新たなる挑戦!の巻!
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十兵衛は屋敷の庭で特訓だ。
地に置いた丸太に胴着を着せて、それを相手に左手一本で技をしかける。
百キロを越える丸太だけに、生半可な技ではかからぬ。
力と技、そして心が合わさって、初めて可能だ。
そう、即ち心技一体ーー
「ふっ!」
十兵衛の気迫が庭に満ちた。
右手を体に固定した十兵衛は、左手で丸太に着せた胴着の右袖をつかんだ。
素早く独楽のように体を回す。鋭い体さばき、足の動き、左手の引きーー
様々な要素が組み合い、十兵衛が左手一本でしかけた体落は、丸太を地に叩きつけた。
「まだまだあ!」
十兵衛は叫ぶ。父や恩師の見せた武の深奥は、果てしなく遠くに感じられた。
終わりなき挑戦に挑む十兵衛。常に新たな挑戦に臨む十兵衛の、次なる目標は……
「気晴らしに何か作ろう。タイトルは『チュパカブラ・デッドエンド』というのを考えているんだが」
「ほほう」
十兵衛は着替え、居間で茶を飲みながら助九郎と話していた。
「最近は世間も暗いニュースばかりですからな、何か明るいファクターが必要ですな」
「そうだろう? というわけで暇そうなキャラクターを集めて……」
十兵衛さんの頭の中で物語が組上がっていく。
チュパカブラ・デッドエンドーー
B級ホラーの匂いがプンプンする。
銃撃戦、多彩なメカニック。
そして華を添える女性キャラたち……
「助九郎、俺はエイリ○ン2風にしようと思うんだが」
「若、それがしは1の緊張感がいいですなあ」
などと話していると、オーディション会場である柳生屋敷に、わらわらと暇そうな女性キャラが集まってきた。
「出番をよこせアル!」
七人の悪魔商人の一人、ミス・パーコーメンは魅惑のチャイナドレスでアピールしてきた。
「出番をちょうだい!」
麗しきペネロープ嬢はバッスルスタイルで姿を現した。
一体どんな作品になるのか、全ては明日の先にあるのだ。
未来は造り出すものだ。




