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完璧商人始祖!の巻!



   **



 ハロウィンが近づき、クリスマスも射程距離に入り――


 混沌カオスの波動を受けた悪行商人あくぎょうしょうじんらが世界を乱していく。


 それはさながら、かつてのハロウィンの夜のようだ。


 今でこそハロウィンは人々の憩いの祭だが、かつては「向こうの世界」から「こちらの世界」へ無数の妖魔が現れる夜だった。


 妖魔は人々の不安と恐怖を糧にして存在する……


「ヒャッハー!」


 今もまた、町外れに生じた「時空のねじれ」から妖魔の群れが飛び出してきた。


 ハロウィンには時期尚早の招かれざる客たち。彼らは小物の妖魔だが、人間の心に取り憑き支配することができる。


 空には雷雲が漂い、先の不安を象徴していた。


 雷が大地へ落ちようとする、その時だ。


「ニャガニャガー!」


 気合いと共に、何者かが雷を手で受け止めて妖魔らへ投げつけたではないか。


完璧商人始祖パーフェクトオリジン奥義、サーベル・サンダー!」


 空中から妖魔へ雷を投げつけていくのは、完璧商人始祖パーフェクトオリジンの精神マンだ。


「シャバババ~!」


 地上では一つ目の巨漢超人が妖魔を蹴散らしていく。頭部に巨大な角を生やしたこの超人もまた完璧商人始祖パーフェクトオリジンの一人――


 眼マンだった。


「そこまでですよ、悪しき者たちよ」


 精神マンは道化じみた笑みを消し、使命を全うする決意に満ちた顔で、妖魔の群れを見回した。


「シャバババ~、この世に闇ある限り、我らは必ず現れる! 貴様らの悪行、いつまでも続くわけがない!」


「なぜならば…… この世には、我ら完璧商人始祖パーフェクトオリジンがいるのですからね!」


 眼マンと精神マン、二人の迫力に妖魔の群れが気圧される。


 そう、この世界には光と闇がある。


 妖魔ある限り、この世の調停を司る完璧商人始祖パーフェクトオリジンもまた不滅なのだ。


「――待て、その者らの相手は私がする」


 雷雲が割れ、一条の光と共に地上に降り立ったのは、市場経済における「神の見えざる手」を司る正義の顕現たる正義マンだ。


「それが我ら完璧商人始祖パーフェクトオリジンの使命なのだからな」


 裁きの天秤を手にした正義マン。


 一つ目の巨漢超人、眼マン。


 道化じみた容貌にして雷を自在に操る精神マン。


 十一人しかいない完璧商人始祖パーフェクトオリジンのうち、三人までもが今この場に集うとは。


 妖魔らの恐怖こそ推して知るべしだ。


「ニャガニャガ、帰ってくださいよ! 私一人で充分ですから!」


 精神マンは抗議した。元はバレンタインの守護者ガーディアンたる「バレンタイン・オメガ」だった精神マン。


 今は愛するサンタさん(※完璧商人始祖パーフェクトオリジンの一人、白銀マン)の「二人目のトナカイ」である精神マンは、眼マンと正義マンとは仲が悪い。


「シャバババ~、何を言うか! ド下等どもは殲滅せねばならんのだ~!」


 眼マンは声を荒げる。太古の昔よりサンタさんのトナカイとして、その務めを果たしてきた眼マン。


 そんな眼マンは、サンタさんと精神マンと一つ屋根の下で暮らしている。が、精神マンとは非常に仲が悪い。


「ハワー!」


 二人を無視して、正義マンは襲いかかる妖魔にミドルキックをお見舞いした。


「ニャガー、聞いてるんですかー!」


「シャバババー、一人占めはさせんぞー!」


 仲の悪い眼マン、精神マン、そして正義マン。


 そんな三人だが、見事なまでに息を合わせて妖魔を蹴散らしていく。


 今年のハロウィンは、きっと楽しくなる。

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