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天の啓示!の巻!



   **



 世界を覆うのは病魔のみではない。


 悪意、暴力。


 勇気、優しさ。


 相反する二つのもの、その激突。


 世界には陰と陽が渦巻き、活力を産み出していく。


 それは新たな命の誕生であるかのように。



   **



(何の偶然だ、これは?)


 「百八の魔星」の守護神「托塔天王」チョウガイはうめく。


 黒い長ラン風の衣服に身を包んだ彼は、外見上は二十歳前後の凛々しい若者だ。


 四千年の永き時を、守護神として存在し続けた彼ですらが、不思議な偶然を感じていた。


 例えば神ーー


 人類と神々の存亡を懸けた戦いが、様々なエンターテイメント作品に現れている。


 例えば海ーー


 戦乙女プリピュアのみならず、様々な作品に海が主題として現れている。『石造りの海』もまた。


 そして海は女性の象徴である。生命を産み出した海からの試練に、生命を産み出せる女性が挑む事には意味がある。


 更にはアークという仏陀ブッダーの顕現……


 この世に現れているのは、いかなる現象なのか。


 チョウガイだからこそ気づき、そして答えが出ない事に思い悩む。


「な、何もわからぬ事が恐ろしい……!」


 秩序コスモ混沌カオス


 光と闇。


 男と女。


 新たなる宇宙ーー


 創作世界の転生など問題にならないような何かが、人知の及ばぬ世界で起きている。


 この国は幸福だ、己の命すら捨てて大空に散った勇士らの魂が、魔空の侵入を防いでいる。いや、魔空すら怯ませているというかーー


「だが長く保つのか?」


 チョウガイは考える。朋友たる完璧商人始祖パーフェクトオリジンの一人、正義マンも同じ予測をしている。


 例え災禍を退けても、人類に未来を守る意思がないのなら、自滅の道しかないのだと。


 未来とは何か。それが象徴するのは子どもである。


 子どもという命を産み出すのは女性であり、男と女が力を合わせない限り命は産まれない。


「未来を託せるのは……」


 チョウガイは思う。すでに自分は老いて用済みかもしれぬと。


 未来は若き者に託す時期なのかと。


 別の時空ながらーー 剣と柔を用いる剣士、柳生十兵衛三厳。


 百八の魔星の一人、天機星「知多星」ゴヨウ。


 「レディー・ハロウィーン」のローレン。


 ローレンの侍女「フランケン・ナース」のゾフィー。


 他にもまだまだいる。彼らに未来を託す機が近いのかもしれない。


 超時空要塞「梁山泊」は、混沌カオスを討つための旅を続けていた。


 光の速さであのテラから離れていっても、チョウガイには見通せる。


 心を繋いだ女性「バレンタイン・エビル」のグレースがいる限り……


「お、次の世界は海一色みたいだぞ」


 ゴヨウは梁山泊の司令室でモニターを眺めていた。


「えー、じゃあ水着用意しなくっちゃ!」


 ハードゥはゴヨウの側で楽しげである。肉体を失った精神生命体のハードゥだが、女心は失っていないようだ。


「……うーむ」


 チョウガイは頭痛がした。実力的にはチョウガイにはるか及ばぬゴヨウだが、そのゴヨウが道を切り拓いていくのだ。


 しかし日頃の彼は明るく軽い。それに一抹の不安を覚えるチョウガイだった。


「ね、ねえ、じゃあこれは!」


 鼻息を荒くしたゴヨウはハードゥにマイクロビキニ水着を差し出した。


「死ね!」


 ハードゥの怒りの鉄拳がゴヨウの顔面に叩きこまれた。

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