堕ちた白衣の天使!の巻!①
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レディー・ハロウィーンのローレンの戦いは続く。
亜空間に現れた混沌の城ーー
寒村には不似合いな勇壮な城へただ一人乗り込むと、ローレンは散々に暴れ回った。
「来たわよ!」
魔女のコスプレをしたローレンは、ホウキに乗って城に突撃した。
その後は魔力で自分と寸分違わぬ分身(次元反転法)を造り出すと、二人で混沌の尖兵を片っ端から吹き飛ばした。
「ゾフィーを返しなさい!」
二人のローレンは連続十六分身(残像)から三十二本の魔法光輪を造り出し、混沌の尖兵に投げつけた。
放たれた六十四本の魔法光輪は滅茶苦茶な方向へ飛び回り、城の壁や柱をも切り裂いて、混沌の尖兵からことごとく戦意を喪失させた。
「そして真のヒロインは遅れて現れる!」
現れたのは深紅のバッスルスタイルに身を包んだ、麗しき吸血姫ペネロープだ。
彼女はコウモリに変化して、さりげなくローレンのまたがったホウキに乗っていたのだ。
ペネロープは右手と左手、それぞれの親指と人差し指で輪を作り、それを両目に持っていく。
「ペネロープ・ビィーム!」
ペネロープは両目から深紅の破壊光線を照射した。閃光によって生じた爆風が、混沌の尖兵をまとめて吹っ飛ばした。
吸血鬼が目からビームを出すのは伝統だーー
「ゾフィーはどこ!?」
ローレンは白銀の鎖を手にして、混沌の尖兵を見回した。
この白銀の鎖は「ラグナロク」と呼ばれ、彼女の先祖から伝わったものだ。
ハロウィンの夜に現れる無数の妖魔を討ち滅ぼした「レディー・ハロウィーン」……
ローレンはその末裔だ。
「最近のバイ○ハザードはどうなっているのよ!」
ペネロープは激昂して叫んだ。二十代半ばほどの美しきペネロープ。
その額に青筋が浮かび上がっているのが、どうしようもなく残念だ。
「長身女吸血鬼ですって? ネタはどこから来たのよ!」
ペネロープは拳を握りしめて薄暗い空を見上げた。女吸血鬼の物語はずっと昔からあるので、あまり気にしなくていいはずだ。
「バイ○は3が至高だわ!」
「ゾフィーはどこにいるの!」
口々に騒ぎ立てるペネロープとゾフィー。話が噛み合わないのも残念だ。
要約すれば、ローレンはさらわれた「フランケン・ナース」のゾフィーを助けるために、混沌の城に乗り込んできた。
ペネロープは出番が欲しいからやってきたのだ。共闘意識は全くないのに、二人はタッグを組んでいる。それなのに、男には理解できない息の合いようだ。
「ーーふ、お嬢様もペネロープ様も、よくいらっしゃいました」
城の入口から優雅な人影が現れた。
黒いナース服に身を包んだ、長身の美女ーー
「ゾフィー……!」
ローレンは驚愕に目を見開いた。いつも穏やかで朗らかな笑顔を絶やさなかったゾフィーが、今は酷薄そうな笑みを浮かべているではないか。




