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混沌(カオス)の幻影!の巻!4

「じゃあな、ペネロープ」


 言ったシンの体は、半透明に霞んできた。ランバーもだ。


「俺たちはペネロープを見守っている」


 ランバーは寂しげな笑みを浮かべた。シンもだった。


「シン、ランバー!」


 ペネロープの見つめる前で、シンとランバーの姿は霞のように消え果てた。


 あとに残ったのは、山間の静けさと淡い月光――


 そして生物兵器チェイサーの骸である。ツィークとラーニップの二人は、まるで背景モブのように黙りこくって怯えていた。


 余談だがツィークの御先祖がシンであり、ラーニップの御先祖がランバーだ。


「二人とも大バカだわ……」


 ペネロープは両手で顔を覆った。シンとランバーの二人は、魂だけでペネロープを守りに来たのだ。


 実体化のために、多大な代償を支払って。シンとランバーの思いこそ愛というものだ。北○の拳でも愛は最強なのだ。


 さて、とある女神は二人の男性神をつき従えている。それは、ひょっとしたら、ひょっとして――



   **



 人類の未来を守る戦いは続く。


 人類を滅ぼさんとする超神との闘いに臨む商人しょうじん


 命を産み出した海からの試練に臨む戦乙女プリピュア


 この闘いの果てに待つのは?



   **



「もうじきハロウィンだわ……」


 「レディー・ハロウィーン」のローレンは、拳を固く握りしめた。


 欧州系美少女のローレンは、勇ましくも美しい。


「遂にお嬢様の本番ですね!」


 忠実なる侍女「フランケン・ナース」のゾフィーは、ナース服の胸元を揺さぶりながら愉しげに笑った。


「……あなたが脱げばいいんじゃないの?」


 ローレンは額に血管を浮かべて冷笑した。美少女だが仕草が恐かった。スレンダーなローレンは、ゾフィーの女性的魅力を詰めこんだプロポーションは嫉妬の対象だ。


「ええ、そんなあ! で、でもお嬢様! 創作の光明は見えましたよ! 私たち三人が登場すると、評判がいいんですよ!」


 ゾフィーはローレンに力説した。お色気を担当されてはたまらない。


「はあ? 私とあなたと…… ペネロープ?」


「そうですよお!」


 ゾフィーも必死だ。


 きつめの美少女ローレン。


 優しい美女のゾフィー。


 性格の残念な美女ペネロープ。


 三人が登場すると、読者様(※こんな底辺にいるのかい?)から大きな喜びが伝わってくるというのだ。


「まあ、考えとくわ…… こっちは

『オンナという名のものがたり』

ってわけね」


「ゴヨウ先生や七郎さん、白銀マン様には

『オトコという名のものがたり』

を紡いでもらいましょうよ!」


「さ、そんな事より、ハロウィンに向けて準備よ!」


 ローレンは赤いタイツに身を包み(なぜ?)、左腕に精神銃を装備した。


「いくわよ、ゾフィー!」


「OK、お嬢様!」


 ローレンとゾフィーの二人は――


 ハロウィンの「概念」や「存在の意義」を守る守護者ガーディアンの二人は、混沌カオスの渦へと飛び込んだ。


 彼女達の戦いもまた、人類の未来を守る戦いなのだ。

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