愛戦士の憂鬱!の巻!
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人知を越えた力を有し、世の経済を司る超人……
人は彼らを「商人」と呼んだ……!
超神との闘いに臨む商人の精鋭、リアル・ディールズ。
先鋒アパッチは「進化の神」へと立ち向かう。
いきなり吐血するなど、頼りないアパッチだが、猛攻が功を奏してチャンスが生じた。
そこでいきなり雄叫びに出ようとするが…… あやしい、あからさまにあやしい展開だ!
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海からの試練に臨む戦乙女たち。
人魚のラメールは、意外にも未来へ向けて様々な考えを巡らせているようだった。
人間世界の常識を知らぬからこそ、ラメールは己の無知を自覚しながら成長していく……
あるいはそれが正しい道なのかもしれぬ。人生とは迷いながら、闘いながら己の進む道を見出だすものだ。
ラメールの業が深いのは愛嬌だ。そして戦乙女達に試練を与えていたのは、海を支配する女神だった。
その女神の神殿では――
「――聖母様の宮殿で、一週間お掃除してきなさい」
女神様は、己に仕える男性神二名に告げた。
「は?」
「え、なんだそれ……」
女神様に仕える二柱は、ランバーとシンだった。
五百年ほど前に死んだ二人は、死後に魂を引き上げられて、この女神に仕えることになった。
女神の誇る龍王と龍馬、即ち最強の戦力として。シンとランバーには「荒ぶる鬼も怖じ気に震え上がる」と、様々な神々から称賛が贈られている。
「そ、そんなことでいいのかよ?」
シンは戸惑った。
彼は己の仕事中に、かつて愛したペネロープの危機を知り、無断で女神様の宮殿から人間界へ直行した。
これを人間世界に例えるならば、職務を放棄した上での無断退勤だ。普通に考えれば、魂を消滅させられても不思議ではない。
「寛大な措置に感謝いたします」
ランバーは女神様に恭しく頭を下げた。彼もまたペネロープの危機を知り、女神様にシンの分も併せて一時退出を申し出た。
ランバーの日頃の勤務態度から、女神様のみならず、宮殿勤めの女官らも快諾した。ランバーの配慮のおかげで、シンは魂の消滅を逃れたのだ。
もっとも、シンの到着が少しでも遅れればペネロープは殺されてしまったかもしれない。シンの行動もまた正しかった。シンとランバーの二人は正反対ながら互いに互いを支えあっている……
いや、そんなことよりも女神様には、二人の志が嬉しいのだ。
シンもランバーも、神としての務めより、人間時代に愛した女性を守ることを優先した。しかも、自身の魂の消滅すら覚悟して。
それこそ愛というものではないか。女神様はシンとランバーを誇らしく思った。同時に女神仲間に自慢したくなったのは愛嬌だ。
厳しい眼差しでシンとランバーを見つめる女神様は、内心では二人を微笑ましく見つめていた。
「二人とも、がんばるのですよ」
女神様の笑顔を前に、シンとランバーは片膝ついて、恭しく頭を下げた。
聖母様の宮殿には、彼女に仕える戦乙女も住んでいる。
まだ若い彼女達だけあり、宮殿内は意外なほど散らかっていた。
「全く、散らかしっぱなしかよ!」
シンは食堂でテーブルを拭いていた。頭に三角巾姿の彼は、意外なギャップがあった。
「全く、おしゃべりしながら食い散らかしやがって……」
「まあ、そう言うな」
ランバーはシンが真面目に掃除している様子に感心していた。彼もまた頭に三角巾を装着して、大量の食器を洗っていた。
中性的で凛とした様子のランバーが頭に三角巾とは。似合わないわけではないが、何の罰ゲームかと疑いたくなる。
戦乙女全員の食事が終わった閑散とした食堂で、シンとランバーは後かたづけを続けた。
これも愛に生きる者の、心地よい苦難に違いない。




