闘将!! 白銀男 ~商人と戦乙女!の巻!~
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この宇宙は「十二星座の超級女神(+1)」が造り出したという。
一昨年に「百八の魔星」の知多星ゴヨウと守護神チョウガイは、星辰の乱れを制する戦いに参加した。
星々が砕け散る激しい戦いの中で、ゴヨウとチョウガイは十二星座の女神によって、十三番目の女神もろとも消滅させられそうになった。
が、ゴヨウとチョウガイを助けたのは十三番目の超級女神、蛇使い座の女神であった。
“あなた達は関係ないでしょ……”
蛇使い座の女神はゴヨウに背を向け、そっけない態度で言った。彼女はゴヨウ達を助けたが故に、消滅を免れた。
“仕方なかったのよ、あのチャンスを逃す手はなかったし”
十二星座の女神は悪びれずに言った。確かにそうであるし、十二星座の女神にかかれば、ゴヨウとチョウガイを復活させるのは難しい事ではないが……
「ーー結局、この宇宙に絶対の真理などないという事だ」
チョウガイはゴヨウにそう告げた。長ラン風の衣服をまとった凛々しい青年の姿をしたチョウガイは、元は人間だった。
今では半神半人の存在として「百八の魔星」を導いている。
「絶対なる善も絶対なる悪も存在しない…… 秩序と混沌、光と闇、男と女、相反する二つの存在によって構成された不安定な世界だ」
「ーーあるよ、絶対のものはある」
知多星ゴヨウは顔を輝かせた。彼には絶対のものが、何となく理解できた。
「それは人の優しさだよ!」
「……甘いなゴヨウ。だが嫌いではないぞ」
ゴヨウとチョウガイは顔を見合せ笑った。二人は父と子のような絆で結ばれていた。
超時空要塞「梁山泊」は、ゴヨウとチョウガイを乗せ、光よりも速く宇宙を渡っていく……
混沌との戦いは、まだまだ始まったばかりであるのだ。
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その頃、帝都ではバレンタインの守護者「バレンタイン・エビル」のグレースが、一足早い義理チョコを配っていた。
「よく頑張ったわね、はいどうぞ」
グレースは商人キャノンボーリングとゴーレム男、更にペンチ男の三人に義理チョコの包みを手渡した。
ピンクのリボンでラッピングされた、チョコを納めた小さな箱を受け取り、三人は感動した。
「あ、ありがとうー!」
「さすがはバレンタインの守護者だ! 我らの気持ちをよく理解してくれている!」
「男に産まれて良かったー!」
と、キャノンボーリング、ゴーレム男、ペンチ男の三人は感涙にむせび泣いた。早々と戒律の神によって蹴散らされた彼らは、今後の出番はないだろうが、裏では報われていたのだ。
命を懸けて臨んだ者には、報酬があって然るべきなのだ。たとえ僅かであろうとも。
欲望によって臨む者には何もない。充実もない。満たされない。それが「世界の意思」だ。残酷な話だが。
「さ、レオパルドォンにも持っていってあげないとね」
グレースは包みを手にしてレオパルドォンの元を目指した。
彼女の広大無辺の愛こそが、バレンタインの大いなる加護なのだ。
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男ばかりの超人たる「商人」。
女ばかりの戦士たる「戦乙女」。
彼らは意図せず、協力して、困難に立ち向かう。
商人は超神を迎え撃つ。
戦乙女は生命の産まれた「海」からの試練に立ち向かう。
未来を守る戦いは、人の意識の及ばぬ領域で繰り広げられている。




