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002話「魔王姫とカエルと青い海」

???「何度言えばわかるんだ!」


???「このでき底のない糞餓鬼(クソガキ)め!」


???「何で先生の言う事が聞けないんだ!?」


???「お前の家は○○○~~WW」


???「こんな簡単な仕事もできないのか!?何?言う通りにしただけ?出まかせ言うな!」


???「お前に逮捕状が出ている。殺人に大麻所持に強盗や横領他いろいろとな。何?知らない?証拠が出揃っているんだ!人間のクズめ!」


やめて…やめて…辞めて止めてヤメテ………!!!


















やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー―――――――――――――――――――ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

















夢希「はっ…!!」


慌ててベッドから飛び起きる夢希。


息が荒くなっているが大きく深呼吸をして落ち着いた。


夢希「…また、あの夢…」


転生してから毎日のように見る前世で体感した夢…。


窓を見ると、朝になっており、小鳥がチュンチュンと鳴く。


壁に掛けている時計を見ると、まだ朝の5時だった。


夢希「…少し早い…けど目が覚めたから少しゲームするか…」


そう言って充電してあるゲーム機を取って、ゲームを起動した。


夢希が所持しているこのゲーム。前世で自殺した際に最後まで持っていた生涯の宝物。転生した影響か、ゲーム機は1000年経っても壊れず、お気に入りのゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズSP」のデータが、DLCも含めて沢山つまっていた。中には、自殺した時点で発表されていない物もあった。飽きを防止するために自身に特殊な魔法をかけており、何年以上経っても面白い。クズな前世の世界で、唯一心が安らげる時間だった。夢希にとって、フィクションの世界が現実(ほんもの)で、クズな現実リアルは偽物。そんな前世の知識を使って前世の世界に逆襲をしようと誓うのであった。


ゲームを終え、一息着くと、6時過ぎになっていた。


夢希はゲーム機をバッグに入れ、自室から出た。






メイド「おはようございます。夢希様」


夢希「今日の処刑予定の囚人達の情報は?」


メイド「はい。第3058の国の王女『リア・メーブル』とその家臣です」


夢希「リア・メーブル…か」


その王女の国「ル・メール」は、強化の魔法で有名な国で、表向きはその強化魔法で人々に快適な作業をサポートする人情の高いのだが、問題の裏の顔は居城の地下で集めた奴隷たちをほとんど食事を取らせずに休みも無しで重労働させていたのである。


夢希(そして壊れて使い物に無くなった囚人を生きたまま解体してその肉を城下町のお肉屋に売り出して何も知らない住人達に食べさせている…。裏で人を道具のように使って捨てるなんて、とことんクズね…。私にも言えたことじゃないけど…)


食堂に入り、席に座って朝食をとった。


夢希「処刑時刻は予定通り夕方になるわよね?」


メイド「はい。勿論処刑用設備のメンテナンスは完了しています」


夢希「そう。…後、()()()ができる時間は?」


メイド「処刑が終わった後に丁度出来上がるかと」


夢希「…今日は()()()に行くから。時間までには戻る」


食事を終えた夢希は、荷物を持って出掛けた。


メイド「行ってらしゃいませ」







夢希は、目的の場所に向かうために、城下町を通る事にした。


町の人達は夢希を見るなり、手を振ったり、声援の声が上がったりした。


若い娘「夢希様!本日は城下へどのようなご用で?」


夢希「ちょっとした散歩よ。そうだ。少し何か買っておこうか」


そう言って、夢希は商店街の果物屋に向かった。


果物屋「いらっしゃいませ!あ、夢希様!本日は我がお店に何のご用で?」


夢希「ちょっとした手土産を買いにね。プレゼント向きのフルーツの盛り合わせを」


果物屋「かしこまりました!」


10分もしないうちに果物が沢山詰まったバスケットを渡された。


夢希「ありがとね。お釣りは取っといて」


そう言って夢希は1000円札2枚を渡した。


この国では、日本と同じく通貨は「円」になっており、元日本人である夢希も分かりやすくする為にわざわざそう決めたのである。


バスケットを持って、目的の場所へ向かう。


着いたのは、町外れの小さな小屋である。


夢希はノックし中にはいった。


?「...いらっしゃい。最近来てくれなかったから心配したわ」


夢希「いいわよ『フロール』。ちょっと忙しかったから。これお詫びとお見舞い品」


そう言いながらイスに座り、ベッドで横になっている女性の隣にバスケットを置く。


彼女の名前は「フロール・フローレ」


とある雪国出身だが、生まれつき体が弱く、しかも魔法も科学も無く、誰からも愛される事も助けてくれる事もなかった過去を持っている。


しかし、300年位前に瀕死の所を近辺の国を滅ぼしに来た夢希に助けられた。


今まで酷い仕打ちを受け、後遺症でまともに動く事の出来なくなった事等を夢希は同情し、町外れにこの小さな小屋を建てて数名の世話係と共に提供した。


夢希は、週に1度フロールに会いに行っており、度々色々な話をする。


フロールは、夢希の数少ないの良き理解者で唯一夢希がため口で呼び捨て合える仲である。


主に前世で自分が体験した辛くて最悪な人生。唯一安らげたゲームやアニメ。そしてそれらを元にした物語等であり、フロールは、いつも優しく聞き入れた。


夢希「...また、髪が白くなっている...」


フロールの髪の色を見ながら呟く。


この世界「アマテラス」の女性達は、顔のシワ等の体の老化がしない代わりに、寿命の末期が近づくと、髪の色が少しずつ白髪になっていき、全ての髪が白髪になると、1週間以内に老衰すると言う。


初めて出会った頃は海のような青い髪色だったが、今はほとんど白髪になっており、青色はいわゆるメッシュの状態になっている。


夢希「けど、心配しないで。この50年間、フロールの為に薬を作ったから」


末期の前触れは、約50年前から始まると言われており、それに察した夢希は、その時の為に自分以外の人間にもなれる不老不死の薬を長年研究していたのである。


あと数時間もすれば、その薬が完成する。そうすれば、不自由なフロールをクズなこの世界の人類を絶滅し新しく作り直した広くて美しい世界に連れて行けるのである。


フロールは、夢希の手を自分の胸に当てた。


夢希「フロール。もう少しだけガマンしてくれない?貴女と私の子を作りたいのは分かるけど、薬が完成してからにしてくれない?」


フロール「分かっているわ。けど…少しだけ甘えていいかしら?」


夢希は頷いた。


卵を産むのは前の世界同様体に負担がかかるので、体の弱いフロールの場合、普通の人間の何倍も負担がかかるので、最悪命を落とすかもしれない。


だから彼女だけ(こども)を産むのに産めなかったのである。

 

だか、そんな日は今日までで、今日の夜は存分に楽しむのである。


夢希「フロール。不老不死になって体力を付けたら、最初はどこに行きたい?どこでも連れてってあげるから」


フロール「最初ね…。海が見える丘の上のお花畑に行きたいわ。見渡す限りの」


夢希「お花畑ね。約束するわ。必ず連れてってあげるから」


この島の南の方にその場所があり、フロールは、一度そこに行きたがってたのである。


夢希「そこでピクニックでもしようか。何が作ってあげようかしら?」


フロール「そうね…。アップルケーキがいいわ。一度食べてみたかったから」


リンゴのケーキか。そういえばリンゴのケーキを見たり食べたりするのは全く無い。


始まりの一歩にしてはいいかもしれない。近々レシピ本でも探してみようか。


すると、夢希のバッグから音が鳴った。


夢希「?ケータイの音…。しかもこの着メロは…、緊急用の・・・!!」


急いで出る。


夢希「どうした?何か問題があった?!」


看守『こちら20479号看守「プルール」です!姫さま!例のリア・メーブルとその家臣達の何ですが!!』


夢希「そいつらがどうした?」


プルール『実は、他の囚人達と共に脱獄しまして…』


夢希「な、何だって!?」


プルール『勿論、すぐに対応しておりますが!囚人達が強化魔法で強化していて取り押さえることが…きゃーーーーーーーーーー』


大きな悲鳴をし、やがて電話が切れた。


まさか…王国を襲撃していた時に、拘束される前に時間で発動する強化魔法を自身にかけていたのか!?


ル・メールは、独自の強化魔法があり、中には見たことのない魔法があると噂で聞いたことあるが、まさか本当だったとは。


すると、小屋の窓が割れ、女達が現れた。


夢希「!ここから逃げるわ!フロール、しっかり捕まってて!」


フロールを背負い、小屋を飛び出す。


だが強化魔法で強化した女達が追いかけてきた。


夢希(相手が強化魔法を使っているとはいえ、フロールを背負いながらでは追い付かれる!)


ならばと思い、追っ手の方に向き、剣の作成錬金科学をし、首を切り飛ばした。


だが、追っ手はまた現れ、今度は炎の魔法を繰り出し、追っ手達は灰になった。


夢希(もしかしたら城下町が⁉急がないと!)












夢希の悪い予感は的中した。


そこは、町が火の海になっていて、逃げ回っている人々がル・メール王国に次々と殺されている光景だった。


中には、まだ生まれて間もない赤ん坊もいた。


夢希は拳を握った。


やはり、クズは全員抹殺せねばっと。 


すると、城のメイド達は夢希の元へ来た。


夢希「状況は?」


メイド「兵隊達が応戦してますが、一向にも引く様子は...」


夢希「わかった。私も出るから、フロールをお願い」


メイド達にフロールを守るように指示した。


夢希「兵隊の半分には、民間人の避難を通達しなさい」


そう言って夢希は燃える町に向かって走った。















脱走した囚人達は、他の囚人達と共に町を襲っており、逃げる人々を捕まえは殺し、兵隊の攻撃の盾にしたりしていた。


住人の1人である少女は脱獄した囚人達に追われ、追いつかれた囚人の1人に剣で体を貫き、血が吹き出た。


少女1「…あ……いや……………嫌だよ…………死にたくな…い…」


涙ながらに少女は倒れ、目の光を失い、大量の血が流れた。


更に別の囚人が別の少女を捕まえ、切り裂いた。


少女2「イヤだ…まだ…やりたい事…たくさ…ん…」


倒れて動かない少女をバラバラに切り落とし、そしてまた別の住人を犯す。


囚人1「おい!夢希(あの女)はどこにいった!?」


囚人2「わかりません。城にいないのは確かなのですが…」


囚人3「だったらこの住人達(クズ共)に居場所吐かせればいい」


囚人4「なら見せしめに首の一つや二つを切断してやるわ」


すると。


夢希「待ちなさい」


屋根の上に夢希が現れた。


囚人5「夢希(あの女)がいたわ!」


囚人1「探す手間が省けたわ!殺せ!」


囚人達が夢希に向けて一斉攻撃をしたが、縫い目をかいくぐるように避ける夢希。


そして素早く間合いを取り、囚人のひとりの頭をつかみ上げた。


夢希「クズ共(お前達)は、長く生き過ぎたわ」


つかんだ手に炎がともしび、囚人を丸焼けにした。


夢希「次に死にたいの、誰?」


焼死体を投げ捨て、囚人達に歩み寄る。


囚人1「ひ、怯むな!」


囚人達が夢希に向かったが、ひとり、またひとりと夢希に殺され、気づけば広場にいる囚人はのこりひとりだった。


静かにその囚人に歩み寄る夢希。


囚人は絶望の顔をし、逃げ出したが、走り出した夢希につかまり、足をつかまれ宙づりにされた。


囚人1「た、助けて…死にたくない…」


夢希「そう言って命乞いした罪もない人達を絶望の底に叩きつけながら殺し続けた。アンタ達に人の命の価値を決める権利なんかないわ。来世に転生せずに地獄に落ちろ!」


剣で首を切り裂き、首と胴体を落とし、炎の魔法で灰にした。


兵隊「姫!」


兵隊の一人が夢麻の元へ来た。


兵隊「姫が来てくれば心強いです!ぜひご命令を!」


夢希「今から私も加わるわ。全軍に通達して全ては私の指揮に従うように!それと、反乱した囚人達には、生死は問わずに対処しなさい」


兵隊「わかりました」








夢希の指揮によって、優勢だった囚人達は少しずつ追い込んでいき、逃げ出した囚人の内4/1は確保し、4/2は夢希や兵隊達によって死亡した。


夢希「まだ残っている囚人の中には、リア・メーブルがいる。早く何とかしないと…」


兵隊と共に探そうとした時だった。


どこからか笑い声がし、声がした方を向くと、リア・メーブルが率いる囚人達だった。


夢希「リア・メーブル!」


リア「緑奈夢希。この20年間、よくもこの(わたくし)に過酷な所で酷い仕打ちをしてくれましたわね」


夢希「()()()()()?それはお前達の方じゃない。人を見下し、命を簡単に奪うクズのクセに。諦めなさい。戦力ではこちらが有利よ」


リア「それはどうかしら?」


リアが指を鳴らすと、囚人達が、この町の住人達を盾に現れた。中には…。


夢希「!?フロール!」


フロールが怯えた表情で夢希を見ていた。


リア「どうする?こいつらの命が惜しければ、武器を捨てて大人しく私達に殺されるがいいわ」


夢希は歯を食い縛り、剣を投げ捨てた。


夢希「ここはやむ得ないわ。兵隊達は一切手を出さないで」


夢希は前に出て、囚人達に地面に押さえつけられた。


囚人6「よくも今までひどい目にあわせたわね...」


囚人達は夢希を殴ったり蹴ったりの袋叩きにし始めた。


10分後、夢希の暴行が終わった。


夢希「気が済んだでしょ…。皆を…放しなさい…」


すると、リアがニヤリと笑い、手を挙げると、囚人達が次々と住人達を殺し始めた。


夢希「!?や、約束が違うじゃない卑怯者!」


リア「約束?そんなのいつした?この思い込みのクズ女」


リアが夢希の顔を思いっきり踏みつけた。


兵隊「お、お前達!夢希様達を救出するのだ!」


兵隊達が夢希と住人達を助けるために走り出した。


リア「…やれ」


強化魔法がかかった囚人達が、兵隊達の体を手で貫き、内臓をえぐり取った。


夢希は絶望の顔でその光景を見た。


リア「確か『この国を永遠の愛と平和にする』とかほざいていたわね?そんな()()()()()で国を守る所か人一人も守れない癖に」


夢希の顔に唾を吐く。


リア「…さて、そろそろとどめを刺そうじゃない」


剣を取り出し、首に向けて剣を振り落とそうとした時だった。


ドン!!


なんと、フロールがリアを突き飛ばして、夢希を助けた。


リア「…っ!このクズ女が!!」


夢希「!?やめろ!!!」


静止もむなしく、フロールが斬りつけられた。


フロールはその場を崩れ落ちた。


夢希は叫びながらフロールを抱き上げる。


夢希「フロール!フロール!!」


フロールは、口から血が流れており、目の光が消えかかっている。


フロール「えへへ...おかしいな...。夢希の声が間近に聞こえるのに、何も見えないわ...」


夢希「フロール!死なないで!約束したじゃない!海が見える丘の上のお花畑で一緒にアップルケーキを食べようって!」


涙ながらに訴える夢希。けど、少しずつ目の光が消えていく。


フロール「ごめんね夢希。約束...守れなかった...。こんな体が弱い私で...」


夢希「イヤ!行かないで!死なないで!貴女が居ないと...!」


フロール「夢希。これは運命だったかもしれないわ。私は永遠に幸せ何か恵んで来ない。心の何処かで薄々気づいていたわ。...けど、これだけは忘れないで欲しいわ...」


フロールは、夢希の頬に手を当て、唇を重ねた。


フロールとのキス...。鉄...錆びた鉄の味だった。


フロール「私は...誰よりも貴女を愛しているって...バイ...バイ...」


フロールの顔は笑みを浮かべながら、静かにガックリとし、うごかなくなった。


夢希「...!」


夢希は、頭の理解を必死に拒絶しようとした。


フロールの死と言う現実を受け入れたくなかった。


だが、いくら揺さぶっても、フロールは、反応しなかった。


リア「...さて、お別れは済んだかしら?」


リアは剣の先をを夢希の首に向けた。


リア「そんな()()なクズか犬死しただけでお前の死は変えられないわ」


その言葉で、夢希の頭のなかに前世の記憶が過った。





???「こんなもの不要なんだよ!」


???「誰も見ない不要な物を作って何が楽しい?」


???「不要なお前には居場所なんて、ないんだよ!」











夢希「…黙れ」


リア「ん?」


夢希「...お前達の方だ...」


リア「命乞いか?よくきこえないな。もっと大きな声で言うんだな」


夢希「...クズで思い込みで不要で必要性が無いのは...お前達のほうだ!!」


夢希は、いつも首にかけているネックレスを引きちぎった。


すると、夢希から、ものすごいオーラを感じた。


リア「た、ただのハッタリにしては良くできてるな。者共!ヤツを捕まえ...」


すると、後の頭部に何かがかかった。


後ろを振り向くと、さっきまで立っていた囚人達が倒れており、頭部が無く、血が流れていた。


リア「な、何をした!?」


夢希「お前達は私の大事なものを奪った挙げ句侮辱をした。そんなヤツに生きる価値はない。そして、お前も」


夢希がこちらに歩み寄ってきた。


リア「そんなこけ脅しが通用すると思うな!」


剣を大きく振りかぶったが、夢希に当たると、刃が折れ、地面に落ちた。


夢希「こけ脅し?違うわ。これが私の本当の力」


腕を掴み持ち上げる。


夢希「私は、ただこの島に居座っていると思ったら大間違い。1000年も生きてクズ共を殺しまくったら、体力が無限(不老不死)だけじゃなく、力も防御力もすばやさも何もかも全部のパラメーターは、レベルMAXの99999になってしまった。だから普段は特殊なネックレスで力を押さえ込んでいるの」


リア「い、意味わかんないわ!パラメーターやらレベルやら!」


夢希「わかんなくてもいいしわかってほしくない。どうせ強化魔法で世界一強いと思い込んでいる井戸の中のカエルのお前は死ぬんだから」


両足を掴み、逆さに宙づりにした。


夢希「お前は私とフロールの夢と未来を不要と罵倒し奪った。お前は超えてはいけない領域を超えてしまった」


両足を引っ張り、リアは悲痛の叫びをあげた。


リア「痛いーーーー!!痛い!痛いよぉ!離せ!離してーーー!!」


叫び声を無視し、夢希は続けた。


夢希「だからリア(カエル女)。お前の人生の価値はフロールの一生の1割も満たないお前には、フロールの孤独と痛みを100億倍受けながら、来世に転生せずに地獄に落ちろ!」


一気に引っ張り、ル・メールの王女は引き裂かれ、夢希はその真っ赤な返り血を大量に浴びた。



















ネックレスをかけ終わった夢希は、返り血に混じった涙を流しながら、フロールの亡骸を抱いた。


夢希「…ごめんね、フロール…。私が無知で弱かったせいで…。痛かったよね…辛かったよね…。貴女が居なくなったら…私はもう……」


顔をうつむくと、何かに気づいた。


フロールの体の下に何かある。


引っ張り出すと、それはタマゴだった。かつて若々し頃のフロールの髪の色と同じ青かった。


フロールの屍を寝かせ、両手で持つと、ヒビが割れ、中から小さな赤ん坊が産まれた。


髪型、髪色、顔つき。何もかもフロールと瓜二つだった。


夢希「フロール…。よく似た赤ちゃんを…ありがとう…私に再び生きる意味を置いてってくれて…。フロールの分、この子で幸せにしてあげるから…」


大粒の涙を流しながら、赤ん坊を抱きしめる。



























この事件で犠牲になった人はフロール、兵隊、子供や赤ん坊を含めて49573名。島の5分の3が尊い犠牲になってしまった。


逃げ出したリア・メーブルを含んだ囚人達25769名全員死亡。


生け捕りにした囚人達は、翌朝に全員処刑した。


このような大惨事を『メーブル大量虐殺事件』と呼び、後世に伝えるように義務つけられた。


事件の数日後、囚人達の死体は全員海に捨てられ、犠牲になった人達の墓は海の見える丘の上の百合の花畑の傍に建てられ、夢希は生き残った兵隊や住人達と共に弔いの祈りをささげた。


フロールの墓は、花畑の中央に大きく建てられ、「フロール・フローレの魂は、緑奈夢希様の愛と共にここで眠る」と書かれていた。


夢希は、夢希とフロールの子供を抱きながら墓石を撫でた。


夢希「フロール…。永遠に貴女との約束は果たせそうにないけど、この子なら、貴女の思いを受け継いでくれるわ。不老不死の薬はこの子にあげて、貴女の分まで生きるから。…ね?『フローラ』」


風で揺れる青髪がまるで、返事をしているようだった。
























城の地下には、牢獄とは別に大きな研究施設の部屋があり、そこには、1000年間研究を続け、現在設計中の装置が作られていた。


所長「あと十数年でこの装置が完成ね。これさえあれば、夢希様の夢の一つが叶いそうだ。夢希様の前世の世界の人類を絶滅する夢が…!」

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