特別エピソード「聖夜の夜の悪夢(ナイトメア)」
今日はある日の特別な記念エピソードです。R-18版とリミッターエディション版同時投稿で内容は同じですが、まだ生き返ってない人物が普通に居たり、まだリミッターエディション版未登場だったり、どこかで見たことあると思ったりする事もありますが、細かいことは気にせずにお楽しみにください
とある日の夜
夢希達一行は、大型の車を夜の雪道を走らせていた。
きっかけは、数日前に届いた差出人不明の手紙だった。
「指定の日時にこの場所の家に来い」
手紙には、家までの地図とそのカギが同封されていた。
最初は罠と思っていたが、いくらクズな思考でも他の国の王女達がこんな手の込んだ事を考えるハズがない。
半信半疑をしつつも、目的地に到着し、家の中に入っていく。
夢希「へぇ…リビングは結構広いんだな…」
ナル「こんな水着なのに、寒くないんですね」
夢希「驚く所そこじゃないけど…、まぁ零帝国の水着は、国を作ってから初めて開発した生活必需品の『エアコン水着』だから、どんな季節や気温でも快適だから」
暖炉に火を付けてソファーに座り、状況を整理する。
ここ部屋にいるのは夢希とナルの他に…。
フロール、フローラ、奈々、蓮花、ミアの計7人いる。
室内は暖炉に窓、テーブルに数個のイスや大型ソファー。植木に入っている大きい植物にテレビに掛け時計。壁にかけられている絵は模造品だが、お世辞にもコンビニコピーの方がマシな程荒っぽい。
今の所手紙の送り主は誰で、何の目的でここに呼んだのかはわからないが、手紙の最後によると…。
『10の時に満ちる時に炎の上を調べろ』
蓮花「炎の上?なんの事だ?」
夢希「これは簡単ね。10の時は『10時』って意味で、炎の上は『暖炉の上』って意味のようね」
時計は9時59分になっている。
夢希「確かに暖炉の上に何かの箱のようなのがあるけど」
フローラ「私…なんか怖い…」
10時になった所で暖炉の上の箱を開けると、束になった紙が入っていた。
夢希「何か書いてあるわね…。『聖夜の悪夢デーモン殺人事件』?」
奈々「何か小説のタイトルみたいね?推理物の」
夢希「多分、これから読み上げる物語のタイトルのようね」
夢希は座りながら次のページをめくる。
夢希「えーと何何?それは吹雪の荒れる夜の事だった……………」
夢希とフロールと奈々は福引で当てたスキーツアーに満喫していたが、途中で遭難してしまい、吹雪の中をさまよっていると、小さな別荘にたどり着き、そこに泊まらせてもらう事になった。
???「これは大変でしたね。中へどうぞ。貴女達の他にも遭難者がいますので」
夢希「本当に助かりました。地獄に仏とはこういう事を言うのね」
奈々「だから最上級者コースは行かない方がいいって言ったのに…」
女主人に案内されて、リビングに入っていく。
そこには先客の女性2人がいた。
別荘内の人物は夢希達を除き、女主人の「鈴」、自称人気女お笑い芸人の「オーナメント(芸名)」、占い師の「ミス・イヴ」である。
女主人を除いた2名は、夢希達が来る前に訪れていた。
女主人「コーンスープです」
奈々「ありがとうございます。急に私達が来てご迷惑をかけてしまって」
女主人「いえいえ。ここは冬のシーズンで2~3回しか来てないのですが、食料等は十分あるので心配はいりません」
カップに入ったスープを飲んでいると、玄関が開く時に鳴るベルがなった。
女主人「どうやらまた遭難者が来たようですね」
女主人が歓迎して退席している間に、夢希はテレビをつけた。
今はニュースをやっているようだ。
???「いやー、ナイトスキーをやっていたら吹雪いた上道に迷ってしまうなんて」
スキーウェアーを着た女性が女主人に連れられて入ってきた。
彼女は「栗栖」と言い、今度の冬季オリンピックの出場者らしい。
女主人「もうすぐお食事ができますので、もうしばらく…」
すると、テレビのニュースの速報が入ってきた。
アナウンサー「速報が入りました。●●刑務所に収監されている連続女殺人犯が脱獄しました。脱獄したのは、『平成の悪魔』とも呼ばれた出門獄子容疑者。出門容疑者は、5年にも渡る連続殺人を繰り返し、51人を殺害した容疑で逮捕され、有罪判決を受けていましたが、看守の目を盗み、脱獄した模様。警察によりますと、出門容疑者は、●●●山に逃走し……………」
吹雪でアンテナがイカれたのか、テレビが砂嵐になってしまった。
占い師「出門と言えば、顔は非公開になっているが、8年前に逮捕されたあの有名な連続殺人鬼の事ね」
スキーヤー「ちょっと…●●●山って、今いる山じゃない…」
芸人「もしその殺人鬼がこの別荘に来たら…」
夢希「大丈夫よ。ちゃんと戸締りすればいいし、第一この吹雪だから凍死しに行くようなものよ」
芸人「…それもそうか…」
フロール「けど、万が一の為に、夢希の言う通り寝る前の戸締りをしっかりしないとね」
一同は夕食後に全員で別荘中の戸締りを確認した後に早めに休んだのだった。
夢希「しっかし…ここの絵は何かコンビニのコピーの方がマシな程酷い模造の絵ね…」
その翌日に、あんな事が起こる事を、この時は誰も知る由も無かった。
蓮花「…へぇ…。いかにも殺人鬼の出現の予兆って感じだな…」
夢希「しかし…物語の別荘、書かれている限り、何か今いる別荘の内装が何か似てるわね…。私や奈々ちゃんとフロールも出ているし…」
フロール「何で私達が出ているのかは分からないけど、別荘の内装が似ているのは、小説の中の内装をイメージしやすくするとか?」
夢希「まぁ…そうとも言えるけど…」
フローラ「それよりママ!続き!」
夢希「あ…わかってる。………………翌日 よく寝た夢希は、あくびしながらリビングに入っていった…………………………」
夢希「ふぁ……よく寝た」
女主人「おはようございます」
女主人は植物に水をあげながら挨拶をしてきた。
窓の外を見ると、雲ひとつもない透き通った青空だ。どうやら吹雪は止んだようだ。
リビングにいるのは自分と女主人の他に、奈々とフロール、そして女芸人と占い師の4人だった。
夢希「あれ?あのスキーヤーの人は?」
奈々「その辺を散歩するって外に出たけど…」
すると、スキーヤーが慌ててリビングに入ってきた。
スキーヤー「た…大変よ!ここの近くに死体がっ!」
女主人「何ですって!?」
一同は雪の中にうつ伏せで埋もれているスキーの格好をした年配の女性を発見した。
女芸人「ツイてないね…あと20メートルで別荘に辿り着けたのに…」
遺体をそのままにはできないので、別荘の中に運んでシーツを被せた。
占い師「それで、警察には?」
女主人「もちろん通報しました。半日経たないと来れないらしいのようで…」
スキーヤー「そうか…。って、何やってるのよ貴女!」
夢希は遺体のポケットを探っていた。
蓮花「ちょっと待なさいよ!」
夢希「な、何よ?」
蓮花「何って、警察が来る前に勝手に遺体の所持品をいじっちゃ…」
夢希「いや…いじるも何も、私はこれに書かれていることを読んでいるわけで。…それに、私達も警察とか言える立場じゃないでしょ?」
蓮花「…それもそうか。で?何が出てきたの?」
夢希「えっと。中に入ってたのは…あれ?」
蓮花「どうした?」
夢希「いや、なんでもない。えっと……ポケットに入ってたのは次の物だった。携帯用雪焼け止めのスプレーに、女物のサイフ。それに持っていたスキー板。そして遺体の胸には………」
スキーヤー「上級スキー1級のバッジだ!」
フロール「何で上級者の人が吹雪の中で事故死を?」
夢希は考え込んだ。
遺体の所持品…この別荘の人間…そして出門…。
するとある答えにたどり着いた。
夢希「そうか!その人は事故死したんじゃない!事故にみけかけて殺されたのよ!」
奈々「な、何だって!?」
スキーヤーは慌てて遺体を確認した。
スキーヤー「よ、よく見たら、首にヒモか何かで締められた跡が!」
夢希「この人は、昨日のニュースで言っていた殺人鬼出門に殺されたのよ。…けど、そいつはものすごい演技力で完璧に演じたけど、本物ではありえないミスをした。『殺人鬼出門』は、この中にいるっ!」
残り数ページの所で、「答え(初めに見ないでね♥)」と書かれた所で終わった。
夢希「なるほど…この物語はミステリークイズで、別荘内にいる誰かになりすました『殺人鬼出門』を見つけ出すようね」
ミア「別荘の中にいたのは…別荘の人と占い師の人…」
ナル「スキーの人にお笑いの人…」
蓮花「一応、夢希と奈々とフロールを加えて、計7人か…」
奈々「一体誰なんだろう出門って?」
フロール「そういえば、『本物ではありえないミスをした』って言ってたわよね」
夢希「まぁそうね」
蓮花「わかった!犯人はオーナメントっていうコメディアンだ!職業上演技が得意だからなりすますのは簡単ね!」
夢希「…なら、本物ではありえないミスってのは?」
蓮花「そこなんだよ。さっきから考えてるけど、全然分からなくて…」
夢希「よく考えてみてよ。もし誰かと入れ替わってなりすましてるんだったら、当然誰かに気づくでしょ?怪盗ルパンとかの変装の名人だったら話は別だけど、どこにも『変装が得意』なんて書かれてないでしょ?」
蓮花「だったら、アンタは分かるの?」
夢希「私の推理が正しければ犯人は…………………
別荘の女主人『鈴』!その人が本物を殺害してなりすました出門の正体よ!」
フローラ「えぇ!?本当なの!?」
奈々「どうしてそう言い切れるの?」
夢希「もし最初に訪れたのが出門だったら、出迎えた本物の鈴さんを殺害し、吹雪が止むまで別荘で一夜をすごすつもりだった。しかし、私達を初めとした遭難者が次々と現れたから、本物のフリをせざるおえず、遺体をどうにかしないと思った。そこで、本物の女主人を遭難者にみせかけて遺棄することでやり過ごす事にした」
蓮花「けど、それはアンタの想像じゃ…」
夢希「もちろん証拠はある。それも2つ。1つ目は、遺体の遺留品。本物の女主人は、スキーをする格好にされたって言ったよね?本当にスキーをする人なら必ず持たないといけない物を持っていなかった」
ナル「何が持ってなかったのですか?」
夢希「スキーのリフトのパスよ。スキーをする人なら、坂の高いところに行くためのリフトを乗らなきゃいけない。それには専用のパスを買って持たないといけない。けど、遺体にはそれが無かったから私は違和感を覚えたわ」
蓮花「そういえばパスのことは言ってなかったわね。それで?2つ目の証拠は?」
夢希「それがさっき言った本物ならありえないミスよ。犯人は、あまりにも演技に巧妙しすぎてマヌケなミスをしたわ」
フロール「そのミスって?」
夢希「観葉植物よ。このニセ主人は観葉植物に水をあげていたから、それを思い出して確信したわ」
蓮花「それのどこがミス何だ?植物に水をあげることが自然じゃない」
夢希「このニセ主人も言ってたけど、本物は冬に年2~3回しか来てないと言ってたでしょ?もし長い間に放置されていたら、当然枯れてしまう。私だったら、来る度に取り替えるか、日持ちのするタイプを持ってくるわ。つまり、ニセ主人はそれを知らなかった為作り物の観葉植物に水をあげてたのよ」
フローラ「すごい!ママ名探偵!」
蓮花「けど、何で観葉植物が作り物とわかったのよ?アンタは話の中で『観葉植物が作り物』だなんて一言も言ってないじゃないか」
夢希「これにも書いてあるけど、壁に掛けられている絵の描写の限り、インテリアに対して関心が無いと思うのよ。実際のこの部屋と同じイメージができたやすかったから、もしかしたら観葉植物も作り物じゃないかと思ったのよ」
フローラは、現実の観葉植物に近づき調べた。
フローラ「本当だ。本物じゃない」
奈々「けど、何か小説と現実の別荘…何か同じすぎない?」
フロール「まさか…出門ってのも本当にいるのでは…」
すると、玄関のドアがノックするような音がした。
全員で恐る恐る玄関を覗いた。
外に誰かがノックをしている。頭が動物のようだ。
まさか…本当に殺人鬼出門!?
夢希「あの正体は…私達がよく知っている人物に違いない!」
夢希が迷いもなくカギを開けてドアを開けた。
蓮花「バカ!むやみに開けたら…!」
そこにいたのは、殺人鬼出門………………………
…………ではなく、看守風のビキニ水着を着て頭にトナカイの被り物を被っている人物だった。
夢希「そんな被り物をしている看守は………貴女よね『ヒナタ』?」
ヒナタ「わかっているでしたら早く開けてくださいよ!」
トナカイを脱いでからヒナタは怒っていた。
ヒナタの後ろには他の看守達もいた。
夢希「悪かったって。もちろんこれだけじゃないよね?」
リン「やはり夢希様にはおみとおしですな」
看守達は何かが入っている箱をフローラ達に渡した。
フローラ「もしかしてケーキ?」
リン「他にも色々持ってきてますのですぐに車から下ろしてきます」
奈々「夢希ちゃん…これって?」
夢希「今回、私達を呼びつけてミステリークイズをしたのは、私達へのクリスマスプレゼントだったのよ」
ナル「あ!そういえば今日は…」
一同『クリスマスイブ!』
夢希「いや、12時過ぎているから、正確には『クリスマス』ね。こんな別荘やパーティやプレゼント等をを用意した…キザった嫌味な女は………………あの人しかいないでしょ?」
ミア「キザった嫌味な女?」
リン「1人しかいないわね…。今頃当人は、南の島でバカンスでも楽しんでいるに違いない…」
その頃
とある南の島のプライベートビーチにて、トロピカルジュースを飲んでいるエルフがいた。
キュリテ「今頃魔王姫様達は、私からのクリスマスプレゼントを受け取ってる頃ね。良い聖夜と良いお年を」
一同『メリークリスマス!』
奈々・フロール『ジングルベルジングルベル♪』
チキンを頬張る夢希「鈴が鳴る~♪」
酒を飲んで酔っている蓮花と看守達『雪をかけて~♪』
カメラを回すナルとミア『ソリは走る♪』
タクトを振るフローラ「ジングルベルジングルベル鈴が鳴る~♪」
みんな『今日は楽しいクリスマス♪ヘイ!』
それでは皆さん、良いクリスマスと良いお年を