知多星ゴヨウ ~海の惑星の真実! の巻!~ 3
「ゴヨウ……」
チョウガイは苦笑した。心中に生じた絶望感が、ゴヨウとブルックリンによって消失していく。
「滅んだ未來があるのなら、存続した未来もあるはず!」
それがゴヨウの思いだ。時が未来に進むと決めたのは宇宙創生の女神だ。
だが、この三千大千世界は混沌の空間だ。
全宇宙の光と闇、善と悪、愛と憎しみ、過去と未来、そして男と女が入り交じっている。
この惑星が未来の地球だとしても、ゴヨウたちの活躍が過去に及ぼす影響もあるかもしれない。
「――任せるぞ、知多星ゴヨウ!」
チョウガイは厳かな顔の口元だけに笑みを浮かべ、ゴヨウに出撃を命じた。
ゴヨウとハードゥが乗り込んだ「ヘッドガン」は――
百八の魔星の最高機密たる戦闘装甲車両は、梁山泊の滑走路を突っ走り、はるか広大な海に出た。
次元渡航能力など、未だに解析されぬ能力を秘めたヘッドガン。
その力は、百八の魔星が保有する黄巾力士の中でもトップクラスだ。
梁山泊の人工知能ブルックリンの分身でもあるヘッドガンは、ゴヨウとハードゥを乗せ、未来の地球でいかなる活躍をするのか……
「任せるしかあるまいな」
チョウガイは司令室からゴヨウたちを見送った。
「ど、どうぞ」
チョウガイにコーヒーを出す女性は、打虎将リッチーだ。剣道二段、インターハイ出場経験あり。
そんな彼女は百八の魔星のニューフェイスであり、チョウガイに淡い思いを抱いている……
「ありがとう、リッチー」
チョウガイはコーヒーを飲んだ。百八の魔星の守護神にも休息は必要だ。
「いえ……」
顔を赤らめるリッチー。彼女はまだあきらめないようだ。剣の道と同じく、果敢に打ちこみを続けた先に、何かしらの答えを得るかもしれない。
人類の歴史は、男と女で紡がれてきたのだ……




