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アナスタシア、愛を取り戻せ1

 アランは中華飯店「関帝房」で食事していた。


「これが何かわかるアルか」


 ディートリンデ(cv:釘宮理恵さん)は皿に盛られた中華まんを指差した。


「肉マンかな、アンマンかな」


 アランにはよくわからない。普通の中華まんに比べると球に近い形状であり、また中央の一点は桃色に染まっていた。


 何かに似てるなーとは思ったが、アランはあえて口にはしなかった。


「これは『おっぱいマン』アルよ! 先っぽのピンクが目印アル!」


 ディートリンデはゲラゲラ笑った。


 左右の頭部にお団子を結った可愛い中華娘だが、女子力の低さがそこはかとなく残念だ。


 アランは照れ臭そうに「おっぱいマン」を食べ終え、食後の烏龍茶も飲み終えると、


「ごちそうさまでした!」


 と、にこやかに立ち上がって帰ろうとしたが、襟元をディートリンデにがっしりとつかまれた。


「す、すごい力! は、離してください!」


「今夜は帰りたくないアル……」


「この店はお姉さんの店ですよね!?」


「しゃー、べらんめー!」


 ディートリンデはアランの煮え切らない態度にぶちギレし、彼の首ねっこをつかんだまま、寝室へと引きずろうとした。


「よろしくってよ、よろしくってよ~!」


 別のテーブルではペネロープが、双子の店員を口説いていた。


 関帝厨には男女の双子の店員がいるのだ。


 どちらも美少年、美少女である。


 しかも女装した美少年と、男装した美少女なのである。


 なぜかはわからないが、ペネロープは倒錯的な双子の店員に感動して、顔を赤らめ鼻血を流していた。


「もう、もうもう! わたくしのところにお嫁にいらっしゃい! お婿さんにするのー!」


「お客様おやめください!」


「イヤー、お婿さんとお嫁さんにするのー! お持ち帰り希望ー!」


 ペネロープは店内で泣き叫びながら男女の双子の店員をお持ち帰りしようとしていた。


「うるせーアル! やっちまうアルよー!」


 ディートリンデはペネロープに向かって怒鳴った。


 彼女の正体は「七人の悪魔商人」の一人、ミス・パーコーメンだ。


 巨大な餃子の皮で相手を包み込み、巨大なストローで対戦相手の水分を吸い上げてミイラにする必殺技「餃子パッケージ」で恐れられていた。


「……ああ! 好青年がいねーアル!」


 ディートリンデがペネロープに気を取られた僅かな隙に、アランは逃亡していた。





 アナスタシアのアランを取り戻す戦いは続いていた。


 群がる関帝厨の衛兵らを前にして、アナスタシアは右膝のロケットランチャーを利用して地上数メートルの高さへ舞い上がった。


 ーーシュオ!


 そして地上にいる衛兵らに再びロケットランチャーを発射した。


 爆風に吹き飛ぶ衛兵たち。


 戦神アナスタシアは美しい。



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