。


連中(クズ)はともかく、看守が苛立つのも無理もない。


夢希「例の曲鳴らしていいわ」


夢希と同行していた看守の1人が手渡されたゲーム機をどこからか出したスピーカーに接続して、お気に入りのゲーム「スマブラSP」のテーマ曲「命の灯火」をループ且つ大音量で流した。


男3「▲▲●▼■★(うるせーー)!」


男4「●●★▲★■(音楽を止めろ)!」


夢希「()()()?アンタ達も私と同じ事をしてきたじゃない」


女2「な、なんの事よ?意味が分からないわ!?」


夢希「例の薬を」


看守達は、男達に昨日使用した薬を注入した。


男達は注入された直後苦しみ、体がみるみる女性に変わっていった。


女3「な、何なのこれ!?女になってる!?」


男1「ほ、ホントだ!?俺女になってる!?」


夢希「これで少しは話しやすくなったわね」


夢希はクズ達の前に近寄った。


夢希「改めて久しぶりね。私の事は覚えてるよね?」


男2「お前のような殺人鬼に見覚えはねぇって言ってるだろ!?」


夢希「強がるのもどこまで続くかしら?」


1人の前髪を掴み、顔を近づけた。


夢希「もう一度聞く。私の事は覚えてる?」


男1「知らないって!本当に知らないっ!」


その男を地面に叩きつけた。


夢希「アンタ達にとって、私はその程度の認識だったわね」


夢希は踵を返して、看守達に()()()を出させた。


用意されたのは、肉の塊をミンチにするような巨大なローラーだった。


夢希は階段で上の投入口の所に上がって行った。


夢希「だったら、思い出させてあげるよ、お前達の()()()をミンチにして」


指を鳴らすと、アームが動き、その先には、ヒモで縛られた1人の人物が引っ掛けられていた。


???「な、何をするのよ!?」


その人物は恐怖で顔色が青くなっている。


夢希「TVで見覚えあるよね?」


女3「い、一応知っているわ。ある季節の歌で有名な歌手で…」


夢希「次の質問。私はこいつのその歌が好きでしょうか?」


男1「し、知らねぇよ!お前の好みなんて…」


夢希「その答えは…」


指を鳴らすと…。


夢希「お前らのイジメのネタとしてトラウマになる程大っ嫌いになったんだから!」


ローラーが動き出し、アームが歌手を離し、そのローラーの中に落ちていった。


歌手「ぎゃあああーーーーーーーっっっっっっ!!!」


悲鳴にならない悲鳴を上げ、歌手はローラーの中に吸い込まれ、排出口から人だった物が出てきた。


その光景に、クズ達は嘔吐したり、漏らしたりした。


夢希「それだけじゃ無いよね?散々私を殴ったり蹴ったり、便器に顔を突っ込まれたり、裸で外に出されたり、それをSNSにあげて拡散したり、挙句にはそのクズな共犯の先生達は見て見ぬふりをし、それどころか、私を問題児として別の教室に隔離したんだよね?」


クズ達は恐怖に怯えながらもその意味は一瞬分からなかった。


だが、奈々だけは確信した。


懐かしい雰囲気の彼女の正体は…。


奈々「まさか…●●●ちゃん?」


夢希は奈々の方に顔を向けた。


夢希「久しぶりとでも言っとこうかしら、奈々ちゃん」


クズ達はしばらく思考を停止していたが、やがて理解したのか体を震え始めた。


男1「お、おい…まさか…●●●なのか…?」


夢希「気づくの遅いよバーカバーカ!大卒の癖に頭悪いの?まぁ無理もないね、親のスネかじりで高校と大学を裏口入学して大企業の会社に入ったんだから…」


教師1「き、キミは死んだハズでは…」


夢希「確かに死んだわ。お前達クズのせいで私の人生はメチャクチャで、飛び降りるしか無かった。…けど、転生した無敵の無限の力で地獄のそこから蘇ったのよ。お前達外道でクズな勝ち組共をその地獄に引きずり落とすためにね!」


先程の勢いはどこへ行ったのやら、口をパクパクしかしない。


男1「う、ウソだ!だってお前は陰キャでデブでチビでブスでノロマで臭くて中卒の貧乏人のハズじゃないか!そんな美人のハズがないじゃ…」


リン「夢希様が喋っているのにうるさくするな!」


警棒で殴りつけた。


夢希「中卒で貧乏な見た目は私にいつまでもボロい物しか与えず、中学卒業後に無理やりブラック企業の会社に入らされた毒親のせいだけど、確かにかつての私はそうだったわ。けど、その力で私を生まれ変わらせて、お前達に生まれた事を後悔するほどの逆襲(おしおき)をする事ができるのよ」


飛び降りてクズ達の傍に来た。


夢希「名前は…忘れたけど、大会社の社長息子で主犯のアンタはさっき言った曲をバックに私にだけ暴力を振るって、お金を奪って、私の体にタバコの火を押し付けて、全てのイジメをお金で黙殺したお金で解決するお金の亡者。現在は妻子持ちの勝ち組…」


夢希は1人の女の方に顔を向けた。


夢希「それでアンタは私を裸にさせて男子トイレに放り込んで、その写真をSNSに上げて皆で大笑い。宿題何て私に全部押し付ける始末。近々結婚予定ね。後は…」


男1「ま、待ってくれ!あの時は俺らはガキで、何にもわかってなかったから」


女1「そ、そうよ!あの時はストレス溜まってたから…」


リン「3度も言わせるな!」


3(たび)警棒で殴りつけた。


ヒナタ「本当に学習能力が無いのね。この世界のクズ達は」


すると、ヒナタの隣にいた奈々が声を上げた。


奈々「待って●●●ちゃん!」


その声に夢希は静かに返答した。


夢希「大丈夫よ奈々ちゃん。クズ達とその共犯者達をおしおきしたらゆっくり話をするから…」


教師2「き、共犯って、わ、私達は何も…!」


夢希「そう、()()()()()()のよね。イジメについて相談しても、取り合ってくれず、それどころか、イジメの原因は私にあるって言ってくる始末。私をイジメと言う名の否定をしたから、お前達もさっきのヤツもこいつらの共犯者当然なんだから。だからお前達と同じ事で仕返しするんだから」


再び指を鳴らすと、他の看守達が、口に猿轡して拘束した人達を連れて現れた。


男1「な!?」


女1「あの人達は…」


夢希「良く知ってるよね?アンタらの家族や婚約者達よ。これからどうするか、もう分かるよね?」


チラッとローラーの方を見る夢希。その時にクズ達は思った。さっきの歌手のように…。


夢希「けど、私はアンタ達よりも優しいからゲームをしよう」


男1「ゲームだと!?」


夢希「アンタ達も私にやらせたでしょ?電話アドレス帳に乗っている信頼している人数人に助けを求めて、それを聞いて助けに来てくれるかの『友情ゲーム』ってヤツを。今からそれをやるのよ。今度はアンタ達がプレイヤーで、残り人数(ストック)は1人5回ずつ。1人でもクリア出来たら、全員好きな所へ逃がしてあげる。…けど、1人もクリア出来なかったら、GAMEOVER。全員文字通り木っ端微塵よ」


教師3「き、キミは何を言っているのかわかっているのかね!?」


夢希「アンタ達こそ状況わかってるの?仕返しされる相手に殺されそうになりそうなのに理解出来ないの?まぁ参加しなくても良いけど、その時は頭と首からしたが離れ離れになっちゃうけど?」


取り出した剣を1人の股ギリギリに突き刺す。


奈々「●●●ちゃん!お願い!許してあげて!皆ももう分かって…」


ヒナタ「黙ってられないの…」


ヒナタが何か言いかけた時に、夢希は静かな威圧をした。


夢希「誰が奈々ちゃんに手を出して良いって言った?手荒なマネはしないでって忘れちゃったの?」


その言葉で「失礼をお許しを!」と頭を下げ、他の看守達も外れかけた頭のタガを慌ててかけ直した。


夢希「それで?どうする?」


男1「…良いぜ。お前のお遊びに付き合ってやる。お前と違って、俺らには絶対の絆ってのがあるのだからな!」


教師2「■■■君!」


教師の1人が止めようと声を出したが、


男1「俺らが勝ったら、動画サイトで裸で土下座して謝罪するんだな!」


夢希「一応考えておくわ。順番は私が決めるわ。自分のケータイのアドレスの中から5人選んでこう言ってね。『すぐに10万円用意して。でないと緑奈夢希に殺される』って。勿論余計な事を言えば即ゲームオーバーだからね?それじゃ、最初のプレイヤーは貴女から」


女の懐からスマフォを取り出し、アドレス帳を開いた。


夢希「言い忘れそうだったけど、()男共は元の声に聞こえるようにしとくから安心してね」


女は1人を選び、電話に出た。


女2「も…もしもし?あ、あのね…私達、緑奈夢希に殺されそうなの…。だからね…、10万円用意してくれない?そうすれば助かるから…」


声を震わせながら言われた通りの事を伝えた…。だが。


電話の相手『は?何言ってるの?何で殺人鬼がアンタの命を狙ってるの?借金返済に困ってるのは分かるけどさ、そんなくだらない冗談で10万貸すなんてズルいんじゃないの?親に借りれば?』


驚きの返答で顔を青くした。


女2「違うの!本当に緑奈夢希に殺されそうなの!10万出さないと本当に…」


電話の相手『悪いけどもうすぐ彼との映画デートだから忙しいの。あ、うん、今行くから。もう上演時間だから、じゃーねー』


女2「ま、待って!」


静止も聞かずに電話が切れた。


夢希「1ミスね。それじゃ…」


指を鳴らすと、ローラーの口の近くに待機していた看守の1人が縛られた人の内1人をその中に突き落とし、起動させた。


突き落とされた彼氏と思われる男は、悲鳴を上げながら、ローラーの中に吸い込まれた。


女は彼氏の名を叫んだ。


女1「どういう事よ!終わるまで殺さないハズじゃ…!」


夢希「誰がそんな事を何年何月何日何時何分何秒地球が何回回った時に言ったの?どうしてクズ達は自分の都合の良い事しか解釈しないんだろう。アンタ達の命を預かってるのは私だから文句言わないで」


再びアドレス帳の画面を見せた。


夢希「ほら次」


2人目3人目4人目とかけるが、誰も取り合ってはくれず、その度にこの女の家族や親族達をミンチにした。


そして5人目。女はもう泣き崩れている。


女2「…お願い…10万円貸して…でないと私まで殺されるの…」


電話の相手『アンタねぇ…いくら何でも刑事ドラマの観すぎよ。そんな冗談付き合うほどヒマじゃないから』


女2「違うの…本当に…」


そして電話が切れた。


女2「あ、後1人!その人なら必ず…!」


夢希「残念だけど私へのイジメゲームとアンタの人生ゲームはゲームオーバーよ。コンティニューも無しよ」


胸ぐらを掴み、ローラーの口に向けて放り投げ、悲鳴を上げながらクズ女はローラーの餌食にあい、排出口から彼女の肉が出てきた。


クズ達と奈々は顔を青から白に変わった。


夢希「…さて、次のプレイヤーは誰にしようかな?」


奈々「●●●ちゃん…もう…やめて…」


言葉にならない言葉で静止の声を出すが、今の夢希の心には届かなかった。


夢希は、電話の相手が絶対に要求を飲まない事を()()()()()


看守達の調査によると、コイツらは、友情が硬いと言いながら、友人や仕事の同僚達にはコイツらの事を良く思っていなかった、ただの金づるだった、特に理由の無い深い仲では無かったのいづれかだ。


それもそうだ。コネ入社やサボりにパワハラにセクハラ。借金や横領等々、叩けば叩くほど黒に近いホコリが出てくる。


所詮こんな連中には皆から親友とは言わず、嫌われているんだ。


…最も見て見ぬふりをしていたその連中も同罪(共犯者)だが。















1人、また1人ローラーの餌食になり、気づけば残りは主犯1人で、ラストチャンスになっていた。


主犯はもうこれ(ゲーム)が本気だと悟り、先程の態度とは嘘のようにビクビクしていた。


主犯は涙ながらに必死に10万円用意するように悲願した。…だが、結局切られてしまった。


夢希「最後の残機も無くなったわね…。ゲームオーバー。最期は私自ら地獄へ連れてってあげるわ。感謝しなさい」


男1「た、頼む…殺さないでくれ…。もうお前をイジメたりしないから…俺達は親友だろ…?」


夢希「親友?私とアンタが友達なんて頭おかしくなったの?友達ってのは、私と奈々ちゃんやフロールのような絆で結ばれた人達の事を言うのよ。所詮アンタ達には友情や絆何て無かった。あるのは巨大な宮殿のハリボテをしたちっぽけなブタ小屋という名のプライドに過ぎなかった。こんなのを為に私は自殺をするなんて…バカバカしくて笑えないわ。アンタらはゲーム感覚と思っているけど、私にとって、現実(リアル)に過ぎないわ。それも分からないアンタ達には人間…いや、生き物じゃないわ。敗者に相応しいバッドエンディングをみせてやるわ」


口まで上がり、主犯をローラーに向けた。


奈々「●●●ちゃん!もうやめて!!!」


夢希は手を離した。


夢希「来世に転生せずに地獄に落ちろ!」


曲が終わると同時に主犯はローラーに吸い込まれていった。


看守は曲を止め、ローラーの起動音だけが空しく響いていた。


夢希は飛び乗り、奈々の元へ近づいた。


夢希「悪かったわね怖い思いをして…。けど、クズの本性をしっかり焼き付けてほしかったから。アイツらは最後の方は自分優先な事を言ってたし、所詮は自分の事を可愛いに過ぎないから…」


奈々「…どうして…どうして殺したの…?あんな人でも家族や未来があったのに!過ちを正すチャンスを…」


夢希「奈々ちゃん…。アイツら…いや、人間は私にとってがん細胞当然なの。あんなヤツら、死ななきゃわかんない不治の病だからね」


奈々「だからって殺すことは…私は復讐なんて…」


夢希「奈々ちゃん…。人は『復讐は何も生まない』『復讐しても無意味だ』何て思ってるけど、そんなの、復讐をした事ない連中の(エゴ)に過ぎないわ」


昨日殺した両親と妹の時の心境を思い出した。


スッキリ感・達成感・幸福感等といった今までにない感覚を味わった。


奈々「けど…そんなの間違っているよ…。私の両親まで殺して…」


夢希「…けど、奈々だって両親に無関心にされている事は知っているハズでしょ。本当は殺したかったハズじゃ」


奈々「そんな事…」


夢希「悪いけど、続きはまた後で。少しでもこのクズの世界から君を逃がしたいから…」


言葉の意味が分からない顔をした奈々をよそに、夢希は看守に指示をした。


夢希「ヒナタとリンは予定通りに私と一緒にアマテラスに帰還するわ。残りの皆は、この地に滞在して私をSNSで中傷した連中を1人残らず探し出して。全員見つけ次第連絡して」


殆どの看守達「「了解しました!」」


夢希「さて、連れて帰ろうか。私達の()に…」


立ち去る前に、夢希はクズだった物を見ていた。長年自分を苦しめてきた連中を、そして、見て見ぬふりをしていた連中が呆気なく死ぬなんて…。


コイツらに群がってきた連中は所詮コイツらを金ヅルとでも思っていたのであろう。本当の友情は、金で買えるものじゃないのに…。


それさえわかってくれたら、もしかしたら本当に友達になれたかもしれない…。


夢希(まぁ、もう私には関係ないよね…)






奈々「●●●ちゃん!私をどうする気なの!?」


山に入りこんで、マシンの所に戻ってきた。


夢希「心配しないで、この腐った世界よりマシな所へ連れて行くだけよ」


全員マシンに乗り込み、起動した。


夢希「それに、その名前は捨てたわ。今の私の名前は『緑奈夢希』。クズ達に逆襲する魔王姫よ」


そう言ってマシンはアマテラスに転送された。

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