夏の誘惑!の巻!
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帝都にも夏が訪れた。
暑い日射しが生きとし生けるもの全てに活力を与える。
「これなんかどうかしら?」
「それもよろしいですが、お嬢様にはこちらの色の方がお似合いですよ~」
水着売り場で楽しげにしているのは「レディー・ハロウィーン」のローレンと「フランケン・ナース」のゾフィーだ。
「あ、じゃあ貴女にはこれなんか似合うんじゃない?」
「えー、お嬢様~ こ、こんな派手な水着はダメですよ~」
ローレンの勧める過激なセパレート水着に、ゾフィーは頭部の電極をピコピコ点滅させた。
「ポロリもありそうね」
ローレンはニヤリ!と邪悪な笑みを浮かべた。
十代後半の欧州系美少女な外見のローレンは、時に侍女たるゾフィーに意地悪をする。
だが、今回は違うようだ。ローレンは積極的にゾフィーをいじろうとしている。
まさか彼女までもが混沌の波動に呑まれてしまったのか。
それは魔○都市の魔界医師が吸血鬼化した時と、同じほどの大ピンチであった。
「え~、どうしようかな~」
ゾフィーははにかんだ笑みでローレンの勧めた水着を眺めた。
外見は二十代前半の欧州系巨乳美人のゾフィー。
彼女は平素からこのようなものなので、混沌の波動を受けているようではないが――
何かある。今年の夏には何かある。
夏には魔物が潜んでいる。
そう、夏を司る完璧商人始祖たる幻影マンが。
彼は縁結びの女神とも親しいのだ。今年の夏に多くのカップルを誕生させること、それも完璧商人始祖の、幻影マンの使命だ。
そして、商人と超神の未来を守る戦いも、次なるステージへ。
「調和の神」は「天に昇る資格」をマッスルボンバーに与えるという。
選ばれた八人を以て超神との決戦に臨まんとする。
まずは正義商人アパッチが、更には悪魔商人阿修羅マンが立候補した。
だが、そこに物言いをつけたのは悪魔商人「太陽サンサン」である。
ザ・漢すらいぶかしむ展開だが、果たして太陽サンサンの真意は……
メイド喫茶「ブレーメン・サンセット」で働く狼女のメイドたち。
彼女たちは出会いを山に求めた。
「番号!」
「1!」
「2!」
「3!」
……と、登山服に着替えたメイドたちはやる気に満ちていた。
一夏のバカンス、一夏の恋。
未来へつなぐ命……
狼女たちはさながらガールスカウトなノリだが、その実は使命感に燃えてもいるのだ。
「ふ、女は化けるわね……」
ペネロープはメイドを眺め、扇で口元を隠す。微笑した顔を見られるのは恥ずかしかった。
なお、ペネロープは夏でもバッスルスタイルだった。暑くないのだろうか?
「そりゃ暑いわよ! 暑いに決まってんでしょーが!」
ペネロープも鋭い自分ツッコミ。
二十代半ばの欧州系の妖艶な美女だが、そこはかとなく残念だ。




