プロローグ003「さまよえる魔王姫の誕生秘話3巻『逆襲の始まり』」
役1年半近くリアルが忙しくて最新話投稿できませんでしたが、ようやく落ち着いて投稿出来ました!今回は 夢希が「魔王姫」になった瞬間が書かれています
あれから2週間…。
夢希はモンスター相手に素材を得ながら着々とレベルを上げていた。
倒したモンスターの毛皮や肉を村人達に振る舞い、今では英雄且つこの村の住人になった。
モンスターからスキルシーフを何度も使っていた。初めこそは良いスキルを手に入れることはできたが、今ではダブったりしていた。なのでもうモンスター相手に使っていない。
ある日の朝、夢希は少し遠出しようと装備をしっかり備えて出かけた。
リア「あれ?夢希さんお出かけですか?」
夢希「少し遠くへ腕試しにね。夕方までには帰ってくるから」
そう言って村の外へ出た。
リア達の前には明るい顔をしていたが、村の外へ出るなり険しそうな顔になった。
あの日以降から前世の夢を見るようになった。それも、イジメを受け、それを笑われ、誰も見て見ぬふりを…。
日を追う事にそれが鮮明されていく。
どうして今になってこんな夢を…。
何かが胸騒ぎしているようなこの感じ…。
それに、空は何だか雲行きが怪しそうだ。
不安をしつつも夢希は目的の方へ歩いていくのだった。
夢希が出かけてから1時間後
村は殆ど復興されており、村人達はようやく日常に戻った。
そんな時に、無数の軍を率いた軍隊がこの村に現れた。
村人1「な、なんですの!?貴女達!」
兵士1「いきなりですまなかったな。我々は『オディオ王国』と『ヴィラン王国』の者だが、ここに我々を語った2名の悪人が向かっていたのだが、知らないか?」
村人2「2名の悪人?」
オディオ王女「えぇ。私達はその者達を追っていてね」
村人達はざわついていき、その様子を遠くからリアが見ていた。
村人3「その人達なら、もういませんよ!夢希って人が」
ヴィラン王女「ユキ?」
村人4「えぇ!その人は少し前にこの村に流れてきた人ですが、何とその2人を倒してくれたんです」
ヴィラン王女「そうなんですか…。なら良かったです。そのユキって方にお礼をしませんと…」
オディオ王女・ヴィラン王女「「どこにいますか?」」
その不気味な笑みを浮かべ、リアは直感的に危険人物だと思い、慌てて夢希の元に向かった。
夢希は木陰に座りお弁当を食べていた。
夢希(何だか雨が降りそうだな…。早めに切り上げた方がいいかな)
そう思いながらサンドイッチをかじると、慌てた様子のリアが来た。
リア「ゆ、夢希さん!大変です!」
夢希「リア?どうしたの?」
リア「なんか、王国から来た人達がいて、夢希さんを探しているみたいで」
夢希「私を?」
リア「その人達、なんか怖くて…私…なんか嫌な予感が…」
すると、大きな爆発音がし、その方向を見ると、村に黒い煙が立ち上り、2人を驚かせた。
リア「き…きっとあの人達だ!」
夢希「くっ…!」
これ以上スローライフをジャマはさせないと慌てて戻って行った。
王女とその部下達が次々と村や村人達を攻撃していた。
オディオ王女「時間切れよ。もう人探しは飽きたので、皆殺しの時間にしましょ」
魔法や武器で破壊や殺戮を繰り返し、村人達は悲鳴や断末魔をあげる。
ヴィラン王女「相変わらずいい声ね」
兵士達が次の村人に向けて斬りつけようと剣を上げた時だった。
グキっ!
兵士2「え゛?」
変な音と妙な声がした後、兵士は倒れた。
その後ろには、兵士の首をへし折った夢希の姿が。
村人1「ゆ、夢希さん!」
オディオ王女・ヴィラン王女「「ユキ?」」
2人の王女が夢希の方を向くと、夢希は凍りついた。
オディオ王女「あぁ貴女がユキですか…。ゲイリーとムンイを殺した女ってのは」
ヴィラン王女「思ったよりもいい顔じゃないの?」
この2人…知っている…いや、似ている方が正しい。
片方は前世の妹…もう片方は自分をイジメた主犯の彼女件No.2の女…。
こいつらはアイツらじゃない…。頭ではわかっているのに体が動かない…。
オディオ王女「どれほどの実力か試してあげましょう。やれ」
無数の兵士が夢希に襲ってきた。夢希は反撃に出たかったが、体が動けず言うことを聞いてくれない。
無抵抗且つ無防備に兵士達の攻撃を受け、無理やり地面に押し付けられ、何度も踏みつけられる。
ヴィラン王女「とんだ拍子抜けだったわね。どうしてあの2人はこんなザコにやられたのかしら?」
逃げたにのに逃げれない。体は言うことを聞いてくれない。
すると、何かの金属が落ちる音がした。
そこには、ナイフがあった。
死にたい…。
夢希はそう思いそれを手に取って自分の喉を切りさった。
しかし、夢希は死ななかった。
何度も何度も首を切った。しかし、死ねなかった。
夢希は思い出した。自分は不老不死だということを。
夢希は絶望した。この死にたいのに死ねない、「不老不死」という悪夢を。
夢希は発狂した。
リアは遅れて無理に着き、周りを見渡した。
すると、一方的に踏みつけられている夢希の姿があった。
リア「や…やめて…」
瓦礫からサラが這い出て、この光景と娘の意図に気づいた。
リア「夢希さーーーーん!!!」
リアは夢希を助けに駆け出した。
サラ「リア!」
しかし。
2人の体が巨大な槍に貫かれた。
夢希はそれを見て絶望した。
夢希「リアーーーーーーーーーっっっ!!!!!!」
オディオ王女「所詮クズはクズね。クズはクズらしく私達の糧になればいいのに」
そう言って王女達と兵士達は嘲笑った。
それをトリガーに、夢希の中の何かが切れた。
『エキストラ職業 「魔王姫」の条件を満たしました』
『取得可能条件 「不老不死」「憎しみと絶望が一定以上を超えた時」「レベル35以上」「親しい人物が殺された復讐心」「全てを復讐・蹂躙・破壊を決意した時」』
『1度「魔王姫」になると、2度と他の職業を選べなくなります』
『「魔王姫」に転職しますか?』
頭の中でそんな声が聞こえてきた気がするが、答えはもちろん…………YESだ。
その瞬間、2人の王女を残して、オーラで兵士達を肉片にして吹き飛ばした。
ヴィラン王女「な、なんですの!?」
夢希はナイフを持ちながらゆっくり立ち上がり、狂った笑い声をしながらゆっくり近づいていく。
オディオ王女「た、たかが替えのきく捨て駒を殺したぐらいで、いい気に…」
しかし、言い終える前に王女達の全ての腕と脚を切り落とした。
オディオ王女・ヴィラン王女「な…っ」
2人は仰向けで倒れた。
夢希「…そうか…こうすればよかったんだ…」
オディオ王女「こ、来ないで!」
夢希「…こんな簡単なことだったんだ…」
ヴィラン王女「か、金ならいくらでもやる!だから…!」
夢希「…何でこんな簡単な事に気づかなかったのかな…?私はーー!!」
その言葉を最期に、彼女達の意識が途切れた。
その数日後だった。オディオ王国とヴィラン王国が滅んだのは。
その瓦礫の上に、夢希が立っていた。
夢希「クズ達がいるから、私の人生が狂ったんだ…」
夢希「クズは、どこの世界でもクズなんだ…」
夢希「エゴなクズは全部殺しつかさないと…」
夢希「だから…だから…
これは攻撃でもなければ、宣戦布告でも世界征服でもない…
私を……私を何もかも否定した人類への……逆襲だ!」
彼女が狂っていく笑い声の中、何日も続いた雨は、何よりも冷たかった。
今この話を聞いている時のこの雨と同じように…。
To Be Continued…