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伝説の氷河戦士!の巻!1


   **


 吸血姫ペネロープ。


 彼女は「不死王」が人間の女性に産ませた混血ダンピールだ。


 六百年を生きる吸血姫ペネロープは、二十代半ばほどの妖艶な美女だ。


 性格は暴れはっちゃくだが、少なくとも邪悪な存在ではない。


 そんな彼女は狼女のメイド達を率いて、クリスタル湖へバカンスに出かけるという。


「クリスタル湖……」


 メイドのリーダー、ツィークは美しい眉をしかめた。


 ネット検索すると、山ほど恐い話が見つかった。


 殺人鬼に山男イエティ、巨大な熊に怪しい研究所……


「これはもう戦争だよ!」


 メイドのラーニップはリュックに武器を詰めこんでいる。


 今年の夏は戦争だ――


 それが狼女のメイド少女達のスローガンとなった。



  **



 宇宙の果て、三千大千世界を越えて混沌カオスを討たんと旅立った「百八の魔星」は新たな敵と遭遇していた。


 ――ピキイイイン……


 敵の出現と共に大地は凍てつき、全ての生命が活動を停止した。


「これは……」


 長ラン姿の凛々しい青年の姿をしたチョウガイは、凍てつく大地に屹立きつりつする伝説の戦士達の姿を見た。


「我らは氷河戦士ブルーファイターズ!」


 一団の先頭に立つイケメン戦士、アウクサーは名乗りを挙げた。


 氷河戦士の源流ルーツは、戦女神に仕える聖なる闘士である。


 かつて海神との戦いに勝利した戦女神は、その魂を北極に封印した。


 海神の魂は永き眠りについたが、一抹の不安はある。


 そこで戦女神は一人の聖なる闘士を派遣し、監視させた。


 その聖なる闘士の階級は不明だ。


 だが海神の魂を監視する任を託されたことから、その実力は間違いなく黄金級であろう。


 監視役の聖なる闘士を源流に持つ氷河戦士たち。


 彼らの拳は空を引き裂き、その蹴りは大地を割る――


 戦女神に仕える聖なる闘士に勝るとも劣らない、それが伝説の氷河戦士だ。


 そんな伝説の存在が、チョウガイの前にいる……


 ――ズン!


 チョウガイは手にした黄金の剣を凍てつく大地に突き刺した。


「お前たちまでもが混沌カオスの波動に呑まれたか……」


 瞑想するチョウガイは両手を眼前で交差させた。


 同時にその力は、神の領域にまで高まっていく。


「引導をくれてやる!」


 チョウガイの突き出した両手から、衝撃を伴う閃光がほとばしった。


 それは魔を降伏する不動明王の――


 その真たる姿、大日如来アークの力の顕現であったか。


魔天降伏まてんごうぶく!」


 チョウガイの手からほとばしった閃光が、氷河戦士達を襲った――

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