表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/94

三千大千世界の戦い!の巻!(前編)


   **


 超神を倒し、己の仕事をやり遂げた古象マンは、満足した笑みを浮かべていた。


 死の恐怖はなかった。彼は充実したのだ。


 力尽きた古象マンが炎の海に消えていく。鮮烈な勇姿を人々の記憶に焼きつけて。


 それもまた「永遠の形」の一つだろう。


   **


 混沌カオスを倒すため、宇宙の中心を目指す超時空要塞「梁山泊」。


 光の速さで星々の間を飛び回り、ゴヨウらは三千大千世界を攻略していく。


 十億に達する星(世界)を越えた先にあるのは、果たして何なのか……


(うう……)


 ゴヨウの意識はうめく。「帝都」での混沌カオスとの戦いを思い出していた。


 天殺星「黒旋風」リッキーは、ショッピングモールにしかけられた時限爆弾によって死んだ。


 ショッピングモールから人々を避難させたのは、天威星「双鞭」コーエンだ。


 リッキーは孤独に爆弾を解体しようとする。コーエンはリッキーを一人で死なせまいと、現場に舞い戻った。


 そして爆弾は爆発し、リッキーとコーエンは死んだ。リッキーは骨すら残らなかった。


 「百八の魔星」屈指の勇士である二人は戦いではなく、人々の命を守って死んだのだ。


 命を産み出す女性らしい最期だと、ゴヨウは誇らしくも悲しく思った…………


「……う?」


 ゴヨウは梁山泊の司令室で目覚めた。いつの間にか、うたた寝していたらしい。


 全面のモニターに映るのは、青く澄んだ大海原のみだ。新たに到着した惑星ーー


 三千大千世界の一つは、表面積の九十五%が海であった。


「ーー起きろゴヨウ、敵が来るぞ」


 かたわらの声にゴヨウが振り返れば、かつて滅ぼした「爬虫類帝国」の王オールがいた。


「せっかく、あの星の命はあそこまで育ったのだ…… 簡単に絶やすわけにはいかんぞ」


 もう一人、「百鬼人類」のグライ大帝の姿もある。かつて敵対した彼らまでもが、ゴヨウに力を貸してくれていた。


 二人の姿は霞のようにかき消え、そして戦いが始まった。


「ーー総攻撃開始!」


 百八の魔星の守護神チョウガイの号令一下、梁山泊の主砲が火を吹いた。


 全長一kmを越える梁山泊すらが、頼りない小舟に思えるような巨体ーー


 大海原に浮かぶのは、全長が十kmにも及びそうな巨大亀であった。


「ガ、ガ○ラだー!」


 ゴヨウはモニターに映る巨大な異相に蒼白になった。


「違う!」


 チョウガイは忌々しげに叫んだ。ゴヨウには幾度も辟易させられていた。


「……あれを使う時か!」


 ゴヨウは司令室を飛び出し、黄巾力士ロボットの格納庫へと走った。


 数日前、梁山泊には「蛇使い座の女神」から贈り物が届いたのだ。


 この宇宙を創造した「十二星座の女神」の、規格外たる十三番目の女神。


 それが蛇使い座の女神であった。時空を越えて梁山泊に到着した黄巾力士ロボットは「ウィンド・キャリバー」と呼ばれていた。


 その力は、今この局面を打破するために蛇使い座の女神が送ってきたのではないか。


 ゴヨウは確信に近い思いを秘めて、格納庫へと続く通路を駆けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ