暗雲を打ち払え!の巻!
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世界を覆う不安という名の暗雲。
この暗雲を晴らすために、商人と戦乙女は戦うのだ。
商人と超神の戦いーー
超不死鳥とビッグボインは、魂の衝突の後に絆を産み出した。
だが、それは超神を本気にさせた。
天界最強のタッグ技を受ける超不死鳥とビッグボイン。二人に勝機はあるのか。
海からの試練に臨むトロピカルな戦乙女たち。
戦乙女サマーはめげない、泣かない、挫けない。
サンドアート大会に雨が降っても、彼女はまずやるべき事をやろうとする。その意思が陽光と勝利をもたらした。
サマーを見ていると、なぜか不安は遠ざかる。だからこそ彼女は戦乙女なのだろう。
男の商人は神に挑み、女の戦乙女は試練に臨む。
男と女は永遠に戦争を続けるが、両性が力を合わせたからこそ、命を守り、未来へつなぐ事ができた。
新たなる未来はどのようにして造り出されていくのか。
かつて海神と戦い勝利したのは、常勝無敗の戦女神に仕える聖なる闘士であった。
彼らの戦いを振り返る時期なのかもしれない。
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天界の一室では、ルミナス、フェリーチェ、アースの三女神が集まっていた。
「ほらー、がんばって!」
「あんよが上手! あんよが上手!」
「やったー!」
戦乙女たるルミナス、フェリーチェ、アースの三人は、地獄に落とされた十兵衛の様子を見守っていた。
それはさながら、ゲームのバイオハ○ードのプレイを眺めるようなものだろうか。
大画面テレビに映し出された十兵衛は、火炎放射器で巨大ワニを焼き払い、勝利し生き延びた。
「うん、かっこいい!」
「さすが男の子です!」
「大宇宙の大いなる意思」の代行者フェリーチェと、「地球意思」の分身アース。
二人から見れば著名な剣豪、柳生十兵衛三厳ですらが、よちよち歩きの赤ん坊だ。
フェリーチェとアースには、十兵衛が地獄で戦い続ける様子が微笑ましい。
地獄を救う者、それこそ仏法天道の守護者であるーー
「私達の目に狂いはなかった!」
「これなら地獄の一角を、花の咲き乱れる極楽に変える事ができます」
フェリーチェ、アース共に画面内の十兵衛を見つめて微笑した。その様子は、子どもを見守る姉や叔母のようだ。
「ーーこの女は?」
ただ一人、ルミナスだけは普段の穏和な笑顔を消し、十兵衛に協力する謎の女アイダを凝視していた。
「何様ですか、十兵衛さんに馴れ馴れしく」
ルミナスの顔から表情が消えた。普段は可愛らしくも威厳ある眼差しのルミナスが、今や嫉妬に狂う鬼女のような迫力だ。
「いやー、ルミナス落ち着いて?」
「そうですよ、彼女は貴重な地獄での協力者ですよ?」
フェリーチェとアースがなだめるが、ルミナスには聞こえている様子もない。
画面の中では、負傷し気絶した十兵衛をアイダが手当てする恋愛イベントが始まっていた。
「……きいいい!」
髪を逆立て、アイダに憎しみの眼差しを向けるルミナス。彼女としては、息子に変な女が近づいてきたようなものか。
『よし、アイダ! 一緒にクラーンシティを脱出するぞ!』
画面の中ではーー
無論、三女神の加護を知らぬ十兵衛がアイダを引き連れ、クラーンシティからの脱出を試みていた。
果たして十兵衛は、地獄を救う事ができるのか。




