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プールサイドで邂逅!の巻!5



   **



 山間でペネロープとツィーク、そしてラーニップによるサバイバルは続いていた。


「ゾンビだー!」


「く、臭い……!」


「燃え尽きなさあい!」


 ペネロープは目からビームを発射してゾンビの群れを焼き尽くした。


「もうやだあー!」


「おうちに帰りたーい!」


「女は泣いたらおしまいよ!」


 泣き叫ぶツィークとラーニップを叱責するペネロープ。


 バカンスという名のサバイバルはまだ続くのだ……



   **



 プールでも楽しげな時間は続いていた。


 「レディー・ハロウィーン」のローレンは、かつてのボディーガード「ロボコック」と売店で話しこんでいる。


「あ、あたしは女子高だったしさあ……」


 鋼鉄の意思を秘めたローレンが、僅かに頬を赤らめてはにかんでいる。


 滅多に拝めない、意外なギャップだ。女性は恋する男性の前では、別の存在になるのだ。


「むふ~……」


 ロボコックはローレンの話そっちのけで、プールサイドで水鉄砲ウォーターガンのシューティングゲームに興じるゾフィーを見つめていた。


 マイクロビキニ姿のゾフィーは、嫌でも人目を引いた。


 女性もうらやむ堂々としたバスト、土気色の肌の全身には無数の縫合痕が刻まれたゾフィー。


 そんな彼女の頭部の電極が、感情の起伏を示してピコンピコンと点滅していた。


 ゾフィーは何度かロボコックの方へ振り返っていた。かつてはゾフィーも、生前のロボコックに淡い恋心を抱いていた。


 ゾフィーとロボコックは、共にローレンを守るために死亡した。そんな共感も、互いを惹き寄せる。


「どこ見てんのよ!」


 ローレンの刹那の右ストレートが、ロボコックの顔面に炸裂した。


 拳銃の弾丸も跳ね返す超硬合金が、ローレンの右ストレートでへこんだ。


「す、すまん……」


「全く、あんたってさ! 相変わらず女好きよね! ハロウィンにメッセージカード送ってくるだけだし!」


 ローレンは機嫌が悪い。だが、これは甘えているのだ。


 彼女は母、ロボコックの前身のボディーガード、更にゾフィーを失って「レディー・ハロウィーン」として真の覚醒を果たした。


 それから数年、ローレンは「ハロウィンの守護者ガーディアン」たる「レディー・ハロウィーン」として活動してきた。


 孤独と絶望を乗り越えた先の、果てしなき飛躍……


 だが、ローレンにも息抜きは必要だったに違いない。


「覚えてる? 花火大会」


「チュパカブラが出て、町中で銃撃戦が始まった時だろ? 覚えてるさ」


「花火の音に銃声がかき消えて…… ロマンチックだったわ」


「負傷者は多かったけど、よくもまあ死者が一人も出なかったもんだ」


「あたしとあんた、それにゾフィーでやっつけたんじゃない」


「チュパカブラは女好きだったから、ゾフィーがおっぴろげジャンプして油断させたんだっけ」


「もう、そんなことばっかり! あたしだって頑張ったじゃない!」


「君のスーパーアーツ『ダブル・トルネード』でとどめを刺したんだろ、覚えてるさ」


「じゃあ、あれは覚えてる……?」


 ローレンの目が潤んだ。それを見てロボコックも思い出した。


 チュパカブラとの戦いも終わり、花火大会もクライマックスを迎えた頃――


 ゾフィーは酒を飲んで、公園のベンチでいびきをかいて眠ってしまった。


 残された二人は、夜空を見上げながら最後の花火を共に眺めた。


 町中にはパトカーや救急車のサイレンが鳴り響き、誰もが生きた心地がしなかった。


 そんな中でローレンとロボコックは身を寄せあい、見つめあい、そして――

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