プールサイドで邂逅!の巻!2
イラッときたローレンは、ロボコックの横っ面に閃光エルボーを炸裂させた。
「ごお……!」
「相変わらずね、あんたは」
ローレンは苦笑した。
いつもツンと澄ました彼女からは想像しがたい、リラックスした笑顔だ。
それが苦笑いであろうとも、ローレンのそんなくだけた笑顔が見られるとは――
「あ、相変わらずだな……」
ロボコックのフェイスガードの一部がへこんでいた。
チェーンソーで切りつけても、小さなかすり傷一つつかない超硬合金がへこむとは。
ローレンの閃光エルボーを食らえば、生身ではただでは済まぬ。
「お互い様でしょ?」
「そうだな……」
プールサイドの売店に穏やかな空気が流れた。まるで、そこだけ別の世界のようだ。
ローレンとロボコックの二人は、ゾフィーがファンの方々と水鉄砲で遊ぶ姿を、微笑しながら眺めていた。
艶かしい肢体のゾフィーを前にすれば男は狼になりそうだが、なぜか彼女の周りには紳士しか集まらない。
それもゾフィーの不思議な人徳なのだろうか。
「昔を思い出すわね」
「まだ数年しか経っていないが、あれから何十年も過ぎたような気がする」
ローレンとロボコックに昔日の思いがあふれた。
二人はかつての日々を回想した……
**
ところは変わって、とある山間部では、ペネロープとツィーク、そしてラーニップの三人がクリスタル湖を目指していた。
何やら非常事態が起きたということで、クリスタル湖周辺は軍隊まで出撃する混乱ぶりだったが、
「面白そうじゃないのー!」
と、刺激に餓えていたペネロープはあえて徒歩で山道を進む。
バッスルスタイルから活動しやすいタンクトップにスラックスに着替えたペネロープ。
荷物は登山服姿のツィークとラーニップに背負わせ、ペネロープは意気揚々と山道を進む。
吸血姫の彼女は太陽は嫌いだが、今は好奇心ゆえにものともしない。
後で日焼けしたペネロープは大変なことになるのだが、それはまた別の機会に語られる物語である――
――キシャ~……
ペネロープとツィーク、ラーニップは足を止めた。
山道の脇、林の繁みから、彼らは得体の知れぬ殺気を感じ取った。
「出たわね!」
ペネロープが叫ぶと同時に、不気味な生き物が林の繁みから飛び出した。
それはクリスタル湖の側の研究所で産み出された、生物兵器であった。
「ででででい!」
ペネロープは駆け出した。長身で線の細いペネロープ。
その細腕が生物兵器「狩人」へ繰り出された!
「ペネロープ・ラリアットー!」
ペネロープ必殺の一撃――
首筋にペネロープ・ラリアットを叩きこまれた「狩人」は、数メートルも吹っ飛んで木の幹に激突した。
「しゃおらあああっ!」
ペネロープ勝利の咆哮。
妖艶な美女だが、仕草がそこはかとなく残念だ。
ため息をつくツィークとラーニップは、もはや背景であった。
楽しいはずのバカンスは、生物兵器あふれる修羅の巷だ。
果たしてクリスタル湖に何が待ち受けるのか?




