淑女ペネロープ ~出会いは戦いの中で!の巻!2~
ペネロープがランバーと出会ったのは数百年以上も前の事だ。
彼女に仕える狼女達は、人間世界でお婿さん探しをしていた。
狼女は女しか産まれない特殊な種族なので、子孫繁栄のためには、人間の男性が必要なのだ。
そんな狼女達は彼氏(一夜の恋人も含む)と共に「鮭の産卵祭」を楽しんでいた。
そこに鮭が進化した魔物「鮭魔人」が群れを作ってやってきたのでーー
怒りが爆発した。
「あたしの彼氏に何すんのよ!」
とある狼女は角材で鮭魔人を撲殺した。
「キモーい!」
狼女の一人は、胸にバスタオル一枚まとった姿で鮭魔人にジャブ×2→ボディーブロー→トルネードアッパーの連続技で撲殺した。
「いいところなんだから邪魔しないでよ!」
また別の狼女はジャイアントスイングで鮭魔人を振り回し、投げ捨てた。やはり鮭魔人は死んだ。
狼女は獣化すると人間の六倍から八倍の腕力体力を発揮する。平時でも三倍強の力を発揮する狼女達は、片っぱしから鮭魔人を撲殺した。
「さ、続きしよ♥️」
彼氏の前ではにかむ狼女達。彼女達の視線の先では、多くの男達が怯えていたといふ。
そしてペネロープはといえば、
「大丈夫か!?」
銀の鎖を振るい、鮭魔人を撃破する凛々しい男性に一目で恋をしたといふ。
「彼がランバーだったわ……」
感慨深くペネロープはつぶやいたが、隣の十兵衛さんは話を聞いてない。
「こうして、ああして…… いや、もっと無心に…… こう……」
手を小さく動かしながら、十兵衛さんは瞑想していた。脳内でイメージトレーニング中であった。
父の宗矩、恩師の小野忠明。
祖父の高弟である木村助九郎に、染物屋「風磨」を束ねる國松(正体は家光の弟である忠長)……
十兵衛さんは自分よりはるかに勝る猛者を相手に、ペネロープの話そっちのけでイメージトレーニングしていたのだ。
宮本武蔵いわく、常に兵法の道を離れず。
自身の選んだ道を離れるなという教えに従う十兵衛だが、時と場所は選ぶべきであった。ましてや女性といる時は。
「この外道ウウウッ!!」
怒りに顔を真っ赤にしたペネロープに殴られ、十兵衛さんは店の外に吹っ飛んでいった。
なお、ランバーは「レディー・ハロウィーン」の一族であり、ローレンの先祖にあたる。
ペネロープがローレンと敵対していないのは、愛した男性の子孫だからかもしれない。
なんだこれ。




