003話「家族と夢」
キャスター「…では次のニュースです。今日は、『メーブル大量虐殺事件』が起きてから14年が経ちました。島の人達は、子供達に当時起きた悲惨な出来事を語り継ぎ、二度と同じ悲劇を起こさないように、兵士達が警備を強化しております。…また、その同日は、緑奈夢希様と亡くなられたフロール・フローレ様の娘『フローラ』様の14歳の誕生日でもあり……」
夢希は、コーラが入ったボトルとアップルケーキを乗せた皿を持って、フロールの墓に来た。
墓石は毎年欠かせずに磨き、今も輝いている。
ケーキを供え、ボトルを開けて墓石にコーラをかける。
夢希(あれから14年。今もあの悲劇は忘れられないわ。貴女を失ったショックは、今も心に痛むわ)
ボトルを置き、手を合わせて祈った。
???「ママ〜!」
後ろから呼び声がし、振り向くと、青髪でロングの少女が手を振りながらこちらに向かってくる。
夢希「フローラ!」
少女を抱き上げ、ギュッとした。
フローラ「く、苦しいよ」
夢希「あ、ごめん」
慌てて離す。ネックレスで力を最小限に抑えているとは言え、夢希の腕力が強いから潰してしまう所だった。
フローラ。彼女は死んだフロールが産んだ少女で、もう1人の母親である夢希と同じ不老不死である。
不老不死であるが、20歳になるまでは、身体の成長はするのである。
フローラ「ママ。今日は私の誕生日でもあるっていったのに…忘れちゃったの?」
夢希「忘れるわけないじゃない。プレゼントなら用意してあるから。それより、フロールママに挨拶しなさい」
フローラは、墓に向かって手を合わせて祈った。
夢希「そういえば、マミカとミオは?フローラの側近だからいつも一緒のハズじゃ?」
フローラ「先に行っててって。何か、研究所の方から何か呼び出されたみたいだけど」
「そう」と夢希は返事した。
すると、フローラと同い年の少女が2人慌ててこちらに来た。
フローラ「マミカにミオ。いきなりどっか行っちゃうんだから」
このマミカとミオは、14年前に夢希が同名の2人を融合したタマゴから生まれた双子で、フローラの護衛になっている。
あの後マシンの改良が進み、2年ほど前に双子や3つ子が誕生するタマゴの融合に成功し、兵隊候補の子供の誕生が3~4倍に膨れ上がったのである。
マミカ「すみませんフローラ様。大至急夢希様に伝達との指示が」
2人は夢希に向けて膝まづいた。
夢希「伝達?何の?」
ミオ「例のマシンが完成したと」
夢希「…やっと出来たか…」
静かに笑みを浮かべる。
夢希「とんぼ返りになって悪いけど戻ってこう伝えて。『今日はフローラと1日中過ごすから明日出発する』と」
2人は「はっ!」と返事し研究所に戻った。
夢希はフローラを見る。
夢希「今日はフローラの誕生日でもあるから今言った通り、1日中一緒にいようね」
フローラ「うん!」
夢希とフローラは一緒にレストランで食事したり、『メーブル大量虐殺事件』で犠牲になった人達の弔いの祈りをささげ、ゲーセンで一緒にゲームしたり、夕方一緒に2人きりの大浴場で入浴したりした。
その夜。
2人はベットの掛け布団の中に入ってた。
犬のようにじゃれつくように抱きしめあっている。
夢希は娘のフローラが生まれてから前世の夢を全く見なくなり、フローラと一緒に過ごすのが、夢希にとって一番の安らぎだった。
フローラ「ねぇママ」
夢希「何?」
フローラ「…もっとぎゅっとして」
夢希「…そうか。今日もいっぱい甘えていいわ」
そう言って夢希は娘の頬にキスした。
夢希(明日はいよいよ前世の世界の絶命計画の第1歩だ。この子の為に、クズな人間達を皆殺しにしないと…)
そう思いながらフローラの体を強く抱きしめる。
翌日
完成した異世界を渡る機械『時空転送マシン』の前に立つ夢希。
夢希「システムの具合は?」
研究員「電力・魔力共にオールグリーン。いつでも出発できます」
夢希「良し。では乗組員は席について」
その合図に夢希と同行者の看守達は乗り込みシートベルトを締めた。
夢希は、出発を見守るフローラを見た。
夢希「心配しなくていいから。3日間留守にするだけだから。アイラ、フローラと島をしばらくお願いね」
アイラ「かしこまりました。夢希様、どうかお気を付けを」
メイドのアイラが見送りのお辞儀をした。
夢希「行ってくる。では出発を開始する!目的地は地球の日本!日時は20XX年X月X日午後10時28分!」
エンジンを起動し、一同は時空の穴に入り、時空を飛び越えた。
夢希は、現世であるアルテミスの人間の絶滅だけではなく、前世の世界の人間も絶滅を目的にしている。
前世の世界の夢希は、虐めを初め、セクハラやパワハラにネット中傷、見覚えのない罪を着せられ、家族も教師も誰も助けてもらえず、それどころか、夢希を一方的に虐待や体罰をし、精神的に追い詰められた夢希は、自殺をし、アルテミスの世界に転生したのである。
夢希は、転生したこの世界で前世の世界に行けると考え、長年研究をしていたのである。
夢希は、親や教師に職場の上司達、ネット中傷した連中に自分の事を信じてくれなかった警察。
人類全員おしおきしてやる。
しばらくすると、光のトンネルを越え、夜の街の上空に出た。
近くの人目の無い山に着陸し、見つからないようにマシンを緑色にカモフラージュした。
夢希「さて、私の記憶が正しければ私が自殺した次の日のハズ。皆行くわよ」
一同は山を降りて住宅街に向かった。
夢希は、自作したスマフォを取り出し起動した。
アルテミスの世界で作ったからこの世界で使えるか少々不安だったが、問題なく使えた。
日付と時間をネットに繋げて合わせると、夢希の思った通り、日付は自殺した翌日だった。
自身の事を書かれたネットニュースを確認すると、「史上最悪の女大犯罪者自殺」のニュースを見つけ、案の定記事は他のよりかなり面が小さいのである。
夢希「まぁ一応予測通りだけどね」
空き地に差し掛かると、何人かの不良が花火をしている。しかも水が入ったバケツとかは用意してない。
今にも何処かに引火しそうで危なさそうだが、夢希にとってはどうでもいい。
不良グループは、こちらに気づいた。
女子不良「ねぇ見てよ!こんな夜中にこんな所で水着姿のビッチ達がいるwww」
男子不良1「●■▲■。▼■◆●▲▼▲●■◆www」
男子不良2「●■、▼◆▲●▲●■●▼◆」
男子不良3「●▼◆◆◆▲▼●■!」
不良達が夢希達に近づいた。
女子不良「あれ?この女の顔、どっかで……」
不良達の言葉は、それ以上続くことは無かった。何故なら…。
夢希「ふ~ん。あんなに酷い事をしてきたのに、覚えてないなんて。私は、忘れたくても忘れられないのに…」
次の日の朝
街中の空き地で、体がバラバラに解体された男女数名の不良達の死体が発見され、警察が出動された。
女警部「何て惨い。警察官になって8年も務めているけど、こんな残忍な殺し方は初めてだわ…」
若くして警部補の階級を持つ女性夜桜志穂は現状に少し動揺した。
この不良グループは、近くの高校で問題児になっており、親も教師も手が付けられない事でこの辺りでは有名である。
しかし、昨日の夜までは何ともなかったのに、明け方に無惨な姿で発見されるなんて。
手持ちの所持金は全部無くなっていたがこんな残忍な殺し方をする物取りはまずいない。けど、怨恨にしては、こんな殺し方するなんて度が過ぎている。
鑑識が志穂の所へ来た。
鑑識「警部!近くにこのような怪文書を見つけたのですが…」
鑑識から小さなカードを受け取り、それを読んだ。
『自分達を全知全能の神と思い込み、人種差別を繰り返すクズな人類へ
その世界が自分達の中心に回っていると思い込んでいるクズな不良共を殺したのは私達だ
コイツらを初め、お前達をクズな人間が多いから私のような弱い者の居場所が無くなり、死に追いやった
私は1度死に再び蘇った
私は手に入れたこの力でこの世界の人類に逆襲し絶滅をする事にした
お前達はどう足掻こうと私の逆襲からは逃れられない
そのクズ達を殺したのはあくまでその序章にすぎない
まずは私を生み出した連中達を復讐する事にした
お前達も少しずつ近づいてくる死の恐怖に怯えながら待つがいい
私が生み出した軍隊と共に人類を絶滅する
第10001の国 零帝国の王女 緑奈夢希より』
志穂「何なのこのふざけた犯行声明は?」
鑑識「わ、分かりません。ですが、この文章には『序章』とか『復讐』とか書かれてますから、連続殺人の始まりかと…」
志穂「連続殺人…ね」
改めてカードを見る。
世界の人類を絶滅とか蘇ったとかふざけた事が色々書かれているが、復讐と書いてあるから怨恨である事は間違い無いが、『零帝国』何て聞いたことない。
『緑奈夢希』…。聞いた事のない苗字だが、これならすぐに足が着く。そう確信する志穂。
志穂「早速この人物の洗い出しを。その人物と被害者達の関係も。指紋の採集等も忘れずに」
部下の刑事達に指示をする。
すると、雨が降ってきた。
志穂「雨?すぐに現場保存を指示しないと」
志穂は慌てて本部に向かった。
志穂(…人類を絶滅とか軍隊とかテロ組織みたいな事をほざいて。こんな犯行声明を置いて、『どうぞ捕まえてください』と言ってるようなものよ)
犯人が捕まるのも時間の問題。
この時の志穂は、そう思っていた。
まさか、世界中が血の海になるとは知らずに…。
同日の夜 とある家の中
ある家族が、高級肉で焼き肉をしているのである。
昨日、ある理由で大金が入り、高級肉が買えたので、一家一斉のパーティが行われた。
肉を焼きながらTVを観ていると、あるニュースを観た。
キャスター「…次のニュースです。今朝不良グループの変死体が発見さた事件で、死体の傍にあった謎の犯行声明が書かれたカードを発見し、警察は、カードに書かれた人物の名前が事件の重要参考人として行方を追っています」
娘「何が犯行声明よ。どうぞ捕まえてくださいって言ってるようなものじゃない」
父親「◆▲▼■。◆■■▲◆。▼▼▼◆▼◆●●◆▲■▼◆◆▲▼●●■▼●」
母親「どうでもいいじゃない。せっかくのお肉が不味くなるじゃない」
ジューと焼ける音が響き渡る。
父親「●●●■●▲●■◆▲▲◆●■▼▼▲◆■●、■●▼◆◆■▲▲▲●▼■◆」
娘「そうだよね。あのなんの能もないクズが死んだから、少しでも世のためになったんだから」
?「それ、誰の事を言ってるの?」
娘「誰って、アイツよアイツ。勝手にビルから飛び降りて死んだ…って、誰か何か言わなかった?」
両親は首を横に振る。
途端に3人共誰かにテーブルに顔を押し付けられた。
看守1「夢希様。言われた通りに3人を取り押さえました」
夢希「ご苦労。そのままイスに縛り付けてこちらに顔を向けさせて」
体がイスにロープで縛り付けられ、顔にタレやご飯粒がついているのを関わらず顔を夢希の方に向けられた。
夢希「…さて、久しぶりって言っとこうかしら。ここでは2日位しか経ってないハズだけどね」
3人は夢希を見たが、何故かピンと来ない。
夢希「まぁ、姿が違う上に、すぐに忘れるのはお前達クズのお得意だから想定内けどね」
父親はすぐに我に返り、強い口調で怒鳴りつけてきた。
父親「■■●▼◆▲●▲■◆●▼▲!◆▲■▼■●!」
看守2「うるさいぞ!」
看守の1人が顔を殴りつけた。
看守3「夢希様の言う通り、都合が悪くなるとルールや法律を盾に脅しをするのですね、この世界のクズ達は」
看守4「そんなので通用すると思ったら大間違いだ。自分達の立場を考えてから言え!」
夢希達はテーブルの上にある高級肉を見た。
夢希「娘を精神的に殺した保険金で買った高級肉で焼き肉パーティーだなんて、とことん性根が腐ってるじゃない」
娘「娘を殺したって、ここの家の子供はアタシ1人だけよ!頭おかしいじゃないの?」
夢希「頭がおかしいのはお前達の方だろ。死んだもう1人の娘を最初から居なかったような言い方して」
父親「〇◇■▼!」
看守は再び殴りつけた。
看守2「夢希様の言う通り、見た目と音は気持ち悪いな。手袋越しじゃなきゃ触れたくなかったぞ」
看守達は夢希の方を見た。
夢希「いいわ。目も耳も耐えられなかったし、丁度あれを試したかった所だから。そいつらが死んでもかまわないから使用を許可するわ」
看守の1人はアタッシュケースを取り出し、それを開けると、10数本の注射器が並べてあり、中身は赤の液体と青の液体の2種類が入っていた。
夢希「男に青を女に赤を注入して。小娘は特に見た目も声も嫌じゃないからやらなくていいわ」
看守達は父親と母親の顔を固定し、注射の針を首筋に向けた。
父親「△、〇◇■●!?」
看守2「すぐに済む」
首筋に針を差し込み液体を注入した。
注射を抜くと、父親と母親はうめき声をあげながら苦しみだした。
娘「な、何!?何が起きているの?!」
両親の姿がどんどん変わり、父親の声が少しずつ声色が高くなっていく。
次第に両親は落ち着いた。
父親「…な、何だ?何が起きたんだ…?…声が変だ?」
夢希「口で説明するより、見た方が早いわね」
2人の看守が大きな鏡を持ってきて、2人に見せた。
そこには、本来の自分の姿ではない姿になっていた自分が映っていた。
父親「な、なんだこれは…。女になっている…」
父親は女性の姿になっており、声も女性の声色になっていた。
夢希「今注射した薬は姿形を美少女に変えるお手製の薬で、青い薬はホルモンを変換させて女に変わる特別製なのよ」
母親「そ、そんな物、この世にあるわけが…」
夢希「無ければ作ればいいのよ。こんな低レベルの科学力には作れないけどね。信じられないなら…」
父親の服を引きちぎ、大きくなった胸があった。
夢希「これで納得してくれた?お前は女になったんだから」
娘「な、何なのよ!アンタ何なのよ!」
夢希「ホントに忘れたなら思い出させてあげるわ」
夢希は3人の前に立った。
夢希「アンタ達によって自殺に追い込まれた姉・娘の成れの果てよ」
最初はどういう意味かわからなかったが、次第に理解したのか、体が震え始めた。
父親「ま、まさかお前は、●●●なのか?」
夢希「思い出すのは遅すぎるわ。その名前を呼ばれるのは私にとって久しぶりね。けがわらしいけど」
母親「あ、貴女、死んだ筈じゃ?!しかも、何なのよその姿!」
夢希「とりあえず質問には答えてあげる。お前達クズのせいで私は自殺せざるおえなかった。そしてその後新しい体になって生まれ変わってお前達の前に現れた。逆襲する為にね」
娘「ぎゃ、逆襲?」
夢希「お前達人類はクズだ。弱い立場の人を人として扱わず、暴言を吐き、暴力を振るい、命を簡単に奪う。どんなに時代を経ってもどんな最悪な結果になってもすぐにそれを忘れてまた同じことを繰り返す。私はそれを断つためにお前達人類を絶滅することにした」
父親「な、何を言っている!?気でも狂ったのか?!」
夢希「狂ってるのはお前達の方じゃない。娘が死んだのにその保険金で焼肉を食べるなんて…。あぁアンタ達にとっては、娘はそいつ1人だけだったわね。妹ばかり可愛がって、姉である私に暴力や暴言をぶつけまくって、挙句に私の夢を踏みにじってその妹の夢を優先させる。怒りを通り越して呆れるわ」
夢希はまだ熱が残っているトングを手に取り見つめながらそう言った。
夢希「確かアイドルだったわね。顔が命だって聞いた事あるけど、アンタの場合それ以前の問題よ」
先部分で指パチッンと熱をより高く上げて、娘の方に向けた。
娘「な、何よ!?や、やめ…」
言い終わる前に左側の頬にジューと押し付けた。
娘「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
無理やり頬から離すと、頬は黒く焼かれ、皮は破れて中の肉はむき出しになっていた。
夢希「これでアンタの夢は崩れ落ち、今までの努力も無駄になったわね」
娘は泣きながら「痛いよ…痛いよ…」と呻いていた。
父親「お前、なんて事をしてくれたんだ!」
母親「せっかく有名な芸能事務所に入って大きな仕事を受けたばかりなのに…今までの苦労と出費が…」
看守2「口答えするな!」
看守の1人が警棒で父親と母親を殴りつけた。
看守2「夢希様の言う通り、何かあるとすぐに大声で喚くんだな」
看守3「夢希様をひどい仕打ちをした者の夢なんて、夢希様の夢に比べれば月とスッポンにすぎません」
父親「黙れクソガキ共!顔もスタイルも良い娘をこんな仕打ちをするなんてただで済むと思っているのか!大体年上に対する礼儀が」
看守2「口答えするなと言ったハズだ!」
再び殴りつけた。
看守1「ただで済むも何も、これから死ぬあなた達にはどうでもいいです。第一あなた方には知らないと思いますが、夢希様は生まれ変わってから1000年以上も歳を重ね、私達も100年以上も生き続けています」
看守2「ちなみに私は164歳だ。夢希様はおろか、私の半分も生きていないお前達なんか赤子も当然だ。知ったかぶりのクセに年上に対する礼儀を知らないのか?クソガキ共!」
母親「い、一体何する気よ!?」
夢希「言ったハズよ。お前達人類を絶滅するって。その手始めにお前達に復讐をする事にしたのよ」
夢希は指を鳴らすと、看守の1人がトゲのついた大きな鉄の棍棒を用意し、その取っ手をつかんだ。
夢希「お前達は私に対して虐待をし、無理やり万引きを強調し、聞きたくない愚痴を無理やり聞かせ、私に欲しい物はおろか、ごはん1粒すらほとんど与えず、逆に妹には私が将来の為に貯めたお金を全部奪われ、自分が起こしたひき逃げを私に擦り付けた。あぁ、私に無理やり自分の宿題を押し付けた事もあったわね。それらを犯罪と言わなきゃなんと言うのよ!」
棍棒を大きく振りかぶり、壁の一部を破壊した。
父親「あぁ!俺達の家が!?」
続けてTVとパソコンを破壊した。
母親「あぁ!買ったばかりのTVが!」
父親「今度の会議に使う社運がかかった書類のデータが入ったパソコンが!?」
家族は「やめろ!」と何度も叫んでいるが、そんな連中を無視をし、夢希は部屋中を破壊しまくり、ついでに外に止めてある車(曰く買ったばかりの高級外車)も廃車にした。
室内も車もボロボロになって、いい運動になったっと夢希は差し出されたタオルで顔を拭き、スポーツドリンクを飲んだ。
夢希「さて、家がこんな事になった感想は?」
父親「ふ、ふざけるな!家や車をこんなにしやがって!この犯罪者共が!」
夢希「アンタ達に言われたくないわ。父は会社のお金を着服や横領。母は、アレルギー持ちの子供に甘えだと言って無理やりアレルギー物質を与えて殺した。アンタ達がやってきたことが、正しかったとでも言うつもり?」
すると、看守の1人が部屋の外から来て、夢希の前に跪いた。
看守5「夢希様。夢希の部屋にあった家具や小物にゲーム等はすべて回収を終えました」
夢希「わかったわ。それじゃ、私はこいつらに最期の挨拶を済ませてから始末するから例の準備をしといて。その後にさっき伝えた次の計画の準備を進めといて」
看守5「わかりました」
その看守はそくさに家から出て、他の看守達はある物を用意するために一旦退出した。
夢希「さて。そろそろお前達の顔を見飽きたし、次のターゲットへの準備しないと。次は私に対してイジメをした連中を抹殺する為に探さないといけないから、何か伝言があるなら伝えとくけど」
娘「ふ、ふざけないでよ!アタシの顔をこんなにして!」
夢希「わかったわ。『ふざけないでよ!アタシの顔をこんなにして!』って伝えとくから」
すると、先ほどの看守達が戻ってきた。
看守1「夢希様。準備できました。こちら、電力をエネルギーにし、炎を放出する『電撃火炎放射』と魔力をエネルギーにし、炎を放出する『魔導火炎砲』です。チャージに時間かかりますが威力は絶大です」
夢希「ありがとう。さて、別れを言う前に改めて自己紹介しとかないと。私は第10001の国 零帝国の王女 『緑奈夢希』。異世界で転生して生まれ変わった名前よ」
その名前を聞いた娘は震えだした。
娘「そ、その名前って…さっきニュースで言っていた殺人鬼の名前じゃ…」
夢希「殺人鬼なんて人聞きの悪い事は言わないで。アンタ達のやっている事を比べればかわいい物よ。そろそろお別れだから、アンタ達の大好きな焼肉のように炎の中でじっくり焼かれなさい」
すると、夫婦が。
父親「ま、待ってくれ!悪いのは保険会社だ。あの保険会社が想像以上の生命保険を提示したから仕方なくお前に対して冷たい事をしたんだ!」
母親「そ、そうよ!悪いのは保険会社よ!殺すのならアイツらを…」
夢希「最後は人のせいにするのね。そいつらならついさっき皆殺しにしたから。そろそろエネルギーたまるからお別れの時間ね。言っとくけど助けを呼んでも無駄だからね。この家の周辺住民はみんな密かに暗殺したから」
2つの銃口が3人に向けた。
娘「ま、待って!あ、アタシ達が悪かった!昔の事は謝る!アイドルもやめるしお金とかも返すから!」
父親「ほ、欲しい物も何でも買ってやる!車もいいし、家もいい!借金してでも買ってやるから!」
母親「だからお願い!命だけは助けて!私達家族でしょ?」
夢希「それが遺言なら数分間覚えとくわ。私に対して行った事は忘れたくても忘れられない一生残る傷なのよ。アンタ達はヘラヘラしながら生きる価値は無い。アンタ達を家族と思ったことは1度も無い。謝ったり命乞いをすれば何でも許すと思ったら大間違い。私を産んでこんな事になった自分達を恨みなさい。来世に転生せずに地獄に落ちろ!」
引き金を引き、銃口から炎が放出し、3人を包んだ。
父親「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーー!」
母親「いやーーーーーーーーー!!」
娘「熱い!熱いよ!助けて!!!!!」
炎は他の家具やカーテン等に燃え移り、室内は炎の海になった。
夢希達は3人の悲鳴を無視し、家から出た。
高い所から町中が燃えるのを眺める夢希達。
夢希が放った炎が燃え移った家もあれば、看守達が放った炎で燃えた家もある。彼女達の放った炎は骨まで焼き、どんなに大量の水を使っても朝になるまで燃え尽きる事はない。そういう風になっているのである。
夢希は、先ほど看守が調べた3人の過去を思いながら町を眺めた。
平社員の父親の小さい頃の夢はたくさん勉学して、大きな会社を建てて世界中の人達を幸せにする事。
専業主婦の母親は歌手になって育ててくれた両親に恩返し。
アイドル志望の妹はみんなを笑顔にする事。
…だが、大きな挫折やイジメでその夢を諦める・捨てる等しか無く、性格等が歪んでしまったらしい。
…1人でも誰かに救いの手があったら、夢を諦めずに、捨てずに済んだのかもしれない…。
夢希「…まぁ、もう私には関係ないけどね」
夢希は燃える街に背を向け、次の作戦に向けて、立ち去った。