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希望の光!の巻!



   **



 宇宙の彼方にある惑星オメガ。


 そこに当主のアリステラらが帰ってきた。


 地球で手に入れた「希望」の力を携えて……


「よし、星の中心へ運ぶんだ!」


「我輩も行く!」


「キャミキャミ…… た、頼むぞアリステラ……」


 アリステラはザ・漢から授かった禁断の石升を手に、海賊マンと星の中心へ向かう。


 瀕死の天道マンは直ちに病院へ運ばれた。


 故郷の慌ただしい様子を、雹マンとギヤ達人、そしてル・騎士の魂が見下ろしていた。


“カキカキ……”


 雹マンはぼんやりと慌ただしい様子を見下ろしていた。これで故郷オメガの星は救われるーー


 ならば自分の死も無駄ではなかったと雹マンは思った。


 が、眼下で泣いている女たちを見ると何やら悔しい気持ちも生まれてくる。


“なんだよ、チクショー! ちゃんと海賊マンは帰ってきたじゃねえか!”


 雹マンは憤った。彼ら六総画が地球へ向かう前、眼下で泣いている女たちは頼みごとをしてきたのだ。


 海賊マン様を守ってくださいと。


 六総画の一人、海賊マンは巨体を活かして女子供の盾となり、災害から守っていた。


 それゆえに多くの女性から慕われていた海賊マン。彼の生還を女たちは喜んだが、同時に雹マンとギヤ達人、更にル・騎士の死亡を悲しんでいたのだ。


“カキカキ……”


 雹マンは女たちの思いを知り、大人しくなった。


“ギヤギヤ、男冥利に尽きるな”


“ガウガウ、騎士は貴婦人の願いに応えるものだ”


 三者三様の思いが胸中に渦巻く。ギヤ達人とル・騎士は満足しているふしはあるが、雹マンはそうではない。


“バカ女ども、俺なんかのために悲しむなよ……”


 雹マンにしては珍しく落ち込んだようだ。女たちは海賊マンの無事を望んでいたが、雹マンらの帰還も願っていたのだ……


 と、その時だ、彼らの頭上から何かが飛来したのは。


 それは先端に巨大なティーパックを取りつけたウィップであった。


 そのティーパックのウィップが、意気消沈していた雹マンの首に絡みつく。


“うぐぐぐ……!?”


 雹マンからは見えなかったが、ティーパックを投擲したのは、彼らより少し上空に漂っていた紅茶マン(の魂)であった。


“何を落ち込んでやがる! 故郷を救うんだろ!”


 紅茶マンの魂は、死闘を演じた雹マンへ激励を送っているようだった。


“こ、この野郎……”


 雹マンは紅茶マンのティーパック鞭をほどこうとするが、全く駄目だった。


 魂だけの存在になった紅茶マンと雹マンに、商人しょうじん強度の概念はない。


 今なら両者の試合は、間違いなく名勝負になるだろう。


“我々も及ばずながら手伝いに来たぞ!”


“これも捲土重来だぜ!”


“下水の整備は任せろ!”


 場にはカレーcook、インディアンマン、エラードの魂もやってきていた。


 彼らは死しても正義商人せいぎしょうじん、オメガの危機を救いに来たと見える。


“ガウガウ、お前たち……”


“ギヤギヤ…… 手伝ってもらう事は山ほどあるぞ”


“おい、てめえ! ウィップをほどけ!”


 ル・騎士、ギヤ達人、そして雹マンの魂は、正義商人せいぎしょうじんの助力を受けて、オメガの星を救わんと奮闘するーー



   **



 南国的トロピカル戦乙女プリピュアの戦いも続いていた。


 人魚の少女は成長していた。


 仲間を助けるため、少女は汚水(さすがに下水ではなかった)の中にまで侵入した。


 当初は戦乙女プリピュアを、己の欲望を満たすための捨て石と考えていた彼女が、自分を捨てて汚水へ身を投じるとは。


 その決死の覚悟が戦乙女プリピュアサマーの「やる気」を呼び戻し、そして勝利を呼び込んだ。


 何かが変わろうとしていた。それは海からの試練に、戦乙女プリピュア達が第一段階の答えを出そうとしているように思われた。



   **



 帝都の亜空間で対峙していたのは「レディー・ハロウィーン」のローレンとレジャー大帝GWであった。


 胴着に袴、レジャー大帝GWはまるで日本の武術家のような姿をしていた。


 対するローレンは魔女のコスプレ姿だ。これは彼女にとって正装に等しい。


 街中の商店街の広場は、誰もいない。亜空間とはいえ、人でにぎわうはずの商店街が全くの無人だとは、なんという悲しい光景だろう……


 先にしかけたのはレジャー大帝GWだ。遠間からの右ロングフックを、ローレンは左腕を上げてガードした。


 レジャー大帝GWは踏みこみ、左のショートアッパーでローレンの右脇腹を狙った。


 ローレンは右肘でレジャー大帝GWの拳を打ち払い、身を離す。


 両者の間に闘志が満ちたーー


「シッ!」


 鋭い吐息と共にローレンは跳躍した。


 その細い体は空中で独楽のように回転し、蹴りを放っている。


 ローレンの飛び後ろ回し蹴りが、レジャー大帝GWの右側頭部に炸裂した。


「希望は…… どこにあるというのだ……」


 レジャー大帝GWはうめいた。彼の魂は絶望に支配されつつあった。


 長きに渡る病魔の侵食、それに対して政治や医療は有効打を放てずにいる。


 この国を暗い影が覆っているのだ。この闇をどのように払えば、希望の光明が見えるというのだ。


「最期まで戦うのよ!」


 ローレンの美しい顔に浮かんだ決死の覚悟ーー


 やはり彼女は守護者ガーディアンだった。


 ハロウィンの「概念」と「存在の意義」を守る守護者ガーディアンであった。


 ローレンは魔女コスのまま跳躍し、レジャー大帝GWの首に両足をからめた。


 それはハロウィンの守護者ガーディアンたるローレンの、慈愛の技ーー


「ハロウィン・セメタリー!」


 ローレンは変型ヘッドシザースでレジャー大帝GWを投げた。


 レジャー大帝GWは商店街の路上に倒れ、意識を失った。


「やるしかないじゃない……」


 ローレンは亜空間の空を見上げた。暗き雲の彼方に、何者かの視線をローレンは感じ取った。


 彼女は暗雲へと右手を開いて突きだしたーー


「見てなさいよ混沌カオス!」


 ローレンの右手からほとばしった「トールハンマー」の閃光が、暗雲を打ち払った。


 「レディー・ハロウィーン」のローレンは、最期まで戦う覚悟だった。

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