プールサイドで邂逅!の巻!3 ~キラービー、必殺の一撃~
**
ローレンが命を狙われる事は珍しくなかった。
なぜなら彼女は現「レディー・ハロウィーン」の一人娘だからだ。
ハロウィンの夜に現れる無数の魔物から人々を守ってきたとされる「淑女ハロウィーン」は、ハロウィンの時期には世界中の富を動かすとされる。
その力と富を狙う者は、後を絶たなかったのだ。
そしてローレンに最大の試練が訪れた。
母である現「レディー・ハロウィーン」の急死。
ボディーガードの「街の狩人」は重傷を負いながらも、なんとかローレンを守り抜いた。
が、その後は行方知れずになってしまった。人間を捨ててまでローレンを守った「街の狩人」は、別の存在に生まれ変わっていたからだ。
意気消沈するローレンを、高名な殺し屋が狙う。四六時中、命を狙われるローレンを侍女ゾフィーは必死に支えた。
だが、遂にその時は来た。
母の名代として空港へ向かおうとしたローレンは、屋敷の入口で車に乗り込もうとした。
もちろんゾフィーも一緒だ。メイド服姿のゾフィーは、華奢な体型ながら「殺人蜂」と呼ばれる凄腕のボディーガードだ。
そんな二人の前に殺し屋が、物陰から現れたのだ――
「お嬢様!」
メイド姿のゾフィーはローレンをかばった。全身は数発の弾丸を浴びた事で、紅に染まった。
「チッ」
サングラスをかけた殺し屋は、ローレンとゾフィーへゆっくりと歩を詰めた。
まさか屋敷の入口で命を狙われるとは。相手が高名な殺し屋だったからこそか。
ローレンを背にかばい、死相を浮かべたゾフィーだったが――
彼女は最後の力を振り絞り、突撃した。
「何――」
殺し屋は発砲した。更に数発の弾丸を身に浴びながら、ゾフィーは殺し屋の眼前へ踏みこんだ。
鋭く重い、ゾフィーの右拳が殺し屋の顔面へ叩きこまれる。
ローレンは骨の砕ける音を聞いた。
ゾフィーの右拳は明らかに骨折して変形していたが、殺し屋の顔は陥没して眼球が飛び出していた。
殺人蜂の名に恥じぬ、必殺の一撃だった。
「あ、貴方も地獄行きね……」
凄絶な笑みを浮かべて、ゾフィーは大地に突っ伏した。殺し屋の体も地に倒れ、すぐに動かなくなった。
「ゾフィー!」
ローレンはゾフィーに駆け寄り、抱き上げた。
「……御母様は亡くなり、あいつもいなくなって…… あなたまで! こんな事になるなんて……」
「お、お嬢様…… これが守護者たる『レディー・ハロウィーン』の宿命なんですよ……」
死相を浮かべたゾフィーだが、彼女は微笑んでいた……
**
「……そんな事があったのか」
ロボコックはローレンの話を聞き終えると、プールで遊んでいるゾフィーへ視線を向けた。
「きゃ、やだあー!」
なんという事だ、ゾフィーの水着が外れかかり、彼女は慌てて水着の紐を縛り直した。
周囲を囲んでいた男性ファン達は、皆一様に満ち足りた顔を浮かべ、次々と魂が天国へと運ばれていく。
「でけえ……」
ロボコックは鼻息荒くゾフィーを見つめた。人間を止めた彼だが、煩悩はまだ残っていた。
「この…… エロエロ大魔王がー!」
ローレンはロボコックへ100tハンマーを打ちこんだ。
かつての日常を思い出したローレンは、とても晴れ晴れとした様子であった。
※EDはゲット○イルドでお願いします。




