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ホワイトデーの熱き闘い!の巻!


   **


 世間はホワイトデーだ。


 完璧商人始祖パーフェクトオリジンである眼マンと精神マンは、最果ての北の大地に立つログハウスで、ホワイトデーのお返しを準備していた。


「シャバババ~」


 眼マンは丁寧にお返しをラッピングしていく。もらったチョコレートは二十八個だ。


 主夫として料理教室に通っている眼マンは、そこの女生徒からチョコレートをいただいていた。


「ニャガニャガ~」


 精神マンは手作りのお返しのラッピングを終え、一つ一つを小綺麗な袋に詰めていっている。


 彼がもらったチョコレートは二十四個。眼マンには劣るが、彼がサンタさん(※白銀マン)の従者トナカイとなったのは最近の事だ。


 精神マンは短い時間でサンタさんの従者として、近隣住民から人気を集めていた。


「シャバババ~、来年は負けんぞ!」


「ニャガニャガ~、こういうのは勝ち負けじゃないんですよ。己の行いに結果が出るんです」


 眼マンと精神マンが準備を終えて、ログハウスを出ようとした時だ。


 白銀マンが寝室から出てきたのは。


 ーーシャキィーン


 白銀マンはフェイスガードを下ろした臨戦態勢である。全身から発される闘志に、眼マンと精神マンは震え上がった。


 白銀マンはバレンタインの守護者「バレンタイン・エビル」のグレースからチョコレートをもらったきりだった。


 仕方がない事だ、サンタさんの真の姿を知る者は、この世界で僅かなのだから。


 完璧商人始祖パーフェクトオリジンの一人、白銀マンこそがサンタさんの正体だとは、普通の人間が知るわけがないのだ。


「ツアッー!」


 白銀マンは眼マンと精神マンを瞬殺(※死んでません)すると、人里へ向かった。


   **


「ド外道があー!」


 荒れ狂う白銀マンは次々とバカップルを襲撃した。


 しかし、それも無理はない。白銀マンは孤独な闘いを続けていたのだから。


 クリスマスを祝福する穏やかな老人、という仮の姿で世界中の人々から慕われるサンタさん。


 だが、それもまた白銀マンの憂鬱となったに違いない。


「待てよ!」


 暴れまわる白銀マンを呼び止めたのは、男装女子の貂蝉だ。


「これやるから……」


 美少年然とした貂蝉からマシュマロを受け取った白銀マンは、怒りをおさめた。今ここに奇跡が起きたのだ。


「私からもどうぞ!」


 貂蝉の隣には女装美少年のが立っていた。チャイナドレスで魅惑の脚線美をさらした虞も、白銀マンにマシュマロのプレゼントを差し出した。


 見よ、白銀マンは元のアルカイクスマイルを取り戻したーー


「愛の奇跡ね……」


 通りすがりの淑女ペネロープは、奇跡を目撃した余韻に浸りながら、日傘をさして町中を進んでいった。めでたし、めでたし。

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