知多星ゴヨウ ~海の惑星の真実! の巻!~ 2
宇宙の彼方、三千大千世界へ突入した「梁山泊」。
いくつかの惑星を越えて、到着したのが未来の地球だとは。
いや、混沌の空間では何が起きても不思議ではない。
光と闇、善と悪、男と女。
更には、過去と未来までもが多様に重なりあった多層次元もあった。
チョウガイは多層次元での戦いも経験済みだが、それでもこの事実をにわかには信じがたい。
あの惑星の未来は、海に飲みこまれてしまうとは。
それは自然を害し続けた人類への、当然の報いだったのか。
「これが結末なのか……」
チョウガイは司令室でうめく。
半神半人の存在として、四千年の永き時を「百八の魔星」の守護神として過ごしてきたチョウガイ。
四千年の戦いは全て無駄だったのかと思った時、司令室にいたゴヨウが大笑いした。
「確率なんてクソ食らえでしょう!」
ゴヨウは叫ぶ。チョウガイは彼が狂ったのかと思った。だが、そうではなかった。
“カウントは九回裏ツーアウト2―3”
梁山泊の人工知能ブルックリンまでもが発言した。
“それでも私はまだバッターボックスに立てる”
ブルックリンが何を言っているのか、チョウガイにはわからない。わかっているのは、ゴヨウのみのようだ。
「俺はまだあきらめない!」
“たった一球の勝負、それでも私はやる”
ゴヨウとブルックリンの言葉が、チョウガイの心を支えた。
ここは確かに未来の地球であろうが、大破壊を食い止めるための何かがあるのかもしれない。
ゴヨウはそれを言っているのだ。
「パーティーやろうぜ! ブルックリン!」
ゴヨウの瞳がギラギラと輝く。
そうだ、彼こそは宇宙最古の生命体「開拓者」とも遭遇したことのある、天の機を知る宿星――
天機星「知多星」ゴヨウなのだ。




